2014年3月18日火曜日

洋書;THE COMPLETE BOOK OF DRAFTING FOR HANDWEAVERS

色や風合いの組合せに思いをめぐらすのは、自由で楽しい。でも、織機や組織は多くの人によって考えられ、受け継がれてきた訳ですから、自己流の解釈をしたために、無駄な苦労をしていたり、間違いに慣れてしまって直せず先に進めなくなったり・・・・では、もったいない。

ドラフト/組織図の解説書は、多くの方が書いています。選んだのは、Madalyn van der Hoogt著「THE COMPLETE BOOK OF DRAFTING FOR HANDWEAVERS」

The best of Weaver's シリーズで組織の説明を読んだことがあるので取り寄せました。

前書きによると、著者は元は学校の英語の先生。課外授業で、Shuttle Craft Bookを手に織り物をしている人に会い、「私も、織機と本があればすぐに織れると思った。ところが、必要な道具と知識を組合わせるのに4年かかった。」と書いています。「初心者だった私には、次々と現れる組織・・・ツイル、オーバーショット、プロファイルドラフト・・・まるでジグゾーパズルのつながらないピースをつなげようと奮闘しているようだった。」と。

この経験をもとに、これから織る人がさらに先へ進めるように、わかりやすく解説した本を執筆したということです。

各章の初めに使われる用語とその説明がありますので、意味を確かめてから読み始めることができます。
組織図の基本では、図と生地の関係を多くのイラストを使ってわかりやすく説明してあります。読み方、書き方、基本組織の理解。タイアップと織機の関係は、誤解しやすい点が書かれています。イラストを見るだけではなくアメリカの解説書であることを忘れずに 読むこと がポイントです。

手織特有のまぎらわしい点や用語を普通の初心者にもわかりやすいように丁寧に説明しています。さすが元学校の先生。ひとつひとつ丁寧に言葉を選び、経糸と緯糸の交差の仕方はイラストや写真を多用して細かなことまで説明するという姿勢が貫かれています。もし、日本語に訳すならば、著者の思いやアメリカの状況、言葉の持つ意味を大切にしてほしいです。

一般的な組織図についての基本は24ページで終了。残りの110ページは、ブロックウィーブのプロファイルドラフトの説明から始まり、オーバーショット、ユニットウィーブのレースやダマスク、タイユニット、2重織・・・・それぞれの組織、タイアップ、綜絖通しの特徴と考え方がイラストと写真を交えながら続きます。最後にターンドやネットワークなど特別なテクニックの説明があります。

日本と違って、布サンプルをほどき、組織図を書いて綜絖通しと踏み木順を書き起すというやり方は載っていません。さまざまな組織の理解と応用のために書かれた本です。


パターンブックから選んで織るだけでは飽き足らない方。著者と同じあの本を読んで、それぞれの組織の違いをもっと詳しく理解したい方にお勧めです。

うっかりすると、「綜絖をたくさん使ったから、多綜絖の柄・・・だから、すごい」と、織機の前では考えがち。
組織を正しく理解すれば、「こんな柄が織りたいから・・・・この組織で多綜絖になった。」と本来の考え方に戻す余裕が生まれるはずです。

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