2013年3月27日水曜日

一人仕事を選ぶと

先日、匿名でコメントをいただきました。

「北欧の機に悪戦苦闘しながら、10年近く織っています。(中略)一人仕事が好きで黙々とやるのは、苦にならないのですが、時々自分のやり方でいいのか、迷うことがあります。小さな身体に大きな機、日本人なのに北欧の機、そんな所でも迷います。(後略)」


やっぱりそうですよね。そうなりますよね。

織幅は整う。組織図が読める。糸と密度の見当がつく。糸を絡めず扱える。整経からビーム(男巻)に巻取り・・・織り出すまでの仕事の手順はわかるしできる。つまり、基本は修了。数ヵ所のお教室で、5~8年以上通い続けている方も少なくないと聞きました。

織の友人は欲しい。作品作りも見たい。でも、おしゃべりより集中して織りたい。周囲の方に気を使わずに織りたい。時間内で織るのは気が急くから・・・となると、自宅で織るを選ぶことになりました。織機をもありましたしね。問題は、

「一人仕事を選ぶ」 と、ふと迷うことや質問したいことがでてくる。
 
海外では織機のメーカー、代理店や糸ショップのFQA(よくある質問と回答)、出版社のフォーラムなどが技術面や基本的な疑問や質問に対応しています。国内で、同様のサービスはないのでしょうか?


洋書も簡単に買える時代になりました。それで、もう一度手織りをしてみる気になりました。

私の織機は聞いたことのないメーカーでしたので、国内での対応は最初から期待もせず、調べもせずでした。
確かに、北欧の機は対応性に優れていますがシンプルで・・・・同じフィンランドのトイカ社の代理店には行ってみたいと思います。


「北欧の織機を持っています。一人仕事が好きです。」という方は他にもいらっしゃるような気がします。

人数が集まれば、何かできそうな・・・・・・・・ええと、このブログをご存知の方は?
いつもコメントをくださる落葉松さんは、ジャックのオーナーさん。よく存じております。感謝!


とりあえず、ブログのサイドバーの最下段に、[このサイトに参加する]を付け加えてみました。
メンバーになるとメンバー同士のメールが使えるようになるらしい?です。
メールポストも設置できるらしい?のですが・・・・もちろん、今までどおりコメント歓迎
???ばかりなので、もう少し詳しくわかりましたら・・・・・何とかしたいと思います。

諸般の事情により、延期となりました。(2013・4・7 記)

2013年3月19日火曜日

綾織#9 8枚綜絖 M&Wツイルを織始めるまえに

8枚綜絖で、M&Wツイルを織ることにしました。

組織は、The Best of Weaver'sシリーズ「TWILL THRILLS」に掲載のThe earl's canvas から。
1626年の古い絵画から復刻されたデザインです。本には、Gebrochene Twills と書かれています。複雑さが異なるようですが、M&Wツイルとも呼ばれているタイプです。オリジナルは14枚綜絖ですが、8枚、4枚にアレンジした綜絖通しも発表されています。

M&Wツイルは、山道通しの複雑変化です。ニックネームを付けるなら、連山通し(笑)かな?
 
初心者なので、組織はそのままで織ってみます。
と言っても、ペダルと柄の関係がわからないと柄のスタートを何処からにするかが決められない。

前回のコンビネーションツイルあたりから柄が込み入ってきたので、1つ1つペダルと綜絖の関係を確認しながら組織図を書き起こします。

ソフトを使えば、手間と時間を短縮することができるのでしょう。
ただし、私の手織りは「老後の暇つぶし」なので時短のための投資(?)の必要性は、はなはだ疑問。

8枚綜絖+2枚耳組織=10枚、ペダル8本。カウンターマーチ使用。

綜絖通しにはホルダー、タイアップにはボックスを用意したので、格段に仕事が 確実に、早く楽に、なりました。

一回に染める分量が増えてきましたので、浴比が足りずムラ染め。
大きなバットを買えば本格的にできそうですが、一般家庭から染料や薬品などを使用した廃液を流すのは抵抗が・・・・染材料店に相談することにします。が、できれば染めたくない。

経緯ともに梳毛2/20。薄くてハリのある布地をイメージして選びました。
ウールと気軽に思っていたのですが、経糸のテンションムラをデリケートに拾ってきます。どんな素材も織ってみないとわからない。
 
組織;The Best of Weaver's「TWILL THRILLS」
The earl's canvas by Marjie Thompson
P.34 - 36
    

 

2013年3月12日火曜日

綾織#8 コンビネーションツイルのランチョンマット

ポイントツイルとストレートツイルの組合わせ。

「A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK」 Marguerite Porter Davison著のコンビネーションツイルから。
ストレートツイル(順通し)とポイントツイル(山道通し)の組合せです。

「テーブルリネンです。他は無理です。」と、言っているような柄が気に入りました。

Pennsylvania Dutch Twill 

どう見ても未晒の麻と綿で織られたイメージです。経糸をきつく張って、しっかりと打込んだクロス。



かっちりとした印象はそのままにして、少し色味を入れてみました。

経糸は、国産コットリン。撚り本数が多いためかシャリ感があります。同じ緯糸では、ちょっと厳しいので、馴染むように綿糸2本とリネンの3本引き揃えにしました。
未晒の印象で華やかさが欲しいので、生成と黄色。ハリとツヤはリネンで加えます。

糸のハリが強くないのでダブルボビンシャトルが使えます。が、手が小さいのでうまくボビンがおさえられず、便利そうで不自由。何もかも体格に合っていないことは、先刻承知でこの織機。



予定よりも若干地厚になりました。
少し大きめのランチョンマット。夫婦ふたりの食卓のちょっと贅沢。


使用組織;A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK Marguerite Porter Davison著 
Pennsylvania Dutch Twill P35
 綜絖枚数;4枚 ペダル;4本
仕上りサイズ;39×60cm ボーダー左右6cm
使用筬;45本/10cm 2本入れ
使用糸;経糸 国産コットリン16/1×2×3(三葉トレーディング 色番280-45)
緯糸;綿(イエロー)20/2+綿(未晒)20/2+リネン30/2
ボーダー部 輸入コットリン(グリン)28/2(廃番)//2


 

2013年3月5日火曜日

織るならば・・洋書;SIMPLE WEAVES

インフルエンザで寝込んでいたら、お見舞いに1冊の本がやってきた。

SIMPLE WEAVES
Birgitta Bengtsson Bjork、Tina Ignell 共著

Ignellさんが白と赤の経糸を織っていて、この件でデザイナーのBjorkさんに電話をする。幾度か会話をかわしながら織り進むにつれイメージが膨らみ、ふたりは意気投合して本を出すことにした・・・・・まるで映画かドラマのファーストシーンのような前書きでこの本は始まります。


それぞれ異なるスウェーデンの学校で織を学んだふたりが、始めのカリキュラムはほぼ同じだったことを発見し、基本的な織り方と素材の組合わせによる手織りの本の出版をめざして一緒にデザインワークを始めます。

平織と綾織ではじまり、そして最後はドレル(ダマスク)とすぐに決まったという。オーバーショットではなくドレルのテーブルランナー・・・・。もちろんインテリアのアイテムばかり。ハンドタオル、クッション、ブランケットやラグが次々と登場してきます。

目次に並んでいる織り方を見ると、ツイル、ローズパス、モンクスベルト、M's&O's・・・初級講座のカリキュラムのようですが、素材との意外もいえる組合せによって織りあがる生地の表情もアイテムも拡がり、ふたりの個性が発揮されています。

キャンバスウィーブやワッフルウィーブなど新しい織りも取り入れ、今の生活で飽きずに使えるベーシックなデザイン。スウェーデン伝統の織に固執することなく、程よい「今」の生活とスウェーデンらしさが魅力的です。

この作品をデザインするにあたって、ふたりが「よりどころ」としたのは、
"Whatevere you weave shuld be of high quality"
織るならば、しっかりとしたよいものを。きちんとしたよいものを。

誰でも、モノをつくっていく途中には、迷いや選択をする場面がありますが、ふたりは真剣な議論と試織をし、常にこの言葉に戻って多くの結論をだして先にすすめたと書かれています。
高級な素材の魅力に頼ることなく・・・・。複雑な組織や奇をてらったテクニックにはしることなく・・・・。
掲載されている作品には、一般的な手織りの糸が使われ、基本的な織り方の範囲をこえることはありません。

さらに、作品に使われている色数が少ないのは、織る人が色を変更しやすいようにとの配慮から。使う人のインテリアカラーに合わせられるのは、織りあがって身の回りで使う時の大切なポイントです。

糸から布へと変化していく楽しみを味わいませんか?という思いと迷いのなさが、この本を透き通った空気感で満たしているようです。


スペック、仕上げ、今すぐにでも準備して織り始められそうなこのタイプの本には、最後にいつも決まって 壁 が立ちはだかります。「この糸は、何処でどうやって・・・買えるのか?」

美しい作品集ということで満足もできます。

でも手織り機を所有しているのなら・・・・・ふたりが生み出した布地を、やはり手にしてみたい。