2016年11月29日火曜日

縦糸の密度表


「糸と縦密度 セットチャート」という題で、2012年8月にアップした続き。

「縦糸の密度を決めるときは、糸を定規に巻き付けて、・・・」という説明はよく見かけるのですが、どの程度の間隔で巻き付けるのか?見当がつきません。先生から実際に習わない人の最大の弱点・・・かも。

「セットチャート/縦糸の太さと密度の一覧表」 に気が付かなかったら、巻き付ける加減に試行錯誤して、手織りをあきらめていた
だろうと思います。

セットチャートとは、この太さ(番手)の糸で、織ろうとしたときに、縦糸の密度はどのくらいにしたらよいか・・・が書いてある一覧表。

私の持っている本では、次の2冊にのっています。

「Leaning To Weave」 Deborah Chandler著 Sett Chart(インチのみ)
②「Learning to Warp Your Loom」 Joanne Hall著 Warp Sett Chart(インチ/センチ併記)

 
著者により、チャートにある糸種も、縦糸密度も異なります。というより、使う織機により「違う」と言えそうです。

①は、ジャックルームの使い方や組織など手織についての基本的なこと全般が書いてある本
②は、北欧のカウンターバランス、カウンターマーチ式織機と縦糸の準備のしかたなどをメインに手織の基本的な手順が紹介されている本。

どちらのセットチャートも、糸の番手とポンド/グラムあたりの長さ、平織の場合と綾織りの場合の縦糸密度が書いてあります。

①の北米でメインのジャックルームについての本では、綿と麻糸は、それぞれ3~4種、毛糸が10種。②の北欧の織機の本では、綿糸が8種、麻糸が9種もあります。北欧には、麻糸を手織りするという伝統が受け継がれているということなのでしょう。もちろん、どちらの本にも絹糸はありません。

さて、書いてある密度を比較してみると、糸が細くなると、②は①の約10%アップ。コットリンは、25%もアップ!北欧では、縦糸の密度がつまったしっかりとした織物が好まれるということ?

開口する時に綜絖が縦糸を上下に引き分けるタイプの織機、つまり、カウンターバランスやカウンターマーチ式織機なら、少々密度が混んでも問題なく織れます。伸度の少ない麻糸も織りやすい。しっかりと縦糸を張って、きっちりと緯糸を入れて織りたい人に選ばれる織機ということですね。

いろいろな組織を気軽に変化させて、ウールのショールなどをやわらかに織り上げたいのならジャックルーム・・・ということも納得がいきます。

織機の特性や違いがわかると、織る布や使いやすい糸、国による好みも見えてくるようです。

日本のろくろ機に慣れた先生方が、ジャックルームではなく北欧の織機を好まれるのは、形や気分だけではないように思えてきます。

2016年11月25日金曜日

縦糸ロスのコレクション

手織り。特に大型機は、織り終えた最後に縦糸がロスとして残るのがもったいない・・・・という人にも何人かお目にかかりました。確かにそのとおり。

数年前から、再挑戦して織った作品の縦糸のロス(織り捨て分)。

そのまま房にして、とっておきました。

購入した店名と購入日、糸名、素材、番手、使用した染料名、価格など。

その都度、面倒くさいなぁ・・・と思いながらも細長い紙に記入して、輪にして、ホチキスでとめて。

海外糸、国内糸、綿糸、麻糸、ウール糸、染めた糸、変わり糸 と大雑把に分けて紐に通して下げています。

長さも分量もそれぞれで、見た目は今一つ。

ですが、分量が多いので、色も見やすく、ツヤや風合いもじっくり確認できます。

また、配色を考えるときに、並べたり、束から糸を抜き取って縞を組んでみることもできて便利。

バランスの良かった縦糸は、そのままとっておくと、濃度差や色の分量を考えるときの参考にもなりそうです。

継続と忍耐とが必要ですが、まだまだ織りを楽しみたいと思っている方には、お勧め。
是非、お試しください。

2016年11月22日火曜日

大量生産の卵の芽

セーターを編んでいました。

着るセーターがなくなったので、サイズが合わなくなったセーターをほどいて、カセにして、洗って、玉に巻いて、編み始める・・・・趣味や楽しみというより、必要に迫られて。

何気なくつけていたテレビからは、「家で編物をしていた時代とはことなり・・・・・」と聞こえてきます。どうやら、欧米の教授による「資本主義」とか「経済」とかの話らしい。
ん?家族が着るセーターを購入しないで、家族が編んでいた時代は、「資本主義以前」ということ?

このところ、EU離脱とか、米国大統領選挙とか、政治や経済関連のニュースがひっきりなし。
政治も経済も資本主義とやらも、わたしには、見上げても見過ごしてしまう青空の薄い雲のようなものなのだったのですが。



石炭や電気を使う動力がくわわり、「より早く大量に生産できるようになって、隣の村へ売りに行き、遠くの大きな町で売り・・・・さらに、もっと早く、もっと大量に生産して、世界中に販売して・・・・お金をたくさん得る。」ということが、資本主義と関係するらしい。

我が家にいる織機(注;踏み木のある天秤式)も「容易」に「たくさん」と進化してきた・・・・最初の「機械」という説を読んだ記憶だあります。

整経、綜絖通し、筬通し、縦糸のロス、織り始めの調整などは何m織る場合も同じ作業。ですから、少なくとも4~5m程度は織らないと考えると、マフラーも2本織りあがってしまう・・・。

「多少のロスがあっても大量に」と考える資本主義の「卵の芽」のような存在が織機なのかもしれません。

手編みは、つましく優雅な趣味になったように思えるけれど、織機という機械を使う手織りには、量産とか効率とかいう「性」が宿っているように思えてきます。

一縦で、一反となる着尺を織ったら、また違う感じがするかもしれません。

それにしても、手織りをしたら、経済をちょっと身近に感じることになろうとは・・・・。


2016年10月26日水曜日

8枚綜絖で裂織の小さなマット

今年の夏の色は、オレンジでした。

隣家が建て替えで取り壊したために、この夏は、思い切り太陽の陽ざしを浴びた キンモクセイ。
あふれるほどに、金色の・・・・冷静に見れば「オレンジ」なのですが・・・花をつけました。

オレンジ系の布もたくさん裂きましたっけ・・・・。


裂織でマットを織るのは、ほぼ初めてなので、小さなマットにしました。

マットなので、丈夫な「平織」がいい。緯糸を見えたいから、部分的に「綾織」がほしい。と。

結局、8枚綜絖になりました。
平織を元にした「クレープ」の組織。

さて、平織部分の色を変えずに織るとこんな感じ。青色に濃淡があるのは、単なる染めムラ。


新しい家が建てば、今度は、もっと日陰になるキンモクセイ。
より大きく、より早く、より便利に、より簡単に・・・誰もが自分のこと夢中?まして、隣家の植木のことなんぞ・・・・。

組織参考 書籍;「Warp and Weft」  Crepe P.108
枚綜絖 8本踏み木 
筬;45/10cm 1羽空け 
経糸;綿100%レンシル20/2×2 3本引き揃え ブラウン
緯糸;綿裂き布 約15~20mm 5色使用
サイズ;42×68cm

2016年10月18日火曜日

裂織のサンプル織;ウール

チェックや千鳥格子などの中厚のウール100%のスカートやパンツ(当時は、「ズボン」とか「スラックス」とか言う名称でしたが)を着ている人を見かけなくなりました。

この数十年で、化学繊維が急速に進歩したためか? 地球温暖化の影響か?

服地の色柄にも流行り廃りがありますから、ベーシックなスタイルといえども、いまだに着ているという印象を与えずに、この素材を着こなすのは、中高年には、ちょっと無理。

着込んで、少しフェルト化したようなズボンをながめていたら、裂織にしたら・・・と思いつきました。手織りの材料として、太いフェルトヤーンもあるのですから。

木綿や絹のように、裂くことはできないので、バイアスで1.5cm幅に切り、端は斜めにカットしてミシンでつなぎ合わせました。ウール100%は高級品だから少し手間をかけてでも・・と思うのも、年寄りの思い込みか?


さて、前回の「Double weft weave/ヨコ二重組織」で織ってみると、それなり。(写真;左上)

ウールのベルベット(?)のような表情もあり、綿の裂織とは、違う味わい。高級感?
でも、かなり地厚。この厚さは、日本向きとは思えない。







で、単純に平織にしてみると。(写真;右)

バイアスカットの布のテクスチャ―は、いい感じ。
グレンチェックは、霜降りのミックスに。
上下に、織り込んだラグ糸との対比も悪くありませんね。


最後に、ノッティング(パイル結び)も試してみました。

上から抑えつけても、踏んでも、つぶれたままにならず、すぐに起き上がる「反発力」と「回復力」。
ヒツジという動物が生み出すウール・・・で作られた生地は、やっぱり偉大。

2016年10月7日金曜日

裂織のサンプル織;綿

スウェーデンの手織りの本を参考に、昨年の夏前から織り始めたはずが、一向に進みません。
それまで参考にしてきた北米の手織りの本の説明と若干異なるのが原因?普及している手織り機が違うから?・・・というより、国民性?歴史の違い?

さて、スウェーデンの織といえば、私がイメージするのは、フレミッシュ/絵織物(これは、大型機では織らない)、ローズパス、リヤラグ、ラグラグ・・・。

前から織りたいと思っていたラグラグ(Rag Rug)/裂織のマット。
裂き糸もたまってきたので、以前から織りたいと思っていた緯糸2色の組織でサンプル織り。


 最初の写真

市松の切り替え部分をブラウンにすると、理屈的には良さそうなのですが、ホワイトの四角はブラウン地に囲まれたようになりました。(写真;中央から下)

ホワイトの四角の上部の緯糸が越す縦糸の本数に2本と3本があることにこだわらなければ、ブラウンとホワイトが同じ面積の 市松柄 になりました。(写真;中央から上)

組織にこだわると、イメージしたものと違っても気が付かない。よくありそうなこと。


2番目の写真;左

裂織りらしく とプリントや格子の布を使ってみました。
両方とも柄があると、ちょっとボロっぽい印象がするようなので、片方をライトブルーにしてみました。これなら、すっきり。



3番の写真;右

シーツを染めたブルーとグリーン。
色相も近く、同じ明度なので、ブルーは半分の太さにして、紺色と引きそろえてみました。

こうすれば、より裂織りらしい表情になって良さそうですね。


でも、カラフルな色彩を入れようとすると、子供向けのキャラクターのプリント生地などが、よさそう・・・・なるほど。


さて、裂き糸の作り方は、いくつかあるようです。
布を裂き、端はつなげておく。バイヤスのテープ状に切りミシンで縫ってつなぐ。など

バイヤステープ状に切るなんて大変!と思ったのですが、脇から出てくる糸をとる手間がかからず、織るとふっくらと凹凸がある良い表情になりました。ただし、薄くて弱い布の場合は、切れやすい。布の厚さや張りで、使い分けるのがよさそうです。

裂織。身近にある布を使う「手軽なリサイクル」のイメージ。
ですが、布を裂いたり、切ったりは、まるで糸をつむぐかのよう・・・・。
配色は、手元にある布を組み合わせるという制約があり・・・・・。

これも奥が深そうな織物です。
参考書籍;Manual of Swedish Handweaving
Backed structures P.91  
Warp and Weft  LESSONS IN DRAFTING FOR HANDWEAVING 
Weft-Backed or Double Weft Weaves P.160

2016年9月27日火曜日

梅で染める

30年物の梅の木が移植されて、そろそろ10年。

盆栽をうっかり庭に降ろしたら、すくすくと大きくなり、伐採しようとした時期が、移植に最適な時期だったということで、命永らえた木。

以前、新芽で染めた時は、淡い黄緑。でも、梅は本来は赤い色に染まるというのですが。

不思議に思い、草木染の本や手織りの本、専門家の著書、TVなど、染め方を調べたのですが。

媒染剤の使い方だけでも、「染液に入れる。」「染液の前に浸ける。」「後に浸ける。」「何回も繰り返す。」・・・・など、記述は、まちまち。草木との相性か?染める素材との相性か?やり方は人によって違うものだし、染まれば、こだわることはないのでしょう。

が、すぐに色あせたり、薬品が劇薬だったりするのは、遠慮したいと思うし、屋外で煮焚きするような本格的なやり方は無理。何回も試してみるとしても、織や編物のようにほどいてのやり直しはできない・・・。

ということで、結局、信用のおける染色材料の生産販売店に問い合わせ、専門の先生から教えを乞うことになりました。

で、何とか染め上がったのが、この色。色の違いは、枝と葉、媒染剤と抽出法の違いです。

化学染料なら、糸と染料と助剤と水を鍋にいれて、1時間もすれば染め上がるのに、葉や枝を煮て、媒染剤を使い・・・・手間は3~4倍ほどかかるように感じられます。

この木が来なかったら、枝や葉で糸を染めてみようなどと思わなかったに違いない。
色をいただくだけでなく、この木を手にした人たちの思い出もいただいて、糸に閉じ込めているような気がします。

2016年9月20日火曜日

書籍:誰にでもできる”織りもの” 現代の織り

なぜ今も手織りをするのか・・・という個人的な疑問から、先生方の本はできるだけ読みたいと思っています。

この本に限らず、「手織りをする「織りとは」」という書籍では、手織りの手順と技法だけでなく、織の歴史、組織、織機の種類、糸染め、糸紡ぎ、繊維の種類・・・・織りに関係するさまざまな技法と知識が満載されています。

どの本もすべてが網羅されていると思いたくなるのですが、よく見ると、とても詳しい説明と、それほどでもない部分があることに気が付きます。

表紙の写真の有機物のようなオブジェで、編者の名を記憶していました。

誰にでもできる”織りもの” 現代の織り 小名木洋一編 
平成8年3月25日発行

京都を本拠地として、芸術の学校で教鞭をとっている(いた?)著者と、7名の講師が分野別に執筆しています。

織物前史に始まり、手作りの道具、織機の種類、手織りの手順、技法、糸染め、化学染料、植物染料、原毛の洗毛から糸紡ぎ、糸紡ぎの道具、繊維の種類と歴史と幅広い内容です。

「はじめに」では、「他者との差別化が服飾の本質であり、世界に一点しかないもの、つまり自分自身で織ったり染めたりしたものを身につけることは、最高の贅沢といえるでしょう。」とありますが、服地の制作については記述がなく、「着物を織る」という章があります。

やはり、特筆すべきは、最初に登場する著者が発案し命名したと思われる板釘機、木枠機、手足機3種類と腰機の作り方と織り方。後半には、同じく著者が発案し命名したと思われる「立体織」。

この3種類の手作りの機と腰機では、それぞれ必要な材料、縦糸のための釘を板に打つ方法、枠の作り方、縦糸の張り方、綜絖、整経などが詳しく書いてあります。この説明を読めば、織り機を購入しなくても「織りもの」ができるということになります。「立体織」では、発想の元となった技法から織り方まで丁寧な説明があります。

既存の織機や道具にとらわれずに自由に発想して、織りたいものを工夫して織る/制作することが、編者の作家としての原点なのだろうと感じられます。市販の織機や手作りの織機、改造機も数多く紹介されていますが、これらも編者にとっては、求める布や効率的な生産のために織機は改造されてきたという実例にすぎないように見えてきます。

技法は主につづれ織りと絣、着物の織り方。多くの写真とともに丁寧な説明があります。一方、組織や組織図については、たった4ページ程度。

さて、さまざまな本を読むたびに気にしている「天秤式織機」の説明は、
「唐碓式ともいって、(中略)踏木の操作で各々の綜絖が単独で上がりますから、緯浮きの多い組織を織るのに便利です。ただ、上口開口なので(中略)このタイプは北欧やカナダ製などに多く、毛織物に適しています。」中国の紋織機と北米のジャックルームを合わせたような説明となっています。掲載されているイラストは、北欧のカウンターマーチ、つまり水平天秤式織機ですが、綜絖1枚に天秤1組と上下ラムだけなので、説明文の矛盾に気付くことはできません。

「むすび―なぜ織るか」では、「織ることを通じて、創造の過程で得た孤独に耐えうる力、自己に打ち克つ力によって、堅固な人格を確立してほしいのです。」とあります。やはり、これから織りをする人、学び続ける人への本です。

この本の出版から20年を経た現在。手を動かし、知恵を使い、時間をかけて丁寧にモノをつくることが、遠い昔のことのように感じられるのはどうしてでしょうか。私が齢を取ったということでしょうか。

2016年9月13日火曜日

インド藍、インディゴ、藍

粉末のインド藍を使った染め方を習ったりしていました。
絞り染をしたら「お手軽な廉価な染」のような違和感があります。

藍染は、日本のお家芸のような思い込みがあるのだろうと思います。化学薬品を使わずに甕で染めるのが、本式・・・のような。

一方、「ディープブルーといえば、デニムの染料でおなじみのインディゴが一番身近だった。」と、民藝の教科書②「染と織」の著者は書いています。日本人でも「藍」より「インディゴ」?でも、「藍」と「インディゴ」の違いは?


同じ色素を持つインディゴと藍。「Dyer's garden」Rita Buchaman著 を見ると、青を染める植物が3種類のっています。

インディゴは、マメ科コマツナ属で、メキシコ、カリブに自生する茂みになる低木。数百種あり。ジーンズがアメリカの労働着だったのが、うなずけます。

藍は、Japanese indigo もしくは、Dyer's knotweed。蓼/タデ科タデ属の草本で、色素があるタデのこと。日本や東南アジアに自生し、こちらも数百種類。海外品はすべて「インディゴ」などと言いたくなるのですが、「インディゴ」と「藍」は、植物の種類が異なることを無視するわけにはいきません。インディゴも藍も、厚い地域の植物。

英国や北ヨーロッパなど寒い地域では、Woad。タイセイ属アブラナ科の植物を使って染めるのだそうです。本の写真では、タンポポ?に似ていて、藍色よりもグリーンがかった色。藍のように、淡色から濃色まで染まるのでしょうか?染めた糸の束を見てみたい・・・。


インド藍と東北藍の生葉染。染めてみると、次々といくらでも染められるので、ほかに染めるものはないかと身の回りを探すほど。庶民の色となったのがわかる気がします。そんな藍も、インド更紗や東南アジアのバティックでは、豊かな色彩一色。

日本では、藍染の着物を着て、藍染の座布団に座り、藍染の手ぬぐいで身体を拭き、藍染の夜具にくるまって眠り、藍染ののれんをくぐって出かける・・・・。なるほど、民芸の本を見ると、日本中のいたるところに藍染の布。

東京オリンピックのエンブレムも藍色。藍へのこだわりがさらに増して、気軽には使えない「崇高な色」にならないことを願うばかり。





2016年8月26日金曜日

セブンスハックのスカーフに藍染

今回は、間違いなく、セブンスハック。
タテもヨコも7本浮いています。

織っているときは、見えにくいのですが、機からおろして、水を通すと、中央が十字になります。

藍染をするために白生地を織る予定でしたが、つまらないので、中央に、スカイブルーの糸で乱縞を入れてみました。

染失敗を想定して、3本ほど織る予定。とりあえず、2本染めてみました。

試したのは、藍の生葉を揉んで染める染法。

草木はその土地にしかなく、染色法はその草木に合うように発達し、受け継がれているということになります。
織りの素材や技法のように、奥が深そうです。

まずは、全部染めたのと、絣の技法を使って部分的に染めたのと2タイプ。

「ちょっとした思い付き・・・」で済ませられることではなさそう。「染はしない」と織り始めたのに・・・・。






2016年8月12日金曜日

黒の糸で #5 ハックアバックのショール

「セブンスハック」という名称に惹かれて、織り始めたのですが、図の番号を見間違えていたようで、これは、よく見かける5本で構成されるハックの組織。本には、「ハックアバック」で、間があく組織と紹介されています。

「ハックレース」と、「ハックアバック」。同じ組織でふたつの呼び方があるようなのですが、違うのか?使い分けるのか?がよくわかりません。

引き続き、いろいろな太さや光沢の残糸を引き揃えて織った さらに残りの糸。

なので、緯糸は1レピート半ごとに、引きそろえた糸の種類が異なり、ツヤが違います。

表は、緯糸浮いて(縦糸が飛ぶ)、裏は、縦糸が浮く組織です。

織り上げて機からおろしてみれば、なるほど。




新しい織り機は、60cm幅なのですが、計算間違いをして。、63cm幅に。3cmとはいえ、やはり、縦糸は巻きにくく、織りにくい。道具の設計とは、このようなことか・・・と、感心したりして。


 織り手が下手なのでは、と、48cm幅も試してみました。

参考書籍;Manual of Swedish Handweaving
著;Ulla Cyrus-Zetterstrom
Hackaback P.47
4枚綜絖 4本踏み木
筬;50/10cm 1本入れ
経糸、緯糸;残糸 4~6本引き揃え
サイズ大;240×63cm
小;165×48cm

2016年7月29日金曜日

オリジナルの待ち針

ちょっと前のことになってしまいましたが、5月のこどもの日に、近くで「手作りマルシェ」という催し物がありました。

隣区の障がい者施設がワゴンを出店していて、イヤリング、バンダナ、ピンクッション、待ち針・・・・クッキー、ラスクなどなど。

待ち針に柄をつけるという発想に驚いて、見惚れていたら、「縫い物はしないのですか?」と聞かれました。

が、この針、洋裁に使うには、ちょっと長い。もちろん、個人の好みの問題だと思うのですが。

でも、切れた経糸を引き込むのに、どうでしょうか?
早速、購入。

かわいい袋にも入れてもらって、気分もホンワカ。


試してみると、長い待ち針なので大きくすくえ、頭は、平らなので、新しい経糸を巻き付けても安定します。

花柄、ドットなど かわいい柄がたくさんありました。
色名が書いてあるのを選んだのは、切れたごとに、色別に使えそうに思ったから。

でもあいにくと、「黒のシリーズ」の最中。では、黄色は注意、赤は止まれ・・かな?

この待ち針、経糸が切れて、落ち込んだときや投げ出したくなったときには、特にお勧め。

「何事もひとつひとつ丁寧に」と、ささやいてくれるような気がします。


2016年7月22日金曜日

黒の糸で #3と4 平と綾組織のショール

同じ組織で、経糸の密度を粗くしてみました。経糸は同じです。

写真では、撮影した本人も、どちらがどちらだったかわからず、日付を確認するありさま。

密度を粗くすると、より柔らかでショールらしくなるのですが、組織ははっきりしなくなるようで、ちょっと織りにくい・・・・。

機からおろして、並べてみると、今回(右)がやはり良さそう。






ショールとしては、ざっくりとして、柔らかで。
せっかくの組織は見せたくて。

相反するこの2つの要素のバランスの取りかたが「技の見せどころ」のように思えてきます。






さて、織っているときに、織り柄が見えにくかったので、緯糸をグレーベージュにしてみました。

織っているときは、楽しかったのですが、織り上がると、意外に「うるさい」印象。

サンプル織りをすればよいのですが、ある程度の大きさがないとわからない・・・・と考えると、ショールやマフラーの大きさは、サンプルのように思えるのです。

実際に、首に巻いて使うと、また、印象は違うのかもしれません。

参考書籍;Manual of Swedish Handweaving
著;Ulla Cyrus-Zetterstrom
Striped or Checked Combinations of Different Structures P.72
6枚綜絖 4本踏み木
写真左-筬;35/10cm 2本入れ
写真中央と右-筬;30/10cm 2本入れ
経糸、緯糸;残糸 4~6本引き揃え
サイズ;200×43~46cm

2016年7月14日木曜日

黒の糸で #2 平と綾組織のショール

織機に限らず、道具というものは思うように使いこなせることがポイントのようで、何故か6月24日が重なったり、黒色は写真うつりが悪かったり、思うようにならないと、気持ちが遠ざかってしまう。

久しぶりに、ブログを書くことにしました。続けていれば、解決策が見つかることもある。できるようになることもあるのだろうと。


さて、ショールには、柔らかな組織の綾織を・・・と、綾と平織を組み合わせた組織を選びました。

日本語では、「複合組織(?)」とかいう名称になるようですが、平と綾組織のストライプのコンビネーション。

平織2枚と綾織4枚で、綜絖が合計6枚使用する組織ということですね。

綾組織部がポイントツイルで、左右対称でないのが特徴的。

さすがにスウエーデンの本の組織は、堅苦しさがなくて、オシャレ。

織っている時の写真では、薄地のように見えるのですが・・・。
機から降ろすと、しっかりと真面目な印象。織り柄はよく浮きでているのですが、もう少しザックリ感が欲しかった。タテ密度を粗くして、再挑戦中。
参考書籍;Manual of Swedish Handweaving
著;Ulla Cyrus-Zetterstrom
Striped or Checked Combinations of Different Structures P.72
6枚綜絖 4本踏み木
筬;35/10cm 2本入れ
経糸、緯糸;残糸 4~6本引き揃え
サイズ;200×43cm




2016年6月24日金曜日

黒の糸で #1 上着用の布地


モヘヤ、リング、スラブ、極細、変形モール、リングノット・・・・・

使い残しの意匠糸を次々に織りこんで、最初は、ショールにするつもりでした。

平織で、意匠糸を入れる部分は、綾織の変形で、緯糸が出るようにしました。

予想よりもハリがあるので服地にしてみようかと。サンプル織もしないで、いつも行きあたりばったりで情けない話。

ですので、黒の上着があれば便利かなという程度。


 ストレート(寸胴)のシルエットしか似合わない今日この頃。

直線断ちの魔女のようなコートも悪くはないのでしょうが、久しぶりにセットインスリーブの仕立てにしようかと思います。見返し用の無地も織りました。


糸飛び、グズグズ・・・と、笑えるような織物にしてみようかと織り始めたのですが、自然と規則正しく、きちんと織れてしまうのは、日頃の鍛練の賜物か?

縫いあがったら、笑えるような服地になるかもしれない・・・何事も最後まで。

黒い糸がなくなるまで、いろいろと織ってみようと思うのでした。


平織、綾織;意匠糸部分のみ
6枚綜絖、6本踏木
経糸、緯糸 共に残糸
サイズ;44×400cm(無地80㎝含む)

黒の糸で

美しい色を見ると心がなごむ効果があるとか。確かにきれいな色糸を組合わせて織るのは、楽しい。手織りの究極の楽しみ方のように思えます。

しかし、数年前に、もう手織りはしないからといただいた糸は、ほとんどが「黒糸」。

歳を取ると、黒は、見えにくい。間違いなく織れるだろうか・・・・。憂鬱な色彩・・・・・と、思い悩む。暗いのは、色だけではなさそう。

1箱の段ボールの中には、数玉程度の意匠糸があれやこれや。モヘヤ、リング、スラブ、極細、変形モール、リングノット・・・・・。

ファッションでは、あたりまえの色彩になっているのですが、何時間も見つめ続けて織るのは、やはり、気が進まない。

では、糸飛び、グズグズ・・・と、笑えるような織物にしてみようかと織り始めました。

板杼を使ってのんびりと、手織りを楽しもうと考えたのですが、40cmも織ると、シャトルを使えば早いだろう。テンプルを使えば、もっと早く織れるだろう。と、「効率よく」「速く」を一番に考える自分がいました。

そんなに速く織って、たくさん織って、どうするつもり?
どうして手織りをするの? 
糸の山があるから・・・?

グズグズ、ザクザク を狙ったつもりが、きちんと織れてしまう。
誰が見ても手織り・・・・そして、それなりにかっこよく は、
予想をはるかに越える難しさ。

黒い糸がなくなるまで、いろいろと織ってみようと思うのでした。

2016年6月22日水曜日

種をまき、苗を植える

藍は、彼岸に苗床に蒔いて、5月初旬に畑に移すというに、東北藍の種をいただいたのは、5月半ば過ぎ。

来年に蒔こうかと思ったのですが、藍の種は、収穫した翌年しか発芽しないというので、蒔くことにしました。海外の本にも、藍の種は、すぐに鮮度がなくなり、保存できないと書いてあります。種で保存できないなら、蒔くしかない。

そして、10日ほどして、双葉が出たのですが、ヒョロリとして、虚弱。

空を見上がれば、すでに、梅雨のあいまの日差しは、真夏。うっかりすると干からびてしまいそう。
案の定、本葉が出たのに、雨粒があたれば、倒れる・・・。

うっかりすると、2本3本と一緒に抜けてしまうなので、恐るおそる間引きするも、地植えは、どうすればようのやら・・・?

毎年、毎年、育てるのを身近に見て覚えたならば、花を咲かして種を取り、命をつないでいくのは、普通のことなのでしょうが、首をかしげることばかり。あらためて、絶滅しないのが不思議な気がしてきます。









左;6月12日
右;6月22日







ウメ、ハルジョオン、ヨモギ、ホウキクサ、・・・。手狭な住宅地のつもりが、よく見ればあちらこちらに、染材になる植物が目につきます。

ついでに、マリーゴールドの苗を衝動買い。が、よく本を読むと、煮るときは、屋外がお勧めと書いてありました。確かに、独特の臭いあり。


植物を育てようとすると、「今」を逃すと来年になる。
1年というサイクルに縛られているようにも思えるのですが、「来年こそは・・・」と、頭の中がいっぱいになるのは、幸せかもしれません。









2016年6月14日火曜日

玉ねぎで染める

集めたつもりはないのですが、

よく染まると聞いて、取っておいた玉ねぎの皮。
ナスの漬物に使おうと買ったらしい(?)ミョウバン。
そして、手織りは止めるからと、いただいた白の毛糸。

染めてみることにしました。

たった70gの皮なのですが、5リットルのバットは、ほぼ満杯。





時々、玉ねぎの匂い。
この状態から、美味しそうな匂いがするのは、不思議。おもわずスープ鍋を探したりして・・・・。

助剤のついでに、鉄媒染用の液も購入。手元にあるものを片づけるために、またモノか増えるという悪循環。罪悪感も少々。

さて、染めあがった糸。
左から、アルミ媒染、鉄媒染。一番右は、鉄媒染の残りと染液の残りを使用して染めてみました。

わたしの好きな「玉ねぎ色」より淡い色で、ちょっとがっかり。

2016年6月10日金曜日

やっぱり毛糸は一宮

椅子張りのこともあり、ウールの糸が気になる日々。毛織といえば、一宮。愛知県。
紳士服地など生産する毛織の産地と思うのですが、ほとんどが海外へ移転?したという話も聞き・・・・さて?

久しぶりに、半信半疑で手織用の糸を扱っている糸商へ電話をしてみました。30年ほど前の手織りの本の巻末に、よく住所や電話番号が載っていたこの商店は、今も健在のご様子。何とかお願いして、サンプルを送ってもらいました。

最近の手芸店や手織り手紡ぎショップなどで販売している糸サンプルは、標本のようにきれい過ぎて、個人的には、ちょっともの足りなさも感じていた今日この頃。

一部手書きで、糸がセロテープで貼ってあるだけなのですが、届いたサンプルは、大迫力。

紡毛糸、シャギー糸、スラブ糸、甘撚り糸、タムタムモヘヤ、リング糸、ループ糸、スコットランド、ラム紡毛、アンゴラ紡毛、梳毛糸、ローバーループ、ベルタス、ローバー、ラスター、メリノー、花モール、ネップ、アルパカ、スラブノットモヘヤ、シルクモール、ロービング、スラブノット、撚太ループ、手紡ぎ風・・・・・・

ヒツジの名前の付いた糸、獣毛、糸の形状も多種多様。やっぱり、流通している原毛の種類や紡績の技術など 産地ならでは ということですか。

そして、ほとんどが染める前の生成り糸。綛の状態ですから、数10グラムだけ購入したいといってもちょっと無理。特別サンプルとあるのは、売切れたらおしまいなのかしら?

織り上がったときの風合いや表情を確かめたいと思う糸は、数々。まだまだ手織りはこれからが本番のようです。

2016年5月31日火曜日

洋書;A DYER’S Garden

タイトルから、育てた植物を使って天然素材のシルクやウールを染色する・・・・それだけのことのように思えます。

でも、この本が魅力的なのは、染めるための植物のガーデン、つまり、花壇つくりから始まっている
こと。

著者 Rita Buchananは、春になるとガーデンに、何を植えるかを計画し、耕して種をまき、水をやり、葉の成長や開花を楽しみ、そして、夏から秋にかけて屋外で染色をして、糸に色をもらい、冬に紡ぐ、編む、織る・・・・季節の移り変わりをいつくしみ、楽しんでいるようです。

さて、この本は、花壇の計画のしかたから始まります。
花壇は、円形、四角形など4種類。どの植物を植えるかを水彩タッチの美しいイラストを使って説明しています。背の高さや花の色など通常のガーデニングと思ってページをめくると、植物ごとに糸を4オンス染めるのに必要な株数と育てる面積が書いてあります。気候や土で育ち具合は変わりますが、植え付けるにあたって、確かに、「どのくらいの糸が染められるかの目安」は欲しいもの。

染色については、使用する道具から始まり、媒染剤、染液の作り方や染めの手順・・・。

20年以上も染色に使える植物を勉強し、自分で育てて約10年と書いてあります。植物にあった染色法や薬品の分量などだけでなく、手順、媒染材をかえて何色染める自分なりの方法や褪色のことなど、何年も繰り返してきたことで得られたさまざまなことが書いてあります。
染色法は、先媒染。日本でも、染めた糸を使いたい場合は先媒染だそうですから、著者の基礎知識と経験から得た知識は、確かなものと思えます。

ページの端の花や畑、美しい色の糸の小さな写真。本の後半には、染色に使える30種の植物が載っています。名称、学名(?)、生えている写真、育て方、染め方、シルクやウール糸を染めた媒染剤ごとの色の写真があります。このページを見ているだけでも満足感があります。

この本のとおりに試してみようとしても、日本で見たことのある植物は数種。名前や見た目が同じでも著者の住むニューイングランドと同じように染色に使えるかどうか?わかりません。また、入手できる薬品も名称が違ったり・・・・そう簡単に、実現できそうもありません。

種から育てて葉や花を楽しんだ色、色、色。織りあわせるとどのような気持ちがするのでしょうか?
特別な色彩を感じてみたいと思い焦がれてみたりして。

2016年5月24日火曜日

織ったバンドでキーホルダー

使えるものを織りたい・・・と考えると、

マフラーやショールなどは一般的なのですが、洋服とのコーディネートや季節に左右されます。
プレゼントなどしようと思えば、相手の好みにあうかどうかが最大の悩み。

もっと気軽に使えるモノを・・・。誰にでも気軽にプレゼントできるモノを・・・。

で、作ってみたのが、キーホルダー。

サンプル用に切った端です。
眺めていたら、端のフサもいい感じのような気がして、裁縫箱に残っていた革の端きれをつけて、仕立ててみました。

革に、平目打ちで穴をあけて縫ったのですが、自己流。
なので、あまりを自慢できない針目で・・・・こんな感じ。

使わないなら、引きだしの端に入れておいても邪魔にならないし、
飽きるころには、いい感じに汚れそうなところもいい。

何より、いいのは、プレゼントするときに、「クリーニングにだしてね」などという、おせっかいな取扱い説明をしなくてすむのが、うれしい。









何気なく作ると、いつもメンズ向けになるのは・・・・・どうして? 色彩の好み?