2016年5月31日火曜日

洋書;A DYER’S Garden

タイトルから、育てた植物を使って天然素材のシルクやウールを染色する・・・・それだけのことのように思えます。

でも、この本が魅力的なのは、染めるための植物のガーデン、つまり、花壇つくりから始まっている
こと。

著者 Rita Buchananは、春になるとガーデンに、何を植えるかを計画し、耕して種をまき、水をやり、葉の成長や開花を楽しみ、そして、夏から秋にかけて屋外で染色をして、糸に色をもらい、冬に紡ぐ、編む、織る・・・・季節の移り変わりをいつくしみ、楽しんでいるようです。

さて、この本は、花壇の計画のしかたから始まります。
花壇は、円形、四角形など4種類。どの植物を植えるかを水彩タッチの美しいイラストを使って説明しています。背の高さや花の色など通常のガーデニングと思ってページをめくると、植物ごとに糸を4オンス染めるのに必要な株数と育てる面積が書いてあります。気候や土で育ち具合は変わりますが、植え付けるにあたって、確かに、「どのくらいの糸が染められるかの目安」は欲しいもの。

染色については、使用する道具から始まり、媒染剤、染液の作り方や染めの手順・・・。

20年以上も染色に使える植物を勉強し、自分で育てて約10年と書いてあります。植物にあった染色法や薬品の分量などだけでなく、手順、媒染材をかえて何色染める自分なりの方法や褪色のことなど、何年も繰り返してきたことで得られたさまざまなことが書いてあります。
染色法は、先媒染。日本でも、染めた糸を使いたい場合は先媒染だそうですから、著者の基礎知識と経験から得た知識は、確かなものと思えます。

ページの端の花や畑、美しい色の糸の小さな写真。本の後半には、染色に使える30種の植物が載っています。名称、学名(?)、生えている写真、育て方、染め方、シルクやウール糸を染めた媒染剤ごとの色の写真があります。このページを見ているだけでも満足感があります。

この本のとおりに試してみようとしても、日本で見たことのある植物は数種。名前や見た目が同じでも著者の住むニューイングランドと同じように染色に使えるかどうか?わかりません。また、入手できる薬品も名称が違ったり・・・・そう簡単に、実現できそうもありません。

種から育てて葉や花を楽しんだ色、色、色。織りあわせるとどのような気持ちがするのでしょうか?
特別な色彩を感じてみたいと思い焦がれてみたりして。

2016年5月24日火曜日

織ったバンドでキーホルダー

使えるものを織りたい・・・と考えると、

マフラーやショールなどは一般的なのですが、洋服とのコーディネートや季節に左右されます。
プレゼントなどしようと思えば、相手の好みにあうかどうかが最大の悩み。

もっと気軽に使えるモノを・・・。誰にでも気軽にプレゼントできるモノを・・・。

で、作ってみたのが、キーホルダー。

サンプル用に切った端です。
眺めていたら、端のフサもいい感じのような気がして、裁縫箱に残っていた革の端きれをつけて、仕立ててみました。

革に、平目打ちで穴をあけて縫ったのですが、自己流。
なので、あまりを自慢できない針目で・・・・こんな感じ。

使わないなら、引きだしの端に入れておいても邪魔にならないし、
飽きるころには、いい感じに汚れそうなところもいい。

何より、いいのは、プレゼントするときに、「クリーニングにだしてね」などという、おせっかいな取扱い説明をしなくてすむのが、うれしい。









何気なく作ると、いつもメンズ向けになるのは・・・・・どうして? 色彩の好み?

2016年5月17日火曜日

書籍;民藝の教科書② 染めと織り

手織りをしているというと、「裂き織は?」「絣は?」 「つむぎ(紡ぎ?紬?)をして織るなら本格的ですが・・・」などとと聞かれることが多い。
「裂き織り」「藍染」「絣」・・・・どうやら「民芸品」と呼ばれる類に属する布のようです。そういえば、手織りのしかたや作品の作り方を書いた「手織りの本」には、日本各地に伝わる織物マップや縞の種類と名称のページがあったりします。
日本の手織りは、民芸から? それとも、手織りは民芸になった?

麻の生成り色と藍色の糸を使えば、民芸「風」の布ができあがると思っているのですが、実はよく知らないことに、改めて気がつきます。


民芸とは?そんな基本的な疑問に答えてくれる1冊です。

民藝の教科書② 「染めと織り」 監修;久野恵一、著;萩原健太郎 グラフィック社

「伝統工芸品」との違い、「民藝」という言葉の誕生と定義、かかわった人物が紹介されています。また、著者らが考える「民藝の染織品」について、明快な説明がなされています。

芭蕉布、首里織、久留米絣、倉敷緞通、近江木綿、上田紡、葛布、会津木綿・・・・・取材をした28か所が、布や糸、仕事をする姿と共に美しい写真で紹介されています。日本には、美しい自然と受け継がれてきた布があった・・・・。

「全国染め織りマップ」や「いまさら聞けない染め織りのいろは」、巻末の「染め織り用語集」などが、わかりやすく説明されています。民藝ともよばれる布を、手織りをする人や和装好きなどの限られた人だけの知識にしたくないと改めて感じます。

「伝統的な染め、織り育ててきた美しい布は、地方の土産物屋やデパートの物産展などに追いやられてしまった。なぜそうなったのか・・・・・」という最初のページの疑問に、現在の暮らしに取り入れ、技術や布を生活に生かしている人や住まいも紹介されています。

情報や移動手段が発達して、海外が未知の世界でも、憧れの対象でもなくなったとき、それぞれの民族が過去から引き継いできた手仕事の技術やものつくりが希求の対象になるのかもしれないと思えてきます。

「教科書」とタイトルされたこの本。実際に手織りをしているからこそ・・・身近に感じられ、知りたいと思い、拡がっていく世界。目を通しておきたい1冊です。

2016年5月13日金曜日

ダイニングチェアの張り地を織ろうなんて

この家具には、家族の幸せな思い出が・・・・とか、そんなセンチメンタルな感情は、持ち合わせていない。
でも、椅子張り地を張り替えようとすると、買い替えたほうが「安い」「早い」、そして「新品」になると、薦められました。
同じようなチェアを探して、提案までしてくれるという。

「安くて早くて簡単で、新しい」を素直に歓迎できないのは・・・・・「手織りのしすぎ」かもしれません。材木を組み合わせたような手織りの織機も、効率よく早く布を織るための「機械」だったはずなのですが・・・・。

張り替える生地は、見本帳から選ぶことに。ホテルのロビーやオシャレなレストランに似合いそうな生地ばかり。素材は丈夫だからとアクリルやポリエステル。わが家にくつろぎをもたらしてくれる姿になるのでしょうかと、ちょっと心配。

手織りの生地を加工して、張ってくれる職人さんはいるのでしょうか?と思いつつ、
ためしに張ってある生地と同じ組織を織ってみました。

表は単純な平織なのですが、裏側には、麻糸が織りこんであります。なるほど、椅子張地。

複雑そうに見えるのですが、組織は簡単。4枚綜絖の4本踏木で、織れます。

どうやら問題は、糸。
オリジナルは、ネップ入りの単糸でしっかりとした紡毛糸のようなのですが、
手織りの糸は、ほとんどがマフラーやショール用の柔らかな糸。「ラグ用」でも、シャギー用(房をつけて織るラグ)の糸のようで、双糸でツヤがありなめらか。

オリジナルの張地そっくりにとは、考えずに、いろいろ織ってみたのですが、良さそうなのは、ニュージーランドで購入したという手紡ぎ糸。

このような場合に、「紡いで 織る」ことに価値があるのですね。

手作りは、「1点モノ」だから「贅沢」という人もいますけれど、芸術作品を作りたいのではなく、使える生地を織り、そして、使いたい・・・。

いわば、自給自足。ただ、それだけなのですが。


2016年5月6日金曜日

バンド織機で柄を織る

スウェーデン製のバンド織機を試してみることにしました。

布とヒモがあると衣服になるのだそうです。ですから、ヒモを織るさまざまな織機や道具は世界中に。


でも、ウエストをしばるベルトや袋の持ち手などを1~2m程度織るには、あまりに機械。経糸と織りあがったバンドを巻くリールが左右にあり、中央には、滑車に吊り下げた糸綜絖、下には踏み木。少なくとも10数メーターは織らないと、この織機を使う価値はなさそう。北欧では、何を織るのでしょうか?

カーテンの飾りやベットカバーのフチ飾りなどを、延々と織りたいということなら・・・・この織機は必需品ですね。


しっかりと経糸が支持できるので、経糸を浮かして柄を織り出してみました。


使用したのは、糸箱の底にあったボカシに染めた麻糸。
どうやって染めたのかも記憶にない。

上下を交互にして並べたので、中央は柄が見えなくなるという計画。

もう少し探して、白糸を見つけて組めば、柄がだんだんと見えなくなる・・・もっと効果的だったろうと少々後悔。


いつもと違う 「1本1本をひろって柄を織ること」 を充分に楽しみました。でも、がっちりと分厚い織り上がり。
何に使える?

組織参考 書籍;Vavmonster for hem och undervisning
使用糸 経糸;ラミー 3本引き揃え 緯糸;綿 10/2 4本引き揃え
サイズ;4.5×120cm