2012年2月29日水曜日

サマー&ウインターの話


今日は、関東も雪。

サマー&ウインターは、夏の青空&冬の雪原から名付けられたという。
使った糸が青と白だったから。

他にも、諸説あるようです。

最初にこの織り方を始めた人がつけたかもしれない。
濃色と淡色の糸を使い、裏と表がネガポジの関係になるリバーシブルの織り方だから。
夏は綿麻の白色が多い面を表にして使い、冬は裏返してウールの濃色を表にして使ったから。

  こんなに由来があるのは、みんなに愛されている織り方という事なのでしょう。
アメリカで手織りをする人は、すぐに基本の綜絖通し順を答えられる(!)というのですから、本当に良く知られているようです。

海外の本やブログで、6枚以上の多綜絖で、最も好きな織り方という記述もよく見かけます。多綜絖の織機の所有者としては、気になります。



    A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK (Marquerite Porter Davison 著) によると、フィンランドの移民が、アメリカ大陸に持ち込んだM's&O'sが元となったと書かれています。
通し方に特徴があるらしいのですが、見ただけではわかりません。次は、M's&O'sを織ってみようと思います。

    さて、縦糸と緯の地糸(tabby)に綿か麻の細番手、緯の柄糸にはウールを用いたとのことです。
綿や麻は丈夫だし、オーバーショットに比べて、緯糸の浮きの長さが短く、同じというこの織り方は、ひっかかったり、すりきれにくく丈夫で、日常のベットカバーや椅子張り地などカバー類としては最適です。四角で構成される柄ですから、オリジナルの大柄も簡単に作れますしね。
なんだか自慢し合うおかあさんたちが想像できます。



  サマー&ウインターに限らず、コロニアルと呼ばれるこの時代の織物は、白と濃紺の色使いが多いとの事。綿は精練が大変で、あげく細い糸は染めたり洗ったりが手間がかかるのでそのままの白で使い、ウールは、ジーンズのインディゴ染めで青を出したのかもしれません。でも、ウールを痛めますから違うかもしれません。ちょっと調べてみたい気がします。

   そんな時、本棚にあったこの本の表紙が、目に入りました。
A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS FROM THE FRIENDS OF HANDWOVEN( CAROL STRICKLER 編集) 

これは、インディゴ色みたいですね。



















2012年2月22日水曜日

洋書;もう一度と思い直すことになった1冊 Learning to Weave

手織りはしなくても、ずっと気にかかっていました。 といって、お教室に通う気にはなれず...10年程前、東京青山の洋書店で、なんとなく買った1冊がこの本です。

Deborah Chandler著  Learning to Weave

改めて、手にとってみると、裏表紙の紹介文に 「本を読んで独学しようとしたができず、数名の先生から習ったのちに書いた本」とあります。
まあ、この程度の英語力でと思いつつ、読んでみることにしました。

最近わかったことなのですが、世界で4万冊以上売れているというのですから、手織り人は必読の書。日本上陸の海外織機メーカーさんに、和訳版の出版をお願いできるといいのですが

  全体の1/3ページほどが、道具、機がけの仕方3種類、織り始めの注意点、組織図の読み方書き方、タイアップなどで、なるほど入門書。
巻取りの仕方が3タイプ説明されていたりと、アイディアもいろいろ豊富に紹介されてます。素材や整経長が違えば、やり方もいろいろでいいんだと納得。


Lesson 6 以降 簡単な組織から順番に

平織と変化 綾織と変化 二重織り レース織り サマーアンドウインター オーバーショットの6種のみ
くずしや構成などのバリエーションで、組織が発展してしていくので、これだけでもかなりの分量です。
今までは、組織を数多く集めることばかりして、織るモノに結びついていなかったようです。
デザイナーなら、1日に何タイプも組織を書き起こすし、凝った組織も必要でしょうが、自分ひとりで作るならこの程度で充分。糸の種類や色でも変化しますから。

それぞれのLessonでは、その組織に適した糸使いや密度、効果的な配色の仕方、何を作るのに適しているかの説明があります。最後に、assignments(課題)があって、確認や理解を深めるようになっているのは何ともアメリカ的。


この組織は何に適しているかが分からないと使える布は織れない

今まで自信をもって組織を選べなかった理由は、組織の特性というか、向き不向きがあるということに気づかなかったから。組織の丈夫さなどよりも、平織や綾織の組織の変化ばかり気にしていたような気がします。


一番興味深かったのは、ブロック セオリー

ブロンソンズレース、サマー&ウインター、オーバーショットなどで、柄を配置・構成する方法。
オリジナルの大柄を作ることが、織物の魅力の一つようです。
ベットカバーやブランケット、カーテンでは、大柄やボーダー柄は効果的。
布の両端のみ柄を入れたり、額縁の構成にできたりすると手作りと納得できそうです。
だから、多綜絖の柄や織機が愛用されるのでしょう。

着尺を織ってきた日本の機と生活に使う布を織る西洋の機は、織りやすい素材も組織も違う。そして、考え方も違うということなのでしょう。


北欧の機は20番程度の綿麻が織りやすく、ニュージーランドの機は、ウールが織りやすかったりするのかもしれません。違いは糸綜絖か金綜絖かのようですが。。。
やっぱり、その織機が得意な布を選んで織りたい。

早く気付けばよかったと思う事ばかり。


家庭で使うリネン類やインテリアの布が手織りのベースにあるということ 
 
洋服を着て、ベットで寝て、ソファーでくつろぐ生活をしています。
洋書が手軽に手に入る時代にもなりました。
仕上がったものを、生活に取り入れて楽しみたいと思います。














2012年2月15日水曜日

久しぶりに織ってみたマフラー

春先に着ている薄ピンクのジャケットの内側にするマフラー。
かさばらず、首のまわりになじむ小さめ がほしい。
まずは有り糸で。


縦 ; ホームスパン風 市販糸 
ウール100% 1/6

緯 ; 紡毛 ウール100%  茶色 2/10

ホームスパン風糸は撚りが強めで、糸に張りがあるので経糸に使用。緯は少しボリュームを出し、なじませたいので紡毛。

筬 ; 40目/10cm

縦糸は単糸で切れやすいので、耳組織は作らず、少々粗めの密度設定。織りあがってからの縮絨で調整する。

緯打込み ; 35~38本/10cm  

巻きつきやすいように、縦密度より粗めの設定。

織幅 ; 30cm 

織上げ ; 30×140cm 

仕上り ; 23×122cm+ふさ4cm×両端


経糸は、平成14年に一宮のMK商店から購入。 30年前から手織り糸を販売しているお店が健在なのは嬉しいかぎり。ネット通販をしていないので、昔どおりに電話で欲しい番手を伝えて注文です。白糸がメインなので、染めることになります。織る前の大仕事ですね。