2015年12月31日木曜日

ヒツジ年もあとわずか

このブログを始めて4回目の年末。

おせちを作りながら、手織は、料理に似ている・・・・ふと、思いました。

料理も、それぞれの国の料理があり、郷土の料理があり、
家庭料理もあれば、レストランのシェフ(職人)もいますし、工場で大量生産もしています。
手早く簡単な家庭料理もはやっていますしね。

どこのどんな料理を、どの程度まで、習いたいのか?学びたいのか?
料理で考えると簡単なのに、不思議ですね。

料理も、ひとつひとつ楽しみながら作ると、おいしく出来あがる・・・・のだそうで。

よい年をお迎えください。

干支の申(Counter March Juliaのラムと)

2015年12月29日火曜日

LIISAの取扱い説明書

預かってほしいと届いたLIISAと一緒に届いた説明書は、3種類。

写真右は、織機に限らず、「組み立て式」の何かを買えば、必ずついてくる「いつものよくある書面」。
織機の組み立て方や各部の名称(英語と日本語)、ヒモの結び方やタイアップ(ヒモのつけ方)のイラストなのコピー4枚。

写真中央は、Introduction of Finland Weaving  -1-は、糸綜絖で天秤式という北欧の織機を使うための一般的な内容。
天秤と各部とのタイアップのしかた、ドラフト(意匠図)との関係、経糸の巻きかた(機掛け)などA4版8枚程度。左の小冊子の和訳版ではありませんでした。

写真左は、この織機についての英文書。よく見ると、取扱い説明書・・・・トリセツ!
TOIKA社作成の小冊子 『THE FINNISH COUNTERMARCH LOOM』 
著作デザイン;CATHRINE KVARACEUS

まず、トイカの手織機の所有者のために、特別にフィンランド式のタイアップと経糸の巻きかたやカウンターマーチの特徴、知っておくと役立つことを説明したと書いてあります。

共通一般的な天秤式織機の使い方ではなくて、トイカ社のLIISAの使い方。ですから、今風に言えば、『織機LIISAのトリセツ』。台所家電とかには買えば必ず付いてくる・・・・・このように使うと、このように使いやすいです。ここが新しくなっています。この順番で使ってください・・・・とか書いてあるあのタイプのもう少し詳しい説明書。

本文は、織機の基本的なメカニズムの説明から始まり、カウンターバランスとジャックルームの織機の特徴から、カウンターマーチ式の織機の優れた点の解説。

次に、写真入りで組み立て方の説明。天秤からのYコードを下げるのは、綜絖の前か後ろか?経糸をつけるワープビームのバーは、どの程度の緩みが必要か?など戸惑いがちなことも書いてあります。

タイアップでは、『TRADITIONALTIE-UP』と『MAXIMUM POSSIBILITY TIE-UP(なんでも織れるタイアップ)』という名前の8本踏み木で4枚綜絖で綜絖を2枚ずつのセットで使うというやりかたが載っていました。さすが、天秤式とつぶやきたくなる・・・今まで見たことも聞いたこともないやりかた。毎回の吊替えが大変と感じる人には、お薦めのタイアップとあります。

経糸を織機に巻き取る方法は、「まず、ブレストビーム(胸木)をはずし・・・・・」と細かく順序立てて続きます。ラドルとキャッスルを上手に利用して、綜絖通しから筬通しまでしています。

知っていると思っていることでも、説明書を読むと、設計した人/会社は「こう使えば、このように使いやすい」と、考えたのかと合点がいくことが多々あり、楽しめます。


国内でTOIKAを使っているお教室を見学したことがありますが、この「トリセツ」のやりかたは採用されておらず・・・・日本人にはなじまなかったのでしょうか?

とにもかくにも、こんなにきれいな状態で、30年余り大切に保管していた持ち主に、敬服するばかり。


2015年12月25日金曜日

LIISAがやって来た

預かってほしいと言われ、突然、織機がやってきました。

30余年ほど前に購入したという、フィンランド TOIKA社の「LIISA/リサ」。
組み立てるには、たたみ2畳程の広さが必要なのだそうです。

織幅は120cm。奥行は、120cm。今使っているスタンダード型の織機よりも30cmほど短いので、脇から織機の中に入れるアキ部分はありません。

届いたときの状態は、左右のサイドはそのままで、はずされたヨコ木やビームなど・・・・・そのまま運び込まれて、角材の山。
天秤、綜絖バー、綜絖、ラム、踏み木は、コードでつながったまま。
即、使っても構わないとの心使いらしい。


勝手ながら、汚れが目立つので、コードや綜絖は外して洗うことに。
で、よく見ると、いろいろと手を加えたいことに気がつきました。たとえば、

・ナイロン綜絖は、つながったままなので、このままでは、順通し以外の綜絖通しは、やりにくそう。バーの端を結ぶ はずれ止め のコードもつけたい。

・システムコードを止めているのは、ほとんどがアローピン。踏み木のアンカーピンも差し込んでいないのですが、穴の大きさが合わなかった?製織中に外れたのでは?

・綜絖バー、筬、かまち・・・・どれにもセンター印をつけたい。

・8枚綜絖なのに、汚れている天秤は、半分だけ。使わないので残りは取り付けなかったのだろうと思いますが、安定して上下するのでしょうか?

・ワープクロスのバーは、2本を1cmほどの隙間で、何か所も抜けないように、しっかりと結んであります。どうやって経糸をつければいいのやら。

・前後のビームクロスは、巻をほどいてみるとそれなりの汚れ。ガンタッカーで止めてあるのですが、悩んだあげくに、クロスを外して洗濯。気の済むまで、大洗濯。

ここまですると、「預かっている」とは、言い難い。申し訳ない。

せっかくの8枚綜絖8本踏み木の織機・・・。
北欧の織機は、織幅が広いのと躯体がしっかりしているので、タピストリー制作機として平織だけという話は、よく聞きますが・・・・もったいないの感。

まあ、道具をどう使うかは個人の自由。よくわかってはいるのですが。


Well Come & Merry Christmas !



2015年12月22日火曜日

5枚朱子を織ってみる

やりかたを本で読んで想像するのも、組織図を書き方を考えるのも・・・手織りの楽しみ方はいろいろ。

そういえば、織機を組み立てないで、部屋の隅に置きっぱなしにしていたときも、織物の本は、見ていたし、読んでいました。が、やっぱり織ってみないと、「わからない・・・」「モノを作る楽しさはない・・・」と織機を組み立てて、座ったはずでした。

前置きはともかく、ローゼンコンまで読み進んだスウエーデンの手織りのマニュアルをあきらめて、『5枚朱子』を織ってみることにしました。ろくろ式でも工夫すると織れるのだそうですが、綜絖が奇数枚数の組織は、カウンターマーチの得意技。
糸は、すっかり大きくなっておじさんを通り越しそうな「いとこ」が子供のころに着ていたセーターの残り糸。叔母たちは、「色変わりの糸」と呼んでいたような気がします。

試織なので、とりあえず色はお許しをいただくことにして、残り糸と合わせて、広幅のストライプに。もちろん、ストライプが表面です。

「朱子は、裏織にする。」ことは、織物に少し詳しい方ならご存知のこと。ホコリがつかないようにとか、ジャカードやほとんどの力織機は上口開口だからとか・・・・諸説あるようで。

ためしに、朱子表を上にして、つまり、いつもどおり、表を見て織り始めました。

緯糸をたった5本ほど織ったところで、当惑。

・下がる経糸が少ないので、しっかりまっすく投げないと杼が落ちる・・・・これは、想定内。
・緯糸の打ち込みが均一に揃っているのかどうか・・・・緯糸は所々しか見えないので、打込みは手加減だけがたより。
・組織はあっているのか?踏み間違いはしていないか・・・・緯糸の1段1段がわからないから、わからない。ミミを持ち上げて裏側をのぞいては見るけれど。
・開口しても、密度があるので、どの経糸が下がったかは確認できず・・・・開きの悪い経糸を拾ったり、ひっかけてもわからない。

やっぱり、「朱子は、裏織するべし」です。工場でも、手織でも。

経糸は■と決まっているので、朱子(表朱子のこと)は、裏織りにするので、組織図は「裏返し」なのだと思っていました。だから、□に■の点々。
表朱子の組織はほとんどが経糸なので、「方眼紙を黒く塗るのが大変だから、黒と白を入れかえて書く」という説もあるようですが、裏朱子とどうやって判別するのでしょうか・・・・?

組織図は、設計図。生産現場の人に間違いなく伝えるための指図図面。だから、裏織りにするときの組織図は、裏返しで書く・・・・・。

組織図を書くことが楽しい人と、使うのが好きな人は、根本的な考え方が違うようです。
もしかすると、テキスタイルデザインを学んで手織りをする人と、現場を見た後に手織りに戻った人の違いかもしれません。