2015年12月29日火曜日

LIISAの取扱い説明書

預かってほしいと届いたLIISAと一緒に届いた説明書は、3種類。

写真右は、織機に限らず、「組み立て式」の何かを買えば、必ずついてくる「いつものよくある書面」。
織機の組み立て方や各部の名称(英語と日本語)、ヒモの結び方やタイアップ(ヒモのつけ方)のイラストなのコピー4枚。

写真中央は、Introduction of Finland Weaving  -1-は、糸綜絖で天秤式という北欧の織機を使うための一般的な内容。
天秤と各部とのタイアップのしかた、ドラフト(意匠図)との関係、経糸の巻きかた(機掛け)などA4版8枚程度。左の小冊子の和訳版ではありませんでした。

写真左は、この織機についての英文書。よく見ると、取扱い説明書・・・・トリセツ!
TOIKA社作成の小冊子 『THE FINNISH COUNTERMARCH LOOM』 
著作デザイン;CATHRINE KVARACEUS

まず、トイカの手織機の所有者のために、特別にフィンランド式のタイアップと経糸の巻きかたやカウンターマーチの特徴、知っておくと役立つことを説明したと書いてあります。

共通一般的な天秤式織機の使い方ではなくて、トイカ社のLIISAの使い方。ですから、今風に言えば、『織機LIISAのトリセツ』。台所家電とかには買えば必ず付いてくる・・・・・このように使うと、このように使いやすいです。ここが新しくなっています。この順番で使ってください・・・・とか書いてあるあのタイプのもう少し詳しい説明書。

本文は、織機の基本的なメカニズムの説明から始まり、カウンターバランスとジャックルームの織機の特徴から、カウンターマーチ式の織機の優れた点の解説。

次に、写真入りで組み立て方の説明。天秤からのYコードを下げるのは、綜絖の前か後ろか?経糸をつけるワープビームのバーは、どの程度の緩みが必要か?など戸惑いがちなことも書いてあります。

タイアップでは、『TRADITIONALTIE-UP』と『MAXIMUM POSSIBILITY TIE-UP(なんでも織れるタイアップ)』という名前の8本踏み木で4枚綜絖で綜絖を2枚ずつのセットで使うというやりかたが載っていました。さすが、天秤式とつぶやきたくなる・・・今まで見たことも聞いたこともないやりかた。毎回の吊替えが大変と感じる人には、お薦めのタイアップとあります。

経糸を織機に巻き取る方法は、「まず、ブレストビーム(胸木)をはずし・・・・・」と細かく順序立てて続きます。ラドルとキャッスルを上手に利用して、綜絖通しから筬通しまでしています。

知っていると思っていることでも、説明書を読むと、設計した人/会社は「こう使えば、このように使いやすい」と、考えたのかと合点がいくことが多々あり、楽しめます。


国内でTOIKAを使っているお教室を見学したことがありますが、この「トリセツ」のやりかたは採用されておらず・・・・日本人にはなじまなかったのでしょうか?

とにもかくにも、こんなにきれいな状態で、30年余り大切に保管していた持ち主に、敬服するばかり。


6 件のコメント:

  1. TOIKAのノリヤナを持っております。ブログを読んで私も取説(英語版)を開いたところ以外な事実が。
    タイアップの図が、日本語版と英語版で同じ図ではありますが、日本語版は正面から見た図とあり、英語版は後ろから見た図と書いてあります。
    下招木と天秤を繋ぐシステムコードが、上招木より前か後ろかが違ってきます。
    私は日本語版を読んでタイアップしたのですが、LIISAのトリセツはどうなってますか?

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  2. 匿名さん、こんにちは。

    LIISAと一緒に届いた取説(英語版)を確認しました。
    たぶん天秤から踏み木までのタイアップのイラストのことだと思うのですが、下には、「バックビームから前方を見たところ」と書いてあります。
    イラストでは、招木(ラム)が本体の左側の取り付け(スウエーデン仕様)になっているので、見ただけではまぎらわしいですが、本文には、「天秤(ジャック)からのY-コードは、綜絖の後ろ側を通して、上招木の後ろ側を通して、下招木と結ぶ」とありますので、イラストは「後ろから見たタイアップの図」ということで間違いと思います。

    フィンランド仕様は、組織図との関係から、Y‐コードは綜絖と上招木の手前を通って下招木と結ぶと思っていたので意外でした。

    綜絖と上招木の後ろ側を通すと、コード1本分ですが、綜絖が筬と近くなり、より開口の大きな所にシャトルを通すことができるというスウエーデンの織機の説明を読んだことがあります。納得のいく説明でしたので、「下招木は後ろに吊るす」ことにしています。

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    1. ご返信ありがとうございます。同じ北欧でもフィンランド式、スウェーデン式があるんですね。
      あれから少し読み進め、ブレストビーム(胸木)をはずし…の記述に到達しました。織り手側から綜絖通しをするとは知りませんでした。読んでみるものですね。

      可能ならもう1点お聞きしたのですが。
      現在は、6枚綜絖で使っていますが、使っていない2枚は最後に8枚綜絖で織った際のタイアップのままです。
      これで良いのでしょうか?

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  3. 「使わなくても天秤は全てセットし、使わない天秤はしばっておくように」という説明書きはよく見かけますし、それなりの理由がありますが、使わない綜絖をどうするか・・・調べれば、見つかるのかもしれませんが、海外のでは、あまり読んだ記憶がありません。

    日本の書籍には、「その都度、必要なだけの綜絖と踏み木をセットする」と書いてある場合があります。
    が、踏み木のタイアップに大きな変更もなく、綜絖通しのときに面倒でなければ、使わない綜絖をそのまま吊るして織っていることもあり、綜絖の上下を確実に確認したい柄の場合は使わない綜絖を外しますし・・・・わたしの場合はケースバイケースです。

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    1. ありがとうございます。とても参考になります。
      ネットで探したこともありますが、探し方が悪いのか記事がないのかヒットせず、詳しい方に聞いてみたいと思っておりました。
      いつも考察が興味深く、今後の更新も楽しみにしております。

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    2. 日本語では、見つからないことがほとんどなので、英文で検索しています。

      手織り留学された方も多いので、著書や和訳版を出版してほしいと思うのですが、執筆の手間の割に儲からないとか、著作権の問題などで、むずかしいとのお話です。残念なことです。

      まだまだ欧米の織機を使う手織りの疑問は尽きないので、もう少し続けていければと思っております。よろしければ、お付き合いください。

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