2017年4月28日金曜日

書籍;ちいさな織機でちいさなおしゃれこもの

手織を専門に学んだ先生方は、織りは専門家のすることと思い込んでいるためか・・・?
「手織を始めるなら、まずは、卓上機で織の基本を学び、次にろくろ式織機で、最後に天秤式・・・・」と、織機を替えて、順番に段を登っていくことが手織の学び方のような説明を見ることがあります。織機を購入して、買い替えて・・・?

基礎も中級も上級も関係なく「できたぁ~」という楽しみだけで充分なのに。


この本では、「手織は楽しい」とシンプルに思えます。たて糸の間によこ糸を上下にチクチクと入れると布になる・・・・。手織りではなく、ちょこっと手芸だと言いたい人もいるかもしれませんが、織りができるのですから、良いではないですか。

著者は、布、流木や小枝、ワイヤーなどを身近な材料を使っておしゃれ小物などをハンドメイド・クリエーター。

以前のダンボールを使った織機に続いて、今回は、かまぼこの板、空箱、100円ショップで箱、フレームを利用して、織機(織枠)を作り、織りを楽しむ提案です。

この本で作り方が紹介されている織機は、4種類。ボード、カード、ボックス、フレームを利用して、織枠を作ります。作品は、24種類。マット、プチタペストリー、カードケース、コースター、アクセサリーなどなど。

気軽にカバンに入れて持ち運べるのも楽しい。手織り対する変なこだわりもなく、ひたすら手作りを楽しんでいる様子。


で、さっそく100円ショップでフォトフレームを買って、工具箱にあった金色の釘を打って作ってみました。

釘は、1cmおきの2行にして、交互にすると0.5cm間隔。
たて糸を1本おきにひろっておく そうこう(編み棒)は、チェーンのコーヒー店のミルクをかき混ぜるステックを使いました。板状なので、たてると経糸の間隔が開いてよこ糸が通しやすいはずです。

手織りばかり考えている人(?)がつくるとこんな感じ。

でも、最も大切なことは・・・作るのが楽しい・織りあがって楽しい ですね。

2017年4月18日火曜日

Gagnefkrusのサンプル織

一作年から、本を訳してみたり、草木染をしたり、近所の工事がにぎやかだったり・・・織に集中できなかった理由はいくつでもあげられます。が、言い訳をしても何も生まれない。

ひさしぶり経糸を準備したら、手順が悪い。考え込む程のことではないのですが、やはりこんなときに、気軽に確認できる本(英文ですが)あるのは嬉しいことです。


さて、Gagnefkrus。先のブログのとおり、長い長い踏み木順。
見やすいように、緯糸は、ブルーにして、サンプル織の開始です。

いつもは、「どの踏み木を踏むと、どの綜絖が動くか」を確認して、おおよその柄のつながり方を頭にイメージして織り始めるのですが、今回はブロック構成で、あげく、そう単純な柄ではなかったようです。

それぞれのブロックは綜絖のメインとサブの組み合わせで、構成されているのですが、常にメインが先にくるとは限らず・・・・。結局、織端にシールを貼って、ブロックの番号を書いて、どうにか柄と綜絖の組み合わせが解明できました。 

さて、10cm程度織れたところで、織機からはずして、水通しをしてみました。収縮して少しハニコムらしくなったようです。

ドレス生地と書いてあるので、経糸と緯糸に綿20/2を使用したので、厚みがちょっと薄すぎるようです。
きれいなのですが、ここまで繊細だと・・・手織りらしくない。

参考書籍;Manual of Swedish Handweaving  著;Ulla Cyrus-Zetterstrom
P.42 図73.Gagnefkrus

2017年3月24日金曜日

憧れのハニコム Gagnefkrus

スウェーデンの織をするなら、いつかは、これを・・・と。
のんびりとあこがれる年代は、とっくに過ぎ去り、人生のゴールが見えてきていることを忘れてはいけませんでした。

花嫁のドレス地とか、ブラウス地とか、この組織のいろいろな評判はあちらこちらで見かけます。でも、Gagnefkrusーー正しい発音がわからないのが、なんとも悔しい。

参考にしている書籍「Manual of Swedish Handweaving」のハニコム(メガネ織り)の章 42ページにあるので、ハニコムの一種ということは、わかるのですが、独学の「歯がゆさ」を痛感。

さて、この本にあるドラフトの綜絖通しはショートドラフトで書かれています。部分的に経糸ドラフトに書き直してあります。ショートドラフトをよく見ると、方眼が半分のところがあり・・・?古い本なので、印刷がずれたのか?と思ったのですが、書き直してみると、なるほど「半分」で順番が揃いました。

本文の説明を読むと、「補助の止める経糸で結ばれる最初のブロックは経糸30本。6本は・・・・交互に通す2つのつなぐ経は3と4の綜絖・・・」と訳のむつかしさ?文章で説明する難解さ?もかなりなもので、組織図を指さしながら教えてもらえたら・・・と思うのは、いつものこと。

何とか経糸ドラフトを書き上げて、レピートのブロックを確認して、次は、踏み木順。3mm方眼紙に書いてみたら、長さは95cm。これで1レピート??

で、柄の構成を考えて本番に入る前に、じっくりとサンプル織をして、解明してみようかを思います。単純なハニコムでも、組織図から織上がりをイメージするのは、むつかしいですよね。そう思いませんか?


参考書籍;Manual of Swedish Handweaving  著;Ulla Cyrus-Zetterstrom
P.42 図73.Gagnefkrus

2017年3月14日火曜日

草木で染めた色、色、色

気分転換に、庭の梅の木で染められないかと思い立ち、もうすぐ一年。

草木での染色には、大陸から伝わった染材も少なくないと思われます。でも、気候や土壌が違えば、水も違う。同じ種でも育つ草木は微妙に違う。ですから、日本には日本の色ということに。

主に染め方を習ったのですが、発色のよい美しい色は贅沢品。藍染は庶民の色。と、素直に思えてきます。

日本特有の色の表現には、自然や景色の色彩と染め付けた色彩の2種類があり、イコールにならないところが苦心と面白味なのでしょう。

単に「染まった!」「色がきれい!」というだけで終わってしまうのは、もったいない。

そろそろ、織物にしようと思いながら。

藍生葉、藍茎、アリザリン、インド藍、ウメ枝、ウメ葉、カリヤス、ガンビア、ゲンンノウショウコ、コブナクサ、コチニール、サクラ花芽、サクラ葉、紫根、セイタカアワダチソウ、西洋アカネ、タマネギ、バラ枝、バラ葉、ハルジョオン、ビワ、ヒメジョオン、シュロ、ベニハナ、ベニハナ黄水、ヤマモモ、ラックダイなど 約30種。媒染材と抽出方法の違いで、色数は使った草木の3~5倍に。
あと、ログウッド、スオウ、ヤグルマなどが加わる予定。

作品をイメージして、色を染めて追加して。そんな長い工程を始めます。

2017年3月7日火曜日

手織のリズム

童話や昔話に登場する「トントンパタリ、トンパタリ。」は、緯糸を打ち込むときの音。トントンパタリという音にあこがれて、手織りを始める人もいると聞きます。

「緯糸を入れ、足を代えながら同時に筬をひいてトントンと打ち込み・・・」手織りの基本;土肥悦子著にあります。ホームスパンテクニック;森由美子著にも、「筬を引いて打ち込んだ直後に足を踏みかえる・・・」
着物はもちろんウールを織るときも、筬を引くのと踏みかえの「手と足」の微妙なタイミングとリズムが日本の手織りの意識では大切なのだろうと思えてきます。

日本語では、主語が省略されることが多いためか、「その人の手織りのしかた」というよりも、「常識的な手織りの決めごと」のように周知されてしまうことが多いように思えます。「他のやり方は受け入れない。」「できないから先に進めない。」と思い込んでしまうと、何事もつまらない・・・。

さて、わたしの場合。海外の柄織りや組織にばかり興味があったので、織るときのリズム・・・?考えたこともありませんでした。「開口して、緯糸を入れて、閉じて、打って。この糸でこの組織なら、踏みかえてもう一度打ち込む?どうする?」という程度。リズムよりも、密度ばかり気になっていたようです。

でも、昨年の5月始まった隣家の建て直しの工事中は、集中しようとしても織る気になれず・・・・。どうやら、材木を止めるために圧縮空気(?)で打ち付ける釘(?)の音が邪魔をしていたらしいのです。家を建てる「槌音」は、小説などでは心がわくわくする音として描かれていたりするのですが、現代のシュパッ、シュパッという音は、槌音というよりも銃の発射音? 威圧的でリズムもない? いやいや、織のリズムとあわないだけかもしれません。


工事も終わり、やっと7か月ぶりに織機の前にすわって、再開。

ずっと織りかけたままになっているのは、経糸緯糸ともにシルクの余り糸を組み合わせたクレープ組織。
ショールが2枚できるはずだったのですが、織りあげてから考えることに。

しかし、今度は、後方の家が建て替えですと・・・。

狭い住宅地で、手織りをしようと思うのがまちがいか?
それとも、現代の「機音;はたおと」と「槌音;つちおと」の心地よさを追求せよというミッションか?

2017年3月4日土曜日

梅の花が咲いて

「桜伐る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」などと言いながら、早春に伐った梅の枝で染めました。


最初は新芽を自己流で、
前回は枝と葉でウールを染めて色の違いを試し、
今回は、シルクのスカーフ。

草木で染めると、どうしても色褪せが早いと聞くと、染めた糸をあわせて織るよりも、スカーフなどを染めて、

「褪せては染め、褪せては染め・・・」

と繰り返すのも一興かと思ったり。

せっかくですから、1年間染め貯めた糸で、そろそろ織り始めたいと思います。


追伸;スカーフは、この梅の木を20年以上愛でていた叔母に送りました。私には感じることができないですが、梅の想いは届いたようです。


素材;シルクレーヨン 梅;1月末剪定枝
染色;アルカリ性抽出、アルミ媒染

2017年2月23日木曜日

書籍;北欧スウェーデン 暮らしの中のかわいい民芸

カワイイ手袋、カワイイ花柄、カワイイ民族衣装・・・・・・クリスマスの飾り。
年末、クリスマス・・・・となれば、毎年、北欧が気になるのです。でも、この原稿を書きかけたまま、年は変わり、はや2月。

この本は、10月22日から11月3日に、百貨店(東京都世田谷区)ので開催された「切り絵作家 アグネータ・フロックの世界展」の会場を出た特設販売コーナーで購入。
最近のはやり(?)のジャンルがはっきりしない本は、書店以外で出会うことも魅力のひとつなのかも。

さて、あまりの写真の多さに「カタログ本」とでも呼びたくなります。
「北欧スウェーデン 暮らしの中のかわいい民芸」 著者;明知直子、明知憲成 初版;2014年

手仕事で作られた品々がメインです。
ですから、日本でも良く知られている木彫りの馬「ダーラヘスト」の工場から始まり、手工芸店、博物館、民族衣装、夏祭り、ガラス工場・・・・など。刺繍、織、ポーチや民族衣装など。布に関する手織りや手芸が好きな人にとっては写真がたくさん。それだけで楽しい本。

著者については、北欧の魅力を伝えるプロジェクトをしていて、暮らしの中にある幸せのヒントをさがしているとのこと。やっぱり、手仕事って幸せと関係するのか・・と思ったりするのですが、昨今の手仕事は、スマホの画面をたたいたり、こすったりすること???

工場7件、博物館と民芸館11件、手芸店や土産店14件、手芸学校3件、祭りなどの紹介4件、民族衣装や家屋。これ以外に、カゴ、ガラス、陶器、レース、刺繍などの小物などなども、盛沢山。

ダーラナ地方、北極圏、南スウェーデン、中南部・中北スウェーデン、ストックホルム近郊に分けてあるので、地域ごとの手工芸品や民族衣装などの違いも見て取れます。

ショップや博物館などは、住所等も書いてありますので、手仕事好きの観光旅行ガイド本としても使えそうです。この本に登場する手芸店は、どれも魅力的。たぶん何時間いても飽きない。手作りをする人が多いから?それとも・・・やっぱり、観光?


この本と出合った展示会では、民話や神話、作者の幼いころの思い出などを題材にした切り絵やタペストリーなどの作品が数々。作者はスゥエーデンでテキスタイル作家としてキャリアをスタートさせたということ。

「大陸の端には、文化がたまる。」という説をどこかで読んだようにも思います。日本も大陸の端。森林、木の文化、民話など共通点が、北欧人気につながっている?

身近な木々の変化、季節の移り変わり、そして、自分と家族の日々の生活を思いやる時間がないと、手仕事の居場所もなくなるのかもしれないと・・・ふと、思ったりして。

そういえば、一億総活躍の時代でした。実は、手仕事の品々の中に閉じ込められた「時間」にあこがれる人が増えたのかもしれません。