2015年5月29日金曜日

ツイル;Rose Garland モール糸使い 10枚綜絖

経糸も4本で引き、緯糸もモール糸で太くなったら・・・いかにも大味な仕上がり。

オーバーショットのタビ―を織りこむ技法を応用して、当初の光沢のイメージを追加することにしました。あの絹糸を使うので、材料は同じ。

タビ―を織り入れるといっても綜絖の通し順も経糸と太さも違いますから、正しくは「〆に平織を入れる」です。

さて、柄8本の踏み木は中央に吊りましたので、左右にタビ―の踏み木を追加して織ってみたのが、前回の写真右端の布。

経糸の残りは、1m余。タビ―の踏み木は、いつも左に2本揃えているので、織りにくい。10枚綜絖10本踏み木ですから100本のうち90本のタイアップを直す?

「めんどくさい」と思うのですが、「そもそも今の時代に手織りをすること自体がめんどくさい」こと。思えば、整経も、仮筬も、綜絖通しも、筬通しも、本数の計算も・・・自宅で使う程度の2~5m織るだけなら「手間」がかかりすぎ。

いまさら、何を迷う?

組織、糸使い、色、納得のいく布を織るのが、楽しいのでは?


でも、マフラーには、しっかりしすぎ。椅子張地か、クッションカバーに良さそうですが、たりません。ポーチなら作れる大きさかも。

本や説明書にあるとおりに織るのも楽しいけれど、あれこれと試行錯誤してイメージとおりに仕上がるのは 最高。

私にとって、「試行錯誤」は、苦労ではなく、楽しみ。 気になるのは、本人以外には価値がない「サンプル織の処分のしかた」だけ。
参考書籍;Manual of Swedish Hand weaving P.27
経糸;梳毛らしきウール単糸 4本引き込み 
緯糸;綿モール糸 番手不明、絹 番手不明
サイズ;70×26cm

2015年5月26日火曜日

ツイル;Rose Garland 8枚綜絖の試織

また、ツイルから始めることになりました。

選んだ糸は3種類。「もう手織りはしないから」といただいた糸の組み合わせ。これが延々と一か月以上続いた 難行の元(?)だったのかもしれません。

経糸は、ウール。まとまった分量はなく、かなり細いので、似た色を引き揃えました。
緯糸は、正絹。既に2本取りに巻いてありましたが、着尺の残糸のようです。

組織は、Rose Garland/バラの栄冠 。8枚綜絖8本踏み木。

柔らかで、軽いストールにしたいと思ったのですが、細い経糸は撚りがあまく、シャトルがひっかかると、すぐに切れてしまします。

自分で手作りした糸綜絖は、高さがきちんと揃っていないので、無理があるようで・・・・。

風合いも表情も問題ないのですが、あえて言えば、正絹よりも紬糸がイメージには近いようです。すっきりしないので、30cmほど織って断念。

さて、経糸を4本にして綜絖も筬も通し直し、緯糸は綿のモールに変更。滑らずに、柔らかで、ボリュームも適度のようにみえたのですが・・・・・。
機からおろすと、多綜絖のポイントツイルの弱点が出ました。凝った組織に、凝った素材は、「がんばりすぎ」でした。糸色の美しさも消えてしまったのは不思議です。 さて、打開策は? 右下の?

参考書籍;Manual of Swedish Hand weaving P.27
経糸;梳毛らしきウール単糸 番手不明 
緯糸;綿モール糸 番手不明、絹 番手不明

2015年5月22日金曜日

裂き布を織りこんだバック

掃除と片づけには、最適の季節。布や糸を片づけていたら、10年ほど前に織った裂織のバックがでてきました。

バックですから、軽い布で、硬くなり過ぎないようにと、「残り布」ど「残り糸」を組み合わせました。ですから、「裂き布を織りこんだ」です。

海外のプリントの残り布の色があまりにもきれいだったので、生成の綿糸とガラ紡と彩りにコットリンの残り糸を織りこみました。

持ち手のベルトも綿麻糸を使って織りました。肩にもかけられる長さにしたので重宝しました。


















このブルー系は、何度も洗濯をしたインド更紗のツーピースから。
クタクタになった布地は、織りこみやすく経糸によくなじみました。

普通のプリント生地は、裏面が白ですが、更紗地は裏側にも染料が浸透しているので、裂き糸としては申し分ありません。
生成の綿糸と段染めした絣糸の残りを織り入れました。














残りモノでも、魅力的な布や糸は、姿が変わっても・・・やっぱり魅力的なのです。


2015年5月9日土曜日

朱子織とSatin

方眼紙に黒と白で書かれた図をよく見ると、本数が違ったり、裏表だったりしますが、朱子織もサテンも基本の組織は同じです。平織、綾織、朱子織・・・三原組織の一つですから。

若い頃に聞いたのは、「朱子織は、綜絖枚数が多く必要なので、手織りで織ることは難しく、ほとんど織らない・・・・。」確かそのような説明だったと思います。ですから、朱子織の説明がない本もありました。今なら「一般的に使われているろくろ式織機では・・・」と前置きをつけたくなります。

その時、朱子織の緯糸は目立たないように飛び飛びに経糸と交差すると習いました。いわゆる「表」朱子の場合の話です。朱子の組織は、いくつ飛ぶかを・・・確か、経糸方向にかぞえた数が「朱子」の名前の前に付いている。日本語には「縦書き」があるからでしょうか?

『Manual of SWEDISH HANDWEAVING』には、完全組織の左下から右方向へかぞえるとあります。右から左の場合もあるようですが、いわば、「横書き」。説明では、多綜絖のそれぞれの綜絖枚数で飛び数がいくつの朱子が何種類できるか・・・つまり、組織を考えることに重点が置かれているように感じられます。

記憶違いだったかも・・・と久しぶりに30余年前に購入した国内の本を開いてみると、やっぱりタテ方向です。
朱子織の例として「3飛5枚朱子」「2飛5枚朱子」の説明があります。組織点(交差点)までの数をタテ方向へかぞえて「3飛」「2飛」。それに綜絖枚数の「5枚」をつけて、朱子の種類を表しています。

もう一冊の欧米の手織も参考にしている日本の本にも「3飛5枚朱子」がありました。
同じ「3飛5枚朱子」組織でも、かぞえ方は、「タテ方向へかぞえて3飛び」、「右ヨコ方向へかぞえて2飛び」と「右に3飛びで左に2飛び」の3種類があると説明しています。5枚朱子は2と3からなるという理由のようです。
さて、ヨコ方向へかぞえて「3飛び」の8枚朱子は、日本式では「何飛び8枚朱子」になるのでしょう?

当時、いろいろ書いて上下へ左右へとかそえて確かめたのですが・・・・わからず。
30余年がすぎ、やっと日本式と欧米式のかぞえ方が書いてあるのだと合点がいきました。最後の右へ左へとかぞえるやり方は、どこのやり方でしょうか?オリジナルでしょうか?

悩んでみましたが、日本式のタテ方向の飛び数から欧米式のヨコ方向のかぞえた数を算出しようとするのは、私にはむつかしすぎるようです。考えかたも、習慣もちがうのですから、タテ方向に数えるのが「朱子」で、Satinは、ヨコ方向と割り切ってしまったほうが・・・今回もわかりやすいようです。

DrallやDamaskを早く理解したかったら・・・日本の手織りの知識に頼らず、焦らず、最初から英文を読んでみる。日本と欧米の相違点を探して考えるよりも確実で・・・やっぱり早そうです。

2015年5月1日金曜日

洋書;Manual of SWEDISH HANDWEAVING

「海外の手織りをしています。」というと、「スウェーデン織ですか?色がきれいなので、織ってみたい。」という話になります。スウェーデンの織りといえば、フレミッシュという絵織物と白木の大型織機。色彩豊かな布を織るというイメージが定着しているようです。


「スウェーデンの手織りの手引書」というこの本は、組織から始まります。日本でのスウェーデン織のイメージとは、ちょっと異なるようです。

基本組織、組織の特徴、変化のさせかたなどの説明から始まります。
ローズパス、レップ、ハニコム、ダマスク、数種類のドレル、モンクスベルト、インレイなどのよく聞く組織も、もちろん登場します。
カラー写真は差し込みの12ページしかなく、ほとんどが組織図と織った布のモノクロ写真。織機と道具の写真も数枚あります。

Manual of  SWEDISH HANDWEAVING Ulla Cyrus-Zetterstrom著 Alice Blomquist訳

初版は1950年。1956年に英語版が発売され、手元のこの本は英語版の第2版で、知人からの借用品。裏表紙には鉛筆で「1981年購入¥4720」の書き込みがあります。ネットの発達で、海外の書籍や情報に簡単に接することができるようになりましたが、当時は本を購入するのも道具をそろえるのも大変だったようです。

時代が変わったのかもしれませんが、「趣味の手織りを楽しむため」というより、「『織』に関する基本知識」について書かれた専門書のような印象があります。あたりまえのように、6枚、8枚綜絖の組織図が登場し、名称と特徴、用語などが説明されています。

しかし、先日、組織図のことで見直しました国内の本も同じくらい専門的な項目と図から始まっていました。それで、この本を最初から読むことにしたのですが、日本では、組織の基本について充分な説明がなされているかどうか・・・・ちょっと疑問も生まれてきました。私が知らないのか?本として出版されていないのか?専門の学校では学べることなのかもしれません。それに、日本の欧米式の手織りの基本とスウェーデンのとは「異なる」と言えば、その通りなのですが。

織ってみて、気が付いて、「ちょっと専門的かもしれない。」とほくそ笑んだことが、最初の基本の数ページに説明されていて、少々がっかりもしました。
例えば、多綜絖の綾組織の作り方と特徴、密度との関係。「batavia」「シャープカット」。スウェーデンの組織図は、経糸が白。緯糸の「黒」は、実は「赤の塗りつぶし」で、モノクロ印刷の都合から「黒」になっているなど。

米国の独習書に続き、この本で、また2~3年は楽しめそうです。

巻末に近付くと「密度と糸量の計算法」や「番手」、「織機と使い方」、「道具と使い方」などの説明があります。

最後のページに、「Hand Loom with Jacquard machine/ ジャカード付の手で使う織機」の写真がありました。国内の本では、このジャカード機は「手織り機」に分類されて紹介されている場合が少なくありません。
でも、この写真を見ると、織機の上に重そうなジャカード装置がのせてあり、たくさんの糸が下がっています。フライイングシャトル(バッタン)も大きく横に張り出していて、一緒に写っている作業着の男性が動かしているようです。かなりの高さと大きさで、手織機だからと普通の住宅に置いたら天井につかえ、床は抜けそう。自宅で手織りを楽しむとか、農閑期の手仕事という日本の「手織り機」のイメージとは違います。Hand Loomとありますが「手織り機(はた)」より「手動の織機(しょっき)」という印象ですね。

その国の文化 手織りは、やはりその国の言語で、というのが基本ですが、仏訳本、英訳本も発売されています。和訳本は、出版されていないのでしょうか?少々複雑でも、説明がわかりやすければ、むつかしくはないはず・・・・。