2013年9月28日土曜日

レースの織#7 ハックレース8枚綜絖のサンプル織 

細番手で、薄地のレースを織りたいと思っていました。多綜絖ですので、まずはサンプル織から。


この20/2糸での密度とのバランスと生地の厚さなども確認です。
レースの織が難しくて、おもしろいのは・・・・織っている時と仕上げ後の表情が違うこと。仕上がりをイメージしながら織れるようになるには、もう少し経験が必要なようです。
縦糸が浮くのを表としましたが、柄は緯糸が浮く裏面が見やすいようです。

まずは、オリジナルの柄(写真下;左)。織始めてレピートが繰り返されて・・・連続模様のつもりだったのですが。

せっかくですので、タイアップを変更して6柄織りました。
カウンターマーチの8枚綜絖の8本ペダルで5柄+10本ペダルで1柄=400本を結んだことになります。が、結び直しのない場合もあるので、300本程度でしょうか。


習うより慣れろで、このやり方もありか・・・・と思うこともしばしば。少し余裕がでてきたようです。
アンカーピンも使えるようになりましたが、イタリアンコードの時代の織機と人間なので、ウィーバーズ・ノットでのタイアップが手早い。

柄を作ると、16枚綜絖とか・・・・欲しくなる気持ちもわかります。
北欧の織機では、構造や手間を考えると10枚綜絖程度が常識的な限度かなと思うのですが、多綜絖を織っていらっしゃる方々の感想はいかがなのでしょうか?

組織参考;Hack Lace / The best of Weaver's  P.10-15
綜絖8枚 ペダル8~10本
筬;140本/10㎝ 
使用糸;カラーコットン20/2 経糸;ブルー 緯糸;ホワイト 三葉トレーディング
サイズ;22×72cm 

2013年9月19日木曜日

レースの織#6 和紙糸にハックの組織を入れて

気になる素材 紙糸/ペーパーヤーン。

スウェーデンの手織りの本 THE BIG BOOK OF WEAVING にも作品が掲載されています。著名な米国のインテリアデザイナーが紙糸を求めて来日したという話も聞きます。海外から注目されている素材。
日本での手織りブームは去った(?)ようですが、織ってみたいと思っていました。

障子、襖、照明・・壁紙、洗顔クロスhttp://thistleweave.blogspot.jp/2012/10/blog-post_4.html)。和紙糸を織って製品化されているケースは、とても少ないようです。

  「和紙リング」という糸が入手できたので、ランチョンマットを織ることにしました。

ポリエステル(?)の芯糸に和紙が撚糸されているので、適度の伸縮があり、トラブルなく縦糸に使えました。ただし、芯糸は杼を引っかけると簡単に切れ、リングがほどけて伸びて表情が変わってしまします。

平織では、のっぺりとしてしまいそうなので、両端にハックを入れました。柄としては、はっきりしませんが、表面に変化は付きました。



織付けを水通しして確認すると、軽い。柔らかい。
和紙というと硬い印象があるのですが、リングだから当たり前ですか。
ハリとか、重さとかがないと高級感は出にくいようで・・・・・洗えると思いますが、使い捨ててしまいそうな軽さです。
ランチョンマットではなく、ふきんかもしれない・・・・悩みながら織り上げました。

紙糸を使っても、誰もが日本と感じるモノになるとは限らないようです。
素材は日本で仕上りは外国風?・・・なにやら親近感あり。



織機から降ろそうとしたら、透け感が何とも美しい。この美しさを最大限に生かせるのは、パーテーションでしょうか。
水を通すと柔らかく変身してしまう・・・このままで、しばらく眺めていることにします。


組織参考;Hack Lace / The best of Weaver's  P.8
綜絖4枚 ペダル6本
 経糸、緯糸;和紙リング
筬;50本/10cm
 サイズ;38×62cm 6枚 

2013年9月11日水曜日

やはり「つるのおんがえし」ですか

夏の終わりは、同窓会のシーズン。久しぶりに友人に会えば、「今、何している?」という話題。
「手織り」と言うと、必ず「あの・・・つるのおんかえし?」せめて、天空の美女、織姫と彦星の話でお願いしたいと思うのですが、年齢の壁があるようで。
「手織は大変だから、身を削るような思いをして、引きこもらないとできないのでしょ?」 あげく、「ホントは、つるの羽をむしって織った・・・?」 これでは、動物虐待物語。

たまたま会ったデザイン関係の学生さんは、織と言えば「つるのおんがえし」しか頭から出てこないという。そして、「あの話は・・・・好きでなかった。」という。羽を抜くのは痛そうで、羽のない醜い姿を見られたくなかっただろう・・・・」と、暗い気分だという。

「トン、トン、パタリ」にあこがれる人もいるわけですが、「ひきこもり」や「暗い」イメージは、ちょっと困ります。おとぎ話とはいえ、もう少し史実的なお話にはならないのでしょうか?

ツル ・・・ 鶴 ・・・ ツル ・・・ 鶴 ・・・ ツル ・・・ 鶴 ・・・ ツル 
 
羽は・・・羽のように白く、軽くて暖かい糸・・・絹。
反物や糸は古くから租庸調として納められ、価値が認められていた品。明治の初頃まで、綿や麻を着ていたという農民の暮らしに、絹は見る機会すらなかったかもしれません。
 
では、「つる」は?
5月と8月(再)のNHKで、新歌舞伎座の「こけら落とし四月大歌舞伎」で、「壽祝歌舞伎華彩 鶴寿千歳」の放映がありました。宮中の皆で祝賀の舞をしていると一羽の鶴が舞い降りてきて平安の世を寿いで舞を始めるという内容です。
 
鶴を舞う衣装は、歌舞伎では受け継がれてきたはず。鶴の冠。着物は白地に金の縫い取り、帯は鶴の羽の模様が入った朱色地。朱の紐飾りがついた薄衣。薄衣はそのままに、時代をさかのぼるように、朱の帯を朱の袴に、冠を烏帽子にしたら、「白拍子」の装束となります。

諸国を旅して舞を舞う・・・白拍子は渡り鳥の鶴にイメージが重なります。それで、各地につるの登場する昔話が多いのかもしれません。白拍子が歌舞の礼として裕福な人から絹糸を与えられ、持って旅をしていたと考えられなくもありません。

つまり、話はこのようになります。
諸国を旅する白拍子は、道中にけが(病気)をする。年寄りの夫婦は手当をする。傷が直り白拍子は持っていた絹糸を使い反物を織る。その時代、身分の髙い人しか手に入れることができなかった絹で織り上げた美しい反物は非常に高い値段で売れた。高価な絹糸は持っているだけで、疑われたり罰せられる恐れがあったであろう。また、織り方を知られぬように、戸を閉め切り隠れて織ったのかもしれない。

この話には、やさしい心を失わずに接すれば恩を返してもらえ、約束を守れば富を次々にもたらしてくれるという教訓が書かれていると言われます。そして、機織りが上手であれば富が得られるということも書かれています。
美しい女が機織りをして家を豊かにするという発想は、天上の美女が綾錦の技を伝え国を豊かに国を富かにしたという神話の時代につながるのだそうです。

機織りが上手でないために嫁のもらい手を母が心配したという思い出話は、まだ所々で聞かれます。上手であれば、白拍子にならずに家族に大切にされたはず・・・・やはり、つるは美しい女のたとえであり、願望と考えたほうが自然のようです。

昔ばなしを見つめると、教訓、風習、貧富、暮らし、時代の陰、次々とあふれだしてくるようです。

 
今も時折、羽を抜いている気配を感じる時があります。鶴か白鳥か・・・定かではありませんが。 

2013年9月3日火曜日

レースの織#5 ハックレースの服地



前回のスラブヤーンをオーソドックスに使いこなすのもいいかと思い、ハックレースの組織でスカーフ程度の感じ・・・で織始めたのですが、すぐに服地だと思いました。







粗い織の服地・・・コレクションで手作り感とか注目されたのは、2~4年前?ボタンどころか、指がすっぽりひっかかり、リングが抜けてしまいそうな、粗い粗いニットや織地を使った服が新鮮でした。確かイタリアのブランドのショップで拝見しました。

3色杢のスラブヤーンにグリーンの光沢をきかして、イエローは、10/2が欲しかったのですが、残り糸で。

糸が動かないように、グリーン部分は密度を上げ、イエロー部分は本数をふやして調整したらボリュームがでました。



 軽やかさより、馴染みや落ちがでてきたので・・・・服地の顔です。ポストシャネル?



裁断、縫製はしやすそうですが、昨今のイメージからすると、もう少しメッシュが大きくても楽しかったようです。

あまりカッチリとせず、少しルーズで・・・・・「手織り手作りしました」にならないように気を付けて。

 でも、もう一度経糸を掛けないと、要尺が足りませんね。










組織参考;Hack Lace / The best of Weaver's  P.7
綜絖4枚 ペダル4本
 経糸、緯糸;綿20/3 イエロー
 綿シルケット加工10/2グリーン、綿麻スラブカラー (株)シラカワ
サイズ;34×190cm