以前も書いたように、この本は、ジャックルームユーザーをメインの対象としたアメリカの本です。
手織のエピソードやちょっとした疑問の答えが見つかることもあり、気に入っています。
この本でも組織の勉強は、平織から始まり、綾織では組織図、綾の種類や変化についてです。
困ったことに、1/3、2/2、3/1の綾を織比べるという課題があります。
普通にタイアップを考えると、ペダルが12本必要なことに気づきました。
ジャックルームならシングルタイアップができるので、ペダルを踏みかえて織比べ、組織と綜絖の関係を理解しましょういうことなのでしょう。
カウンターバランス(ろくろではない)織機で、同時にペダルを複数本踏むなんて考えたこともありませんでした。試してみましたが開口は安定しないし、ベンチから滑り落ちそうになる・・・・・・。
シングルタイアップ。
1950年?70年代? 海外では、Jack-type(ジャッキ式織機)のことを別名Single tie-up(シングルタイアップ)と呼んでいたようです。
普通の織機のようにペダル1本に複数枚の綜絖をタイアップでき、ペダル1本に綜絖1枚を結んでも1枚づつ独立して動き、開口もきちんと揃う---シングルタイアップ。古い記憶で確かではありませんが。
初めて織機に向かった頃は、ろくろ式以外はめずらしく、このシステムの織機も噂に聞くだけで・・・あこがれ・・・でした。「シングルタイアップ」という言葉は、たぶんジャッキ式織機と一緒に輸入(?)され、使われていたように思うのですが・・・・・???
この本が出版された1990年代にはどちらも古い言葉となったようで、その織機は進化してジャックルーム(jack loom)と呼ばれ、「1本に1枚づつ」はダイレクトタイアップ(direct tie-up)。
なお、一般的に行われる「ペダル1本に複数枚の綜絖」をタイアップすることは、マルチタイアップ(multiple tie-up)という言葉が使われています。
さて、ダイレクトタイアップでこの課題をすると、
1/3の綾は・・・・・ペダルの順番は1、2、3、4。綜絖を1枚づつ順番に上げて緯糸を入れ織る。
2/2の綾は・・・・・ペダルを12、23、34,41と同時に2本づつ踏み、織る。
3/1の綾は・・・・・123,234,341,123と同時に3本づつ踏み、織る。
ペダルを同時に踏めると、4枚6本の場合、組合わせは何通りになるのでしょう?
いろいろな組織をランダムに入れておしゃれなマフラーが!作れるではありませんか。
趣味の世界から生まれた織機と実用と効率を求められた織機の違いなのでしょう。
我が家の織機では、タイアップを変更せずに織ろうとするとペダルは2本足りません。
「基本のツイル」はあきらめ、「その他のツイル」を織ることにします。