2013年12月30日月曜日

良い年をお迎えください

年内に、サマー&ウインターまで終える予定でしたが、オーバーショットの魅力に取りつかれたようです。
「道具があったので、暇つぶし」に始めた手織りですが、「気が向くまま・・・」ではなく、「気がすむまで・・・」と、なりつつあります。


今年、心に残った言葉

 
帰国して驚いた。巨大な高層ビル、縦横無尽に走る高速道路、派手なネオン。刺激的だが、欧州の街並みのような文化的な美しさは感じなかった。『日本の美意識が崩壊しつつある』(中略)日本の美意識や伝統などをグローバルに展開できれば、きっと世界から尊敬される。
 和田 智 元アウディ シニアデザイナー兼クリエーティブマネジャー
Breakthroughより抜粋
Jul.21 Sun 2013 The Asahi Shinbun GLOBE
 
 
西洋楽器に比べ、尺八などの和楽器には雑音が多くなる傾向が強いようです。まるで自然の音を模して楽器を作ったよう。文化の個性と相まってとても興味深いですね。
今さら聞けない+「楽器の音色」より抜粋
2013年9月28日 朝日新聞
 
 
どうぞ良い年をお迎えください。
 
 


2013年12月25日水曜日

オーバーショット#3 この季節なのでJohann Speck's Design No.33

オーバーショットの名作だと思います。一度は織ってみたいパターン。

A HAND WEAVER'S PATTERN BOOK から 「Johann Speck's Design No.33」

ローズの花束のモチーフが並び、品格さえ感じられるようなパターン。いろいろな本で出会いました。



いくつか試したフレームは、どれも魅力的だったのですが、繊細すぎました。メインのしっかりとしたパターンと組合わせるとバランスがとれません。

結局、ボーダーやフレームはやめて、シンプルに、力強さを大切にすることにしました。



色彩は、この時期にいちばん美しく見える色・・・レッド。色彩感覚や染色の実力がわかる色といわれます。
慎重に・・・・染め直すこと数回。少しレンガ味にして、少し重たく、クラシックな印象に。

Merry Christmas !
 

2013年12月17日火曜日

織の設計とどの組織図を使うかはむつかしい

「この組織のマフラーが織りたい」と、頼まれることが何回かありました。
自分ひとりなら何となく折り合いをつけて仕事をすすめているのですが、頼んだ立場でわかりやすくとなると難問続出。
組織図だけでも・・・・いろいろな国や時代のいろいろな書き方がありどれにするか?どの織機でも使えるように書くと煩雑になってわかりにくい・・・と改めて感じたり。
組織のパターン本を持っているけどうまくできないというお話もあり・・・いわゆる設計書もいるのだと思いあたりました。

1.織り柄ならば「柄の入れ方」と総本数は?
レピート計算の仕方は、どの本に載っていると思うのですが、バランスの良いレピートの入り方は?左右対称?・・・毎回、多いに迷う点です。

2.組織図の踏み順とタイアップ図・・・・これが最大の問題。
「1本のペダルに複数本の綜絖をタイアップする場合」と「1本に1枚の場合」の踏み順の両方がほしいと頼まれたのですが、フロアルームは、機種によりさまざま。途中で突然踏み木を2本踏む(!)表が使えるフロアルームもあります。複数枚の綜絖がある卓上機なら後者が使えます。

単純に織機の構造で種類分けをしてしまうと
「1本のペダルに複数の綜絖をタイアップ」は、カウンターマーチ、カウンターバランス、ジャックルーム、ろくろ・・・・・。
「1本に1枚」は、複数綜絖のある卓上機、ジャックルーム、ろくろ・・・・。

このように、織機の種類を書いてしまうと、ろくろやカウンターバランスなど機種により織りにくい組織もありますから、織れる/織れないの判断までしたみたいな誤解をまねきます。また、知らない機種や新しい織機があるかもしれません。北欧の織機でアメリカの織をしているのでややこしい訳ですが、最近は米書が簡単に入手できますから、私のような方も少なくないのでは?
結局、アメリカ名を使うことにしました。ろくろ機については、詳しくないので単式/複式という言葉は使えません。

3.タイアップ図は×?×〇?番号?□■?伝統式かアメリカスタイルか?すっきりと見やすいのは・・・

4.綜絖番号は前から1234?後ろから?両方あるので記入は使う方におまかせにしました。

5.テイクアップと縮みは、素材と織り方に関係する必須事項で・・・筬と密度も関係する訳で・・・メーカーと糸名を指定して、本来ならもう一度織るべきですね。

6.ミミの本数や太さ、組織は、本体の織り方や何を作るかで違ってくる・・・。

7.フサに分けるときに、余らない総本数があればベスト。

8.使用糸は番手表示なのですが、実物も必要と思いました。

9.最後に織る時、仕上げ時の注意点。


まだまだ修行中ですが、真剣に考えて書き上げた「マフラーの織り方」のつもりなので・・・・わかりやすかったか、追加希望事項など、お知らせいただきたいと思うのですが・・・・。
無償だと「損した感」がないので、わざわざ質問したり、ご意見をお知らせいただけないのもわかります。

2013年12月10日火曜日

洋書;OVERSHOT IS HOT ! / The best of Weaver's

Madelyn van der Hoogt 編 The best of Weaver’s のシリーズ6冊目の本です。

編者は、手織りをする人とオーバーショットとの出会いは、A HAND WEAVERS PATTERN BOOK;Marguerite P. Davison 著 だろうと書いています。
早くから輸入された本ですので、日本で手織りする人も同じ出会いをしていると思います。海外の織り方は、自己流や日本式の解釈になっている事が間々あるようですから、私も意味を取り違えないように注意しなければなりません。

さて、伝統的なオーバーショットは、20世紀前半まで生成か白の地に濃い柄糸で織られた織物がほとんどだったと前書きにあります。主にベットなどのカバー類に使われていたという前提を理解すると、ここに掲載された作品の新しい試みがよりわかりやすくなるように思われます。


この本では、オーバーショットの織り方や柄の説明やたくさんの組織図は書かれていません。掲載されている作品は、多色にしたり、細い絹糸などさまざまな素材を使ったり、他の組織と組み合わせて多綜絖にしたり・・・・・伝統なパターンや構成を大切にしながら、新しい表情を追及しています。仕上がったアイテムも幅広く、スカーフ、タオル、服地など40点余です。

最初の章で、オーバーショットの柄がどのように織り出されるのか・・・綜絖通し順、経糸と緯糸の基本の動き。そして、この織り方の特徴である柄、影、地の関係が詳しく説明されています。

しかし、オールドのパターンを楽しむには、「オーバーショットの唯一の問題は、すべての組織図が簡単に理解し使えるとは限らない。」を理解する必要があるようです。
例として6種類あり、組織の書き方の特徴が作者別に説明されています。中には、簡単な覚え書きのようなものもあります。オーバーショットの綜絖の通し方が身についていれば、柄部分ごとの本数とレピートさえわかれば織り上げることができたのでしょう。
たぶん、書籍や綜絖とタイアップと踏み順の揃った組織図が一般的になる前から親しまれた織り方。織り手から織手へ伝えられてきた「歴史ある織り方」ととらえることもできそうです。

大切に受け継がれたことで髙い完成度となったパターンは数多く残っているようで、新しいパターンを作るのは容易ではないと想像できます。巻末に著者とオーバーショットに関する書籍名が約30冊リストアップされています。

著名な方々の組織図の一端でも見たいと思うのですが、個人での入手は無理。日本でもジャックルームを使って授業をしている織の専門学校や大学があるようですから、蔵書があるかもしれません。が、閲覧は許可されないでしょう。

正しく理解できたか・・・もう一度、織りながら検証してみることにします。

2013年12月3日火曜日

オーバーショット#2 ハニコムにてネコの足跡とカタツムリの通った跡

「Wandering Vine/つるをのばすバラ」は、「CAT TRACK AND SNAIL TRAIL/猫の足跡とカタツムリの通った跡 の名でも知られる」と書き添えてありました。


綜絖通しはそのままで Honey comb/ハニコムが織れるので、試してみました。
ハニコムは、めがね織と訳されていますが、組織の基本は同じでも、全く違う印象です。

白いベースに凹んだ足跡・・・・・なんともかわいい。
雪の上の足跡?

緯糸は、あの藤色にしてみました。今回は、半晒と合わせたのでラベンダー色に見えます。


雪の降ったラベンダー畑に凹んだ足跡。
ネコ8匹の足跡とカタツムリ15匹の通った跡。みんな揃って行進。
ラベンダーは初夏に咲く花なので、雪がつもる景色はありえないのですが・・・。


今回は、緯糸で調整をしましたが、バランスのとれたハニコムの織り地にするには、経糸の設計を手直しするほうが良さそうです。
使用組織;A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK P.166
4枚綜絖 6本ペダル
筬;100本/10cm
使用糸;経糸 綿16/2 緯糸 地糸 綿10/2 柄糸 綿10/3
 サイズ;80×110cm