2013年7月24日水曜日

織機はフィンランドのですが

私が使っているのは、フィンランド製の織機。先生に勧められた訳でもなく、調べて、悩んで、決断して、購入した織機ではありません。預かった?取りに来ない?貰った?という状況です。

それなりに織れるのかもしれませんが、着物や帯が織ってみたいと思える機ではありませんでした。マフラーをちょっと織ってみるには、スタンダード仕様の織幅120cmは大きすぎ。

海外の家庭では、この織機で何を、どのように、織っているのだろう・・・・?
 
これがもう一度手織りをしてみようかと思ったきっかけだと思います。漠然とした「海外」から、北米と北欧の違いが少しわかり始め、そして、スウェーデンとフィンランドは?

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折よく、フィンランドの織機を使って教えている先生に少しだけでしたが、「フィンランドの織機と機がけの仕方」の話をうかがえました。

北欧州の地域にはスタンダード(標準型)と呼ばれる、どのメーカーもほとんど同じ仕様の織機があると聞いていました。大型の織機で、四隅に柱があって小屋の骨組のような・・・・・。バックビームの手前の側面に横木がなく、本体内部に入れて綜絖通しやタイアップができるのがスタンダードと思っていました。が、フィンランド製は横木の有無に関係なく、大型=スタンダード(標準型)だそうです。

フィンランドの一般的な織機は、筬框の「腕は下から」が基本形。このスタイルの特徴としては、「強く打込むことができること」だそうです。筬框が「上からさがる」スタイルは「薄地用」でフィンランドの織機ではほとんどないということです。つまり、フィンランドでは、「厚地やマット類」を織ること/人が多いということ?(←もう少し詳しく聞くべきでした。)
私が使っている織機はフィンランドのですが・・・・ちょっと違うのでは?ということでした。


さて、「機がけ」について。
フィンランドの一般的なやり方なのか、アレンジされたのかは(確認しなかったので)わかりません。スウェーデン織の書籍等で紹介されているやり方とは違うので書いておくことにします。

1.機がけには蓋付きのラドルを用いる。綜絖の上に吊り下げる。
2.織機の中央に天秤から下ラムにつながるコードがあるので、整経はコードの右と左用に2つにわけて行なう。コードの右側からと左側からラドルにセットして巻き取る。
3.綜絖通しは、コードのある中央から右へ。中央から左へと通す。(以前やってみましたが、右手と左手の動きの入れ替えができず、ねじるような体勢となり・・・・私は4枚綜絖順通しでも断念。)

ドレルプーリーとホース、糸綜絖
輸入関係の方によると、このメーカーは、輸出もかなりしていた時期があったとのことです。35年以上も前の話ですので、輸出専用モデルがあったのではないかとも考えられます。

スウェーデンは大柄な人が多いのに、フィンランドの国民はアジア系もおり、小柄で身長も日本人とあまり変わらないと聞きます。フィンランドはスウェーデンとロシアに支配された続けた歴史があり、1917年に独立した国。スウェーデンに支配された歴史もあるため手織の文化や生活スタイルなど共通点があるということです。

フィンランド・・・・・マリメッコのプリント、雑貨、ベルト織、ホッパナ織。
気がつけば、身近にたくさんありますね。

2013年7月17日水曜日

レースの織#1 ブロンソンレースのランチョンマット 

「レース織り」か「織レース」か?
 作品の技法の説明には、スウェディッシュ・レースとかハックレースとか具体的な名が使われる訳ですから、やはり普通の言葉がわかりやすい。ということで、タイトルは、「レースの織」にしました。


さて、ブロンソンレース。アトワート・ブロンソン・レースとも呼ばれています。

洋書 「LACE AND LACEY WEAVES」 によると、
ブロンソンレースとブロンソンスポットウィーブは、J.&R. Bronson氏の書籍(?)の組織図からMary M. Atwater女史が発展させた織り方と書いてあります。
この説明からアメリカ生れの織り方のように思われます。

米国の本ではレースの織の最初にでてきます。基本的で理解しやすく応用しやすい組織のようです。

 構成は、基本的な「額縁」にしてブロンソンレースの組織を入れます。




同じ大きさになるように、打込みの強さに注意します。

 経糸は、コットリンの未晒なので、この季節は麻のにおいが気になる方もいるようです。

織り上げて、水通しすると、少し白くなり、凹凸もでました。

使い込んだ白木のテーブルが似合いそうな仕上がりです。



ランチョンマットは、洋書にはPlacemats/プレイスマットと書かれています。
子供のころ、正式なディナーは、テーブルクロスを使用するのでマットは使わない。昼食など略式の食事で使うから、「ランチョンマット」と教わりましたが、日本語だったのでしょうか?

時代も移り、正式とか略式とかにこだわらず、食事を楽しむための「マット」・・・・気軽に使いましょう。
 
使用組織;Learning to Weave [Loom-Controlled Lace Weaves]
綜絖枚数;4枚 ペダル;4本

経糸;COTTLIN 22/2 UNBL
緯糸;COTTLIN 22/2 ECRU
使用筬;45本/10cm 2本入れ 
仕上りサイズ;42×30cm 計8枚 

2013年7月12日金曜日

洋書;LACE AND LACEY WEAVES

ハックレース、スウェディッシュレース。海外の織のレースの名前はよく耳にします。いろいろな織り方について本棚にしまっていた本を開くことにしました。探せばもっとわかりやすく、詳しい本が販売されているような気がします。

「LACE AND LACY WEAVS」 MARY E. SNYDER編

初版は1960年。年代からも想像できるように、図版や写真は豊富ではありません。手元にあるのは1986年の再版本。

Bronson Lace・・・Monogram, Swedish Lace,  Barlaycorn, Diaper・・・ Camvas Weave・・・, Hack, Hackaback・・・ Mock Leno, Bronson Spot,Lacy Weave・・・・・・・, PICK UP LACE

技法の名前なのか、柄のことか・・・目次を見ただけではわかりません。聞いたことのあるレースの名前は全てあるようです。
織物の名前は、地域の慣習 として使われたり、呼ばれている場合が多いので、すっきりと分類できるはずもないのですが。


掲載されているレースの種類は豊富ですが、この本は解説書ではありません。学校でおこなわれたワークショップ形式の成果をまとめたものです。それぞれの組織の特徴や柄の作り方についての丁寧な説明はないので、作品/サンプルから解釈していくことになるかと思います。

前書きによると、10台の織機を用意し、毎月初めの月曜にディスカッションと質疑をおこない、学生がそれぞれにテーマに基づいて柄や糸使い、色を考え制作した サンプル/作品 の基礎データとが収録されています。
スカーフやケースメント用、8枚綜絖などのタイトルがついています。使用筬、密度、素材、色、番手や打込みの強さなどの注意点も書いてあります。柄数は、86点。白黒の写真は31点。織物学校のテキストとして使われている?ようにも思われます。

また、最近の一般的な手織りの織り方の本と異なり、綜絖通し、タイアップ、ペダル順が完成した組織図として掲載されてはいません。
綜絖通しは、基本単位となる「ユニット」で表示されており、お勧めの並べ方が紹介されています。ペダルは、図ではなく、文字で順番がかかれています。そのままでもよさそうでもあり、綜絖通しと同じように、組合わせて柄を考えるのもよさそうです。どの部分をどの程度繰り返すのか?レピートは?と考えることになると、それなりのデザイン力が求められそうです。

組織図(白黒の格子図)は・・・もちろんありません。自分で、書かれてある例を参考にユニットの並べ順を決め綜絖通しを書き、ペダル順を書き、タイアップを加えて、書き起こすことになります。


織レースの種類と豊富なサンプル/作品のデータは魅力的です。ワークショップで意見や経験を交換しながら学んだ提出レポートという印象もあり・・・楽しそうな様子がうかがえます。きっと、織りを学ぶ学校や大学では、よく見かける光景なのでしょう。

2013年7月9日火曜日

透ける織物の和名は?


「レース織り」 織の世界にいると、何でも最後に「〇〇織り」と付けたくなります。疑問に思うことも多いので慎重に。

米国の本では、「Lace Weave / レース・ウィーブ」。透間がある織り方のことだそうです。

「〇〇レース」と言う名前の織り方も多いので、直訳してレース織りで問題なし? でも、日本には絽や紗があり、日本でレースと言えばドレス地など繊細でゴージャスな印象。そして、基本は編み地。

市販されている一般的なレースはほとんどが「編物」。ブラウス地、ドレス地、カーテン・・・。

編み以外や手工芸まで拡げると、ケミカルレース、、エンブロイダリーレース。ボビンレース、クロシェットレース・・・・・。
レースの呼び方では、技法を先に記すので「レース織り」ではなく、「織レース」。


手織り入門者のための米書「Learning to Weave」では、「織機によるレース/Loom-Controlled Lace Weaves」をとりあげています。
空羽にしたり、結んだり、もじったり、緯糸を途中で引き返したりをしない織り方。つまり、平織の経糸や緯糸が飛び、その部分が寄って透間になる織り方。日本の模紗や擬紗はたぶん・・・・同じ組織かと・・・?

このタイプの組織を使っている織物は、
Swedish lace、Antwater-Bronson lace、mock leno、hack-a-buck、barleycorn、canvas weave

これらは、地綜絖と柄綜絖の関係などで異なり、本や先生により若干の解釈の違いがあるそうですが・・・・ええと、詳しくは、手織りの先生方にお任せすることにして。


海外に注文していた糸が届きました。
コットリンやマーセライズ加工の綿糸。同様の加工でも、日本のシルケット加工糸はシルク風。マーセライズ加工糸は刺繍糸やレース編糸のツヤに近い表情です。海外のHPなどでよく見かける細番手の綿糸の現物は、繊細なレースをイメージさせてくれます。この糸を使うのなら、確かに「レース・ウィーブ/レース織り」ですね。

日本の手織りの主役は着物ですが、海外はテーブルリネン。バリッとした麻のドレルも素敵。レースも魅力的。ですから、ドレルやレースの織り方や柄表現が豊富に考えられたのでしょう。

入門書のカリキュラムを早く終了して一人前になりたい気持ちもあるのですが・・・6タイプのレースを少なくとも1柄づつ織ってみたい。織りたい糸も届き始めました。秋までレースを織りましょう。



2013年7月2日火曜日

ハニコム#4 8枚綜絖の組織で

ハニコムの組織は、太糸を入れる平織部が組織をつないでいるという。
つまり、この部分の本数を増やせば、しっかりとした織物になる。では、省略したら・・・?


前回のハニコムのカバー地の経の最後でちょっと織ったのが気がかり。

マフラーやショールなら、「不安定な組織で、ワンシーズンの使い切り」も個性的で楽しくていいかと思って計画してみました。



 整経を終えて、縮絨で安定させることのできるウールを選ばなかったことを後悔しました。



織始めたら、シンプルできれいな柄なので、機から降ろしてグズグズになることを思い、早くも残念になりました。

組織を止めるためにあわてて、平織のボーダーを入れました。
柄は、アフリカンな印象も加わり面白い。

両面で使えるかと思いましたが、やはり裏は裏の顔をしていました。




緯糸が入っていない部分は、光に透けると効果的。ショールのつもりが、インテリアファブリック風に仕上がりました。
ラミーなど、糸にハリがあり滑りにくい素材で、スペースデバイダーにすると涼しげで良さそうです。


参考組織;A WEAVER'S BOOK OF 8-SHFT PATTERS FROM THE FRIENDS OF HANDWOVEN #706  
 綜絖枚数;8枚+2枚(ミミ) ペダル;10本
経糸;綿シルケット加工糸20/2//2(藍)
緯糸;綿シルケット加工糸20/2//2(白、藍)
使用筬;45本/10cm 4本入れ 
仕上りサイズ;180×36cm (フサ 8cm