2014年3月25日火曜日

書籍;初級技法講座 「織物」用具と使い方

私が、手織を始めた30年前に、『カウンターマーチ』という日本語を始めて目にしたのは、この本だったように思います。

初版 基礎技法講座7 「織物と用具の使い方」 美術出版社 1980年版
著者は、WEB TEXTILE 水町真砂子氏とグループで活躍していた北欧や関東にある美術系大学や学校を卒業された6名。当時は海外の織機を使って作品制作をする人のための基本的な事項が書かれた初めての手引書と聞きました。

現在は、改訂刷新版 初級技法講座 「『織』」用具と使い方」 1996年版 水町真砂子 著
織の変遷、基本組織が詳しくなり、ファイバーアートや海外の組織の布のカラー写真が追加されています。

著者は、Stockholm stadmissin vavskola/ストックホルム・スタードミネホーネン・ベ-ブスコーラ卒とあり、大型の織機の写真からも 「北欧の織機と織の基礎」 の入門書と思い込んでいました。

今回、よく見ると巻末の参考文献には、米国書籍ばかり約40冊がありました。
実は、アメリカの織にお詳しいので、スウェーデン語のコントラマルシ/ Kontra marshではなく、カウンターマーチという言葉を使われたと思われます。各ページのタイトルや部品名も、英語表示が添えてあります。


内容は、織の変遷、基本組織と組織図、織機の組み立て方、国内外各社の織機の紹介といろいろな道具、実際の平織ブランケットの制作を通しての手順の説明、手紡ぎ、素材・・・基礎の知識とやり方が簡潔に書かれています。

脚踏み式の織機の種類では、現在のアメリカの呼び方とは異なり、ろくろ機がローラー式、下ジャック式とあるのは、綜絖の下にジャッキがあるという意味からジャックルームのことと思われます。

北欧と米国の双方の手織り基礎を取り入れた著者グループによる考え方と仕事のしやすさから生まれた説明と手順と思われます。

組織図は、綜絖通しとタイアップ図を図の下に書き、タイアップ図を「白と黒く塗りつぶす」北欧式です。下ジャック式のタイアップはアメリカ式ではなく、北欧式に置き換えて、白と黒を反転して説明してあります。綜絖は番号を付け、手前(下)から1234・・とするアメリカ式です。

カウンターマーチでは、ろくろ機を下口開口としてタイアップが説明されており、下招木を手前にすることからも当時のアメリカ式が取り入れられたようです。

経糸の準備の仕方は、スウェーデンでは入門機ともいえるカウンターバランスを使って書かれています。カウンターマーチの場合は、初めから順を追って書かれていないので、わかりにくいのですが、ノルウェーやアメリカのやり方とは異なるようです。


説明の写真では、経糸を巻く時は2-3人で引いています。また、この本のやり方では、バックビーム近くで経糸を通し終わった筬や綜絖を一人で動かせるのかなぁ・・・・等々。やはり、大型のカウンターマーチ機は、アシスタントのいるアトリエや工房での作品制作に使う織機で、一人では使えないでしょうとあきらめたことを思い出しました。

1980年の出版ですので、その後、各社の織機ややり方などは改良されています。

2014年3月21日金曜日

上皿天秤と天秤式

残っていた染料を、スプーンで測って染めていたのですが、明らかに濃くて、粉っぽく感じることもあり・・・・あまりのことなので、上皿天秤を購入しました。ひょう量50g感量50mgのタイプ。

天秤式の上皿付ハカリ・・・・・・・カウンターマーチ・スケール?何だかおかしい。「天秤」の訳を「カウンターマーチ」というのは織の世界だけ? 「天秤」は、a balabce だ。上皿天秤は、 a druggist's scales、an even balance。。 。少量の薬などを量るのに小学校の理科の授業で使いました。

毎回分銅を載せ替えて慎重に左右が釣り合うをみるのも手間なので、天秤がないハカリがほしいと思いました。台のような本体があり上に皿があるのは「上皿ハカリ」。小麦粉や野菜、毛糸などの重さが知りたい時に普通に使う「台ハカリ」でした。
薬品を量るという用途で同じ性能や精度があるのは、「上皿電子天秤」。丸い皿や棒のような天秤は無く、見かけはおしゃれな台ハカリのコンパクト版。でも名前は、「上皿天秤」でした。精度は同等以上で格段に優れていますが、趣味で使うには高価で手が届きませんでした。



上皿天秤は、even⇒平坦な、同じ高さの  balance⇒バランス、釣り合う か・・・・では、カウンターバランスは? ・・・・・・・調べたので、書いておきます。また、手織の用語についてです。
織機の輸入代理店さんに聞けば、すぐ説明してもらえることだと思うのですが。。。。私の所見です。

※3月21日にフィンランドよりコメントをいただきました。加筆訂正の必要があるところにアンダーラインを引き訂正をしました。詳しくは、コメント内容をご参照ください。

Counterbalance カウンターバランス・・・英和辞典では、釣り合わせる。平衡させる。相殺する。不足を補う。ほとんどの辞書に載っていました。
その言葉の通り、両端に綜絖を1枚づつ吊り下げて、「片方が下がれば、もう片方が上がる。」「下がった分だけ上がる←相殺する」という動きで、織機の開口のことだとわかります。
米書では、ろくろ機のイラストしか載っていないので、カウンターバランスをろくろの英訳名と思っている方も多いようです。北欧では滑車とホースを組合わせた織機をカウンターバランスと呼びます。ろくろは、カウンターバランスのローラードエル式。北欧には、多滑車のドレルプーリーなどいろいろな種類があります。「綜絖をつり下げ、片方を引き下げることで、つながっているもう片方が上がって開口する織機」の総称、つまり、グループ名だということになります。


さて、カウンターマーチ。欧州各国から移民とともにさまざまな織機が入ってきたと思われるのアメリカでは、カウンターマーチとカウンターバランスの2タイプに分類されています。北欧ではカウンターマーチとカウンターバランスの2タイプの織機が共存しています。「どこを見て、どのように」 判別したのでしょうか?どちらも中口開口の織機です。


Countermarch カウンターマーチ・・・・英和辞典では、反対行進、回れ右。この訳では意味不明でした。
日本語の「天秤」という言葉が持つ「釣り合いをとる。バランスをとる。」という意味はありません。
ふと気が付き、英英辞典 WEBSTERを調べてみました。a march back or in the opposite direction. a marching movement ...(略)...reverses its direction....
Opposite direction、Reverse・・・この単語なら、綜絖の動きを言っていると想像できます。綜絖を上と下の反対の方向に動かして開口させること。これなら、実際の動きとも一致します。
カウンターバランスと同様に、綜絖を動かすときにこの特徴を持つ織機の総称、グループ名と考える場合もありそうです。この綜絖の動き方で開口させる方式や構造はいろいろ考えつくことができそうです。
実際の天秤がない織機で、この綜絖の動き方を動画で大写しにしてカウンターマーチ・システムとHPで紹介しているアメリカの会社もあります。システムとつけることで、北欧の織機/Countermurch loom と区別しているようです。


日本では、カウンターマーチは天秤式織機と訳されていますが、「上部にある天秤で、綜絖、招き、ペダルの重さの釣り合いをとる方式の織機だから天秤式」というのは、織機の特徴である天秤を名称にした日本やフィンランドの呼び方日本オリジナルの解釈ということになります。また、「この釣り合いをとる方法の織機であれば天秤がなくても天秤式と呼ぶ。」というコメントをいただきました。日本オリジナルのさらに新しい解釈のように思います。

一方、カウンターマーチ・システムも「天秤式」と訳されているようです。また、本などで「カウンターチ(天秤式)」と書いてある場合は、「日本名に訳すと天秤式織機」という意味だと思います。なお、国産品で天秤のある北欧の伝統的織機と同方式の織機を、製作所は、カウンターマーチと書かずに「天秤式」と表示しています。

最後に、天秤式織機を、「織り幅が広い洋式の本格織機で天秤がある」とイメージしている方も多いようですので、稀なケースだと思いますが、私のように、「上部に天秤のある北欧の伝統的織機とほぼ同じ織機」だと認識している場合について。
天秤式と名前にある織機は・・・見かけが異なり、生産地や構造が違っていたとしてもほぼ同じ・・・つまり、北欧の織機とほぼ同等の性能があると受け取ります。北欧の特徴的な麻のスウェディシュレースのような薄物から、リヤ、フロッサ、裂き織などのラグやマット類まで問題なく織れ、踏み木の軽さも同程度だと。
道具としての構造よりも用途や性能を重視した一般的な表記、つまり、天秤がなくても粉薬を量ることができる性能があることを「上皿電子天秤」という名前で示しているのと同じ考え方です。


日本語の「天秤式」には、少なくとも5つの意味があることになります。

1.綜絖、招き、ペダルの重さの釣り合いをとって動く織機
2.綜絖を上下にひっぱって開口する⇔Countermurch sysytem
3.織幅が広い洋式の本格的織機で天秤がある
4.北欧の天秤のある伝統的織機⇔Countermurch loom
5.天秤のある北欧の伝統的織機と性能が同等の織機

あなたのイメージする天秤式は何番ですか? 
私は、古い人間なので3と5番。日本と海外では考え方が違うのですから、4番の和訳は、「天秤式」ではなく、カタカナの「カウンターマーチ織機」だと気がつきました。

「カウンターマーチ」を「天秤式」と訳すのがまぎらわしくなる原因・・・のようです。

※読み比べができず双方の主旨がわからなくなるので、掲載文を訂正するのはやめてください。具体的な意見のある方は、手織りを学んだのは、米国式、北欧式、日本式のいづれなのかと経歴などのプロフィールを書き添えてください。投稿は簡潔にお願いします。


北欧のカウンターバランスのホース/ニックピンの部分の特徴から、この織機をろくろ機と区別して天秤式と呼ぶ人もいます。
したがって、「天秤式」は1つ増えて6つの意味があることになりました。(追;2014/06/05)

2014年3月20日木曜日

書籍;増補 織物組織意匠法

「ろくろは下口開口か」の時に参考とした本です。手織りに役立つとは言えませんが、私の織についての考え方の基本となる本の1冊と思います。

織に興味があった30年ほど前に、一般の書店で購入しました。
力織機運動、紋紙、把釣、棒刀仕掛・・・織物の生産に関する記述も多いのですが、数多くの組織図が名前と共に載っているのに魅かれ、随分迷ってから買ったという記憶があります。当時から、紋織り・・・織物の組織変化で柄が織りだされるの布、それも、海外の布地・・・に興味があったのだろうと思います。


増補 織物組織意匠法 田島 弥一著 京都書院 昭和56年3月20日発行

序言には、「紋組織(織り柄の布)の知識を得たい人の為め著者が多年の経験にもとづき書いたものであります。」と書かれています。

著者は、明治36年、群馬県桐生市生まれ。京都西陣にて織物意匠図を修業して、独立後は外国織布を分解して組織を研究。

著者の経験をもとに書いたため、機械学校の教科書と異なる点も多くあるというのは、紋織の基礎知識に重点をおいているためかもしれません。


製織篇、機械装置篇、織物組織篇、織物分解篇、紋彫篇、組織図篇と付録 織物原材料篇及染織篇から構成されています。織物組織が主ですが、初心者のために製織と機械装置の基礎知識から始まっています。

織組織では、基本組織から始まり、多くの変化斜文織と変化繻子の組織があります。探していた変化斜文織の英語名はここにありました。特別組織では、11点ほどあり、手織りでも聞きなれた蜂巣織、模紗織、砂子織、昼夜織などの組織図が英語名と共に載っています。昼夜織はCheckerboard Weaves。手織りとは異なり、朱子や綾で表裏が同じとなる組織が3点掲載されています。

手織の昼夜織は、次の章の「特殊織物」の重ネ組織にありました。経二重紋織が同じ組織で、袋織、ピッケ織、キルト織、風通織などが同じ分類になります。
組織図だけではわかりにくい多層組織、ゴブラン組織や襞織、コール天、タオル織、紗織、平絽、羅織などはイラストで説明があります。また、織機に専用の装置を付ける特殊な織は構造や仕組みが図解されています。

最近は見かけなくなったコート地用の凝った組織、ドレス地用の特殊な織・・・名前を見るだけで、懐かしくよみがえってきます。

紋織物を生産する織機は電子化され、紋紙がなくなり、仕事のやり方は大きく変わったと聞きます。でも、組織や考え方までがなくなるわけではありません。
意匠を専門とする著者は、紋紙を製作する人や織り手に確実に伝えることができるようにと組織の名前や定義を丁寧に整理されたのだと思われます。

趣味の手織では、古くからある内外の織り方や組織に目新しくインパクトのある名前がついたり・・・。経緯も理由もはっきりせず、意外に感じる事が多いのは寂しい気がします。

織と布・・・大切にするのなら、伝えられてきた名前と意味も大切に。

2014年3月19日水曜日

「ろくろ機は下口開口」への返信

手織の用語の和訳についてです。コメントをくださった方ではなく、読まれた全ての方への返信です。

北米ではジャッキ式/ジャックルームが主流となり、タイアップ図も織もアメリカ独自のスタイルが普及した・・・少し詳しい方ならご存知のことだと思います。ですから、織機はタイアップとの関係や経糸の掛け方などをみれば、アメリカの手織に対応しやすいかどうかを知る手掛かりとなり、さらに発展するアメリカの多綜絖の手織に適した本格的な織機が考えられるはずと書いたことがあります。

ところが、ふだんお使いになっている表現や学ばれた内容と違ったために勘違いされたようで、手織機の種類について、ジャックルームをはじめ、さまざまな織機の構造と分類などの説明をいただきました。また、「綜絖は下がる」ではなく、ろくろ式は「下口開口」と書くべきとのコメントをいただきました。

どうやら洋式手織機を説明するコトバは従来とは違う意味で使われ、道具(織機)の理解の仕方も解釈も違うらしい・・・と途惑っているうちに、本題は薄れ、認識の違いに終始しました。


さて、この時に疑問に感じた『ろくろ式は下口開口』は、やはり誤訳と考えます。なぜ気づいたのか・・・・書きとめておくことにします。長くなりますが、省略せずに。

先日の米国の組織図の解説書を読んでいたときのこと。ジャックルーム、ろくろ機、天秤式織機のイラストとタイアップを組合わせた説明がありました。コメントをくださった方は、この3タイプを比較する説明のしかたで織機の構造とタイアップを同時に学んだのではないかと気づきました。

まず、イラストと従来の英語の表現を組合わせると、次のようになります。
ジャックルームは、”rising shed” loom/ライジング シェッド ルーム⇒上がる・開口・織機⇔〇印のタイアップ図
ろくろ機は”sinking shed” loom”/シンキング シェッド ルーム⇒下がる・開口・織機⇔×印のタイアップ図
カウンターマーチ機は、”~ing shed loom" という呼び名で書かれているのを見たことはありません。(現時点では)
shed は開口 loomは織機です。

この本(1993年初版)で、著者は、ろくろ機について「”sinking shed” loom/シンキング シェッド ルーム”という言葉は誤解をまねきやすい表現だ。綜絖は上部のろくろや滑車でもう一枚の綜絖とコードでつながっているため、綜絖は下がるだけでなく、つながっているもう一方の綜絖は上がる。」と書いています。ジャックルームが一般的なアメリカだから起こりがちな誤解です。この著者は、従来とは異なる”shaft rise or sink to form shed"⇒「開口するために綜絖が上がる。 または 下がる。」という綜絖の動きを取り入れた新しい表現を使っています。

ともあれ、私は、ライジング シェッドは「綜絖が 昇る/上がることでの開口」 シンキング シェッドは「綜絖が 沈む/下がることでの開口」と、そのままイメージしていました。これを「上口開口」、「下口開口」と和訳したと思われます。
 

さて、私が初めて手織りを習ったころ--1970年代は、タイアップ(結び)は印の所を結びなさいと教えられました。結んだ綜絖は踏み木を踏むから「下がる」・・・これが当たり前でした。伝統的な踏み木のある手織機の世界では共通する基本でした。アメリカでは全く新しいタイプの上口開口のジャッキ式織機と組織図が一般的に浸透した頃かと思います。

当時の日本では、開口という言葉は織り方の説明で使われていましたが、上口開口、下口開口という言葉は手織では、使われていなかったと思います。しかし、名称とイラストは・・・どこかで見た記憶がありました。

増補 「織物組織意匠法」 田島弥一著 京都書院刊 昭和56年3月発行 

本棚に残っていました。工場で生産される布の組織についての本で、力織機(りきしょっき/生産現場の動力機)の基本的な説明もあります。P10の「開口運動(Shedding Motion)」の章です。写真見えにくくてすみません。

これを見ると、左上;上口開口(Over shed)・・・ジャックルームの開口と確かに同じです。
中央;下口開口(Under shed)・・・イラストを見ると、ろくろ機の開口とは明らかに違います。上口開口をひっくり返した形で、素直に「下にのみ動いて開く口の形」と納得できます。

イラストからすると、経糸が上下に同じ距離を動いて開口するろくろ機は、右上;中口開口(Center shed)にあてはまります。カウンターマーチ機だけが中口開口ではありませんでした。


力織機の場合、「その織機の綜絖が開口するために 上がる/下がる/動かない」よりも「どの開口をする織機を選ぶことでいかに早く安定して織れるか」という生産性との関係です。つまり、上口開口や下口開口などの言葉は織機の構造の部分の「性能」をしめす言葉といえます。調べると、最近は手織機の構造の説明にも使用されており、ろくろ機は「中口開口」となっています。

上口開口、下口開口、両口開口(中口開口の間違い?新語?)・・・・・・「○印、×印、両方結ぶ。覚えやすいからいいよね。」と思うかたもいると思います。しかし、構造で使われてきた言葉をタイアップに使うと、
1.構造の話?タイアップの話?相手に通じなかったり、誤解される場合もあります。
2.組合わせて覚えれば、構造とタイアップの両方を一度に理解できるようなに気になりますが・・・構造は中口開口で、タイアップでは下口開口という矛盾した織機が存在することになります
偶然に生産現場で使われていた言葉と一致してしまったのかもしれませんが、sinking shedを下口開口と訳すのは、誤解をまねきやすい表現と言うより、誤訳になると言わざるを得ません。

カウンターマーチ機は、構造は中口開口で、タイアップでは両口開口となるようです。どちらも口開口とつくのでわかりにくいと思うのは私だけでしょうか。

英文では、手織りの場合、力織機につかわれるOver/Under shed や Top/Bottom shedという「開いた状態と性能」を表す言葉 ではなく、Rise/Sink という「動きを表す単語」を使っています。
瞬時に開閉する力織機の開口と異なり、実際に踏み木を踏んで、綜絖の上がり/rise下がり/ sinkを楽しみしながら織りをする・・・手織りらしくて、わかりやすい表現だと思います。この英語の意を酌むという点からも、日本語訳として「上口開口/下口開口」という言葉が本当に適切かどうか・・・そのままの「上がり/下がり」でわかりやすいのか・・・・一考がいると思います。

そして、アメリカの"sinking shed” loom/シンキング シェッド ルーム という表現は、ジャックルームが登場し生まれた。カウンターマーチの説明もジャックルームに呼応している。・・・・と気づけば、もっとわかりやすくなるはずです。

※読み比べができず双方の主旨がわからなくなるので、掲載文を訂正するのはやめてください。コメントではなく、具体的な意見のある方は、手織りを学んだ方法や場所、米国式、北欧式、日本式のいづれなのかと経歴などのプロフィールを書き添えてください。投稿は簡潔にお願いします

2014年3月18日火曜日

洋書;THE COMPLETE BOOK OF DRAFTING FOR HANDWEAVERS

色や風合いの組合せに思いをめぐらすのは、自由で楽しい。でも、織機や組織は多くの人によって考えられ、受け継がれてきた訳ですから、自己流の解釈をしたために、無駄な苦労をしていたり、間違いに慣れてしまって直せず先に進めなくなったり・・・・では、もったいない。

ドラフト/組織図の解説書は、多くの方が書いています。選んだのは、Madalyn van der Hoogt著「THE COMPLETE BOOK OF DRAFTING FOR HANDWEAVERS」

The best of Weaver's シリーズで組織の説明を読んだことがあるので取り寄せました。

前書きによると、著者は元は学校の英語の先生。課外授業で、Shuttle Craft Bookを手に織り物をしている人に会い、「私も、織機と本があればすぐに織れると思った。ところが、必要な道具と知識を組合わせるのに4年かかった。」と書いています。「初心者だった私には、次々と現れる組織・・・ツイル、オーバーショット、プロファイルドラフト・・・まるでジグゾーパズルのつながらないピースをつなげようと奮闘しているようだった。」と。

この経験をもとに、これから織る人がさらに先へ進めるように、わかりやすく解説した本を執筆したということです。

各章の初めに使われる用語とその説明がありますので、意味を確かめてから読み始めることができます。
組織図の基本では、図と生地の関係を多くのイラストを使ってわかりやすく説明してあります。読み方、書き方、基本組織の理解。タイアップと織機の関係は、誤解しやすい点が書かれています。イラストを見るだけではなくアメリカの解説書であることを忘れずに 読むこと がポイントです。

手織特有のまぎらわしい点や用語を普通の初心者にもわかりやすいように丁寧に説明しています。さすが元学校の先生。ひとつひとつ丁寧に言葉を選び、経糸と緯糸の交差の仕方はイラストや写真を多用して細かなことまで説明するという姿勢が貫かれています。もし、日本語に訳すならば、著者の思いやアメリカの状況、言葉の持つ意味を大切にしてほしいです。

一般的な組織図についての基本は24ページで終了。残りの110ページは、ブロックウィーブのプロファイルドラフトの説明から始まり、オーバーショット、ユニットウィーブのレースやダマスク、タイユニット、2重織・・・・それぞれの組織、タイアップ、綜絖通しの特徴と考え方がイラストと写真を交えながら続きます。最後にターンドやネットワークなど特別なテクニックの説明があります。

日本と違って、布サンプルをほどき、組織図を書いて綜絖通しと踏み木順を書き起すというやり方は載っていません。さまざまな組織の理解と応用のために書かれた本です。


パターンブックから選んで織るだけでは飽き足らない方。著者と同じあの本を読んで、それぞれの組織の違いをもっと詳しく理解したい方にお勧めです。

うっかりすると、「綜絖をたくさん使ったから、多綜絖の柄・・・だから、すごい」と、織機の前では考えがち。
組織を正しく理解すれば、「こんな柄が織りたいから・・・・この組織で多綜絖になった。」と本来の考え方に戻す余裕が生まれるはずです。

2014年3月12日水曜日

オーバーショット ひとまず終了

オーバーショットというと、「右足で平織、左足で柄織の踏み木を踏んで、細い糸と太い糸を・・・・」と、織り方を習います。これは、オーバーショットだけの織り方ではなく、タビー(平織)がある織り方・・・モンクスベルト、サマー&ウインター、クラックルウィーブなど・・・に共通する織り方/手足の動かし方、を練習したことになりました。

オーバーショットの楽しさは、柄綜絖と地綜絖が入替わり、組合せも変わり、4枚綜絖6本踏み木で様々な柄が織れること。時代を超えて受け継がれてきた多くのパターンがありました。
今回は、パターン集から柄を選んだのですが、4枚綜絖で簡単にブロック・セオリーが実感できるのも感激の一つ。ブロンソンレースやサマー&ウインターなどでは、かなり枚数を増やさないとブロック・セオリーを楽しんで・・とまでは言い難いので、オーバーショットは さすが です。

タイアップと踏み木順がなくても綜絖通しから組織図が書けたり、写真からいきなり綜絖通しが書き起せたり・・・ミステリアスな組織です。本当かしらと思いながら、この間、書き起した組織図は、大小合わせて約20点。
2013年4月30日に「綾織終了」で感じた「無限に変化する可能性」は間違いではなかったようです。

「ブロック・セオリー」という言葉と出会い、もう一度手織りをしてみようかと道具を準備し使い方を調べ、英語に磨きをかけて・・・・2年1か月。やっと、入口へたどり着きました。

オーバーショットは、・・・今回は、ひとまず・・・終了です。

2014年3月11日火曜日

オーバーショット#5 すべて綿糸のクオリティーで

約100cm幅で綿糸16/2を1010本。8mほど巻き、最後まで切れたり縺れたせずに織れれば、「経糸準備の基礎編は合格」と決めていました。その経糸が最後になりました。残りは約1m。


せっかくですので、柄糸も綿糸にかえた新しいクオリティーを織ることにしました。

適した太さで手元にある色糸は、1色。
いろいろな配色を作れなくて残念。次の課題はストックする糸色の選定でしょうか・・・。



緯の地糸は、ブルー。柄糸は、イエローグリーン。

パターンは、タイアップを変えた Fish in the Pond。

フレスコのような色彩と凹凸感が気に入っているのですが・・・・

タビーは、経糸と緯糸の色の差、濃度の差がありすぎてはいけないと書いてありました。

したがって、失敗例の配色です。



織り上がると風合いも、広い面で見たときの印象も違うので、ひたすら織ることにしました。

織機からおろすと思ったほど凹凸感はなく、しっかりとした風合いはテーブルクロスやランチョンマットに良さそうです。
この濃度差でこの程度・・・。この色相差でこの程度・・・。なるほど。

経糸は最後までトラブルなく織り終わり・・・次のステップへ進むことにします。

使用組織;A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS  P.127
8枚綜絖 10本ぺダル
筬;100本/10cm
使用糸;経糸 綿16/2 
緯糸 地糸 綿20/2ブルー 柄糸 綿10/3イエローグリーン  
 サイズ;100×100cm

2014年3月7日金曜日

オーバーショット#4 8枚綜絖 Fish in the Pond

先日紹介したThe Shuttle-Craft Book からのパターンと書かれていますが、みつかりません。たぶん元のパターンは4枚綜絖で、Sue Beeversさんにより8枚綜絖にアレンジされた組織です。


ローズの返しのスター/星の柄だと思って選んだのですが、柄名は、Fish in the Pond/池のさかな。
どこに”さかな”がいるかと思えば、星の輝きの間に2つ並んでいる紡錘形。上から見た”さかな”が2匹並んで静かにいる様子となるようで・・・・魚を食する私たちが思い浮かべるのは、皿にのった横からの姿。ずいぶん違います。


柄糸が浮き、レリーフ状に浮かび上がるオーバーショット。「織物は立体です」を改めて、実感させてくれます。

一見、4枚綜絖と同じように見えますが、地組織の組み方に違いがあります。布地としては、よりしっかりとした感触です。








使用組織;A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS  P.127
8枚綜絖 10本ぺダル
筬;100本/10cm
使用糸;経糸 綿16/2 
緯糸 地糸 綿20/2イエロー 柄糸 ウール2/10グリーン  
 サイズ;100×120cm