天秤式の上皿付ハカリ・・・・・・・カウンターマーチ・スケール?何だかおかしい。「天秤」の訳を「カウンターマーチ」というのは織の世界だけ? 「天秤」は、a balabce だ。上皿天秤は、 a druggist's scales、an even balance。。 。少量の薬などを量るのに小学校の理科の授業で使いました。
毎回分銅を載せ替えて慎重に左右が釣り合うをみるのも手間なので、天秤がないハカリがほしいと思いました。台のような本体があり上に皿があるのは「上皿ハカリ」。小麦粉や野菜、毛糸などの重さが知りたい時に普通に使う「台ハカリ」でした。
薬品を量るという用途で同じ性能や精度があるのは、「上皿電子天秤」。丸い皿や棒のような天秤は無く、見かけはおしゃれな台ハカリのコンパクト版。でも名前は、「上皿天秤」でした。精度は同等以上で格段に優れていますが、趣味で使うには高価で手が届きませんでした。
上皿天秤は、even⇒平坦な、同じ高さの balance⇒バランス、釣り合う か・・・・では、カウンターバランスは? ・・・・・・・調べたので、書いておきます。また、手織の用語についてです。
織機の輸入代理店さんに聞けば、すぐ説明してもらえることだと思うのですが。。。。私の所見です。
※3月21日にフィンランドよりコメントをいただきました。加筆訂正の必要があるところにアンダーラインを引き訂正をしました。詳しくは、コメント内容をご参照ください。
Counterbalance カウンターバランス・・・英和辞典では、釣り合わせる。平衡させる。相殺する。不足を補う。ほとんどの辞書に載っていました。
その言葉の通り、両端に綜絖を1枚づつ吊り下げて、「片方が下がれば、もう片方が上がる。」「下がった分だけ上がる←相殺する」という動きで、織機の開口のことだとわかります。
米書では、ろくろ機のイラストしか載っていないので、カウンターバランスをろくろの英訳名と思っている方も多いようです。北欧では滑車とホースを組合わせた織機をカウンターバランスと呼びます。ろくろは、カウンターバランスのローラードエル式。北欧には、多滑車のドレルプーリーなどいろいろな種類があります。「綜絖をつり下げ、片方を引き下げることで、つながっているもう片方が上がって開口する織機」の総称、つまり、グループ名だということになります。
さて、カウンターマーチ。欧州各国から移民とともにさまざまな織機が入ってきたと思われるのアメリカでは、カウンターマーチとカウンターバランスの2タイプに分類されています。
Countermarch カウンターマーチ・・・・英和辞典では、反対行進、回れ右。この訳では意味不明でした。
日本語の「天秤」という言葉が持つ「釣り合いをとる。バランスをとる。」という意味はありません。
ふと気が付き、英英辞典 WEBSTERを調べてみました。a march back or in the opposite direction. a marching movement ...(略)...reverses its direction....
Opposite direction、Reverse・・・この単語なら、綜絖の動きを言っていると想像できます。綜絖を上と下の反対の方向に動かして開口させること。これなら、実際の動きとも一致します。
カウンターバランスと同様に、綜絖を動かすときにこの特徴を持つ織機の総称、グループ名と考える場合もありそうです。この綜絖の動き方で開口させる方式や構造はいろいろ考えつくことができそうです。
実際の天秤がない織機で、この綜絖の動き方を動画で大写しにしてカウンターマーチ・システムとHPで紹介しているアメリカの会社もあります。システムとつけることで、北欧の織機/Countermurch loom と区別しているようです。
日本では、カウンターマーチは天秤式織機と訳されていますが、「上部にある天秤で、綜絖、招き、ペダルの重さの釣り合いをとる方式の織機だから天秤式」というのは、織機の特徴である天秤を名称にした日本やフィンランドの呼び方
一方、カウンターマーチ・システムも「天秤式」と訳されているようです。また、本などで「カウンターチ(天秤式)」と書いてある場合は、「日本名に訳すと天秤式織機」という意味だと思います。なお、国産品で天秤のある北欧の伝統的織機と同方式の織機を、製作所は、カウンターマーチと書かずに「天秤式」と表示しています。
最後に、天秤式織機を、「織り幅が広い洋式の本格織機で天秤がある」とイメージしている方も多いようですので、稀なケースだと思いますが、私のように、「上部に天秤のある北欧の伝統的織機とほぼ同じ織機」だと認識している場合について。
天秤式と名前にある織機は・・・見かけが異なり、生産地や構造が違っていたとしてもほぼ同じ・・・つまり、北欧の織機とほぼ同等の性能があると受け取ります。北欧の特徴的な麻のスウェディシュレースのような薄物から、リヤ、フロッサ、裂き織などのラグやマット類まで問題なく織れ、踏み木の軽さも同程度だと。
道具としての構造よりも用途や性能を重視した一般的な表記、つまり、天秤がなくても粉薬を量ることができる性能があることを「上皿電子天秤」という名前で示しているのと同じ考え方です。
日本語の「天秤式」には、少なくとも5つの意味があることになります。
1.綜絖、招き、ペダルの重さの釣り合いをとって動く織機
2.綜絖を上下にひっぱって開口する⇔Countermurch sysytem
3.織幅が広い洋式の本格的織機で天秤がある
4.北欧の天秤のある伝統的織機⇔Countermurch loom
5.天秤のある北欧の伝統的織機と性能が同等の織機
あなたのイメージする天秤式は何番ですか?
私は、古い人間なので3と5番。日本と海外では考え方が違うのですから、4番の和訳は、「天秤式」ではなく、カタカナの「カウンターマーチ織機」だと気がつきました。
「カウンターマーチ」を「天秤式」と訳すのがまぎらわしくなる原因・・・のようです。
※読み比べができず双方の主旨がわからなくなるので、掲載文を訂正するのはやめてください。具体的な意見のある方は、手織りを学んだのは、米国式、北欧式、日本式のいづれなのかと経歴などのプロフィールを書き添えてください。投稿は簡潔にお願いします。
北欧のカウンターバランスのホース/ニックピンの部分の特徴から、この織機をろくろ機と区別して天秤式と呼ぶ人もいます。
したがって、「天秤式」は1つ増えて6つの意味があることになりました。(追;2014/06/05)
こんにちは。ご無沙汰しております。
返信削除フィンランドの機織しか知らない、くうっけりです。
フィンランドでは、いわゆる「カウンターマーチ」の機を、vipukangaspuut とよんでいます。
-kangaspuut という部分は「機」の意味です。vipu の部分が何を意味するかというと、「てこ」。あの「てこの原理」のてこです。てこの力を利用している棒自体のことも vipu といいます。そんなことから、機の上部についている、軸を中心にして動く板自体も vipu という名前で呼びます。で、機自体も vipukangaspuut となるわけです。
フィンランドの機としてよく知られているタイプですが、もともとはドイツから入ってきたものです。ドイツ語ではどう呼ばれるか知りませんが、フィンランド語の名前は、翻訳してつけられたのではなく、独自のものっぽいです。
もしかして、日本で使われている「天秤式」言葉も、必ずしも英語から翻訳しているわけではないのかも…。もうひとつふと思ったのは、「カウンターマーチ」の発祥の地はどこなんだろう? ということです。発祥の地は英語圏で、最初から countermarch と名づけられていたのかもしれない。あるいは、もしかすると、それは英語圏外で、その国の言葉が countermarch と英語に訳されたのかもしれない。もしそうだとしたら、本来の言葉と countermarch はまったく同意なんだろうか…
そんなことを考え出すときりがないんですけどね。
それぞれがそれぞれの考えで名前をつけたり訳したりするから、混乱していくのかもしれませんが、言葉は生きているし、人それぞれ理解の仕方も違うし、仕方ないのかな、とも思ったりします。誤解が生じないのに越したことはないのでしょうが。
ところで、『図解 染織技術事典』(柚木沙弥郎監修 田中清香・土肥悦子共著 理工学社)という本の中に、代表的な機の仕組みについての簡単な解説があります。私はそれを見て、フィンランドのカウンターマーチはやはり「天秤式」といえるのだと解釈しました。そして、「天秤式」が「カウンターマーチ」の翻訳だとすれば、それは直訳ではなく「意訳」なのかもしれません。
いずれにしても、言葉というのは難しいですね。
いつも貴重なコメントをありがとうございます。
返信削除北欧の織についても英文で読んでいたのが、大きな盲点でした。
いつの間にか米国が中心の思考になっていたようで、まさに言葉は考え方そのものですね。
日本の天秤式は、北欧のvipu の訳だと思います。諸事情を考えても。Countermarchからの和訳ではないと思います。
手元の英語の資料を少し調べたところ、Countermarch機の説明に、「北欧や欧州のdesignの織機がアメリカ合衆国に、より適してより一般的にふさわしくなってきているいる。」という記述を見つけました。
語源は、英語と近いといわれるドイツ語あたりのような気もしますが、現代のアメリカにあうように洗練されたデザインの織機を、Countermurchと呼ぶということになります。
古い本では「北欧の二重に結ぶ織機」とか表現されていたりするので、Countermurchという言葉が使われ始めたのは比較的最近(この20~30年ぐらい)ではないか?と
北欧の訳が天秤式で、北欧州発アメリカ経由がカウンターマーチということになりますね。
どちらも出発点が同じで、構造に大きな違いがなく使い方も同じならば、織る人にとっては、天秤式とカウンターマーチは同じ。
ただし、カウンターマーチ・システムなどコマーシャリズム(商業的)ともいえる解釈が入る場合もあるので、カウンターマーチをさらに天秤式とは訳さないほうがやはりよさそうです。
今回コメントをいただけて、なんとか整理ができたようです。ありがとうございます。
ブログを書いているだけなのですが…自分で説明ができるコトバを使いたいと思っています。
長い文章を最後まで読んでくださっただけでも感嘆で、丁寧なコメントまで頂き、感謝しています。
ご紹介の本、読みましたらBolg-upします。
訂正を入れました。
返信削除ジャックルームを除くと日本で販売されている海外の織機は、主に北欧製なので、織機の分類や織り方まで基本はすべて北欧という思い込みがありました。米国の書籍には、北欧の書籍をアメリカ向けに訳したものと、米国で発展した考え方や織り方を書いたものの両方があるのですから、混乱しないように注意したいと思います。
長年、海外の織機や手織りについて曖昧としていたことがはっきりとした感があります。
ありがとうございました。