2014年3月25日火曜日

書籍;初級技法講座 「織物」用具と使い方

私が、手織を始めた30年前に、『カウンターマーチ』という日本語を始めて目にしたのは、この本だったように思います。

初版 基礎技法講座7 「織物と用具の使い方」 美術出版社 1980年版
著者は、WEB TEXTILE 水町真砂子氏とグループで活躍していた北欧や関東にある美術系大学や学校を卒業された6名。当時は海外の織機を使って作品制作をする人のための基本的な事項が書かれた初めての手引書と聞きました。

現在は、改訂刷新版 初級技法講座 「『織』」用具と使い方」 1996年版 水町真砂子 著
織の変遷、基本組織が詳しくなり、ファイバーアートや海外の組織の布のカラー写真が追加されています。

著者は、Stockholm stadmissin vavskola/ストックホルム・スタードミネホーネン・ベ-ブスコーラ卒とあり、大型の織機の写真からも 「北欧の織機と織の基礎」 の入門書と思い込んでいました。

今回、よく見ると巻末の参考文献には、米国書籍ばかり約40冊がありました。
実は、アメリカの織にお詳しいので、スウェーデン語のコントラマルシ/ Kontra marshではなく、カウンターマーチという言葉を使われたと思われます。各ページのタイトルや部品名も、英語表示が添えてあります。


内容は、織の変遷、基本組織と組織図、織機の組み立て方、国内外各社の織機の紹介といろいろな道具、実際の平織ブランケットの制作を通しての手順の説明、手紡ぎ、素材・・・基礎の知識とやり方が簡潔に書かれています。

脚踏み式の織機の種類では、現在のアメリカの呼び方とは異なり、ろくろ機がローラー式、下ジャック式とあるのは、綜絖の下にジャッキがあるという意味からジャックルームのことと思われます。

北欧と米国の双方の手織り基礎を取り入れた著者グループによる考え方と仕事のしやすさから生まれた説明と手順と思われます。

組織図は、綜絖通しとタイアップ図を図の下に書き、タイアップ図を「白と黒く塗りつぶす」北欧式です。下ジャック式のタイアップはアメリカ式ではなく、北欧式に置き換えて、白と黒を反転して説明してあります。綜絖は番号を付け、手前(下)から1234・・とするアメリカ式です。

カウンターマーチでは、ろくろ機を下口開口としてタイアップが説明されており、下招木を手前にすることからも当時のアメリカ式が取り入れられたようです。

経糸の準備の仕方は、スウェーデンでは入門機ともいえるカウンターバランスを使って書かれています。カウンターマーチの場合は、初めから順を追って書かれていないので、わかりにくいのですが、ノルウェーやアメリカのやり方とは異なるようです。


説明の写真では、経糸を巻く時は2-3人で引いています。また、この本のやり方では、バックビーム近くで経糸を通し終わった筬や綜絖を一人で動かせるのかなぁ・・・・等々。やはり、大型のカウンターマーチ機は、アシスタントのいるアトリエや工房での作品制作に使う織機で、一人では使えないでしょうとあきらめたことを思い出しました。

1980年の出版ですので、その後、各社の織機ややり方などは改良されています。

1 件のコメント:

  1. 最近のアメリカの本では、ろくろ機は、まぎらわしい表現が使われてきたため、下口開口機と誤解した説明があったこと。筬と綜絖が近いほうが杼口が大きくなるので、下ラムを下げるコードは綜絖の前ではなく後ろにするのがよい とされています。

    なお、この本の表示とことなりますが、ガイドビームは、Knee beam、ドロップパットは、Counter jacks、アンダーラムは、Lower lam 、ペダルは、Treadle、ハンドルは、Ratchet wheel が使われています。

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