2016年2月26日金曜日

ブロックダマスクのテーブルマット

ホテルや高級レストランで使われている分厚くて真っ白なサテンのクロス。布の柄を思い浮かべると、まず、アカンサスの葉の柄・・・いわゆるアカンサス文様の類です。ですから、有名なテーブルコーディネーターの先生からテーブルクロスやナプキンなどの基本の柄は、「市松格子」と教えられ腑に落ちなかったことがあります。

ジャカードやダマスク装置がない時代から織られていた(?)装置がない人でも織ることのできた(?)のが、このブロックダマスクの「四角を基本にした柄」なのだろう・・・・と、自分で、実際に織ってみて、今頃になり、納得しました。

ドレルプーリー/朱子織のための滑車 を使って織る 10枚綜絖。
綜絖バーの厚みを考えると、綜絖枚数の10枚は一般的な使いやすさの限界のようです。それで、2ブロックパターンの5枚綜絖のダマスク。

2ブロックは、かなりの制約とも思えますが、考えればそれなりにいろいろな柄ができます。


今回は、初めてなので、経糸本数と相談して、最もベーシックなパターン。

飛ぶので、かぞえにくい緯糸の本数は、経糸の浮の数でかぞえました。つまり、「ひと浮」が5本。
今回は、ミミ組織は作らず、フローティングも使わず、そのままです。

久しぶりに、経糸に綿麻を使いましたが、とても、とても・・・織りやすい。まさに、このためにこの織機は「ある」といいたくなります。


欧米では、結婚する娘に、手織りをしたテーブルリネンを持たせたという話を聞いたことがあります。この風習からか・・・・手織りとこの織機が、文化として大切にされていることを実感。

参考書籍;Warp and Weft
10枚綜絖 10本踏み木
筬;35/10cm 4本入れ
経糸;コットリン エクリュ 22/2
緯糸;リネン生成 40/2
サイズ;400×32cm
プレイスマット;6枚

2016年2月19日金曜日

ブロックダマスク織り始め

500本程度なのですが、かぞえ間違いして、手間取ること、手間取ること。

サンプルをちょこっと織って、この組織をマスターしたと公言する手もあるのでしょうが、やはり、何を作るか決めて、柄を割り付けるから、間違いあるし、学ぶことも、気づくこともあり・・・。

やっと織り始めたのですが、なんだか?が右の写真の下の部分。

経糸はコットリン。緯糸は紫色のコットリンを黄色にかえたり、麻にしてみたのですが、どうもイメージとは違います。

2日ほど手が止まって、やっと「打ち込みが足りない」と気付き、織ったのが上半分。
柄がはっきりして、心なしか・・北欧の薫りがしはじめますから、不思議です。

30年ちかく謎だった「三角の滑車/ドレルプーリー」で、ランチョンマットの織り始めです。5枚朱子のブロックパターン。綜絖枚数は、もちろん10枚。

カウンターマーチとは?カウンターバランスとは?
国によって主に使われる手織機は異なり、組織図も異なり、時代によっても異なり・・・。
そして、朱子織りの飛び数とは? 

ずっと持ち続けていた疑問をひとつひとつ・・・・若さはなくなりましたが、時間の余裕があるのは素晴らしい。何事にもじっくりと向かい合えるので、歳をとるのも悪くはありません。



2016年2月9日火曜日

洋書;Warp and Weft

見逃してそうなタイトル名ですが、スウエーデンの織機メーカーのUSAのホームページで紹介されていたので、購入しました。古くから親しまれてきた本のようで、これは、改訂拡充版の英語版。

「Warp and Weft」 LESSONS IN DRAFTING FOR HANDWEAVING
著;Mariana Eriksson, Gunnel Gustavsson, Kerstin Lovallius  
出版;2008年 英語版2011年

『すさましい勢いで19世紀半ばに工業化がやってきたときも、私たちの織物に関する知識の伝統は変わることがなく、私たちは織るのをやめなかった・・・・』という書き出しで始まります。

手織りの伝統といえば、師匠から受け継ぐ「技」をイメージする私たちとは趣が異なるようです。

また、スウエーデンの織りというと、絵織りやパイルなど指やステックを使って1本ずつ糸をひろい織り出していくイメージをもつ方も多いと思います。しかし、この本は、織機で柄を織り出す・・・つまり、綜絖通しとタイアップと踏み木順で、組織を変化させたり、柄を織り出す組織ばかり。それぞれのジャンルごとに簡潔でわかりやすい組織の構造の説明、完全組織図と布のカラーの実物写真とで編集されています。

スウエーデンの手織りですから、組織図は□と■で描かれていて、経糸がシロ/□です。カラーエフェクトやオーバーショットなども若干ありますが、綾織で朱子に近い印象の組織なども興味深く、朱子組織をベースとする変化組織やダマスクなども多いのが特徴と思われます。

初心者向けに平織と変化組織、綾織と変化組織、朱子とブロックダマスクから始まります。コード、クレープ、ピケ、カラーエフェクト、ダブルウィーブ、そして、ランパスなど上級者向けの複雑な組織まで順を追って編集され、最後にドロールームを使うダマスクの説明もあります。

この改訂版では、技法を従来の2倍に増やし、200点近い完全組織図やプロファイルドラフト、現物のサンプル写真を掲載したとあります。

4枚綜絖までの組織は、70.点程。平織やハーフドレル、オーバーショット、レースウイーブなど、よく見かける組織です。5~10枚綜絖は100点近くあります。北欧の8綜絖のカウンターマーチ(天秤式)織機を使って織るためのさまざまな組織・・・・・が学べることがこの点数からもわかります。11枚綜絖以上は、10点ほどです。掲載されている組織の綜絖枚数からも米国との違いを実感します。

このところ話題にしている朱子組織については、飛び数1から順番に書いて、朱子組織になるもの、ならないものを実証するという説明のしかたがされています。算数が数学になる前から、織物はあったはずですから、「2つにわけ、公約数とならない・・・云々」という従来の説明より手織りをする人には実際的。改訂版を出版するにあたって、図を入れ説明をわかりやすく見直した点なのでしょうか?

スウエーデンの手織りの本は、作品集は見かけるのですが、体系立った組織の本は、少ないような気がします。
単純な綾織の8枚綜絖だけでは満足できず、北欧の多綜絖の織機の性能を生かした織と組織を理解して、楽しめる本です。組織図と布のカラーの実物写真が1つずつ丁寧に組み合わせてありますので、英文を読まない人でも推察できます。

2016年2月5日金曜日

漬物石

好物の白菜など漬けようかと思っただけなのですが、この漬物石、一人で経糸を巻くときの「おもり」に良さそうです。

北欧では、はしご?のような専用の道具があるようです。日本では、織機のベンチに結びつけたり、ペットボトルを下げたりする方もいるようです。
整経した経糸をいくつかの束に分けて巻く場合、同じ強さで巻き取るためには、同じ重さであることが肝心。

で、この漬物石。

ご存知の通り、同じ重さを何個でも揃えることができます。そして、

重さは何タイプかある。
重ねることができ、重さを調節できる。
経糸を結びるのに好都合な「持ち手」まであります。

使ってみましたら・・・・こんな感じ。

今回は、幅も30cm程なので、一か所で引いてみました。
使用しているのは、5.5kg 2個。大きさは、直径21cm、高さ10cm。日本製。

経糸巻に、綜絖通し・・・手伝ってくれる人がいるのが最高なのですが、誰もが忙しい時代。贅沢はいえませんね。

2016年2月2日火曜日

5枚朱子と10枚綜絖

30年前からあるこの織機は、10枚綜絖。多綜絖の北欧の織機といえば、普通は8枚のはずなのに・・・・。

日本の手織りの本では、朱子組織の説明を読むと、5枚朱子は最も少ない綜絖枚数の朱子だからと説明によく使われています。ろくろ式織機でもろくろの本数をふやせば織れるという話ですが・・・何を織るのでしょう?


欧米のブロックダマスクは、朱子の表と裏で柄を織りだすので、綜絖は5枚と5枚で10枚。それでドレルプーリーは、綜絖を10枚吊ることができ、綜絖の片方が上げれば、片方が下がるという組織図のタイアップになる・・確かに昼夜が織れます。これをブロックダマスクと呼ぶらしい。

こんなに簡単な仕掛けで、朱子の柄織ができるなんて・・・・先人の知恵はすばらしい。

では、一般的なカウンターマーチの8枚綜絖の場合、ブロックダマスクの組織はどうなるのかと思えば・・・・・4枚綜絖のクロスツイルなどいろいろな組織が使えるようです。確かに、朱子織と判別はしにくい組織もありますね。朱子はもともと綾織の変化組織ということも実感。

どの組織を使うか・・・・それで、プロファイルドラフトが考え出されたようにも思えます。表と裏の組織が入れ替わる境界をいかにすっきりとさせるかがポイントのようです。(写真上;SIMPLE WEAVES 写真下;THE BIG BOOK OF WEAVINGより)


大きな三角形のドレルプーリーの中には、9個の滑車。上から4段は、滑車が2列に並んでいます。タイアップをよく見れば、サテン(朱子)の昼夜を織りだす以外にも、いろいろ使えるのだそうです。

コードを5本使用して、綜絖を10枚吊ってみました。コードの予備がないので、イタリアンとシステムコードの両方を使用・・・。
ホースを使わないので、プーリーはいつもより外側に吊るすことにしました。


アメリカの本によると、同じ朱子組織でも、一般的には、麻で織る/織られたのが「ドレル」で、テーブルリネン類に使われます。他の素材は、「サテン」というのだそうです。そして、「ドレル」と「ダマスク」は違うのだそうで・・・。
漢字で「繻子」とあると、絹の肉厚でとろみのある布を思い浮かべるのと似た感覚なのでしょう。

組織のだけでは、楽しくない原因はこのあたりにありそうな気がします。もちろん、人それぞれだと思いますが・・・。

織るのは久しぶりなので、コットリンを使うことにします。

※文中誤解や間違いでお気づきの箇所があり、ご指摘やご教授等をくださる場合には、手織りを学んだのは、米国式、北欧式、日本式のいづれなのかと経歴などのプロフィールをお書き添えください。