2016年4月29日金曜日

ドレルでローズパスのブロックダマスク

織機に7週間もかかったままでした。たった1.5mなのに。

赤のプレイスマット(ランチョンマット)で両サイドがブラック。織り始めに手間取って、3枚になってしまいました。

ミミ組織には、4本で平織を入れました。ミミ組織のために、わざわざ専用の綜絖を吊るやりかたは、工場で製品として生産する発想なのだと思います。

さた、ドレルプーリーを使うと4枚綜絖のローズパスの組織の裏と表を組み合わせて、大きな柄がつくれる・・・ブロックダマスク。ダマスクは、必ず朱子組織という「決まり事」はないようです。

日本のろくろと基本は同じ仕組みの滑車を使って、大きな柄をつくるという発想。ろくろの3本2段吊りのように装置を工夫したというより、ひたすら滑車の個数をふやしただけという感じさえする単純なドレルプーリー。
この考え方と部品を使えば、裏と表が違う3枚綜絖以上の組織は、どれでもブロックダマスク・・・昼夜柄がつくれることになります。使う側の発想次第で、単純な道具ほど、応用が利くのかもしれません。

日本の手織りでは、「昼夜織り」といえば、経2重緯1重、または、経1重緯2重の風通織の簡素版のような組織のこと。4枚綜絖の織機では、唯一、裏と表を入れ替えて柄を織り出すことができる手法なのかもしれません。この組織を発展させようとすると 3重、4重と増やしていくアイデアになるようです。

「昼夜」と「昼夜織り」は、よく似ていて、まぎらわしい言葉ですが、発展例や応用編を考えてみると・・・やっぱり違うという結論になるようです。

市松の昼夜柄。赤黒の布。

織りあがってみれば、とても日本的な印象です。

使った組織のローズパスは、山道通しの上と下のポイントを同じ綜絖にした通し方。

同じ綜絖に通すことで、4枚綜絖で5ポイントツイルをつくる・・・・・・この発想は、日本にもあったのでしょうか?

綾織を「斜紋織」という人もいます。確かに、紋織物の「最初の一歩」の組織なのかもしれません。









組織参考書籍;
「Warp and Weft」 P.63
M.Eriksson,G.Gestavsson,K.lovallius 著

経糸;コットリン エクリュ 22/2
緯糸;コットンリン 赤 22/2
筬;55/10 2本入れ
サイズ;156×34cm
プレイスマット;3枚







2016年4月26日火曜日

日本語に訳してみようと思えども

「あの説明書を訳したの?」と聞かれて、一瞬、返答ができず・・・。読んだのですが、訳してはいない・・・・・。
では、訳すとどのような文書になるのかと、試してみました。

選んだのは、カウンターマーチの部品と共に購入した Learning to Warp your Loom(織り始めるまでの経糸の準備 のしかた) Joanne Hall著
この本と出会わなかったら、使いにくくて処分もできなかった「北欧の織機」でこんなに楽しく織ることはできなかった・・・・と思うので。

イラストも豊富で、50ページほどの本ですから、2週間ほどで、訳は終わったのですが、当分パソコンの前には、すわりたくない気分でした。
仮に英語力に不足はなかったとしても、和訳は完成せず。どうやら日本語の側にも問題があるようなのです。

たとえば、織機の各部の名称。
織機の基本的な構造は、国内外ほとんど同じですから、イラストを見て、あてはめるだけのはずが、すんなりと 英語1語=日本語1語 になるのは、Reed=筬 ぐらい?

織りあがった布を巻く部分と経糸を巻く部分の名称は、英語は、「Cloth(布) beam(がっちりとした棒)」 と 「Warp(経糸) beam」。 巻くモノがそのまま名まえに。
日本語は、「ちきり」の他に「布巻き」という言葉もあるようですが、「経巻」とは言わず、「おまき」。大切な経糸を巻くという意味で「御巻」かと思えば、男巻、緒巻、尾巻・・・・どの字を使えばよいのやら。

次に、ヨコ方向にわたしてある棒(beam)の類。
ワープビームからの経糸を支える一番後方のヨコ棒は、「Back beam」。日本語では、間長(ケンチョウ)ではなく、「間丁(ケンチョウ)」と書き、「間先(ケンサキ?)」ともいうらしい。何をイメージすればこの名称になるのでしょうか?
織機の前方にあるのが、「Breast(胸) beam」で、日本語も「胸木」。「Knee(ひざ)beam」の訳語は見つからないので、「膝木」という新語を作成することになる・・・・?どうもしっくりしませんね。

最初の数ページで、複数ある日本語からどれを選べばいいか?それとも、複数表記するのか?という疑問と欧米の手織り機の名称や用語を、わざわざ日本語にする必要があるのだろうかという思いが見え隠れしはじめ・・・・・・。

そして、綜絖の類。
手元の本には、「綜絖枠に、綜絖子を収めた全体を綜絖といいます。」(図解 染織技術事典)なるほど、Shaft のことですね。では、糸綜絖は、論理的には、糸綜絖子? いやいや・・・。
綜絖をシャフト。綜絖子をへドルとそのままにすれば、すっきりするのですが、「綜絖通し」という言葉は、どうすればよいのやら・・・・「スレディング」というのは、覚えにくいし、舌がもつれてしまいそう。「シャフト通し」か?「へドル通し」か?
どちらかを確かな根拠もないままに選んで、新語を作成するのは、混乱をまねく気がして感心しません。

これ以外にも、Draft を訳すと、組織図なのか?完全組織図なのか?先生や学校によっても異なるらしいことに気付いてしまったら、しらんふりして訳すこともできかねて・・・・。

さてさて、わたしの頭の中では、英語名と日本語名をかなり適当に使い分けていることがわかりました。

結局、欧米の織機を使うなら、そのまま、カタカナで覚えるのが近道とは思うのですが、日本語もある程度はわからないと、応用やコミニュケーションはできず・・・・。

用語集をつけれるのが、一番の解決策だとアドバイスをいただいたのですが、日本語表現は、同じことばでも意味する図や動作が違う場合も多くあり・・・・、学校や地域、流派で決まっているのようでもなく・・・・・、適当にミックスしているようで・・・・?

えーと、その後、3週間が過ぎてもこんな状態。いつか陽の目を見る日があるとよいのですが。

2016年4月5日火曜日

これも幅出し、あれも幅出し

「手織りを始めようとすると、学ぶことがあまりに多く当惑する。なじみのない言葉に直面する・・・」と、最近、手にした米国の書籍の前書きにありました。確かに。

ですので、いつものことながら、気になった言葉は書きとめておくことにします。おもしろい話題とは思えないのですが。

さて、「幅出し」と聞いたら、思いつくのは、どれですか?

1.仕上げ加工の「幅出し」
両ミミをピンで針して、織や加工の行程中に縮んだ織物の幅を広げて、所定の寸法にすること。
生地の表裏を見わける方法の1つだと習いましたが、布地のミミの部分にある針でさした跡・・・・・幅出しの加工をした跡。ピンで針して行うのがピン・テンタ機。クリップではさんで行うクリップ・テンタ機もありました。
これは、手織りとはちょっと違うようですね。

2.織っているときに、織幅を一定に保つために使う・・・・「幅出し」
「左右にトゲが付いている道具の名まえ。
日本では、竹製で、「伸子」と呼ぶのが一般的?
海外では、木製と金属製があり、スウェーデンが木製、フィンランドは金属製を使う・・・・どちらかといえば、そのようです。
以前、日本では、「ストレッチャー」と言っていたように思うのですが、アメリカの本では、「テンプル/temple」とあります。
この道具は、世界中にあるということですが、主にウールを織る文化圏でも使うのでしょうか?(写真上)

3.整経して束状になった経糸を計画した織幅に拡げることを「幅出し」
仮筬する(写真下)、仮筬通しする、粗筬する、粗通しする、ラドルを使うとか・・・・目的は同じで、違いは、筬を使うか、ラドルを使うかだけなのに。
あまりにいろいろな表現があり、相手により、それぞれ言い直すのが大変なので、「「幅出し」という言葉を使い始めた先生もいるのだそうです。

4.絣の経糸を巻くときに使う「「幅出し」
経糸をビームに巻くときに、絣の柄が歪まないように、経糸の束を小分けして広げ、平行に保つ道具があるのだそうです。産地によって使う/使わないがあるのでは?


どれも、幅を出すから、「幅出し」。話の流れがわかれば、自然とわかる「用語」。
いやいや、織の用語と思うのは、考え過ぎなのかもしれませんね。

織物にとって、いかに「幅」が大切か・・・・ということで、このお話は、ひとまず終えることに。