2014年11月28日金曜日

二重織に再会を期して終了

二重織の2回目ともいえる今回は、いわばアメリカンスタイル。
ブロックの考え方で織りましたのでステックは使いませんでした。
織ってみたいと思っても、今の織機では、綜絖枚数も踏み木本数も足りず・・・。この織機で織れる柄でも、調整が下手なのか?部品を追加改造した織機なので無理なのか・・・?
もしかすると新しい織機が必要なのかもしれません。今の状況ではこのあたりが限界のようです。


初めて手織りを習った時の最後が二重織。この技法だけが、布に自由に柄を織り出すことができましたので、興味は尽きず、濃紺とボカシの組み合わせで星柄を織りだしました。サンプルには、1980.5.15とあります。35年も前のこと。

最近の本には、筬の奥、つまり、筬と綜絖の間にステックを入れて織る方法の説明がありました。
織機が大きく、筬框の上部も厚く高いと、ベンチからのりだすような姿勢でのぞき込み、経糸の本数を数えたり、ステックを入れることになります。この技法も今の織機では、まとまった時間を織り続けるのは無理なようです。
原始機で織る二重織から発展した技法ではないかと思うのですが、日本の先生方は寡黙です。


さて、海外の考え方では、二枚の布を一度に織るがダブルウィーブ/二重織。日本では別扱いの風通織も、海外ではダブルウィーブ/二重織。
レップ織と組合わせたり、袋織、筒織、両面織・・・と織りあがる布の種類はいろいろ。糸使いも太い糸と細い糸を組み合わせたり、片布に収縮糸を使ったり・・・と可能性は無限大で、まだまだ織ってみたいものばかり。
3回めは、素材力ともいうべき センス を磨いてから、再会することになるのでしょう。


二重織は世界各地にある織り方だそうですから・・・・きっと、また、織ることがあるはず。

2014年11月24日月曜日

二重織#6:オーバーショット柄のランナー

オーバーショット柄の二重織が、4枚綜絖の6本踏み木で織れるのは不思議です。
よく考えた人がいるものだと感心するばかり。
ここまでになると、基本的な二重織ではありませんね。

オーバーショット柄は、うっかりすると古くさい感じになるので、モダンに・・・・と、ブラックとホワイトを選びました。

今回は、ニュージーランドのコットリン 22/2。扱った印象は、北欧のコットンリンと同じです。

ホワイトといっても、ブラックと合わせてもしっくりとするように「生成り色」を選びました。色名はクリームです。

織機との相性もあるのでしょうが、何度織っても、コットリンは織りやすい糸だと感じます。


さて、どんなオーバーショットの柄も、このやり方で二重織にできると説明があります。
ただし、シャドウ部分が多いパターンは、はっきりしない表情になるように思えます。モンクスベルトのような柄の方がうまくできるかもしれません。

さんざん悩んだあげく、まずは、本と同じ柄で織ってみることにしました。

短い線でパターンを表していく手法は、東欧の民族衣装に施された刺繍で見ような気がします。

ブラックではなくて、レッドにすればよかった・・・もうすぐクリスマスですから。

参考書籍;The best of Weaver's 『THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE』
 shamrock table runners  by Bobbie Lrwin 
使用組織;4-block, 4-shaft double weave 4枚綜絖 6本踏み木
使用糸;Cottlin 22/2 404ecru,black ashford製  
使用筬;35本/10cm 4本入れ
仕上りサイズ;196×29cm

2014年11月14日金曜日

洋書;A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS

多綜絖を織ってみましょうかと、軽い気持ちで一番初めに買った本です。

A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS FROM THE FRIENDS OF HANDWOVEN 編;Carol Strickler

手織の基礎を教えてくださってのは、女子美術大学でも教鞭をとっておられる方で、もうお一人は、欧州の展示会に作品を何度も出展されている先生でした。

経験から得られる熟練やセンスは明らかに「たりない」としても、基礎はあるという自信のようなものはありました。そして、目の前には、綜絖が10本の織機がある・・・・・組織が書いてある本さえわかれば織れるはず。そんな不遜な、あまりに世界を知らずでした。

本を開けて、タイアップ図をみると、3枚が沈んで5枚が上がるなど・・・・つまり、アンバランスなので、どう入れ替えても、私の持っている滑車とホース(ニックピン)の織機では10枚の綜絖があってもできないものばかり。私の織機についての基本的な知識すら疑わしい・・・・だからといって、いまさら綜絖を1枚づつ動かす卓上機を使う気にもなれませんでした。

今思えば、たとえ「あいうえお」が完璧だったしても、何もしないで「ABCD・・・」がわかるはずがないのでした。


さて、第1章は「綾織」など、順通しで織れる組織。
綜絖通しの図に、「1234・・・」ではなく「DLDL・・」と表示されている場合があります。織りあがりの写真から、Dが濃色、Lが淡色だということは、すぐにわかります。
しかし、実際に織ってみようとすると、経糸の密度を1cmあたり5本として緯糸も同じ密度にすると、8枚綜絖ですから経糸は約1.5cm浮くことになります。そのままでは、小指が通ってひっかかる布が織りあがる・・・細くして密度を上げても、ミミ端ではひっかからない糸が大きく浮いてグズグズになる・・・。この程度のことなら、2/2綾織のミミの織り方や糸の選び方を考えれば解決できました。

最大の「なぞ」は、綜絖通しとタイアップ図の「ABCD・・・」でした。
タイトルにもあるように、数多くの手織をする人たちの組織を集めた本です。この編集者だけが考え出したオリジナルの表記とは思えず・・・どうもアメリカでは一般的らしい。最初にわかったことはここまででした。
この本に掲載されているプロファイルドラフトの柄数は10%以下だと思いますから、わからなくても、8枚綜絖へ発展した 知っている組織 を充分に楽しめます。

さて、今読めば、それぞれの章の初めに詳しい説明があるのですが、ブロックの考え方の基本がないと、???です。ブロック柄のためにあるような織りかた とでも言いたくなる「サマー&ウインター」「オーバーショット」「ハック」「ダブルウィーブ」などで、プロファイルドラフトが登場するのは、あたりまえなのですが、基本を確実に理解していないと迷いが残り、なかなか先へはすすません。


アメリカの著名な編集者が、最初にプロファイルドラフトを見たとき、普通の1本1本の糸を書いたドラフト/組織図との違いに気付かず、「そのままの通りに経糸を通して織り始めたら、経糸と緯糸の交差する所がほとんどなく、布にならなかった。それで、最初から本を読み直して学んだ。」と思い出を書いています。

もし、本格的に多綜絖を習いたいのならば、綾の変化織などの地紋だけではなく、ブロックパターンとプロファイルドラフトを教えてくれるかどうか確認したほうがよさそうです。大柄になりますから、使うのはフロアルーム/床置き。タイアップや織機の特性、調整のしかたなど海外のダイレクトな知識を再確認することも必要かもしれません。

タイアップをして、踏み木を踏んで、大きな柄を織り出していく醍醐味は、多綜絖の本領。卓上の8枚綜絖の織機では感じることはできない楽しみ・・・と思います。


2014年11月7日金曜日

洋書;THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE

雑誌などで発表された作品と説明を再編集したこのシリーズでは、多綜絖の作品が多いと感じてはいましたが、この本では8枚綜絖だと思ってよく見ると踏み木は12本~16枚。8枚綜絖以上の柄もかなりあります。私の10枚綜絖の10本踏み木の織機で織れるような作品は、探してしまう・・・ほどしかありません。
日本では、ステックを使って二重織の柄を織り出す方が多いようですが、このシリーズの他の本と同様に「織機を使って柄を織り出す方」を対象にしています。

The best of Weaver'sシリーズ 『THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE』 編;Madelyn van der Hoogt。

表紙は、windows/ウィンドウズと呼ばれる代表的な二重織の柄。
四角のブロックが並んだデザインで、上下の布が四角形のところで入れ替わっています。単純な構成と織り方ですが、著名なテキスタイルデザイナーの方々が手がけた作品をよく見かけます。

ある有名美術大学の出版の書籍では、この織り方を「風通織」と説明しています。その他の袋織物、倍幅織、両面織などが「二重織」です。

この 『THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE』では、「上下で同時に2枚の布を織る」のがDOUBLE WEAVE/二重織。そして、二重織を分類すると、風通織、倍幅織や両面織などのいろいろな構造の織りがあるという考え方です。欧米では一般的な考え方と思います。

日本と欧米の考え方が異なるのなら、二重織ではなく『ダブルウィーブ』と、そのままの言葉がわかりやすいかもしれません。

さて、この本では、『ダブルウィーブ/二重織』を構造の特徴から5つのテーマに分けています。モダンな印象の表紙のイメージとは異なり・・・アメリカの代表的な柄を用いた作品も数多く登場します。

まずは、オーバーショットで、上と下の布の片端をつなげて織る倍幅織り。ベットカバー用に広い幅を織りたい方が多いのでしょう。論理的には、織れることになるわけですが、多綜絖はパズルが好きな方にお勧めという話がわかるような気がする内容です。

次に、リバーシブルの技法とウインドウズの柄によるコート地や上着の作品と織り方。この布の構造のもう一つの魅力である 色糸をさまざまに組合わせられること の解説もあります。

そして、「コロニアルの二重織」、「4ブロック4枚綜絖の二重織」、「4ブロック8枚綜絖の二重織」、「オーバーショット柄の二重織」などと呼ばれるオーバーショット柄の二重織の作品と織り方の説明。オーバーショットの織物の特徴でもある緯糸の浮きが、テーブルマットやランナー、椅子張地などではひっかかって使いにくいので、この二重織が考え出されたようです。アメリカで誰からも愛され続けている伝統的なパターンを一般的な4枚や8枚で織りたい・・・技法は数種類あり、かなり古くから知られていたものもあるようです。

最後に、おしゃれな袋物、素材の変化を生かした作品などが載っています。


8枚綜絖が通常仕様の天秤式やカウンターマーチは、北欧の織機だから・・・・多綜絖の織の本場は北欧と、もし思っている方がいらしたら・・・・この本を見てくださいと言いたくなるような内容です。

2014年11月5日水曜日

オーバーショット柄の二重織

先日、オーバーショットの柄で二重織をしているという方から、同じ趣味を持っていて、オーバーショットとサマー&ウインターに興味があるのでメールで情報交換がしたいとコメントをいただきました。

私の本棚にはまだ目を通していない書籍が何冊も眠っていて、探せばあるかもしれない・・・さらに情報を集めてどうするの・・・・という状態。「情報交換」や「詳しく知りたい」というコメントを時々いただくのですが、それぞれ個別にお答えをする余裕はなく・・・参考にした書籍名と紹介を書くのが精一杯。やはりその先は、手織のグループや先生方におまかせすべきことと思い、お断りをしています。
それに、私はブロガーですから、個人からいただいた情報を無断で公開した/以前から知っていた・・・と難しいことになるのも避けたいと思いますので。


さて、オーバーショットの柄で二重織・・・これも本棚にありました。

かなり以前に買ったThe best of Weaver'sシリーズ「THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE」
このなかに、「コロニアルの二重織」、「4ブロック4枚綜絖の二重織」、「4ブロック8枚綜絖の二重織」、「オーバーショット柄の二重織」など、さまざまに呼ばれてきた代表的な織り方の紹介と作品が載っています。

オーバーショットの特徴でもある緯糸の浮きが、テーブルマットやランナーなどではひっかかって使いにくいので、この二重織が考え出されたようです。オーバーショットの柄はコロニアル時代からの完成されたパターンが数多く残っていありますから、さまざまな織り方で柄を楽しむ愛好家の方々がいらっしゃるのは、当然ですね。

さて、本をよく見ると、4枚綜絖のオーバーショットの柄を16枚綜絖を使用せずに、8枚や4枚(!)で織れるというやり方が図入りで説明されています。

ただし、8枚綜絖の場合でも踏み木が12~16本必要ですので、私の織機では無理です。

「4ブロック4枚綜絖の二重織」は、タイアップと踏み木順を書き直せば、ジャックルームでなくても織れそうです。
説明を読んだだけでは、想像できない所もあり・・・まずは、経糸88本、幅6cmほどで試織りをしてみました。


試織の綜絖通しは、いろいろ考えながらするので、いつも、いつも・・・間違えています。

出てきた柄とこの配色は、アメリカのオーバーショットというより、インカやナバホのベルトのイメージがしますね。