2014年12月29日月曜日

良い新年をお迎えください

よく本を読んだ一年でした。

英語の洋書を読むなら、英語で何が書いてあるのかわかればよいのですが、日本語にするには、日本語を知らないと的確には訳せない・・・・・そんなことを実感した一年でした。

織物に関する日本語訳は、説明や言葉が長くなることを嫌い、身近な単語で代用して、そのまま使い続けている場合があるようです。

日本の織物の言葉が、それぞれの地域や集団の中で簡単に伝えあう「符号」のような使われかたをしてきたためかもしれません。来年は、もう少し日本の書籍を読むことができるとよいのですが。


このブログの毎回の長い文章を読んでくださった方々に、感謝をこめて。

どうぞ良い年をお迎えください。


2014年12月25日木曜日

クリスマスカラーでColor and Weave


この季節に使いたくなる色は・・・赤と緑、そして、ホワイト。
ダークを赤と緑にわけて、クリスマスカラーのカラー&ウィーブです。

少し深みを出そうかと、緑は濃淡の2色使い。
素朴な印象が欲しかったので、平織にしました。

ストライプも魅力的だったのですが、これでは、カラー&ウィーブにはなりませんね。

緯糸の4丁使いは、予想以上に手間取りました。

小さなポーチにするつもりでしたが・・・やっぱり、間に合わず。
なんとも忙しい年末。

でも、せっかくですから・・・
Merry Christmas!

参考書籍;COLOR~AND~WEAVE DESIGN Ann Sutton著
使用組織;平織
使用糸;ラムウール100% 2/11.3
ホワイトW-001 レッドW-040 他 手織り工房タリフ 
使用筬;50本/10cm

2014年12月19日金曜日

洋書;COLOR-AND-WEAVE DESIGN

50色もある英国のウール糸見本が届くと、色と色を組合わせて織ってみたくなります。

COLOR~AND~WEAVE DESIGN A PRACTICAL REFERENCE BOOK
著;ANN SUTTON 1984年

この本の著者 Ann Suttonの作品は、アルバート美術館におさめれれていて、BBCテレビの番組にもかかわったと紹介されてます。
英国ではよく知られているテキスタイルデザイナーのようです。タータンの美と歴史についての著作にも参加しています。

タータンチェックのような大柄から地紋のようなカラーウィーブまで・・・・格子のウールの布地といえば、英国 となるのでしょう。


著者は、「Color and Weaveという言葉から、色(カラー)と織(ウィーブ)の両方が使われているすべての布地について、論じることはできる。しかし、カラー&ウィーブという言葉は、テキスタイルデザイナーの分野では、すでに特定の意味がある。」と書いています。

カラー&ウィーブは、特定の技法を示す言葉。
平織や綾織など基本的な組織で、濃色と淡色の糸を経糸と緯糸に規則的に配列して組み合わせで柄が出てくる技法。よく知られているのは、千鳥格子や網代格子(あじろ織)。
カラー&ウィーブで織柄の名前があるのは少ないようです。自分が発見したかのように変な名前を付ける方がいないことを願うばかり。この本の表紙の布もすてきですが、織柄の名前はありません。

さて、この本では、カラー&ウィーブを組織図で描く方法、オリジナルのデザインを作る方法などが丁寧に説明されています。そして、シェパードチェック、グレンチェック、プリンスオブウェールズなど、伝統的な布地についても簡単な説明。テキスタイルデザイナーである著者の話は、目付、糸の太さ、組織、色の配列本数の違いなど具体的で、文化や歴史からの見かたとは一味違います。

そして、この本の大半を占める512点の実際に織られた実物大カラーのパターン写真。
1本づつ規則的に順番に増やしたマス見本です。平織と綾織があります。

コンピューターソフトが発達したので、誰でもパターンを作ったり変更したりできるようになりました。もっと多くのパターンが簡単に作れるのですからこの本のパターン写真の価値は失われたようにも思えます。

でも、著者はこのサンプルの中から選び、色や素材を変化させて、すてきな布地を織りあげています。
的確に選び出せるセンス・・・・・すぐれたデザイナートと凡人との違いなのだろうとつくづく感じます。

2014年12月16日火曜日

Color and Weave と色糸効果

色糸効果の課題として、千鳥格子を織っているのを見かけました。
「百聞は一見に如かず」といいますが、写真で見ただけでは、人によって解釈がいろいろになる場合もありえる・・・・・。さてさて、目的が制作中の作品の紹介ならば、技法の説明だと思ってはいけない。よく見れば、濃色は数色使い。うっかり、海外の手織の考え方を持ち出してはいけない。


Color and Weave や Color and Weave effect と書いてあると、色糸効果 と訳したくなります。色糸効果は聞きなれた言葉なので使いたくなる・・・・・。でも、sinking shedを下口開口と訳して混乱した例もあるので要注意。
以前から疑問に思っていたのですが、Color and Weaveと色糸効果・・・どうやらこれは、別物。


私が手織りを習った時、「色糸効果」とは、たとえば、経糸に黄色、緯糸に緑色を使うと、黄緑色に見える・・・確かそんな技法だったように思います。つまり、混色効果。

違う色の原毛を混ぜ合わせて糸にするのと区別して、違う色の糸を縦緯にして織るのを「色糸効果」と言ったように思います。

もう、30年以上も前の話ですから、記憶違いかもしれません。

「緯糸に違う色を引き揃えて使うと、混ざった色に見える。」も、色糸効果とする場合もあるようです。

当時の課題で、縦糸と緯糸に8色程を使って平織のサンプルを織ったはずですが見あたらず・・・箱の底から出てきたのは、3本1本の変則の平織のサンプルでした。
当時から、色彩にはよほど興味があったらしい・・・・。 


さて、Color and Weave。カタカナのカラーアンドウィーブという言葉で習ったり、見かけたりした覚えはありません。

英国のテキスタイルデザイナーの本によると、 
「Color and Weaveという言葉から、色(カラー)と織(ウィーブ)の両方が使われているすべての布地について、論じることはできる。しかし、カラー&ウィーブという言葉は、テキスタイルデザイナーの分野では、すでに特定の意味がある。」

平織や綾織など基本的な組織を使い、濃色と淡色の糸を経糸と緯糸に規則的に配列して組み合わせで柄が出てくる技法と書かれています。

つまり、千鳥格子やログキャビン(あじろ織)など。これ以外に知られている柄は少なく、チェック(格子)になってしまうようです。


「千鳥格子」という呼び方には、格子を織るときのように、経糸は色糸を並べている という理屈が感じられますが、「あじろ織」というと、まるで織り方で柄を出しているような呼び方です。

日本では、千鳥格子は千鳥格子。あじろ織はあじろ織。組織や技法を理論つけて分類したり、名前を付ける時に考慮するのは、苦手のようですから、カラーアンドウィーブという分類はないのかもしれません。
それで、写真のダイヤ柄のような細かな地紋の柄などはあまり見かけないのでしょうか・・・・ちょっと残念。

2014年12月12日金曜日

羊飼いのチェックのマフラー

スコットランド製工業用紡績糸を織ってみたいと思っていました。
スコットランドといえば、タータンチェック。伝統的なチェックをさかのぼっていくと、Shepherd Check  シェパード・チェック/羊飼いのチェック に行きつくと書かれています。

縦糸緯糸共に、6本の黒い糸と6本の白い糸から織り上がるチェックで、組織は、2/2の綾織。
色は、羊そのままののホワイトとブラック。正確には、濃いブラウン。
スコットランドやハイランドの羊飼いによって、さまざまな使い方ができるブランケットタイプの衣服で大きさは・・・・・・と、説明が続きます。

シックな色彩のタータンチェックを織るつもりでしたが、まずは、シェパードチェック。

初めて使うウール糸は、特徴そのままの色を使いたいと選んでいた色も、ホワイト、グレィッシュなブラウン、そして英国ですから、敬意を表して・・・ロイヤルブルー。



ただし、ブラウンとブルーを交互に配置するとガンクラブチェック(アメリカ式の呼び方)になってしまう。
わたしが織りたいのは、ブラウンは薄いけれど、シンプルなシェパード・チェック。

説明書のとおりの密度で織ると、ざっくりとした感じ。とてもラムウールとは思えませんでしたが、仕上げしたらなめらかな風合いに。

「線を一本引いたら、デザインになる。一色増えただけでも、生産工程はびっくりするほど変わる。」と、話していたテキスタイルデザイナーは誰だったでしょうか。

首に巻いたとき、ロイヤルブルーの交差は・・・・・あなたのハートのうえに。
参考書籍;COLOR~AND~WEAVE DESIGN Ann Sutton著
使用組織;2/2綾織 4枚綜絖 4本踏み木
使用糸;ラムウール100% 2/11.3
ホワイトW-001 グレイッシュブラウンW-068 ブルーW-026 手織り工房タリフ 
使用筬;60本/10cm
仕上りサイズ;130×29cm フサ8cm

2014年12月5日金曜日

手織の初級でであった洋書

「むつかしいことや理屈はいらないから、やり方だけ教えて・・・・」という方がいます。合理的なのかもしれませんが、そんな方にはお勧めできない本ばかり。

最もおもしろかったのは、既に理解していて読む必要がないと思っていた欧米の「手織の初級」や「組織の基本」についての本。料理に例えれば、和食料理の基礎を習って終了しても、満足なフランス料理は作れない・・・・手織も同じでした。

ほとんどが、内容に納得した本に紹介が書かれていたり、巻末の参考文献から興味をもった本。ですから、織物の常識や基本に忠実な本ばかりになりました。

当初は、海外の手織り・・・ということで4冊ほど選び、平織から順番に気に入った作品を織りましょうと思っていましたが、綾織を過ぎたあたりから、北欧と北米の違い、つまり、考え方というよりも文化の違いなのだろうと思いますが・・・はっきりとしてきました。そして、載っている作品を 順番に織れば習得完了 というような単純な事ではないと気付きました。ですので、まずは、アメリカ関連に絞って20余冊。

技法やパターン、作品の作り方など内容はさまざまですが、必ず著者の前書きがありました。どのような人に向けて・・・なぜこの本を出版したのか・・・など。
本文でも「これらの組織/作品を、このような理由で、こう呼ぶ/選んだ」という定義と理由がはっきりと書かれています。ですので、自分の作品と制作のしかたと一般知識と技法と・・・あれもこれもと参考にした本の一部を写して組み入れたような内容や説明は見あたりません。

大学で教えデザイナーとしても活躍している方々や編集関係の方の著作が多く、織り方だけでなく言葉や論理面も整理され、丁寧に順を追って説明されています。

伝統として手織りが続いている国では、熟練者や親から直接に子供や孫へ伝えていきますから、定義や分類をして教えたり、学んだりするのは馴染まないのかもしれません。「風通織」といえば「風通織」、「昼夜織」と言われれば「昼夜織」がムラなくきれいに織れる技術を習うことが大切なことになります。もしかすると、織物の名前さえ必要ない・・・・。

とはいえ、昔からのやり方では・・・人それぞれだから・・・という説明に満足できず、もう少し論理的に順序立てて織機を操って織ってみたいと思うかたには、アメリカの手織の書籍は面白いと思います。それと、テキスタイルデザイナーをめざす人。

アメリカで手織りを復活させたといわれる人の著書には、布を織ることができても、組織とタイアップを理解していない人は、『Weaver/手織りをする人』とは呼ばない・・・とあります。やはり、文化が違うということなのでしょう。

2014年12月2日火曜日

北米の手織初級編を終了します


そろそろ先へ進みたくなってきました。

ちょっとした偶然から購入した『Learning to Weave』 Deborah Chandler著
アメリカでは、手織りの初心者はどのようなことを学ぶのだろうか・・・と読み始めて、意外なことばかり。

若いときに購入した日本で出版されている何冊かの「海外の織機を使った手織の本」とはあまりにも違いました。アート作品を作るのが「海外の手織り」で、他は日本の手織と大差はないと思い込んでいました。でも、やり方も記号も考え方も・・・説明のしかたも・・・違いました。

このアメリカの本にでてくる織機は、ジャッキ式、つまりジャックルーム。ろくろも天秤式も紹介程度でイラストも具体的な使い方もありません。
組織図や踏み木順も一見は同じなのですが、詳しく見ると違う点があります。この本とジャックルームで手織を勉強したらどんなにか楽しかろうと・・・しばし憧れました。が、ジャックルームが一般普及機になる前は、カウンターマーチでも織っていたことに気付きました。つまり、目の前にあるこの織機で織れるはず。

平織のハンドタオル、ランチョンマット。
綾織のひざ掛け、マフラー、ランチョンマット。ワッフル織のタオル。
ハニコムのカバー地。
ブロンソンレースのランチョンマット。スウェディシュレース、モクレノのサマーストール。ハックレースのテーブルクロス。
組織を理解したくて織ったオーバーショット、サマー&ウインター。
ブロックパターンのダブルウィーブ。
作品に使った組織数は約50点。

後半のオーバーショット、サマー&ウインター、ダブルウィーブは、タイアップをカウンターマーチ用に置き換える方法を調べて織りました。織機を買う余裕がないのも時として 好し です。

手にしたアメリカの本は、どれも織り方だけではなく、平織で学ぶべき基礎、綾織で学ぶこと・・・・論理的に系統だてて一歩一歩と複雑な織り方の構造へと理解を深めていく内容でした。

日本では、北欧と米国の区別がはっきりしないケースもあるようで、オーバーショットは、スウエーデンのハーフドレルの英訳名だという話も聞きます。でも、オーバーショットに織りこまれている数々のパターンは、まさにアメリカの風景。

始めに4冊の本を選んで、スウエーデンの手織りと北米の手織りを同時に学んで終えよう・・・は不可能でした。当然のことでした。

アメリカの一般的な織機について、組織について、パターンについて、歴史と文化の違いまで・・・大いに楽しみました。

2014年11月28日金曜日

二重織に再会を期して終了

二重織の2回目ともいえる今回は、いわばアメリカンスタイル。
ブロックの考え方で織りましたのでステックは使いませんでした。
織ってみたいと思っても、今の織機では、綜絖枚数も踏み木本数も足りず・・・。この織機で織れる柄でも、調整が下手なのか?部品を追加改造した織機なので無理なのか・・・?
もしかすると新しい織機が必要なのかもしれません。今の状況ではこのあたりが限界のようです。


初めて手織りを習った時の最後が二重織。この技法だけが、布に自由に柄を織り出すことができましたので、興味は尽きず、濃紺とボカシの組み合わせで星柄を織りだしました。サンプルには、1980.5.15とあります。35年も前のこと。

最近の本には、筬の奥、つまり、筬と綜絖の間にステックを入れて織る方法の説明がありました。
織機が大きく、筬框の上部も厚く高いと、ベンチからのりだすような姿勢でのぞき込み、経糸の本数を数えたり、ステックを入れることになります。この技法も今の織機では、まとまった時間を織り続けるのは無理なようです。
原始機で織る二重織から発展した技法ではないかと思うのですが、日本の先生方は寡黙です。


さて、海外の考え方では、二枚の布を一度に織るがダブルウィーブ/二重織。日本では別扱いの風通織も、海外ではダブルウィーブ/二重織。
レップ織と組合わせたり、袋織、筒織、両面織・・・と織りあがる布の種類はいろいろ。糸使いも太い糸と細い糸を組み合わせたり、片布に収縮糸を使ったり・・・と可能性は無限大で、まだまだ織ってみたいものばかり。
3回めは、素材力ともいうべき センス を磨いてから、再会することになるのでしょう。


二重織は世界各地にある織り方だそうですから・・・・きっと、また、織ることがあるはず。

2014年11月24日月曜日

二重織#6:オーバーショット柄のランナー

オーバーショット柄の二重織が、4枚綜絖の6本踏み木で織れるのは不思議です。
よく考えた人がいるものだと感心するばかり。
ここまでになると、基本的な二重織ではありませんね。

オーバーショット柄は、うっかりすると古くさい感じになるので、モダンに・・・・と、ブラックとホワイトを選びました。

今回は、ニュージーランドのコットリン 22/2。扱った印象は、北欧のコットンリンと同じです。

ホワイトといっても、ブラックと合わせてもしっくりとするように「生成り色」を選びました。色名はクリームです。

織機との相性もあるのでしょうが、何度織っても、コットリンは織りやすい糸だと感じます。


さて、どんなオーバーショットの柄も、このやり方で二重織にできると説明があります。
ただし、シャドウ部分が多いパターンは、はっきりしない表情になるように思えます。モンクスベルトのような柄の方がうまくできるかもしれません。

さんざん悩んだあげく、まずは、本と同じ柄で織ってみることにしました。

短い線でパターンを表していく手法は、東欧の民族衣装に施された刺繍で見ような気がします。

ブラックではなくて、レッドにすればよかった・・・もうすぐクリスマスですから。

参考書籍;The best of Weaver's 『THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE』
 shamrock table runners  by Bobbie Lrwin 
使用組織;4-block, 4-shaft double weave 4枚綜絖 6本踏み木
使用糸;Cottlin 22/2 404ecru,black ashford製  
使用筬;35本/10cm 4本入れ
仕上りサイズ;196×29cm

2014年11月14日金曜日

洋書;A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS

多綜絖を織ってみましょうかと、軽い気持ちで一番初めに買った本です。

A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS FROM THE FRIENDS OF HANDWOVEN 編;Carol Strickler

手織の基礎を教えてくださってのは、女子美術大学でも教鞭をとっておられる方で、もうお一人は、欧州の展示会に作品を何度も出展されている先生でした。

経験から得られる熟練やセンスは明らかに「たりない」としても、基礎はあるという自信のようなものはありました。そして、目の前には、綜絖が10本の織機がある・・・・・組織が書いてある本さえわかれば織れるはず。そんな不遜な、あまりに世界を知らずでした。

本を開けて、タイアップ図をみると、3枚が沈んで5枚が上がるなど・・・・つまり、アンバランスなので、どう入れ替えても、私の持っている滑車とホース(ニックピン)の織機では10枚の綜絖があってもできないものばかり。私の織機についての基本的な知識すら疑わしい・・・・だからといって、いまさら綜絖を1枚づつ動かす卓上機を使う気にもなれませんでした。

今思えば、たとえ「あいうえお」が完璧だったしても、何もしないで「ABCD・・・」がわかるはずがないのでした。


さて、第1章は「綾織」など、順通しで織れる組織。
綜絖通しの図に、「1234・・・」ではなく「DLDL・・」と表示されている場合があります。織りあがりの写真から、Dが濃色、Lが淡色だということは、すぐにわかります。
しかし、実際に織ってみようとすると、経糸の密度を1cmあたり5本として緯糸も同じ密度にすると、8枚綜絖ですから経糸は約1.5cm浮くことになります。そのままでは、小指が通ってひっかかる布が織りあがる・・・細くして密度を上げても、ミミ端ではひっかからない糸が大きく浮いてグズグズになる・・・。この程度のことなら、2/2綾織のミミの織り方や糸の選び方を考えれば解決できました。

最大の「なぞ」は、綜絖通しとタイアップ図の「ABCD・・・」でした。
タイトルにもあるように、数多くの手織をする人たちの組織を集めた本です。この編集者だけが考え出したオリジナルの表記とは思えず・・・どうもアメリカでは一般的らしい。最初にわかったことはここまででした。
この本に掲載されているプロファイルドラフトの柄数は10%以下だと思いますから、わからなくても、8枚綜絖へ発展した 知っている組織 を充分に楽しめます。

さて、今読めば、それぞれの章の初めに詳しい説明があるのですが、ブロックの考え方の基本がないと、???です。ブロック柄のためにあるような織りかた とでも言いたくなる「サマー&ウインター」「オーバーショット」「ハック」「ダブルウィーブ」などで、プロファイルドラフトが登場するのは、あたりまえなのですが、基本を確実に理解していないと迷いが残り、なかなか先へはすすません。


アメリカの著名な編集者が、最初にプロファイルドラフトを見たとき、普通の1本1本の糸を書いたドラフト/組織図との違いに気付かず、「そのままの通りに経糸を通して織り始めたら、経糸と緯糸の交差する所がほとんどなく、布にならなかった。それで、最初から本を読み直して学んだ。」と思い出を書いています。

もし、本格的に多綜絖を習いたいのならば、綾の変化織などの地紋だけではなく、ブロックパターンとプロファイルドラフトを教えてくれるかどうか確認したほうがよさそうです。大柄になりますから、使うのはフロアルーム/床置き。タイアップや織機の特性、調整のしかたなど海外のダイレクトな知識を再確認することも必要かもしれません。

タイアップをして、踏み木を踏んで、大きな柄を織り出していく醍醐味は、多綜絖の本領。卓上の8枚綜絖の織機では感じることはできない楽しみ・・・と思います。


2014年11月7日金曜日

洋書;THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE

雑誌などで発表された作品と説明を再編集したこのシリーズでは、多綜絖の作品が多いと感じてはいましたが、この本では8枚綜絖だと思ってよく見ると踏み木は12本~16枚。8枚綜絖以上の柄もかなりあります。私の10枚綜絖の10本踏み木の織機で織れるような作品は、探してしまう・・・ほどしかありません。
日本では、ステックを使って二重織の柄を織り出す方が多いようですが、このシリーズの他の本と同様に「織機を使って柄を織り出す方」を対象にしています。

The best of Weaver'sシリーズ 『THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE』 編;Madelyn van der Hoogt。

表紙は、windows/ウィンドウズと呼ばれる代表的な二重織の柄。
四角のブロックが並んだデザインで、上下の布が四角形のところで入れ替わっています。単純な構成と織り方ですが、著名なテキスタイルデザイナーの方々が手がけた作品をよく見かけます。

ある有名美術大学の出版の書籍では、この織り方を「風通織」と説明しています。その他の袋織物、倍幅織、両面織などが「二重織」です。

この 『THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE』では、「上下で同時に2枚の布を織る」のがDOUBLE WEAVE/二重織。そして、二重織を分類すると、風通織、倍幅織や両面織などのいろいろな構造の織りがあるという考え方です。欧米では一般的な考え方と思います。

日本と欧米の考え方が異なるのなら、二重織ではなく『ダブルウィーブ』と、そのままの言葉がわかりやすいかもしれません。

さて、この本では、『ダブルウィーブ/二重織』を構造の特徴から5つのテーマに分けています。モダンな印象の表紙のイメージとは異なり・・・アメリカの代表的な柄を用いた作品も数多く登場します。

まずは、オーバーショットで、上と下の布の片端をつなげて織る倍幅織り。ベットカバー用に広い幅を織りたい方が多いのでしょう。論理的には、織れることになるわけですが、多綜絖はパズルが好きな方にお勧めという話がわかるような気がする内容です。

次に、リバーシブルの技法とウインドウズの柄によるコート地や上着の作品と織り方。この布の構造のもう一つの魅力である 色糸をさまざまに組合わせられること の解説もあります。

そして、「コロニアルの二重織」、「4ブロック4枚綜絖の二重織」、「4ブロック8枚綜絖の二重織」、「オーバーショット柄の二重織」などと呼ばれるオーバーショット柄の二重織の作品と織り方の説明。オーバーショットの織物の特徴でもある緯糸の浮きが、テーブルマットやランナー、椅子張地などではひっかかって使いにくいので、この二重織が考え出されたようです。アメリカで誰からも愛され続けている伝統的なパターンを一般的な4枚や8枚で織りたい・・・技法は数種類あり、かなり古くから知られていたものもあるようです。

最後に、おしゃれな袋物、素材の変化を生かした作品などが載っています。


8枚綜絖が通常仕様の天秤式やカウンターマーチは、北欧の織機だから・・・・多綜絖の織の本場は北欧と、もし思っている方がいらしたら・・・・この本を見てくださいと言いたくなるような内容です。

2014年11月5日水曜日

オーバーショット柄の二重織

先日、オーバーショットの柄で二重織をしているという方から、同じ趣味を持っていて、オーバーショットとサマー&ウインターに興味があるのでメールで情報交換がしたいとコメントをいただきました。

私の本棚にはまだ目を通していない書籍が何冊も眠っていて、探せばあるかもしれない・・・さらに情報を集めてどうするの・・・・という状態。「情報交換」や「詳しく知りたい」というコメントを時々いただくのですが、それぞれ個別にお答えをする余裕はなく・・・参考にした書籍名と紹介を書くのが精一杯。やはりその先は、手織のグループや先生方におまかせすべきことと思い、お断りをしています。
それに、私はブロガーですから、個人からいただいた情報を無断で公開した/以前から知っていた・・・と難しいことになるのも避けたいと思いますので。


さて、オーバーショットの柄で二重織・・・これも本棚にありました。

かなり以前に買ったThe best of Weaver'sシリーズ「THE MAGIC OF DOUBLE WEAVE」
このなかに、「コロニアルの二重織」、「4ブロック4枚綜絖の二重織」、「4ブロック8枚綜絖の二重織」、「オーバーショット柄の二重織」など、さまざまに呼ばれてきた代表的な織り方の紹介と作品が載っています。

オーバーショットの特徴でもある緯糸の浮きが、テーブルマットやランナーなどではひっかかって使いにくいので、この二重織が考え出されたようです。オーバーショットの柄はコロニアル時代からの完成されたパターンが数多く残っていありますから、さまざまな織り方で柄を楽しむ愛好家の方々がいらっしゃるのは、当然ですね。

さて、本をよく見ると、4枚綜絖のオーバーショットの柄を16枚綜絖を使用せずに、8枚や4枚(!)で織れるというやり方が図入りで説明されています。

ただし、8枚綜絖の場合でも踏み木が12~16本必要ですので、私の織機では無理です。

「4ブロック4枚綜絖の二重織」は、タイアップと踏み木順を書き直せば、ジャックルームでなくても織れそうです。
説明を読んだだけでは、想像できない所もあり・・・まずは、経糸88本、幅6cmほどで試織りをしてみました。


試織の綜絖通しは、いろいろ考えながらするので、いつも、いつも・・・間違えています。

出てきた柄とこの配色は、アメリカのオーバーショットというより、インカやナバホのベルトのイメージがしますね。



2014年10月31日金曜日

洋書;A HANDWEAVER'S SOURCE BOOK

手織をする方によく知られている「A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK」の著者 Marguerte Poerter Davisonの本なので購入したのだそうです。
参考にしたパンフレットには、「・・・二人の作家の織り組織図を集めた。」とあったそうで、「続編」をイメージされたようです。
古くからある茶色の表紙のハードカバーと違って、このペーパーバックは表紙の写真も美しいですから購入してみたくなる気持ちもわかります。

この本の存在は、オーバーショットの本などで読んだことがありますから・・・頼まれれば、嫌とは言いがたく、引き取ることになりました。


さて、中身は
「A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK」のような「綜絖通し順」「タイアップ図」「踏み木順」と「織った布の写真」の4点セットの組織図はなく、黒の四角の大小で描かれた146点の柄がのっています。上部に5本の線の間に2とか3とか数字を書き込んだ「見なれない綜絖通し順」が書かれているだけです。

この「綜絖通し順」の見方は、巻頭の「Explanation of the Draft/組織図の説明」にかかれています。が、現在一般的に使われている綜絖通し順の書き方に書き直して、柄の中央などの細かい点を確認したほうがよさそうです。


今回は編者であるMarguerte Poerter Davisonは、Laura M.Allenのコレクションと出会い、柄をセレクトするにあたり、誰もが楽しめて複雑すぎない「4枚綜絖の織機で織れること」を基本にしたと書かれています。ですから、タイアップ図も踏み木順も省略されている訳です。

柄名の下には、Laura M.Allenのコレクションに寄贈した人の名前が十数名ほど見られます。
作家が所有する本人自身のコレクションとは異なり、無名な人々が作り出した多くの柄は、覚書きのような状態で紙に書かれ、交換や販売がされていたようです。1900年頃には家庭で手織りをすることがなくなり散逸していくか処分されるものがほとんどだったと思われます。そのような時代に柄を受け継ぎ大切に保管し、託していった方々の名前が記されていることになります。

一見は、「オーバーショットの四角い柄ばかりの本」ですが、当時、書く人によってさまざまに異なる綜絖の通し順で残されたパターンは、覚書きや走り書きのようにも見えます。現代のように組織図を瞬時に描くソフトもない時代に、綜絖通し順の書き方を統一して書き直し、確認しながらパターンを描きおこすのは、根気のいる膨大な作業だったろうとその労をねぎらわずにはいられません。

Marguerte Poerter Davisonは、パターンのセレクションやアレンジ、巻頭の挨拶文の下書きなどを終えて、仕事に取りかかった約1年後の1953年2月に急死したとあります。


全て4枚綜絖のオーバーショットのパターンですから、16枚綜絖の織機があれば二重織で織ることもできますね。もちろん、二重織用の綜絖通し順を書きおこさなければなりませんが。

今の私の織機に綜絖を4枚追加しても満足な二重織が織れるとはとても思えません。わざわざ新しい織機を購入しなくても・・・・人生に残された時間で織ってみたいものは、まだまだ数多くあります。

2014年10月30日木曜日

二重織#5;レップ織で小さなマット

この通し順と密度なら・・・レップが織れる。気が付いたのは、経糸の終わり間近で綾棒を外そうかと思ったとき。

あわててタイアップをなおすと、同じ2ブロックのパターンのレップ織りになりました。

イエローの緯糸は、6本引き揃え。
経糸はスウエーデンの本にある密度よりも1本/10cmほど多いのですが、予想以上に緯糸の色が影響します。できれば、もっと経糸の密度を上げたい気分。


北欧の伝統的なスペックは密度が多く開口しにくいので、経糸密度を減らし、緯糸を出して組織を効果的に加えたニューレップというバリエーションも流行っているようです。


もう少し薄めにしてランチョンマット。裂き糸を緯に使ってフロアマット。
経糸がそのまま表に出てくる織り方ですから、タテ糸のストライプを入れてもきれいな色彩が楽しめそうです。もちろん、ブロック柄もできて、組織を変化させれば柄も織り出せる・・・・変幻自在で、興味深いのは、平織だからでしょうか。
マットが織りたくなりますね。


使用組織;平織 8枚綜絖 2本踏み木
使用糸;綿糸16/2 緯糸太16/2 6本引き揃え
使用筬;50本/10cm 4本入れ
ミミ本数;8本×2


仕上りサイズ;37×30cm

2014年10月28日火曜日

二重織#4;8枚綜絖 綿糸のランナー

2ブロックの基本的なパターンで、綿糸の二重織。ベーシックなので、たぶん難物。
いまさらですが、私の場合は、スティクを使って柄を織り出すやり方ではありません。

いろいろな会社の部品を組合せた中古織機でどの程度織れるのでしょうか・・・。少しは上達したのでしょうか・・・。


経糸は綿糸16/2、密度100本/10cm。それなりの密度のようで、組織が入れ替わる所では、2-3回空踏みをしないときれいに開口しません。

8枚綜絖なので、注意してタイアップしたはずなのに、開口が小さくなっていく・・・多少強引に織機を改良したためかと悩んだのですが、上ラムを支えているロッドが錆びていて滑りが悪いのが原因ようです。

綜絖をゆすったり、足をのばしてつついたり(!)して、ラムを平行に整えると、大きく開口します。


表はそろっていますが、やはり裏はかなり糸飛びをしていました。鏡を使って確認しながら織るかたもいらっしゃるようですが・・・まあ、この織機と手作りの糸綜絖ですから、気づいてもどうしようもないこともありえますね。

それと、このイエロー。染あがった時から「赤みが強いなぁ・・・」と感じていましたが、これもやっぱりでした。

また織ることにします。

使用組織;二重織 8枚綜絖 8本踏み木
使用糸;綿糸 16/2
使用筬;50本/10cm 4本入れ
ミミ本数;8本×2
仕上りサイズ;240×34cm

2014年10月21日火曜日

天秤式の中央のコード

密度を混ませた綿糸の二重織は、綜絖通しの後も苦戦しています。今回は、天秤式について聞いた話など。

「天秤式織機で中央に下がるコードは、綜絖通しがやりにくいという話を聞きますが・・」と海外の織機に詳しい方にきいてみました。「では、水平式ではなく垂直式にすればよい。」とのお答え。お教室でいろいろな織機を見る機会がない私にとっては、まさに盲点。もちろん大型機の場合に限りますが。

このところ天秤式織機のことを書いていましたが・・・頭にイメージしていたのは、つねに水平式。日本の書籍のイラストなどでよく見かけるのは、もっぱら水平式。

30年前、海外の織機にあこがれていたころの水平式と垂直式の違い・・・どこで読んだのか聞いたのか、記憶はあいまいな部分もありますが、おおよその内容は次の通り。
  天秤式織機には、水平式と垂直式があり、垂直式は主にスウエーデンで使われ、水平式はフィンランドで使われている。水平式は、左と右に天秤があり、左右の1セットで1枚の綜絖を吊る。踏み木をふんでいないとき天秤は水平。垂直天秤は、中央に天秤があり、踏み木をふんでいないときは垂直。下ラムは長く、織機本体から突き出していて、この部分に天秤とのコードを結ぶ。このため、水平式よりスペースが必要。(上の写真は、本体内に収まる水平式の下ラム)

「スペースが必要」という言葉から、すぐに私の選択肢からは外れました。「垂直式では天秤と下ラムを結ぶコードは本体の外側を通るので、水平式のように織機の中央にコードはない。」日々の使い勝手を考えるとスペースよりも・・ここが大切なポイントでした。本のイラストをよく見るとローラーがあるので、水平式とくらべて踏み木は若干重いかもしれませんね。


垂直式のイラストは、本棚に眠っていた創元社クラフトシリーズ「手織り」にありました。
本文の「手織りの準備」では、手順にそって何枚かの写真が続いています。よく見ると中央にコードが下がっていますので水平式のようですが特に説明はありません。
綜絖は巻き上げず、整経した経糸は、筬框にいれたラドルに仮通しし、綜絖を左右に寄せた間を通し、2つに分けて中央のコードの左と右を通して男まきに巻き取る・・・・。
日本の解説書やブログなどでよく見かけるやり方です。当時は、手織の準備のやり方は、世界中どこでも同じと気にとめませんでした。


さて、8枚綜絖の水平式天秤織機をお持ちの何人かの方に聞いてみると、綜絖の上がり下がりが安定していて左右のバランスを取る必要がないから・・・。広幅が織りたいから・・・など。また、中央にコードがあるため、複雑な綜絖通しは大変なので4枚綜絖で平織が多いということ。

「中央にコードがあるから・・」「糸綜絖は滑りが悪いから・・」という理由から、金属製の綜絖枠を吊り金綜絖が使えるように改造する人もいらっしゃるそうです。天秤式のままで踏み木とのバランスがとれるのかどうかは定かではありませんが、上記のような準備のやり方をする場合は使いやすそうです。

「やり方に間違いも正解もない。」「道具は使いやすいほうがいい。」とみなさんおっしゃいます。
手織りをする日本女性は、たくましい。

海外では古くから使われ続けている糸綜絖。糸綜絖には糸綜絖の良さがたくさんあると思うのですが・・・・・。


2014年10月14日火曜日

天秤という呼び名、カウンターマーチという呼び方

この話を書くのは、たぶん3回目。自分でもまだ飽きないか・・・と思いながら。

たぶん、「天秤のない天秤式」というキャッチコピーに 心をわしづかみ されたのだろうと思います。いつもなら、キャッチコピーの隣、もしくは、下にある長い説明文を目を凝らして読む・・・・。メーカーや販売店は、この長い説明文を読んでもらうために、少しでも魅力的なキャッチコピーをつくろうと並々ならぬ時間をかけ知恵を絞るのが今までの通例。写真が簡単に使える時代になったので、長い文章なぞ不要なのかもしれませんね。

特定の商品について書くつもりはありません。天秤がなくてもカウンターマーチとかカウンターマーチ・システムとかアメリカでは呼ぶ場合がある・・・・今まで、私の頭の中では、天秤式とカウンターマーチは同じ像として重なり、はっきりと見えていたのに、今はぼやけたまま。まるで、置き忘れた老眼鏡を探し続けているような心地さえします。


Countermarchは、英語。イギリスでも同じ呼び方かどうかは定かではないので、とりあえず、このタイプの織機の米国名と書いたほうがよさそうです。スウエーデンではKontra marshのようです。スウエーデンでこの織機を使って学んだ方は、コントラマルシと呼ぶと思いますから、アメリカでの呼び方であることは、間違いなさそうです。

スウエーデンの手織りの英訳本『The Big Book』をはじめ、アメリカの書籍やパンフでは、北欧の織機の天秤の部分の名称は、「Jack/ジャック」。誤解を招かぬように「カウンターマーチ・ジャック」と書かれている場合もあります。
ジャックとは、自動車のタイヤ交換の時などに聞くジャッキアップのジャッキ。このジャック/ジャッキという言葉は、「重量物を手この原理や油圧、水圧などで押し上げる装置のこと」。和訳すると、「てこ」。フィンランドでも、「てこ」を意味する「vipu」という言葉が呼び名になっているとコメントで教えて頂きました。(いつもありがとうございます。)
でも、ご存知の通り、天秤のある(綜絖の上がると下がるの両方を踏み木とタイアップする)北欧の織機をアメリカでは、Jack Loom/ジャッキ式織機とは呼びません。

まずは、日本名の「天秤式」について。
vipuやJackを日本語へ直訳すれば、「てこ式」織機。Jackに天秤の意味はありません。日本語の「天秤式」という呼び名自体が、この織機の構造をよりわかりやすく表現した「意訳」ということになります。異論もあるかもしれませんが、手織の外の一般世界では「てこ」と「天秤」は明らかに違いますから。どなたが「天秤式」と名付けたのか知りませんが、日本の感覚に沿ったとてもわかりやすく自然なネーミングで・・・感服です。(追記;これは、水平式の場合の話で、垂直式は改めて見ると「てこ」がやはりふさわしいかもしれません。)


さて、以前のアメリカには、「Jack/ジャック/てこ」が綜絖の下にある現在のようなタイプだけでなく、上にあるタイプもあったようです。北欧の天秤式織機の上ラムがないような織機。綜絖を上げて開口し続けるには、かなりの脚力が必要だったのではないかと思います。(図やイラストは、THE COMPLETE BOOK OF DRAFTING、Learning to Warpを参照してください。 ) 
どちらのタイプも綜絖が「上がる」と「動かない」で開口する織機です。これらが現在、アメリカでも日本でもジャックルームとかジャッキ式と呼ばれている織機に共通する開口のしかたです。


柄や織り方を料理のレシピのようにやりとりしていた時代、長時間織っても踏み木が軽くて疲れないとか、開口がすっきりせずに織キズになったりなど・・・。北欧の天秤式織機も今は見ることがない古いジャックルームも上部に同じようなジャックがあったのですが、このふたつの織機の性能は明らかに違う。ですから、それぞれ別の呼び名が必要になった・・・・と想像できそうです。

北欧のジャックのある織機(つまり、天秤式織機)は開口するときに、すべての綜絖が上か下に同時に動きます。同じように上部にジャックがあっても、この北欧の織機だけの特徴的な開口のしかたです。そして、この綜絖の動き方を呼び名にした・・・・「Counter」-最適な日本語が見当たらないのですが-「正反対方向」という言葉が入ったスウエーデン語のコントラマルシ/ Kontra marsh、もしくは、ドイツ語を米訳したカウンターマーチ/Countermarchという呼び方が一般的になったのではないかと考えられます。

ですから、綜絖さえこの動き方をすれば、ジャック(てこ・天秤)があってもなくても・・・カウンターマーチ式という呼び方にアメリカでは違和感がないのかもしれません。上部の大きな天秤が退化して、電動で動いても、リビングに置いても圧迫感のない背の低い織機へと容姿が進化しても、カウンターマーチという呼び方は変わらない・・・・。


80年にカウンターマーチを紹介した美術出版の『織物の用具と使い方』には、「綜絖のアクション」として、「下ジャック式は上口開口、カウンターマーチ式は中口開口、ろくろ式は下口開口で組織により例外がある。」と説明があります。しかし、ろくろ式は全ての綜絖が上か下に動いて開口しますから、カウンターマーチと同じ中口開口です。アメリカの本にある「タイアップの説明」から引用して、織機の説明としたために実際と食い違う内容になりました。カウンターマーチという言葉をわかりにくくした一因と思われます。

歴史も考え方も違うのですから、「進化したカウンターマーチ」を「天秤式」と訳し続けることは無理があります。イラストや写真をみて、同じ構造の織機だからと・・・『カウンターマーチは、天秤式織機」とイコールで結んで訳していた時期があったと考えたほうがすっきりします。今、カウンターマーチという言葉を、状況や内容を確認せずにそのまま天秤式と訳すのは無理があるようです。手織の世界でも時代は移り変わっています。


最後に、アメリカで手織を教えた経験が豊富な Deborah Chandler が初心者向けに書いた本『Learning to Weave』の最後の章の「織機を買うにあたって」という題で書かれた文章の一部「type of lifting mechanism/綜絖の上下のしかたの種類」から。
雑誌Handwoven 1983年11-12月号にも掲載されています。都合上、一部分のみです。興味のある方は原文をご参照ください。

織機を購入するときに質問すべき項目の最後は、「とても大切な」こと・・・ジャックルーム、カウンターバランス式、カウンターマーチ式、それぞれの織機の綜絖を上げたり下げたりする仕組みについてです。
ジャックルームはそれぞれの綜絖をそれぞれ単独で別々に持ち上げることができます。どの綜絖でも上げたいと思う綜絖を上げることができ、他の綜絖はそのままで動かないので、何の制約もなく自由に織り柄をデザインすることができます。
カウンターバランス式織機では、綜絖は滑車やろくろなどのローラー(回転するもの)にかけられたロープの両端に吊り下げられます。1番綜絖にたいして2番綜絖、3番綜絖にたいしては4番綜絖がペアとなり、1と2番を一緒にすると3と4番綜絖が一緒となる2枚ずつのペアとなり、1と2番綜絖が上がるとき3と4番綜絖が下がります。どの2枚の綜絖を選んでも上げたり下げたりできますが、必ずペアで動きます。このため1枚にたいして3枚はできません。(しかし、これは理論上のことで、あるタイプのカウンターバランス式は、思いもよらないことですが、このようなアンバランスな動きができることもあります。)ローラーを使っているため軽く動き、織る人の足の負担は少なく、綜絖は同時に上下するのでくっつきやすい経糸の場合でも問題なく開口します。
カウンターマーチ式は、それぞれの綜絖と踏み木がつりあって動く織機ですので、制約なしに動かしたい綜絖を上げたり下げたりできます。つまり、自由に織り柄をデザインして織ることができます。踏み木は軽く、綜絖は同時に上下反対方向に動くのでカウンターバランスと同じようにくっつきやすい経糸の場合でも問題なく開口します。論理的には、両方の織機のよい点をそなえており、性能面からは最もよい織機といえます。(後略)


私の探していたのは確かな説明文。いつもの本の中にありました。
ジャックルームの使い方や織り方などを書いた本の最後にこの文章があるのは意外な気もしますが、織機の性能が優れていれば、誰もが満足して楽しく織物ができるとは限らない・・・・ということも書かれています。


※文中のカウンターバランスは、ろくろや滑車などのローラーが前後、もしくは上下に並ぶアメリカなどでは一般的なタイプのことと思われます。日本の「3本ろくろ2重吊り」は「思いもよらない・・・・」になると理解するほうがよさそうです。
※「くっつきやすい経糸」とは、モヘヤのように長い毛などのある糸使いや経糸の密度が高い場合など

※意見のある方は、間違いだとして書き直しや書き足しをするのではなく、自分の考えとその理由、参考資料等を必ず書いてください。また、手織りを学んだのは、米国式、北欧式、日本式のいづれなのかと経歴などのプロフィールを書き添えてください。投稿は簡潔にお願いします。

2014年10月2日木曜日

綜絖通しと筬通しと引き込み

またしても経糸の総本数約1000本。幅は狭くても二重織は2倍になる・・・・うっかりしていました。
あげく、順通しは簡単だからとひと手間ぬいたら、気もぬけたようで、間違い続けて1600本近く通しました。
ああ、時だけが過ぎていく。


やはり、機の準備で一番時間がかかるのは、綜絖通しと筬通し。そんなことを思っていたら、「引き込み」という言葉を思いだしました。
「筬一羽に経糸2本引き込み」と言ったりするようですが、確か工場で聞いたのは、「引き込みが終わったから、もうすぐ織り付く。」とか。時間のかかる 綜絖通しと筬通し をまとめて呼ぶときに使われていたようでしたが、記憶違いかも・・・。

「綜絖通しと筬通し」をして、経糸を織前へ引っ張ってくること・・・引き込む。

そういえば、洋書に登場する「Draw」もいろいろに解釈できる不思議な単語です。「Draw in」とか書かれていると「引っぱる+入れる」から「引き込み」の意か・・・・?と思いたくなるのですが、「Drawing in Draft」は、やはり「ドラフトに描かれている(綜絖通し順の図)」が順当な訳なのでしょう。
似たようなニュアンスと感じるのは、私だけではないようで・・・もしかしたら「引きこみ」は生産織機と一緒に来日した外来語?まさか・・・。


さて、ちょっと筬通しの風景。

綜絖通しと筬通しの時は、シャトルホルダーを使っています。
シャトルホルダーは、コードで吊り下げるので、綜絖を通しやすい高さに調節できます。また、綜絖が同じ間隔で固定されるので通し間違いが少ないような気がします。
が、ずっとドレルプーリーとホース(写真右)を使っていたので、慣れたやり方・・・ということだけかもしれません。

筬通しのとき、筬は数本まとめた糸綜絖を使って下げています。昔の糸を結んだタイプの綜絖は長さが同じで、中央「目」の上下の「輪」も使えて、なにかと便利。
筬通しは、ひっかけて落としたり、飛ばしたり(!)するので、3本ほど用意して通し始めます。

穏やかに・・・綜絖通し。手早くリズムにのって・・・筬通し。 どちらもすきな工程です。



2014年9月26日金曜日

二重織#3;8枚綜絖 上下をずらしてマフラーのサンプル織

無地とストライプの組み合わせの経糸が残ったので、ストライプと細かなチェックの組み合わせ。

白地のチャックの色が映えるように上布と下布をずらしてみました。写真の細い黄色のタテストライプの左側が一重。透け感がちがいます。

残念ながら長さが足りないので、試織り。


織りこんだチェックの緯糸の端はそのまま残してみました。


表はイエロー




裏はホワイト




マフラーは、たたんだり、丸めて細くして首にまくのですから、せっかく一重のところを作っても、あまり効果はなさそう。
幅広のショールならよさそうです。

縫い合わせたように見えなくて・・・二重の部分は効果的に・・・・。少しハリがあって軽やかで・・・色彩は・・・・・。

織物で織れる織りたいもの。呪文(!)のようです。でも、そろそろ自由に考えられるようになりたい。

使用組織;二重織 8枚綜絖 8本踏み木
使用糸;ウール梳毛糸生成2/20 三葉トレーディング
使用筬;50本/10cm 2本入れ

2014年9月19日金曜日

二重織#2;8枚綜絖 かぼちゃ色のマフラー

二重織の#1は、チューブ織の『ヘビ』ということにして、これは、#2。

最初は太めの糸で、と書いてありましたが、残り糸をあわせて、織ることにしました。
この季節にこのオレンジ色は・・・かぼちゃ色。


経糸は上の布用と下の布用を別々に整経し、ビームに巻き取りました。

上布は、白地に色糸4色(オレンジ、モーブ、ピーコックとプルシャンブルー)を入れました。
下布は、オレンジの糸がたりなかったので、白の組み合わせ。
市松のオレンジ色に微妙な変化がつくのもよさそうです。

経糸の動きを確認しながら織るには、少々細すぎたようです。



上下の布の入れ替えが水平方向だけなら、4枚綜絖で織れますが、垂直も入れ替えれば、8枚綜絖・・・・・と今までは、漠然と思っていました。

でも、ブロックパターンで考えればわかりやすく、応用も簡単。
ブロンソンレースやサマー&ウインターのパターンの考え方と同じです。

二重織は、1ブロックあたり綜絖4枚なので、このパターンは、8枚綜絖となるわけでした。



この齢で、このマフラーを巻いたら・・・・・まちがいなく、あのハローウインに登場する・・・・魔女!


使用組織;二重織 8枚綜絖 8本踏み木
使用糸;ウール梳毛糸生成2/20 三葉トレーディング
使用筬;45本/10cm 2本入れ
ミミ本数;8本×2
仕上りサイズ;24×140cm(フサ8cm×2)

2014年9月16日火曜日

洋書;DOUBLE WEAVE on Four to Eight Shafts

『二重織』を組織図で理解するのは、難しすぎるように感じていました。
方眼が白と黒に塗りわけられて、あげく、赤と黄色も入っていたりする あの組織図。表と裏、つまり上の布と下の布を見わけるだけで一苦労。慣れればすぐにわかるのかもしれませんが、何回挑戦しても???で、織リ始めるに至らず。


この本の著者、Ursina Arn-Grischottは、スイス在住。主に欧州で活躍するテキスタイルデザイナーで教師。若いときにアメリカで手織と出会い、二重や多重織に魅了されたと書いています。

二重織については、生産の現場ではすぐれた本が多くあるのに組織図や専門の言葉など手織りをする人には理解しにくい。このことから、この本では、著者が生徒に教えた20年の経験も加え、『組織図』の部分をイラストにするなど、「手織りをする人にとって、わかりやすく」という考えで執筆されています。このことだけでも、充分満足してしまいます。

さらに、手織りの説明が書かれた本であることを忘れそうになるほど、美しい写真とレイアウトです。

書籍でも見る機会が少ない美術館所蔵の布や著名な作家の作品、学校が保管している布などの写真が120余点。伝説ともいえる「デイビッド・アンダーソンがジョージⅣ王に献上したシャツ」の写真もあります。手織り本のコレクターにもお勧めです。


さて、Double Weave/二重織は「同時に2枚の布を織る」ことと定義しています。つまり、オーバーショットや昼夜織などの二重組織は含まれません。上下の布を入れ替える場合や端をつなげて織る2倍幅、チューブ織、ステッチ入り、多重織が、この本では説明されています。
スティックを使用する織り方やアメリカのように数多くの綜絖でパターンを織り出すなどのパズルのような二重織はありません。また、写真作品の具体的な作り方もありません。

歴史や各国や地域の二重織の紹介から始まり、「上下で別々の布を同時に織る」という基本構造の説明、織るまでの準備のしかた、デザインの発想法、多様な上下の縦緯の糸の組み合わせ、柄の考え方なども段階を踏んでていねいに説明してあります。二重織の構造と可能性を学ぶことができます。

布の構造を従来の組織図にこだわらないスタイルで説明するなど、著者の作品は基本と論理の確実な裏付けの上に展開されていることがわかります。


著者は、手織や工芸の教育活動の発展を支える協会にも熱心に参加していると紹介されています。この本でかいま見る事しかできませんが、歴史に始まり、明確な定義、さまざまな事例、技法、論理、展開・・・・・・デザイナーや手織りのプロをめざす人たちが、しっかりとした織の基礎をベースとした思考や発想、組み立て方を学べる環境に恵まれているのは、何ともうらやましい限りです。

2014年9月12日金曜日

やっと最後の二重織を始めます

海外の手織りの基礎はどのような内容かと Learning to Weave 著;Deborah Chandler を見ながら、織機に向かって2年半。ほとんどの課題は読むだけで、寄り道と飛び越しが得意だったようです。

この本では、平織、綾織。そして 次のレッスン10が Double Weave/二重織。ちょうど2012年の年末でした。
二重織を応用して、年賀状用にチューブ織で干支のヘビを作ろうと思ったのですが、この本では、「綜絖1枚に踏み木1本」のタイアップ図で踏み木を3本踏む箇所(!)もあります。


タイアップ部分が空欄で、踏み木の番号が並んでいるなら、卓上機用のはず・・・何かおかしい。
あちらこちら読み直し、他の本も目を通し、なるほどジャックルーム(ジャッキ式織機)とはダイレクトタイアップ(綜絖1枚に踏み木1本を結ぶ)も、マルチフルタイアップ(綜絖数枚を踏み木1本を結ぶ)もできる。偶数奇数の関係なく綜絖を上げ戻しできる。織っている途中で、結び直さずに綜絖の組み合わせを変えられる・・・・・ろくろなど古くからある他の織機のような制約が全くないと気付きました。

ジャックルームに「興味がある」と書いたら、この綜絖の自由自在な動きから生まれる織り方・・・ではなく、織機の構造についての説明をいただきました。

その後、日本の手織教室では、平織や綾織などの基本の組織を学ぶ「初めての人のための入門用の織機」という位置づけで使われていることが多いと聞きました。綜絖がある卓上機に踏み木を付けたのが始まりという説もありますから、ジャックルームは卓上機から始めた方には使いやすい織機だろうと思います。そして、たぶん基本の構造や綜絖の動き、機掛け、組織図についてもこの織機で学ぶのだろうと・・・・納得しました。

この織機についての解説書がない(?)と聞いたこともあります。もしかすると、ご自分が初めて使った手織機の基本は北米式だと知らない方もいらっしゃるのかもしれません。

個人的には、日本で、「踏み木のついた織機」で本格的に手織を学び始めるのなら・・・・やはり、ろくろ機。着物や帯を織りましょうということではありません。同じ原理で動く織機、滑車やカウンターバランスなどは世界各地に古くからありますから、日本の「踏み木付の標準機」と考えたいです。

ジャックルームは初心者用ではない。北米ではPredominento。このことに気付いた 「レッスン10 Double Weave/二重織」。

この織機について、詳しく書かれた英文のHPや書籍はよく見かけます。実際に織機で確認しながら和訳するのも楽しそうですが、残念ながら、今のところ、ジャックルームを購入するほどの余裕はありません。


さて、二重織。私の織機では、この本のやり方はできないと後回しにしましたが、著者が欧州在住の方の本を見つけました。一度に2枚の布を織るという魔法のような技法。これも世界各地で見られる織り方なのだそうです。

織らずに先に進むわけには・・・いきません。


現在使用している織機の開口装置;カウンターバランス(ホース、ドレルプーリー)、カウンターマーチ
 
※意見のある方は、自分の考えとその理由を必ず書いてください。掲載分の訂正をされると私の言っていること違う内容になってしまう場合がありえますのでやめてください。また、手織りを学んだのは、米国式、北欧式、日本式のいづれなのかと参考としている書籍、経歴などのプロフィール、を書き添えてください。投稿は簡潔にお願いします。

2014年9月9日火曜日

サマー&ウインターの追加;柄の組織

昨日、フィンランドで手織を習い、この夏にサマー&ウインターを織った時のことや説明がかかれたブログ『タピオの国でのあれこれ手仕事』を見つけまして、とても興味深く、ワクワクと、拝見しました。

なにしろ、スウエーデンの手織の本「Manual of Swedish Handweaving」にある組織図 Kuvikas を織ってみたいと思っていたので、感激。綜絖通し順も、タイアップもサマー&ウインターと同じなのです。

実際に織られた布地の写真をみると、組織はアメリカの本に書いてあることと大きな違いはありませんでした。入手しやすい素材や太さが違うためか、アメリカの場合、ユニットは4本単位となり、柄の部分の組織を変化させることがあります。実は、これもアメリカに限らないような・・・・気もするのですが。


4月22日の Virginia Beautyの配色 』で、サマー&ウインターの柄部分の組織の写真も3種類アップしました。実はもう1種類できるので、もう一度、写真と特徴を書いてみました。


1-2-1-2 たぶん基本の踏み順

きれいな四角になります。
織り始めてから長さの調整ができるのも利点。

柄;Snow-ball with Pine-Tree Border









写真左 2-1-1-2 (X’)

バーズアイのような組織になります。 X になりますので、斜めにつながる柄にはよろしいようです。
柄;Lover's Knot

写真右 1-2-2-1 (O’)

同じようにバーズアイのような組織になりますが、角がなく丸くなります。少しクラシックな感じもします。
柄;Virginia Beauty 


1-1-1-1

緯糸が交互ではないので、緯糸の浮きがそろいタテのストライプ状になります。

サマー&ウインターではなく、Half Dukagang?と呼ぶようなのですが・・・よくわからず、申し訳ありません。これからの課題ですね。


サマー&ウインター・・・まだまだ興味は尽きないのですが、ブロックパターンとユニットの考え方がわかってきたので、次は、Double Weave/二重織。

柄 参考書籍;The Shuttle Craft Book of American Hand-Weaving

2014年9月5日金曜日

サマー&ウインターの初歩ですが、ひとまず終了

それにしても、この織り方を「よく思いついた」と感心します。
昼夜織のことではありません。 アメリカの”サマー&ウインター”

「にわとりとたまご」のように、まさに、「カウンターマーチ式の織機が先か、サマー&ウインターの織り方が先か・・・」という印象です。カウンターマーチ式織機の能力を充分に発揮する織り方でした。

いただいたコメントやTHE SHUTTLE-CRAFT BOOKによれば、どちらも起源は欧州のドイツあたりらしいのです。ほぼ同じ組織がフィンランドの古い本に残っているということ。そして、私の織機はスウエーデン仕様で多少無理してカウンターマーチ(天秤)をのせたフィンランド製。



サマー&ウインター・・・アンバランスなタイアップで、奇数綜絖、綜絖枚数5枚以上のパターンが北米には数多く残されています。このパターンを織れる織機は、カウンターマーチとジャックルームのみ。

「手織好き」からすれば、どちらの織機もこのタイプの組織や二重織の込み入ったパターンが織れる織機ですから、異母兄弟とか、移民の祖父と孫のような感じ。ただし、細い糸で縦緯の密度を上げてかっちりと織ろうとすると古くからあるカウンターマーチになるのでしょう。

「織機好き」で、どんな組織が織れるかよりも、実は、織機の構造を理解することに価値を感じる人にとっては、この2つの織機は、「全く全く!違います。」ということになります。

日本の手織りの本では、まず、基礎として 織機の種類と構造 が写真やイラスト入りで説明されていますから・・・・多数決なら、2つの織機は、「全く違う」が、正しい答えとなりますね。そもそも、多数決や声の大きさで決めるような事ではないのですが。(笑) 

また、サマー&ウインター織を昼夜織の英語名と書いてある本もありますから、昼夜織だと思っていると、この織りとこの織機の性能との関係に気づくのは無理かもしれません。


海外のカウンターマーチ(天秤式)織機を使って専門的に手織りを教えている学校や大学ならば、この織機での伝統的な機がけのやり方から基本組織の1つであるサマー&ウインター(昼夜織ではない)まで学ぶことができるでのしょう。


アメリカの織りかた サマー&ウインターは、タイユニットウィーブというジャンルになり進化、発展中。ですから、今回は本当に初歩の一歩を踏み出したところ・・・・で、ひとまず終了。

2014年9月2日火曜日

サマー&ウインター#4;Lover's Knotのランチョンマット

経糸が残ったので、試し織りをかねてランチョンマットを織ることにしました。
大物が織りあがってから、今頃試し織り・・・。


本の説明にあるように、XYの踏み木を左端に、タビ―の踏み木を右端に、中央を柄の踏み木にして織っていました。
毎回、柄の踏み木をさがしていたので、今回の試し織りでは、タビ―も左端に寄せてみました。

踏んだ時の安定感はなくなるようですが、織る人それぞれの好みだと思います。

XYで、経糸の抑えを確かめながら織るのは楽しのですが、4ブロックまでならマルチフルタイアップが早いのは間違いありません。




ついでに、この際ですからミミもフローティング(浮ミミ)にして試してみました。
予想していたよりもずっと織りやすい。

ミミ糸を4本にして、柄糸は麻2本引き揃えなので、ゴツイ。でも、これが手織り感が満載ということにして。

サマー&ウインターの組織は、オーバーショットとくらべて、柄糸の浮がないのでランチョンマットにも最適だそうです。
残りの経糸でしたので、長さが足りずに小さめですが、まずは使ってみないと。

それにしても、いきなり、この大胆な構図は・・・・・「浮世絵」の影響? 


参考組織;The Shuttle-Craft Book of American Hand-Weaving
6枚綜絖 8本ぺダル 筬;100本/10cm
使用糸;経糸 綿16/2 緯糸 地糸 綿16/2 柄糸 リネン2本引き揃え
サイズ;42×32cm もう少し左右を長くしたいです。

2014年8月29日金曜日

色彩を楽しみに 華麗なるジャポニズム展へ

せっかくボストンへ来たのだから美術館へとすすめられ、遠いこの地で 日本の美術工芸 と少々複雑な思いになりました。ニューヨークへ直行便が飛びはじめた頃です。

手織以外は趣味を拡げない・・・と心に決めているのですが、なつかしさもあり、1500円の入場料を払うことにしました。
でも、私の目的は、「並置加法配色」の代表例にもあげられるポール・シニャックの作品が出展されているから・・・・。色は実際に見ないとわからない・・・とか。言い訳をしながら。


今回は、ボストン美術館の所蔵品からの企画展。
モネ、ゴッホ、ロートレック、ルノワール、カサット、北斎、広重、国定、歌麿・・・
誰でも一度は見たり聞いたりしたことのある有名な画家や作品ばかりですから、つまらないはずがありません。

『ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展』 2014年6月28日→9月15日 世田谷美術館

「印象派を魅了した日本の美」という副題から、日本人の「印象派好き」の理由がわかるような気がします。 

今回メインの<ラ・ジャポネーズ>。修復後の初公開で、鮮やかな色が楽しめます。まとっている着物は、歌舞伎の衣装というのが最近の説だそうです。うつくしい赤ですが、日本の「朱」とは若干異なるようで、そこがまた何とも魅力的。

江戸百景などの版画は、美人画のような多色の華やかさはなく、モノクロのような印象がありましたが、よく見れば使われている色には透明感があり、染料のようにも見えます。濃く鮮やかな藍色と赤は・・茜?
北米のコロニアル時代の人々が織って使ったベットカバー地もインディゴブルーと茜の類が使われることが多かったようですから、実は、親しみやすい配色だったのかもしれません。

最後の展示は、モネ《睡 蓮》。 少し離れてみると白いスイレンは輝き始めます。

色は、やはり 「本物」 を見ないと。

2014年8月27日水曜日

サマー&ウインター#3;Lover's Knotの布 織りあがり

せっかく組織図を描きおこしたので、織ってみようかと思ってから2カ月半。
前回のスノーボールと同様に、よく聞くパターン名です。Lover's Knot。何と訳せばよいのでしょうか・・・愛する人の絆?愛の誓い?

色は、パターン名のイメージからピンク系と決めたのですが、2色配色は単純ゆえに微妙。
なので、色彩の本を出してきて、織はちがうのだなぁ と読み始めてしまい・・・これも、織り進まなかった原因。
そして、この夏の連日の暑さ。

4ブロックパターン。踏み木10本でタイアップできるのに気付かず、スケルトンタイアップのままで織りあげたのですから時間がかかるはずです。

踏み木順を変えて、バースアイのような柄組織にしてみました。

今回の柄糸は、販売店さんお勧めの紡毛にしてみたのですが、マフラー向きだったようで、綿と合わせるならもう少しゴツくてもよさそうです。





サマー&ウインターはしっかりとした組織なので、クッションカバーにして実際に使ってみたいと思います。





参考組織;The Shuttle-Craft Book of American Hand-Weaving
6枚綜絖 8本ぺダル 筬;100本/10cm
使用糸;経糸 綿16/2 緯糸 地糸 綿20/2 柄糸 ウール2/10//綿20/2
サイズ;140×92cm