2013年5月28日火曜日

ハニコム#1 サマーブランケット織上り


裏織りにしなかったので、シャトルを飛ばしながら織りました。

「仕事の詰めが甘い」とも言うようですが、それなりに発見もあります。

 
まずは、タイミング。
しっかりペダルを踏んで、経糸をピンと張れば、シャトルは落ちない。反対の端まで滑らかに行き着く。

シャトルの種類。
手前から米国製、スウェ―デン製、日本製。
綜絖が開いた時に、下の経糸を拾わずに落ちにくかったのは、先端が上がっている米国製。米国の織機の特徴と関係があるようです。 
スウェ―デン製と日本製は、先の具合はほぼ同じで、底があるかないか。長い距離(今回は1.1m)には底があるほうが滑らかでした。
 
シャトルは、それぞれの織機に対応して、考えられて作られている訳です。当然といえば当然。
道具を作る人は、使い方、使う状況、使う人・・・いろいろ考えて設計するのですから、
Form follows fanction. Shuttle follows own loom.
 
手前のネップ糸の組織。
ネップが表に出るように、組織を裏返して、平の地組織をかませました。


それにしても、この色、ストライプの巾、どっしりとした印象・・・う~ん。アメリカンテイスト。
 
重さも計算して、重すぎないように作ったつもりですが、予想よりちょっと重い。
綿糸の生成色も織ったら、ちょっと濃い。

 これの2点を直せば、今風に軽やかになる・・・・よくなる姿が見えるだけに、さて、もう一枚?

  
 
 
参考組織;Learning to Weave [Honeycomb] P.169
 綜絖枚数;4枚+2枚(ミミ) ペダル;10
経糸;ソフトコットン4/2 三葉トレーディング
緯糸;ソフトコットン4/2、編物用4色ネップ糸、ピンク、グリーン、ブルー

使用筬;30本/10cm 2本入れ 
仕上りサイズ;160×98cm 

 

2013年5月23日木曜日

Unusual Occupation /前例のない職業

展示会;カリフォルニア デザイン 1930-1965 ”モダン・リヴィングの起源”

この名称の展示会で期待するのは、開放的な建築、モダンな家具、食器類、印刷物・・・、フランク・ロイド・ライト、イームス、レイモンド・ローウィ・・・・。

際立ってカリフォルニア的:テキスタイルとファッションにおけるモダニズム と、ありました。
テキスタイルとファッションが、これらと同時に展示されることはめずらしいように感じます。確かに人の生活には、欠かせないアイテムなのですが。


ファッションは、水着、カジュアルウェア、そして、ハリウッド。

当時の映画や雑誌類からも目にすることが多かったためでしょうか、実物を見れば懐かしさもあり、なるほど細部に見惚れてしまいます。
一番最初に展示されているのは第2次大戦末~後に発表された2点。使われた布も色彩にも戦争の影響があり地味な印象ですが、女性的なシルエットが丁寧に形造られています。
訪れる開放的な時代へ期待と押しとどめている思いが感じとれます。

水着「魅惑のスーツ」 マーギット・フェレギ 1942
ストライプ地「ツーピース」 ギルバート・エイドリアン 1945~47 


テキスタイルは、時代をそのまま映したフィルムが圧巻でした。

『Unusual Occupation/前例のない職業』 パラマウントピクチャ 1965年 制作

「手織りは手芸。しかし、カリフォルニアには、世界屈指の織物工房がある。
織物のデザインと試織をする新しい織物デザイナー、ドロシー・ライト・リーブル。

彼女が糸の配色、図案を書き、工房にいる優秀な女性の職人が織り上げる。
そして、決定した布は、糸を準備して織り上げられる。大量生産される場合は、修正も加えられる。
試織りと素材の実験も繰り返えされている。合繊、生糸、ガラス繊維、金属、セロファン、木材。
カーテン地にフサを織り込んだり、2重ビームで経糸をたるませたりと発想も自由。
織りあがった布は、豪邸、クラブ、ホテル、客船に使われる。」

 つまり、テキスタイルデザイナーという呼び名が、まだ一般的でなかったと思われます。
彼女は、フランク・ロイド・ライトなど建築家からの依頼も受け、布地のデザインと製作をし、大量生産用にも対応して、起業家としても成功しました。

フィルムに登場する織機は、背の低い滑車を使った単純な構造。
ふたりの職人が経糸と別に整経した金糸を重ね、巻きとっている映像もある。そして、キャッスルの柱の後ろから、糸綜絖が経糸に引っ張られて「>」の形で見えてくる。この時代から、アメリカは「フロントtoバック」で経糸を巻いている!
この太さの合繊糸でサンプル程度の整経長なら問題ない・・・・なんとも合理的。
受け継がれてきた伝統や歴史、技などが無い国のテキスタイル。開放的な力強さと自由な発想。

 
気づけば、カリフォルニアデザインとおぼしき布地は記憶の底にいくつかあります。
パイン柄のダマスクだった応接間のカーテンは、金糸入りのざっくりとした茶色の生地にかわり・・・。
新しい家のリビングは、大きな幾何学柄のプリントのカーテン。
そして、登場したばかりの頃のファミリーレストランの薄い木を織り込んだシェード。

そして、時代は移り、ベトナム戦争も影を落とし、織物もデザイナーからアーティストへと移行していく。
2011年のケイ・セキマチ女史(ファイバーアーティスト)へのインタビュー映像によると、手織は北欧と日本からの影響を受け、折しも、間仕切りが流行。日本の公募展などで見かける壁掛け作品の始まりということでしょうか。


私の幼い頃の「モダンな暮らしがしたい」というカリフォルニアの空気の記憶は続いているようです。

今頃になり、アートとの違いをもう一つ見つけました。デザインはコミニュケートから生まれるようです。相手がいなければ、インテリアの布は呼吸を始めない。ファッションの布も同じ。

夢は次世代に託すことになるのでしょう。日本は伝統織物の宝島。


国立新美術館、ロサンジェルス・カウンティ美術館 主催
東京都港区六本木7-2-22 
6月3日(月)まで

2013年5月14日火曜日

ハニコム#1 サマーブランケット織始め

夏のお昼寝用に残り糸を使って・・・

整経長が短く幅が広いので、バックビームの上の横木に仮筬をのせてビーミングしてみましたが、ラドルのように滑りが良いとはいえず、結局降ろして、いつも通りのやり方になりました。
糸が太くて、伸縮性があるので、臨機応変に。

織幅は110cm。機からおろした時に縮みそうな組織なので、広めになりました。

 
 

織始めは、セルの中が色糸。
右の写真は裏面。

写真をみて、気づいた方もいるかと思います。
この組織、緯糸が飛ぶので裏織りにしなければいけなかった。

カウンターバランスの時は、必ず開口時の経糸の上がり下がりの本数のバランスを考えていたのですが、カウンターマーチだからと安心して大失敗。

織り直す気にもなれず・・・。

ヨコから覗いてみると、
経糸は、かなり隙間が空いています。
シャトルを落とさずに投げるのはかなりの集中力が必要。
あげくこの織幅。

織り終わるまで、かなり時間がかかりそうです。



2013年5月7日火曜日

ハニコム#1 綿糸で試織 

ハニコム/Honey comb、ホースキュロス/Halkrus、めがね織り・・・・・同じ織り方だと思う。

同じ組織(織り方)でも、織られている国や地域、使われる素材や密度が違えば、布は「別モノ」。 
組織が同じだからと布地までイコールとならないように気を付けているのに、この組織だけは、それぞれのイメージが浮びません。

脇に抱えるとウールが少しチクチクするセカンドバック?
道行(コート)のたもとの裾に、飾りとして3~4筋ほど色を変えて織り込まれている飾り織り?
・・・・・これらは、「めがね織りの布」と呼びたい気がします。


さて、イメージがわかないときは、試織(ししょく)すべし。

もう気分は初夏。
縁取りの太い糸が曲線を描くには、硬い糸ではなく伸び縮みするウールが最適だろうと思いつつ、綿糸で織ることにしました。


上;縁取り糸は2本引き揃えの青。

下;すべて白。
凹凸のレリーフ感だけで見せるのもいい。
縁取りはもう少し太くする?



上;中心に色を入れ、縁取りは白。

中下;ネガ、ポジの関係も作れる。

右側と左側は、通し本数が違うため、大きさが違います。

色糸は編み物用なので、若干細い。
縁取りは、3本引き揃え。




本の説明によると、この組織に適したアイテムは、クッションカバー、バック地、ブランケット・・・・など。 
サマーセーターをほどいた綿ネップの糸とあわせたら、この夏に使えそうな何かが作れそうです。