2013年10月29日火曜日

タビーの綿糸の準備

海外の手織の基本的な組織を織ってみたいと「Learning to Weave」Deborah Chandler著 を道しるべに進めてきました。多綜絖やハックレースなど寄り道も多く、課題もあまりせず・・でしたが、残りは二重織りとサマー&ウインター、オーバーショットの3種類です。二重織りは、同時に複数本のペダルが踏めるジャックルームですといろいろな織り試しができるのですが、私の織機はカウンターマーチなので最後にします。

組織は「A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK」
Marguerite Porter Davison著 より
 
オーバーショットとサマー&ウインターは以前に織ったことがあります。両方とも平織の地があります。つまり、タビー;tabby。
「経と緯が同じ糸で、同じ密度の平織」がタビー。オーバーショットやサマー&ウインターなど太い緯糸で柄を出す織り方の地の平織はタビーです。
「ウィーヴィング・ノート」岸田幸吉著 P.26にも、同じことが書かれていました。今頃になりよく読んだわけで・・・申し訳ないことです。

最近の手織りでは、細い緯糸で平織を織り入れることは経糸の種類や密度に関係なく、タビーとかタビー糸と呼ぶようです。ウネ織や裂き織など太い緯糸を安定させるために次の段に平織で入れる細い糸は、タビーではなく〆糸(しめいと)と呼んでいました。

どちらも「太と細の緯糸を交互に入れること」や「平織の開口」、「織り地を安定させるため」と似ている点があるので、オーバーショットとサマー&ウインターのタビーと、ウネ織等の〆糸は同じと解釈したのかもしれません。

趣味の世界では、基本や理屈より手順の説明がわかりやすいことが大切で、英名を多用したりあてはめたりすることが新しさや魅力につながるようです。

オーバーショットとサマー&ウインターは、平織の地に柄を織り出した織物です。柄を織り出している太糸をはさみで切って抜けば、縦緯の糸も密度も同じ平織の布=タビーになる。太糸と細糸を交互に織り入れたウネ織などは、バラバラになってしまう・・・・・。
他にも平織の地(=タビー)を使う織り方は多く、綾の変化織で使う場合もあります。結局、基本は正しく理解しないと織りが上達しても応用がきかない、糸の準備や筬密度の設定がわからないということになりそうです。

前置きが長くなりましたが、これから使うタビーの糸。
柄糸と同じウールで細番手を選びたくなりますが、本来は、麻か綿だそうです。細いウール糸は高級品だった?などと以前から不思議に思っていたのですが、当時、織機では主に家庭で使う平織のハンドタオルや布巾を手織りしていたようですから、綿や麻の糸が手近であり、織り馴れていたということもあったのでしょう。実際、北欧の大型機などは、テンションがしっかりかかるので、注意しないと細いウールは引きすぎになります。

今回、用意したのは、綿糸16/2素地糸。若干太めの10/2でも良いのですが、16/2は、2本引き揃えると、コッリン22/2とほぼ同じ太さになるので使いまわしができそうで選びました。が、残念なことに今後は入手しにくくなるようです。 

綿糸は、素地糸そのままだと多少のベタつきと伸縮があるように感じられます。家庭で、精練の薬品(苛性ソーダ;劇物)を使用するのも保管するのも怖いので、ソーピング(石鹸)でしたが、すっきりしませんでした。
今回は、サンノールTSNN(精練剤)とヂャストミン(酵素糊抜剤)を使用してみました。パサつかず、しっとりとした仕上がりです。

精練剤;サンノールTSNN 酵素糊抜剤;ヂャストミン
藍熊染料株式会社

2013年10月22日火曜日

レースの織 終了

華やかなドレス地や愛らしいブラウスのレースと異なり、織のレースは、きりっとしていました。
テーブルクロスやナフキンの刺繍・・・糸を抜いてとめていくドロンワークによく似た印象。

テーブルリネンのためにあるような組織・・・・そんな気さえしました。
キッチンの棚に、レース織の真っ白な布巾が整然とたたまれて積んである・・・想像するだけでも幸せだと書いている手織り好きの気持ちがよくわかります。


レースや模紗というと、特別な織り方のような先入感がありましたが、平織の経糸が浮いたり、緯糸が浮いたり・・・・平織に最も近い単純な組織でした。

それだけに、糸の表情は見せやすく、空羽も効果的・・・・自己主張が少ないこともでき、多綜絖になれば華麗な姿も見せる。千変万化。魅力は潜在的。

ブロンソンレースやハックレースの綜絖通し順の説明から・・・米国のウィーバーが多綜絖を考え、発展させていったきっかけをみつけたような気もしました。論理的。そして、詳しく書き残している方々に感謝です。

服地や着物地は、織り上がった後に裁断や縫製される。テーブルクロスやべットカバー布地そのままで使われる。
用途が違えば、織手が求め憧れる柄行きも違ってくる。組織も織機も発展のしかたが違ってくるのも当然といえば当然。



10年ほど前に、ハック組織でマフラーを織ったことがあります。「ウールで薄手」も素敵なのは、重々存じております。
もう少し織りたい気持ちもあるのですが。

2013年10月18日金曜日

レースの織#8 ハックレース 8枚綜絖のトップクロス

機がけの手順を記しておきましょうと写真を撮りながら進めたので、経糸を結び終えたら、すっかり完成した気分になりました。
経糸本数 988本。 綜絖枚数 8枚。
綜絖通しは、集中力が続かず2日に分けました。

いつものことですが、織始めて予想したイメージどおりだと止まってしまう。興味がなくなるというか・・・ワクワクしなくなる。織ることよりも計画/デザインすることが余程好きらしい。

そして、格子の柄。整経は均一か、打込みは均等か・・・すぐわかるので、上達の具合はどの程度かと。  
            

ヨコ平織部は160本/10cm。テンションをしっかりかけて、打込みました。


自家製の糸綜絖は伸び縮みがあり、ご老体の織機はネジ部に多少ぐらつきがあるので、縦密度も打込みもこのあたりが限界のようです。


機からおろしたままですが・・・・取り急ぎ 撮影。
大きな格子の柄。ブルーに囲まれたホワイトの部分にハックレースを入れて。
 

 使用組織;平織+ハックレース(オリジナル柄)
綜絖8枚 ペダル8本
筬;140本/10㎝ 
使用糸;カラーコットン20/2 経糸;ブルー 緯糸;ホワイト 三葉トレーディング
サイズ;73×180cm 

2013年10月4日金曜日

今現在の経糸のかけ方を記録してみることに

30年ほど前に手織りから離れてしまった理由は、たぶん3項目ほどあり、その一つは、「織機が使いこなせなかった」つまり、「経糸の掛け方に納得できなかった」があります。
120cm幅の北欧の織機。なのに、織幅いっぱいに経糸がうまく巻けない・・・端の糸がこすれる。緩む。巻きくずれる。そして、引っ張ってくれる助っ人が必要で、一人では無理。などなど・・・。

時代により機に経糸を掛けるやり方も変わるとのことです。
確かにシステムコードが登場して変わりました。米国ではジャックルームが定着したようです。フロントtoバックの機がけ(仮筬や粗筬をせずに、筬→綜絖を通して巻き取る)が日本では新しいやり方とされ、一般的になったようです。

昨年来、もう一度手織りをやり直すにあたり、経糸の掛け方も見直していました。
北欧機、ジャックルーム、オランダ機、そして、和機それぞれ・・・やりやすい方法がそれぞれ若干違うようです。

道具/織機を作る時、考える人/設計する人がいて、使い方や使いやすさを考えて作られている・・・若い時は、布を織ることばかりに夢中で、そこまで考えが至らなかったようです。布の織り方には大差なく、布を織るために必要な道具としての機能は同じなのですが。

自分なりの基本のスタイルが決まり、少し余裕ができてきたので、私が使っているスウェーデン仕様のフィンランド製の織機(10枚綜絖10本トレードルのカウンターマーチ/北欧の天秤式 等)で、経糸の掛け方を記録していくことにしました。

今回は、20/2綿糸。密度140本/10cm。総本数988本。整経長3m。カウンターマーチ。8枚綜絖、8本トレードル。
巻取り中に経糸切れ1本発生-原因不明。撮影した写真41枚。


何回か繰り返したことで思いついたミニテクニックみたいなものもあります。
これから自分のやり方がどのように変化するのか興味もあり、気づいた時に書き足していくことにしてみます。


追;離れてしまった理由の たぶん3項目とは、
1.満足できる織機の使い方がわからなかった。
2.場所をとる織機を組立てて、何を織ったらよいのか/何を織り続けられるのか見当がつかなかった。
3.自己満足ではなくて、ある程度センスがよくて、本当に使えるものができるのか疑問だった。
あと、染糸の種類も色も少ないので、染めなければならず・・・もありました。