2014年3月20日木曜日

書籍;増補 織物組織意匠法

「ろくろは下口開口か」の時に参考とした本です。手織りに役立つとは言えませんが、私の織についての考え方の基本となる本の1冊と思います。

織に興味があった30年ほど前に、一般の書店で購入しました。
力織機運動、紋紙、把釣、棒刀仕掛・・・織物の生産に関する記述も多いのですが、数多くの組織図が名前と共に載っているのに魅かれ、随分迷ってから買ったという記憶があります。当時から、紋織り・・・織物の組織変化で柄が織りだされるの布、それも、海外の布地・・・に興味があったのだろうと思います。


増補 織物組織意匠法 田島 弥一著 京都書院 昭和56年3月20日発行

序言には、「紋組織(織り柄の布)の知識を得たい人の為め著者が多年の経験にもとづき書いたものであります。」と書かれています。

著者は、明治36年、群馬県桐生市生まれ。京都西陣にて織物意匠図を修業して、独立後は外国織布を分解して組織を研究。

著者の経験をもとに書いたため、機械学校の教科書と異なる点も多くあるというのは、紋織の基礎知識に重点をおいているためかもしれません。


製織篇、機械装置篇、織物組織篇、織物分解篇、紋彫篇、組織図篇と付録 織物原材料篇及染織篇から構成されています。織物組織が主ですが、初心者のために製織と機械装置の基礎知識から始まっています。

織組織では、基本組織から始まり、多くの変化斜文織と変化繻子の組織があります。探していた変化斜文織の英語名はここにありました。特別組織では、11点ほどあり、手織りでも聞きなれた蜂巣織、模紗織、砂子織、昼夜織などの組織図が英語名と共に載っています。昼夜織はCheckerboard Weaves。手織りとは異なり、朱子や綾で表裏が同じとなる組織が3点掲載されています。

手織の昼夜織は、次の章の「特殊織物」の重ネ組織にありました。経二重紋織が同じ組織で、袋織、ピッケ織、キルト織、風通織などが同じ分類になります。
組織図だけではわかりにくい多層組織、ゴブラン組織や襞織、コール天、タオル織、紗織、平絽、羅織などはイラストで説明があります。また、織機に専用の装置を付ける特殊な織は構造や仕組みが図解されています。

最近は見かけなくなったコート地用の凝った組織、ドレス地用の特殊な織・・・名前を見るだけで、懐かしくよみがえってきます。

紋織物を生産する織機は電子化され、紋紙がなくなり、仕事のやり方は大きく変わったと聞きます。でも、組織や考え方までがなくなるわけではありません。
意匠を専門とする著者は、紋紙を製作する人や織り手に確実に伝えることができるようにと組織の名前や定義を丁寧に整理されたのだと思われます。

趣味の手織では、古くからある内外の織り方や組織に目新しくインパクトのある名前がついたり・・・。経緯も理由もはっきりせず、意外に感じる事が多いのは寂しい気がします。

織と布・・・大切にするのなら、伝えられてきた名前と意味も大切に。

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