2015年4月24日金曜日

続々  ■と□の記号のタイアップと組織図

北米と北欧の組織図の記号違いは織機の違いからという話から、その後、カウンターマーチ(天秤式)でもフィンランドとスウェーデンのタイアップのしかたが違うことから組織図の見方の違いへと発展。織り柄が織れる日本の4枚綜絖のろくろ機が「優れもの・・すぎる」のではないかと感じたりして。
どうやら、カウンターマーチ(天秤式)とカウンターバランス(ろくろ式や滑車式)は、編物の棒針とかぎ針ほど明らかに違うように思われてきました。

最後にフィンランドのカウンターマーチのことをもう一度。

イラストの織機は、手元にあるアメリカの2冊の本に、ジャックルームとして紹介されています。
上部のジャック(はね木、天秤)が、綜絖の下に移動し、現在のようなコンパクトなジャックルームへと進化したという話です。

でも、この織機、フィンランドで使われている水平天秤式織機に似ていませんか?よく見るとラムを支える穴(支点)も左側。
下ラムしかありませんから、この織機で踏み木を踏みんで織り続けるにはかなりの脚力が必要。でも、上口開口ですから、組織図の■は、無理なく、自然と、経糸です。タイアップで■印をした箇所は・・・下ラムしかありませんから、下ラムと結ぶことになります。

この織機に、上ラムを追加して、踏まない踏み木を吊り下げれば、バランスがとれて楽に踏め、かつ、全ての綜絖が上下に動く水平式カウンターマーチ。

カウンターマーチ(天秤式織機)の垂直式と水平式。もう一度、両方の織機のイラストを見直すと、中央に天秤(ジャック、はね木)が1枚あるだけの垂直式は、中国で発祥したという天秤のある織機の特徴を残しているように見えるのですが、左右に天秤がある水平式は、機械工学の専門家でなくても、ちょっと発想自体が違うように見えます。お互い影響し合ったことは、確かなようですが・・・。

カウンターマーチで、タイアップ図の■と□のどちらをどちらのラムに結ぶのか。
「組織図の■が経糸だから・・・」というよりも、織機の発達の歴史と環境が関係していると考えたいです。ですから、伝統的に違う地域もある・・・あたりまえのこと。ただし、知識として知らないと、「間違っている/いない」の言い争いのようになりがち。余談ですが;日本語の「違う」と「間違う」は語感が似ていて苦労することが時々あります。

力織機も、動力機も、組織図も・・・・もとは、手織機から。使われる目的や環境にあわせて改良、進化すれば、使い方や動かし方、考えかたも明らかに違ってきますから、よくよく吟味しないと、手織りは用語の数ばかりが増え、説明はむつかしくなるばかり。
米国の書籍『THE COMPLETE BOOK OF DRAFTING』に「経糸と緯糸のどちらを描くか?」というテーマがあります。
著者;Madelyn van der Hoogtは、「綜絖通しとタイアップ、踏み木順から組織図を描きおこす場合、綜絖に通っている経糸を書いていくのが描きやすいから、黒になる。」と述べています。つまり、「普通は白い紙に黒いペンで書くから■(黒の塗りつぶし)になる。」という単純な理由をあげています。「この綜絖は上がるから経糸」だと最初から決めて書いているのではないという考え方です。
そして、「組織図のどちらを塗るかはそんなに大切なことではない。どちらが縦糸か緯糸か自分でイメージできて、その通りに織機を使えればいい。」という結論です。
最近の海外の手織のパターン集や作品本では、■と□の組織図だけでなく生地の写真もありますので、写真ばかり見ていて、実は、どちらが経糸かあまり気にしていませんでした。

私が組織図を描くときは、織初めの位置を決める時とパターンをアレンジする時。ですので、『組織図』ではなく、柄織物に使われる『意匠図』という言葉のほうが適切では?と気がつきました。最後になってすみません。

描き上げた意匠図をみて、柄やレピート、柄の入り方、本数などを確認する。

柄の配置やどちらを経糸にするか考える。(どちらを表にするかを決めるのも、センスの見せどころでは?)

綜絖通し、踏み順とタイアップ図を確認して、必要があれば、タイアップ図の■□を入れかえる。 もしくは、上下ラムのタイアップを入れかえる。

ひとつひとつ確認しながら仕事を進めるのは・・・面倒で、大変ですか?


※意見のある方は、自分の考えとその理由を書いてください。掲載文の訂正は私の主旨と違う内容になってしまう場合がありますのでご遠慮ください。
また、手織を学んだのは、米国式、スウェーデン式、フィンランド式、日本式のいづれかと参考としている書籍、経歴などのプロフィール、を書き添えてください。投稿は簡潔にお願いします。

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