2015年5月1日金曜日

洋書;Manual of SWEDISH HANDWEAVING

「海外の手織りをしています。」というと、「スウェーデン織ですか?色がきれいなので、織ってみたい。」という話になります。スウェーデンの織りといえば、フレミッシュという絵織物と白木の大型織機。色彩豊かな布を織るというイメージが定着しているようです。


「スウェーデンの手織りの手引書」というこの本は、組織から始まります。日本でのスウェーデン織のイメージとは、ちょっと異なるようです。

基本組織、組織の特徴、変化のさせかたなどの説明から始まります。
ローズパス、レップ、ハニコム、ダマスク、数種類のドレル、モンクスベルト、インレイなどのよく聞く組織も、もちろん登場します。
カラー写真は差し込みの12ページしかなく、ほとんどが組織図と織った布のモノクロ写真。織機と道具の写真も数枚あります。

Manual of  SWEDISH HANDWEAVING Ulla Cyrus-Zetterstrom著 Alice Blomquist訳

初版は1950年。1956年に英語版が発売され、手元のこの本は英語版の第2版で、知人からの借用品。裏表紙には鉛筆で「1981年購入¥4720」の書き込みがあります。ネットの発達で、海外の書籍や情報に簡単に接することができるようになりましたが、当時は本を購入するのも道具をそろえるのも大変だったようです。

時代が変わったのかもしれませんが、「趣味の手織りを楽しむため」というより、「『織』に関する基本知識」について書かれた専門書のような印象があります。あたりまえのように、6枚、8枚綜絖の組織図が登場し、名称と特徴、用語などが説明されています。

しかし、先日、組織図のことで見直しました国内の本も同じくらい専門的な項目と図から始まっていました。それで、この本を最初から読むことにしたのですが、日本では、組織の基本について充分な説明がなされているかどうか・・・・ちょっと疑問も生まれてきました。私が知らないのか?本として出版されていないのか?専門の学校では学べることなのかもしれません。それに、日本の欧米式の手織りの基本とスウェーデンのとは「異なる」と言えば、その通りなのですが。

織ってみて、気が付いて、「ちょっと専門的かもしれない。」とほくそ笑んだことが、最初の基本の数ページに説明されていて、少々がっかりもしました。
例えば、多綜絖の綾組織の作り方と特徴、密度との関係。「batavia」「シャープカット」。スウェーデンの組織図は、経糸が白。緯糸の「黒」は、実は「赤の塗りつぶし」で、モノクロ印刷の都合から「黒」になっているなど。

米国の独習書に続き、この本で、また2~3年は楽しめそうです。

巻末に近付くと「密度と糸量の計算法」や「番手」、「織機と使い方」、「道具と使い方」などの説明があります。

最後のページに、「Hand Loom with Jacquard machine/ ジャカード付の手で使う織機」の写真がありました。国内の本では、このジャカード機は「手織り機」に分類されて紹介されている場合が少なくありません。
でも、この写真を見ると、織機の上に重そうなジャカード装置がのせてあり、たくさんの糸が下がっています。フライイングシャトル(バッタン)も大きく横に張り出していて、一緒に写っている作業着の男性が動かしているようです。かなりの高さと大きさで、手織機だからと普通の住宅に置いたら天井につかえ、床は抜けそう。自宅で手織りを楽しむとか、農閑期の手仕事という日本の「手織り機」のイメージとは違います。Hand Loomとありますが「手織り機(はた)」より「手動の織機(しょっき)」という印象ですね。

その国の文化 手織りは、やはりその国の言語で、というのが基本ですが、仏訳本、英訳本も発売されています。和訳本は、出版されていないのでしょうか?少々複雑でも、説明がわかりやすければ、むつかしくはないはず・・・・。

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