2015年5月9日土曜日

朱子織とSatin

方眼紙に黒と白で書かれた図をよく見ると、本数が違ったり、裏表だったりしますが、朱子織もサテンも基本の組織は同じです。平織、綾織、朱子織・・・三原組織の一つですから。

若い頃に聞いたのは、「朱子織は、綜絖枚数が多く必要なので、手織りで織ることは難しく、ほとんど織らない・・・・。」確かそのような説明だったと思います。ですから、朱子織の説明がない本もありました。今なら「一般的に使われているろくろ式織機では・・・」と前置きをつけたくなります。

その時、朱子織の緯糸は目立たないように飛び飛びに経糸と交差すると習いました。いわゆる「表」朱子の場合の話です。朱子の組織は、いくつ飛ぶかを・・・確か、経糸方向にかぞえた数が「朱子」の名前の前に付いている。日本語には「縦書き」があるからでしょうか?

『Manual of SWEDISH HANDWEAVING』には、完全組織の左下から右方向へかぞえるとあります。右から左の場合もあるようですが、いわば、「横書き」。説明では、多綜絖のそれぞれの綜絖枚数で飛び数がいくつの朱子が何種類できるか・・・つまり、組織を考えることに重点が置かれているように感じられます。

記憶違いだったかも・・・と久しぶりに30余年前に購入した国内の本を開いてみると、やっぱりタテ方向です。
朱子織の例として「3飛5枚朱子」「2飛5枚朱子」の説明があります。組織点(交差点)までの数をタテ方向へかぞえて「3飛」「2飛」。それに綜絖枚数の「5枚」をつけて、朱子の種類を表しています。

もう一冊の欧米の手織も参考にしている日本の本にも「3飛5枚朱子」がありました。
同じ「3飛5枚朱子」組織でも、かぞえ方は、「タテ方向へかぞえて3飛び」、「右ヨコ方向へかぞえて2飛び」と「右に3飛びで左に2飛び」の3種類があると説明しています。5枚朱子は2と3からなるという理由のようです。
さて、ヨコ方向へかぞえて「3飛び」の8枚朱子は、日本式では「何飛び8枚朱子」になるのでしょう?

当時、いろいろ書いて上下へ左右へとかそえて確かめたのですが・・・・わからず。
30余年がすぎ、やっと日本式と欧米式のかぞえ方が書いてあるのだと合点がいきました。最後の右へ左へとかぞえるやり方は、どこのやり方でしょうか?オリジナルでしょうか?

悩んでみましたが、日本式のタテ方向の飛び数から欧米式のヨコ方向のかぞえた数を算出しようとするのは、私にはむつかしすぎるようです。考えかたも、習慣もちがうのですから、タテ方向に数えるのが「朱子」で、Satinは、ヨコ方向と割り切ってしまったほうが・・・今回もわかりやすいようです。

DrallやDamaskを早く理解したかったら・・・日本の手織りの知識に頼らず、焦らず、最初から英文を読んでみる。日本と欧米の相違点を探して考えるよりも確実で・・・やっぱり早そうです。

7 件のコメント:

  1. お久しぶりです。あいです。朱子織の件ですが、わたしの本にチョコっと載っております。
    日本では、5の2飛びたて飛びと5の2飛びよこ飛びのように両方で言います。
    本がはしょった説明の場合たてだけが多いです。

    基本的に、正則朱子は、数を持たないものになりますので、
    8枚だと3飛びと5飛びになります。たてとびよことびで全部で4種
    変則朱子場合は、組織が循環したときに滑らかに組織点が分散されるように
    適当に組織点を移動させるので、綺麗に規則で片づけることができません。

    すみません。余計なことでしたね。お邪魔しました(^ー^)

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  2. コメントをありがとうございます。
    さて、日本的な考え方はよくわからないので、もうすこしお聞きしたいのですが、

    ひとつの朱子の組織について、たて飛びとよこ飛びの両方で言うのが正式な言い方で、私が参考にした本にはあったのですが、一般的には、同じ組織を言い表すのに、3種類も存在しないということのなのでしょうか?

    正則朱子の4つの種類をそれぞれ正確に伝えたい場合は、どのように表現するのでしょうか?それとも、省略しても慣習的に(?)相手に同じ組織を伝えることができるということでしょうか?

    変則朱子についてですが、適当に移動させるので、綺麗に規則で片づけることができないというのは、組織にはレピートという規則性があるという説明は成り立たないということなのでしょうか?

    コメントをいただいて、さらに不思議に思いました。やはり、日本と海外とでは、考え方や発想の仕方、言葉に対する定義や意識などの基本的な違いがあるように感じました。余計なこと・・・・で済ましてよいのかどうか?

    どのように思われますか?

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  3. おっと、すみません。
    正則朱子は公約数を持たないと書いたのに、”公”約の部分が消えていたようです。

    変則朱子についてですが、もちろん普通にレピートします。
    簡単に書いてしまったので、誤解されてしまったようですね。
    普通の正則の場合は、飛び数が一つの組織の中で1種類の飛び方になっていますが、
    変則の場合は、2つ以上の飛び数を使います。


    すべてをここでお話しすると、ながーーーーくなってしまいそうなので、
    別の機会にお話ししますね。

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    1. 変則朱子について、

      「不規則に組織点が飛ぶ」というのは、レピートや飛び数の制約が全くないという印象があります。また、「2つ以上の飛び数が・・・」というのは、組織点の求め方の説明なので、織られた布がイメージできませんでした。

      『織物組織意匠法』には、「繻子地の如くで癖のある組織」とありました。産地によっては、「乱れ朱子」とか言ったような?言う人もいたような?記憶もあるのですが・・・違いますか?

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  4. 日本の手織りの本には、朱子組織は手織りではしないと書いある本もあります。
    つまり、国内で一般的な4枚綜絖のろくろ式織機では、織ることはできないと思っていますので、なが――――くなる朱子組織の説明を理解できるかどうか・・・それだけで難しすぎるようですよね。
    日本では、工場など織を専門にする意匠師の方などには、必要なのでしょうが・・・あいさんは基本はろくろ式の手織りの方ではないのですか?

    海外の手織では、朱子組織を表裏してブロックパターンを織りだすという発展の仕方ですから、さまざまな朱子組織をそれぞれ詳しく理解する必要はなさそう・・・と思っています。

    ご存知だとおもいますが、欧米の書籍では、綜絖枚以数を決め経糸本数を同じにして、飛び数を決めるという考え方です。たぶん、お話の「変則朱子」は、欧米では綾織の変化組織を作る時のように、拡大省略などの変化展開してつくるのではないかと思います。

    コメントをいただいて、折に触れ書いていますように、日本は出来あがった組織に説明を施して学ぶのに対して、海外は基本を発展させるという・・・根本的な発想のしかた自体が違うのでは?と感じたりしました。

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  5. そうですね。基本は、4枚綜絖のろくろ式で書かれている本が多いので、手織りの本で勉強すると朱子織は詳しい説明がない物が多いと思います。

    組織の説明については、図もなく文章だけで長々書いても誤解が生じるのでは?と思いましたので、ここでは省略させていただきました。
    ちょっとだけ5枚の場合で書くと5の2飛びと3飛びのよこ飛びとたて飛びは同じものを指しますので、
    たて朱子とよこ朱子(裏と表ってこと)を合わせると4つになります。

    ただ、朱子織の飛び数の数え方は、イタリアも上に飛びます。
    次に出てくる組織点の算出の仕方もイタリアも日本も同じです。

    私は、最初に勉強したのは日本の学校でろくろですが、その後、アメリカ人、イタリア人の先生に付きましたので、頭の中はごちゃごちゃです。天秤式は、女子美の先生とアメリカ人の先生から習いましたが、女子美の先生の方がわかりやすかったので、本はそちらにしています。

    海外の手織では、~と思っています。

    そうですよね。もとになる組織がわかっていればいいので、朱子組織の作り方は必要ないですよねぇ~。

    ご存知だとおもいますが、~変化展開してつくるのではないかと思います。

    欧米の全部の本を読んだわけではないので、はっきり言えませんが、変則については日本と同じと思います。

    海外との考え方の違いについてですが、
    うーん。なんとも言えないですね。私が学生の時は、手織りの先生が、朱子織の飛び数の出し方と次に出てくる組織点の算出方法も教えてくれましたし、他の組織も組織図の作り方や違いなども勉強しました。その授業で織らないものもあったので、当時は無駄な知識と思っていました(^-^;)。早く織らせろ―ってね。
    今は、とても感謝しています。
    日本でも、どこで、どういう先生に教えてもらうのか?に関係している気がします。

    しかし、大きく違うと思うのは、アメリカなどは人口も多いから 織の本がものすごいありますよね。英語圏以外の人も買いますし。でも日本は日本語で本を出しても全然儲からないし、購入者が少ないので、本が少なく、浅い内容の本が多いのが誤解を招く原因だと思います。
    ちゃんとした基礎の本を書くには、数年かかったりするので、それだけの仕事をおこずかい程度の金額で書くのはボランティア状態。それでも書くという先生がいないのが現状です。マニアックだと売れないし・・・長くなってしまって申し訳ないです。

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  6. 再度のコメントをありがとうございました。全て書き終えたらご連絡ください。公開します。

    どの説明、だれの説明がわかりやすいか・・・・は、人によって違うともいます。自分がわかりやすいから相手もわかりやすいとはかぎりませんし、同じ人でも経験を積むことでちがってくることもありえます。
    人に説明する場合は、どれが論理的て矛盾がないか、相手の望むことや目的に合致しているか・・・だとおもいます。

    わたしの基本的な考え方は、「説明のわかりやすさ」よりも、「自分がイメージする組織を創りやすい説明はどれなのか」ということです。

    飛び数についても、結局は朱子の種類を相手に伝えるための「名称の素」という考え方です。

    変則の作り方に限らす、何事も「答えは一つ」とは限りません。自分がイメージするものを具現化するために新しいやり方があってもいい。でも、イメージや目的がはっきりしないとできませんね。

    誰から学ぶか/学んだかはもちろん大切ですが、得たことを自分なりに消化して知識として自分の活動に生かすことだと思っています。

    また、誰から学んだかが、学んだ個人の評価になってしまう慣習がまだ生きているようなので、自分自身も惑わされてわからなくなってしまうかたもいるようです。

    儲けるために本を出版する方もいるかもしれませんが、アメリカで本が多い理由のもう一つは、自分がたどり着いた考えや技術などを次の人につなぐために書いているのではないかとも思います。
    アメリカ人の先生からも学ばれたというお話ですので、ご存知かと思いますが、The Shuttle-Craft Bookを読んでも「受け継いできた大切さ」と「受け継いでいく大切さ」を感じます。

    ちゃんとした基礎の本を書くには、もちろん数年かかるので、金額面はお小遣いやボランティアと感じても、同じ時代で直接教えていただいたことを次へ伝えることは、感謝の形といえます。その後何十年もあなたの感じた感謝を共有できる人が生れることになりますよね。

    儲けるために本を書き…で、儲かり続けたいなら、手織はさっさとやめたほうがよさそうです。

    生活のためか、儲けるためか、知的満足のためか、感謝されたいからか‥…一人の中に一つだけとは限りませんね。

    基本的なスタンスの違いを文書にしたら辛口になりました。お許しください。

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