2015年10月9日金曜日

京都のスクールのスタンダード

京都といえば、有名な手織りのスクールがあります。
卒業生は、延べ一万人以上というのですから、ここで教えていることが、ジャパンスタンダード(日本標準)になっても何も不思議はありません。

1年で基礎を終了するコース、さらに専門的に学べるコースや基礎のカリキュラムにある演習を自由に選べるワークショップ形式の講座は全部で32もあります。寮もあります。

ワークショップの講座から「初めての織り」10日間を受講すれば、持っている織機を使えるようになるというお話です。
使用する織機は、ジャッキ式織機(ジャックルーム)。カナダのメーカーの織機です。
組織を勉強する上級のクラスでは、天秤式織機を使用。フィンランド製の水平天秤式織機です。

手織りをしている方とお話をすると、ジャックルームは、織の基本組織を学ぶ「初心者用の織機」で、天秤式(カウンターマーチ)は、「中上級者用の織機」というので、不思議に思っていましたが、このスクールのカリキュラムの影響が大のようです。

ジャッキ式で組織を学びますから、「綜絖は上がる」を基本としたタイアップ。上のクラスで天秤式を使うときも「上がる」で考えることになるのだろうと思います。
さて、ジャッキ式(ジャックルーム)は、北米の織機。
アメリカでは、現在、書籍がほとんどがジャックルームユーザー向けです。ですから、この織機に興味がありました。米書『The best of Weaver's シリーズ』には16枚も綜絖を使う複雑な織り柄もあります。初心者用に限定した織機ではないと思っていました。(このあたりから・・わたしの認識は国内の一般と食い違っていた・・・。)

一方、天秤式(カウンターマーチ)は、北欧の織機です。
ろくろ式より開口は安定し、素材や密度を選びませんが、さらに複雑な組織を織りたくても綜絖は8~10枚が一般的。アメリカでは、ジャックルームから買いかえる人は、北欧の織がしたいからという理由がほとんどのようです。(わたしの個人的な意見ですが、上級者用と思えるのは、タイアップに手間がかかることと、細い糸使いで密度のある布が織れること・・・。)

着物など日本の伝統的な手織りを除くと、パンフレットのカリキュラムを見ただけでは、天秤式が上級者用の織機で、プレステージ?の印象になるのだろうと思います。実際に受講してみないと、詳しいことはわかりませんが、10日間の寮生をしないと・・・。
理解を深めるためにも書籍やテキストなどを一般にも販売してほしいとつくづく思います。

なるほど、ジャッキ式を実際に使って初歩を学ばないで、いきなり天秤式、それもスウェーデンスタイルでブログに書けば・・・・信用できないと感じた人もいたのだろうと思います。謎が解けました。

その織機の出身国とは織り上がる布、使い方や組織図が違うとしても、国内に広く浸透した使い方や評価は、現在のジャパンスタンダード。

両方を理解しないと、アメリカの書籍を見てもよくわからない・・・・混乱することになるのだろうと思います。

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