2015年10月2日金曜日

日本のこの数十年の手織りを整理してみる-6.現実

現実は・・・と質問されたら、「ことばの曖昧さ と 国内外の情報不足」

布の織り方、教え方や説明が違うのは、著者や先生によってスタイルの違いだとしても・・・・名称や表現はさまざまで、分類して書き出してみると、まるで、禅問答。

・カウンターマーチの和訳は天秤式。ですから、天秤がなくても天秤式。でも、天秤があれば、腰機でも天秤式。

・ろくろ式は両口開口だけど下開口で、開口の仕方は同時に綜絖が上下する中口開口。下方向へしか綜絖が動かないのが下口開口。

・あら筬で仮筬をする。普通の筬を使って織幅に経糸を拡げるのが仮筬。普通の筬を使っても粗筬通しをするという。

・組織図を意匠図と呼ぶ人もいて、完全組織を見つけて綜絖う通し順や踏み木順を書き、できあがったのが完全意匠図で、組織図やドラフトと呼ぶ人もいる。

・綜絖枠がある場合は、綜絖枠と綜絖。綜絖は、枚数といえば、綜絖子が入った綜絖のことで、本数といえば綜絖子のこと。

今まで使い続けてきた言葉ですから統一する必要はないと思うのです。が、この言葉や言い方の説明は聞いてみたいですね。わかりやすく教えることができれば、ことば本来の意味は「関係ない」というようなことをおっしゃる先生もいらっしゃるので・・・・まさに、百花乱舞。これほど、言い方や名称がさまざまだと・・・・和訳本が出版されないのも納得です。
手織りと使う織機は、地域と文化の違い。
フィンランドはカウンターマーチ。北米はジャックルームとその特性を生かした組織が発達し・・・・・・と国によってメインで使われる織機のタイプは決まっているようです。そして、日本は、ろくろ式で、着物以外も織るようになり、欧米の織機を使用して教えるようになったと思われます。

日本では、欧米の織機は、あくまでも「道具」。ろくろ式では織れない/織りにくい「凝った組織」が登場したから使い始めたのだろうと思います。

このため、初級から中級、上級へと織機へと変えてステップアップするのが一般的のようです。たとえば、卓上機からはじめて、ろくろ機、天秤式。もしくは、ジャックルーム(ジャッキ式)⇒天秤式。西欧の織りの組織や意匠図の使い方、織機の使い方も先生や学校がそれぞれに工夫したので、いろいろなやり方ができあがったのだろうと思います。

日本の手織は、欧米の織機を使っていても、欧米の手織とは違い、組織図の使い方も違うようです。

国内では、、何々式という名称すらないので「やりかたに何種類かある」ことすら・・・気づけない。メインは2-3種類だと思うのですが、書籍もテキストもない学校がほとんどないので、実際に何タイプに分類できるかもわかりません。

もっと執筆してほしいと思うのですが、何冊か出版されている先生のお話では、
日本は本を出しても全然儲からないし、購入者が少ないので、本が少なく浅い内容の本が多いのが誤解を招く原因だと思います。ちゃんとした基礎の本を書くには、数年かかったりするので、それだけの仕事をおこずかい程度の金額で書くのはボランティア状態。それでもかくという先生がいないのが現状。なのだそうです。

昔、手織りの上手な嫁は、家を富ませたと言います。上手な織り方は秘密にして、「儲けるために手織をする」という意識は変わらずに残っているのでしょうか?

世界中のどこでも誰とでも、瞬時に話ができる時代が到来しているのに。

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