2014年10月21日火曜日

天秤式の中央のコード

密度を混ませた綿糸の二重織は、綜絖通しの後も苦戦しています。今回は、天秤式について聞いた話など。

「天秤式織機で中央に下がるコードは、綜絖通しがやりにくいという話を聞きますが・・」と海外の織機に詳しい方にきいてみました。「では、水平式ではなく垂直式にすればよい。」とのお答え。お教室でいろいろな織機を見る機会がない私にとっては、まさに盲点。もちろん大型機の場合に限りますが。

このところ天秤式織機のことを書いていましたが・・・頭にイメージしていたのは、つねに水平式。日本の書籍のイラストなどでよく見かけるのは、もっぱら水平式。

30年前、海外の織機にあこがれていたころの水平式と垂直式の違い・・・どこで読んだのか聞いたのか、記憶はあいまいな部分もありますが、おおよその内容は次の通り。
  天秤式織機には、水平式と垂直式があり、垂直式は主にスウエーデンで使われ、水平式はフィンランドで使われている。水平式は、左と右に天秤があり、左右の1セットで1枚の綜絖を吊る。踏み木をふんでいないとき天秤は水平。垂直天秤は、中央に天秤があり、踏み木をふんでいないときは垂直。下ラムは長く、織機本体から突き出していて、この部分に天秤とのコードを結ぶ。このため、水平式よりスペースが必要。(上の写真は、本体内に収まる水平式の下ラム)

「スペースが必要」という言葉から、すぐに私の選択肢からは外れました。「垂直式では天秤と下ラムを結ぶコードは本体の外側を通るので、水平式のように織機の中央にコードはない。」日々の使い勝手を考えるとスペースよりも・・ここが大切なポイントでした。本のイラストをよく見るとローラーがあるので、水平式とくらべて踏み木は若干重いかもしれませんね。


垂直式のイラストは、本棚に眠っていた創元社クラフトシリーズ「手織り」にありました。
本文の「手織りの準備」では、手順にそって何枚かの写真が続いています。よく見ると中央にコードが下がっていますので水平式のようですが特に説明はありません。
綜絖は巻き上げず、整経した経糸は、筬框にいれたラドルに仮通しし、綜絖を左右に寄せた間を通し、2つに分けて中央のコードの左と右を通して男まきに巻き取る・・・・。
日本の解説書やブログなどでよく見かけるやり方です。当時は、手織の準備のやり方は、世界中どこでも同じと気にとめませんでした。


さて、8枚綜絖の水平式天秤織機をお持ちの何人かの方に聞いてみると、綜絖の上がり下がりが安定していて左右のバランスを取る必要がないから・・・。広幅が織りたいから・・・など。また、中央にコードがあるため、複雑な綜絖通しは大変なので4枚綜絖で平織が多いということ。

「中央にコードがあるから・・」「糸綜絖は滑りが悪いから・・」という理由から、金属製の綜絖枠を吊り金綜絖が使えるように改造する人もいらっしゃるそうです。天秤式のままで踏み木とのバランスがとれるのかどうかは定かではありませんが、上記のような準備のやり方をする場合は使いやすそうです。

「やり方に間違いも正解もない。」「道具は使いやすいほうがいい。」とみなさんおっしゃいます。
手織りをする日本女性は、たくましい。

海外では古くから使われ続けている糸綜絖。糸綜絖には糸綜絖の良さがたくさんあると思うのですが・・・・・。


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