2014年6月21日土曜日

綾は右上がり?左上がり?

洋裁をする人なら誰でも知っている・・・・綾織の生地は綾目、つまり、組織が切りかわることでできる凹凸線が右上がりに見えるのが普通は表。表裏を間違えると、生地のつやなどがちがうので台無し。ですから、布を断つ前に毎回注意して何度も見ます。最近、綾織の服地はあまり見かけませんが、ストライプのネクタイ・・レジメンタルは右上がりばかり。

右上がりだと精神的に落ち着くとか、右利きの人が多いので、線は右上から左下へ/////が書きやすくて多いとか。時計の針は右回りなどなど。いろいろな所で見なれているからということらしい。


さて、本題は、綾織と綜絖通しの順通しの方向。ミミ糸の綜絖通しの順番を考えていたら、突然、突き当たりました。
手織り布の綾目の方向は?綜絖の番号は奥から1234か手前から1234か・・・・これも綜絖通しが右奥から左手前へ進むか?右手前から左奥へ進むかに関係しているような・・・?

このところ、かたい話ばかり。


昔、初めて習った日本の・・・と当時の本を見てみました。

主に着尺から学ばれたと思われる方の著書と同じように習いました。右上の図のように、綜絖通しも綾も左上がり。
布を横方向にして体に巻く帯に使われた組織と思えば、着た時に右上がりになりますので、さほど不自然とは思えませんが・・・それとも日本のスタンダードは左上がり?

さて、同じ1980年頃に参考にした、海外の書籍も参考にして現代的な作品を発表されている方々の著書でも、綾も綜絖通しも左上がり。服地の基本とはことなりますが、やはりこれが日本のスタンダード?
偶然かもしれませんが、綜絖番号は手前から1234で、アメリカと同じ。

織機の前に座って、右端から番号順に1234通すと右下の図のように綜絖通しの部分は左上がりになってしまいます。
何でも基本は右上がりと頭に入っていてこの図を見ると、何とも心地の悪い感じ。

「手織は裏を上にして織るのが本当なのかな?」と当時は疑問に思いました。最近の新しい本ではどうなのでしょうか・・と、もう少し調べてみたいのですが、次々と本を買うのもそろそろ限界なので残念。


さて、海外の場合。

右上の図の古いスウェーデンの本では、奥から1234。
最近は右下の図のように、番号が書いてある事はほとんどありません。
右端から通す場合は1234と唱えればいいので、確かにやりやすい。織りあがりを示す組織図も右上がり。

左図のように、アメリカでは、手前から1234。同じように右端から通す場合、4321と唱えながら通すことになります。
アメリカでは織機の後ろに座って通す、フロントtoバックのやり方が流行り、奥から4321へとかわったという説もあります。

この図は、選んだのがタイアップの説明の前段階のものでしたので、組織図を描きやすいように踏み木番号を優先したのか?織りあがりの図(□■の表示部分)は左上がりでちょっと珍しい例。
レジメンタル-タイの向きもアメリカは左上がりだから・・・あまり気にしないのか?

私の手元にある横文字の本は、1冊を除いて、綜絖通しの順通しは「右上がり⇒右奥から手前へ」。


綜絖番号のつけ方の疑問は、「奥から1234・・つまり、組織図の綜絖通しを見たときに 右上がり?」 「手前から1234・・・つまり、少々古い日本の本のように左上がり?」ということも含んでいるのかもしれません。

「どちらが正しいか?」という質問には、「踏み木順を変えればどちらももできるので、やりやすいほうで・・・」というお話になりそうです。
西欧まで拡げると右上がりが多くて、左上がりが少ない・・・ちょうど、利き手が右利きの人が多くて、左利きの人が少ないのに似ています。

私の場合は、本や資料を見たり、織ったりしているうちに、気が付いたら「右利き」・・・綜絖通しも織り上がりも「右上がり」になったようです。

図は、下の参考書籍よりピックアップしました。
手織りの基礎 ;土肥悦子 織物と用具の使い方 ;水町真砂子 手織り ;藤岡蕙子 佐久間美智子
Festremsor och gilledukar ;Lisa Melen THE BIG BOOK OF WEAVING ;Laila Lundel Learning to Weave ;Deborah Chandler


※意見のある方は、自分の考えとその理由を必ず書いてください。掲載分が間違いだとして書き直しや書き足してのコメントは本来の主旨と異なってしまう場合がありますのでやめてください。また、手織りを学んだのは、米国式、北欧式、日本式のいづれなのかと経歴などのプロフィールを書き添えてください。投稿は簡潔にお願いします。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。
    斜めラインの向きなんて、今まで考えたことがありませんでした。なるほどです。

    手元にあるフィンランドの手織りの教科書を見たら、やはりそこにも、綾織は右上がりが普通は表だということが書かれていました。

    右上がりが表というのは、その向きが自然だというだけでなく、織りに使われる糸の撚りの方向とも関係がありそうな気もします。とすると、日本の綾のラインが逆なのは、Z撚りの糸を使うからなのか?なんてことも思い浮かんだのですが、全くの見当違いかな…。

    ところで、現在フィンランドで使われているドラフト図は、新しいほうのスウェーデンのものと同じ…だと今まで疑いなく思っていたのですが、よく見たら一部違っていました。違いは踏順です。フィンランドの場合、向かって左側を1番と考えます。スウェーデンがそれとは逆だったというのは、とても意外でした。

    返信削除
  2. こんにちは。いつもありがとうございます。

    知人の話では、日本の左上がりは着物の柄行きと関係があるのではないかというのです。

    着物の前身に斜めの柄を入れて、ぐるっと後ろにまわして裾柄にしようとします。
    すると、着物は右手が懐に入るように左を前に合わせるので、衿下は着ている人の右脇にきます。ですので、斜めの柄は、右脇の上を始まりにして、左脇の下に向かうように配置すれば、そのまま後身の裾へとつなげられる。
    これを向かい合った人が見れば、柄は左上から右下へ流れているので・・・左上がり。

    彼女は、昔の、たぶん戦前、日本製のストライプのネクタイは、左上がりだったような記憶があると言っていました。

    どうやら、日本の伝統は、左上がりのようです。

    撚りと綾の方向の話も興味深いですね。
    絹の双糸の織糸は、Z撚りが多いように感じていました・・・気のせいかもしれませんが、関係があるのかもしれません。

    あと、踏み木順は、アメリカの本でもごく稀に逆があるので、織初める時の柄スタート位置と動きに関係しているような・・・?です。

    見なれたはずの本でも見直すと気付かずにいたこと・・・本当に多いですよね。

    返信削除