綿木が伝来する前、普通の人々は何を着ていたのでしょうか?そんな疑問から図書館で見つけた1冊。
日本の自然布 別冊太陽 2004年1月5日初版
自然布は、原始布と呼ぶこともあるようです。取材時から相当の年月が過ぎている項もあると書かれていますが、この十数年前までは、確かにあった糸つくりと織りです。
大手紡績メーカーがさまざま機能を研究開発し、医療分野にまで通用する高度な技術をもつこの国で、原始から続く糸つくりが続いている/続いていた のは不思議で、魅力的な国です。
自然布に使われている木や草は、聞いたことがある名前がほとんどで、近くの公園や空き地にも自生しているものもあります。が、水につけたり、囲炉裏の灰を入れて煮たり、川にさらしたり・・・・山々の自然と生活と根気よく体と手を動かす人がいなければつくれません。
紹介されている自然布と場所
オヒョウ/おひょう 北海道浦河郡
藤布/ふじふ 京都府宮津市
科布/しなふ 新潟県岩沼郡
葛布/くずふ 静岡県掛川市
太布/たふ 徳島県那賀郡
紙布/しふ 紙漉き 宮城県白石市 紙衣づくり 奈良市雑司町
大麻布/たいまふ 栃木県上都賀群
苧麻布/ちょまふ 苧麻つくり 福島県大沼郡 越後上布 新潟県南魚沼郡
芭蕉布/ばしょうふ 沖縄県国頭郡 西表島
この中に、身近な「麻」がありました。
エジプトのミイラを包んでいたという話は有名ですが、この本で、大麻のもつ幻覚性から神事に使われたとあります。太古の昔から着物や洋服の今へと続く 「麻」 だから、何か少し違う・・・と感じる魅力があるのかもしれません。
量産化され、紡績段階で異なる麻の種類をまぜて混紡にすること合が多いようです。でも「麻100%」と表示されるので、それぞれの違いがわかりにくいように感じます。
亜麻、苧麻、リネン、ラミー、ジュート・・・種類も呼び名もいろいろ。服地以外にロープ、運搬保存用の袋など使われかたも多い素材。本の最後に自然布の世界地図がありますが、麻は種類が多く、育つところも世界中。
生きるために不可欠な「衣食住」・・・衣も時間と手間をかけなければ、手にできなかった時代。
自分で作らなくでも豊富にある時代・・・この時間を何に使いますか?
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