2017年3月7日火曜日

手織のリズム

童話や昔話に登場する「トントンパタリ、トンパタリ。」は、緯糸を打ち込むときの音。トントンパタリという音にあこがれて、手織りを始める人もいると聞きます。

「緯糸を入れ、足を代えながら同時に筬をひいてトントンと打ち込み・・・」手織りの基本;土肥悦子著にあります。ホームスパンテクニック;森由美子著にも、「筬を引いて打ち込んだ直後に足を踏みかえる・・・」
着物はもちろんウールを織るときも、筬を引くのと踏みかえの「手と足」の微妙なタイミングとリズムが日本の手織りの意識では大切なのだろうと思えてきます。

日本語では、主語が省略されることが多いためか、「その人の手織りのしかた」というよりも、「常識的な手織りの決めごと」のように周知されてしまうことが多いように思えます。「他のやり方は受け入れない。」「できないから先に進めない。」と思い込んでしまうと、何事もつまらない・・・。

さて、わたしの場合。海外の柄織りや組織にばかり興味があったので、織るときのリズム・・・?考えたこともありませんでした。「開口して、緯糸を入れて、閉じて、打って。この糸でこの組織なら、踏みかえてもう一度打ち込む?どうする?」という程度。リズムよりも、密度ばかり気になっていたようです。

でも、昨年の5月始まった隣家の建て直しの工事中は、集中しようとしても織る気になれず・・・・。どうやら、材木を止めるために圧縮空気(?)で打ち付ける釘(?)の音が邪魔をしていたらしいのです。家を建てる「槌音」は、小説などでは心がわくわくする音として描かれていたりするのですが、現代のシュパッ、シュパッという音は、槌音というよりも銃の発射音? 威圧的でリズムもない? いやいや、織のリズムとあわないだけかもしれません。


工事も終わり、やっと7か月ぶりに織機の前にすわって、再開。

ずっと織りかけたままになっているのは、経糸緯糸ともにシルクの余り糸を組み合わせたクレープ組織。
ショールが2枚できるはずだったのですが、織りあげてから考えることに。

しかし、今度は、後方の家が建て替えですと・・・。

狭い住宅地で、手織りをしようと思うのがまちがいか?
それとも、現代の「機音;はたおと」と「槌音;つちおと」の心地よさを追求せよというミッションか?

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