2016年5月17日火曜日

書籍;民藝の教科書② 染めと織り

手織りをしているというと、「裂き織は?」「絣は?」 「つむぎ(紡ぎ?紬?)をして織るなら本格的ですが・・・」などとと聞かれることが多い。
「裂き織り」「藍染」「絣」・・・・どうやら「民芸品」と呼ばれる類に属する布のようです。そういえば、手織りのしかたや作品の作り方を書いた「手織りの本」には、日本各地に伝わる織物マップや縞の種類と名称のページがあったりします。
日本の手織りは、民芸から? それとも、手織りは民芸になった?

麻の生成り色と藍色の糸を使えば、民芸「風」の布ができあがると思っているのですが、実はよく知らないことに、改めて気がつきます。


民芸とは?そんな基本的な疑問に答えてくれる1冊です。

民藝の教科書② 「染めと織り」 監修;久野恵一、著;萩原健太郎 グラフィック社

「伝統工芸品」との違い、「民藝」という言葉の誕生と定義、かかわった人物が紹介されています。また、著者らが考える「民藝の染織品」について、明快な説明がなされています。

芭蕉布、首里織、久留米絣、倉敷緞通、近江木綿、上田紡、葛布、会津木綿・・・・・取材をした28か所が、布や糸、仕事をする姿と共に美しい写真で紹介されています。日本には、美しい自然と受け継がれてきた布があった・・・・。

「全国染め織りマップ」や「いまさら聞けない染め織りのいろは」、巻末の「染め織り用語集」などが、わかりやすく説明されています。民藝ともよばれる布を、手織りをする人や和装好きなどの限られた人だけの知識にしたくないと改めて感じます。

「伝統的な染め、織り育ててきた美しい布は、地方の土産物屋やデパートの物産展などに追いやられてしまった。なぜそうなったのか・・・・・」という最初のページの疑問に、現在の暮らしに取り入れ、技術や布を生活に生かしている人や住まいも紹介されています。

情報や移動手段が発達して、海外が未知の世界でも、憧れの対象でもなくなったとき、それぞれの民族が過去から引き継いできた手仕事の技術やものつくりが希求の対象になるのかもしれないと思えてきます。

「教科書」とタイトルされたこの本。実際に手織りをしているからこそ・・・身近に感じられ、知りたいと思い、拡がっていく世界。目を通しておきたい1冊です。

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