2016年5月13日金曜日

ダイニングチェアの張り地を織ろうなんて

この家具には、家族の幸せな思い出が・・・・とか、そんなセンチメンタルな感情は、持ち合わせていない。
でも、椅子張り地を張り替えようとすると、買い替えたほうが「安い」「早い」、そして「新品」になると、薦められました。
同じようなチェアを探して、提案までしてくれるという。

「安くて早くて簡単で、新しい」を素直に歓迎できないのは・・・・・「手織りのしすぎ」かもしれません。材木を組み合わせたような手織りの織機も、効率よく早く布を織るための「機械」だったはずなのですが・・・・。

張り替える生地は、見本帳から選ぶことに。ホテルのロビーやオシャレなレストランに似合いそうな生地ばかり。素材は丈夫だからとアクリルやポリエステル。わが家にくつろぎをもたらしてくれる姿になるのでしょうかと、ちょっと心配。

手織りの生地を加工して、張ってくれる職人さんはいるのでしょうか?と思いつつ、
ためしに張ってある生地と同じ組織を織ってみました。

表は単純な平織なのですが、裏側には、麻糸が織りこんであります。なるほど、椅子張地。

複雑そうに見えるのですが、組織は簡単。4枚綜絖の4本踏木で、織れます。

どうやら問題は、糸。
オリジナルは、ネップ入りの単糸でしっかりとした紡毛糸のようなのですが、
手織りの糸は、ほとんどがマフラーやショール用の柔らかな糸。「ラグ用」でも、シャギー用(房をつけて織るラグ)の糸のようで、双糸でツヤがありなめらか。

オリジナルの張地そっくりにとは、考えずに、いろいろ織ってみたのですが、良さそうなのは、ニュージーランドで購入したという手紡ぎ糸。

このような場合に、「紡いで 織る」ことに価値があるのですね。

手作りは、「1点モノ」だから「贅沢」という人もいますけれど、芸術作品を作りたいのではなく、使える生地を織り、そして、使いたい・・・。

いわば、自給自足。ただ、それだけなのですが。


0 件のコメント:

コメントを投稿