2014年11月14日金曜日

洋書;A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS

多綜絖を織ってみましょうかと、軽い気持ちで一番初めに買った本です。

A WEAVER'S BOOK OF 8-SHAFT PATTERNS FROM THE FRIENDS OF HANDWOVEN 編;Carol Strickler

手織の基礎を教えてくださってのは、女子美術大学でも教鞭をとっておられる方で、もうお一人は、欧州の展示会に作品を何度も出展されている先生でした。

経験から得られる熟練やセンスは明らかに「たりない」としても、基礎はあるという自信のようなものはありました。そして、目の前には、綜絖が10本の織機がある・・・・・組織が書いてある本さえわかれば織れるはず。そんな不遜な、あまりに世界を知らずでした。

本を開けて、タイアップ図をみると、3枚が沈んで5枚が上がるなど・・・・つまり、アンバランスなので、どう入れ替えても、私の持っている滑車とホース(ニックピン)の織機では10枚の綜絖があってもできないものばかり。私の織機についての基本的な知識すら疑わしい・・・・だからといって、いまさら綜絖を1枚づつ動かす卓上機を使う気にもなれませんでした。

今思えば、たとえ「あいうえお」が完璧だったしても、何もしないで「ABCD・・・」がわかるはずがないのでした。


さて、第1章は「綾織」など、順通しで織れる組織。
綜絖通しの図に、「1234・・・」ではなく「DLDL・・」と表示されている場合があります。織りあがりの写真から、Dが濃色、Lが淡色だということは、すぐにわかります。
しかし、実際に織ってみようとすると、経糸の密度を1cmあたり5本として緯糸も同じ密度にすると、8枚綜絖ですから経糸は約1.5cm浮くことになります。そのままでは、小指が通ってひっかかる布が織りあがる・・・細くして密度を上げても、ミミ端ではひっかからない糸が大きく浮いてグズグズになる・・・。この程度のことなら、2/2綾織のミミの織り方や糸の選び方を考えれば解決できました。

最大の「なぞ」は、綜絖通しとタイアップ図の「ABCD・・・」でした。
タイトルにもあるように、数多くの手織をする人たちの組織を集めた本です。この編集者だけが考え出したオリジナルの表記とは思えず・・・どうもアメリカでは一般的らしい。最初にわかったことはここまででした。
この本に掲載されているプロファイルドラフトの柄数は10%以下だと思いますから、わからなくても、8枚綜絖へ発展した 知っている組織 を充分に楽しめます。

さて、今読めば、それぞれの章の初めに詳しい説明があるのですが、ブロックの考え方の基本がないと、???です。ブロック柄のためにあるような織りかた とでも言いたくなる「サマー&ウインター」「オーバーショット」「ハック」「ダブルウィーブ」などで、プロファイルドラフトが登場するのは、あたりまえなのですが、基本を確実に理解していないと迷いが残り、なかなか先へはすすません。


アメリカの著名な編集者が、最初にプロファイルドラフトを見たとき、普通の1本1本の糸を書いたドラフト/組織図との違いに気付かず、「そのままの通りに経糸を通して織り始めたら、経糸と緯糸の交差する所がほとんどなく、布にならなかった。それで、最初から本を読み直して学んだ。」と思い出を書いています。

もし、本格的に多綜絖を習いたいのならば、綾の変化織などの地紋だけではなく、ブロックパターンとプロファイルドラフトを教えてくれるかどうか確認したほうがよさそうです。大柄になりますから、使うのはフロアルーム/床置き。タイアップや織機の特性、調整のしかたなど海外のダイレクトな知識を再確認することも必要かもしれません。

タイアップをして、踏み木を踏んで、大きな柄を織り出していく醍醐味は、多綜絖の本領。卓上の8枚綜絖の織機では感じることはできない楽しみ・・・と思います。


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