2013年8月27日火曜日

洋書;Hack Lace/The best of Weaver's

ハックレース。よく聞くレースの名前ですが、網目だったり、点々だったり・・・?
 

編者;Madelyn van der Hoogt は、「船が難破して無人島に漂着。上陸時に持って行ける織り方は一つだけと言われたら、迷わずハックレースを選ぶ」と前書きに書いています。日本流に訳せば、「あの世に行く前に、最後に織りたいのは・・・」となるのでしょうか。

Weaver's magazine からの抜粋編集されたシリーズ;The best of Weaver'sの最初の本で、デザイナーによる40点以上の作品と作り方、織サンプル、デザインのやりかたなどが紹介されています。
作品といっても、ハンドタオル、テーブルリネン、ショール、スカーフ、服地など生活に使うアイテムです。


このシリーズでは、作品は綜絖8枚以上がメインと考えたほうがよさそうです。作品によっては、4枚の場合と両方が書いてありますが、4枚綜絖は、やはりそれなりのようです。

作品だけを集めた本ではありません。巻頭のHack Basicでハックの柄の基本と組織から、ハックレースという柄の定義をしています。定義を必要とする方は本を見ていただくとして。

ハックは、ペダルの踏みかえを除くと、4枚綜絖では、タテ浮き、ヨコ浮き、平の3要素から2つしか選ぶことができませんが、8枚以上になると、この3つを同時に使用して柄構成ができる訳です。これにより、柄の印象は驚くほど変わり 「ハックレースのあの世界」 が始まります。

最初に、4枚綜絖の10点の織柄写真の例を用いて、ハックが織られる基本のしくみが説明されます。次に8枚へと展開されて柄の作り方、書きかた、綜絖通しとタイアップの求め方へと説明が続きます。

米国の本なので、説明や図ではペダルを踏むと綜絖は上がる、また同時に踏むケースもあるので、構造の違う織機を使用していると、まずここで、少し戸惑うかもしれません。

さて、延々と続く説明文は、経糸、緯糸、浮く 上がる、下がる、綜絖、開口、加える、除く・・・・・紛らわしい言葉ばかり。あげく、図を確認しながら読みすすむので、日本語であったとしても、かなりの忍耐が必要かと思われます。とりあえず直訳と思っても・・・発想の仕方が違うというか、思考回路が違うというか、数学の公式や証明問題を読み解くようで・・・・・まさにチンプンカンプンとはこのこと。慣れるまで、かなり手こずりました。やっと、8枚綜絖の柄作り、組織図とタイアップの起しかたまで理解したところで、ひとまず休戦です。

余談ですが、最近、「経糸が浮く、緯糸が浮く」は、日本では、「ヨコが飛ぶ、ヨコが浮く」と表現する(方もいる?)らしいことを知りました。織機に掛けられた経糸に対して、緯糸をどのようにくぐらせるか?という発想のように思えます。これですと、「タビー糸」や「ヨコにタビーを入れる」という表現も理解できます。どうやら、私の場合は、こちらの側にも新しい思考回路が必要なようです。

後半のトピックでは、ハックレースとブロンソンレース、スウェディシュレースそれぞれの組織の特徴との比較の説明もあります。スウェディシュレースの多綜絖展開が試みられ、紹介されています。組織に興味のある方には、貴重な説明のように思われます。

多綜絖のハックレースの美しさと柄つくりの楽しさ。ハックの魅力に圧倒され続けるような内容です。



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