2012年11月10日土曜日

洋書;手織りの準備と機の基本についての入門書

Learning to Warp your Loom  直訳すると「経糸のかけかたを学びましょう」 

今回、手織りを一からやり直してみようと思った時に選んだ4冊のうちの1冊です。

織機の部品を取寄せたときに一緒に購入しました。
北欧の機の準備も、新しいやり方があるかもしれないという軽い気持ちでのオーダーでした。


著者は、Joannne Hall。米国人で、ミネソタ大学のテキスタイルデザインの修士課程を修了。大学で教鞭をとった後、教室を主宰して数多くの人に教えているという方です。
現在は、スウェーデンの織機メーカー(グリモクラUSA)に関係しているので、この本は、このメーカーの織機のマニュアル本と思いたいところです。が、卓上機から高機まで共通して必要とされる知識が詰まっていました。50ページのリング綴じ仕様。


最初のページは、
卓上織機、ジャックルーム、カウンターマーチ、カウンターバランスのイラスト入りで4種類の一般的な手織り機が紹介されています。
手織り機に関する用語説明に始まり、縦密度の決め方、一般的な太さと密度の表(Sett Chart)、手持ちの筬で欲しい密度にする通し方(Reed Substitution Chart)など。

そして、一般的な手織りの説明本にも載っていることと、機がけのやり方は、
綜絖通し、踏み木、タイアップの読み方、計算方法や記録の付け方.。
整経、仮筬と粗筬、巻取り、綜絖通し、筬通しは、Back to Front式の 「トラディショナル式」の機仕掛けのやり方にそって説明されています。
システムコード(Texsolv Tie-up Cord)のタイアップや綜絖の扱い方、イタリアンコードの結び方は、他の本では見られない実践的な内容です。

それぞれの著者が、長年培ってきた「やり方」を知ることができる・・・マニュアル本を読む一番の醍醐味かもしれません。

次に、織始めてから知りたいこととして、
経糸切れ、綜絖通し間違いの対処法。シャトルとテンプル(伸子)など不可欠な道具の使い方と選び方。長さ(インチ/センチ)や重さ(ポンド/グラム)の換算表。手織りの専門用語集付き。

最後に、織機の種類と特性について、
テーブルルーム、ジャックルーム、カウンターバランス、カウンターマーチそれぞれの織機についての基本知識。織機のもっとも重要な部分=綜絖の機能(開口)をメインにわかりやすく解説してあります。
本のタイトルからは、まったく期待していませんでしたが、確かに疑問に思うし、知りたいこと。

なかでも、日本では情報の少ないジャックルームについての記述は一読の価値あり。(←たった1ページですが・・・やはり、本場アメリカ。)
「ジャックルームはペダルを踏んで下がる綜絖がない。ジャックルームの綜絖は上がるのみ。」という見分け方の説明。わかっているけれど見落としがちな点です。これがジャックルームの特性であり、メリットとデメリットを理解するスタートなのだと納得させられます。
一見しても判別できない中古や国内販売していない機などの確認に役立ちそうです。


初回用として手順説明を兼ねたハンドタオル以外、織の組織や作品は一切載っていません。織物教室で、たぶん、一番最初に知っておくべき基礎が書かれた本です。

お教室の初日にこの本をわたされて、「これから一緒に手織りを勉強しましょう」と告げらえたら、それだけでワクワクすると思います。きっと帰りの電車のなかで、夢中になって読みふける・・・そんな自分の姿が想像できます。

Glimara-USAへ直接注文になります。
 
先日、グリモクラ社と取引があるという会社からコメントを頂きました。(株)新井清太郎商店tel 045-681-6726
この本も取扱っていただけるとよいのですが。できれば、和訳付きで。 織機や機仕掛けについての説明書が本当に少ないと感じてます。
結局、必要とする人がいないということなのでしょうか・・・・・?



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