2016年2月9日火曜日

洋書;Warp and Weft

見逃してそうなタイトル名ですが、スウエーデンの織機メーカーのUSAのホームページで紹介されていたので、購入しました。古くから親しまれてきた本のようで、これは、改訂拡充版の英語版。

「Warp and Weft」 LESSONS IN DRAFTING FOR HANDWEAVING
著;Mariana Eriksson, Gunnel Gustavsson, Kerstin Lovallius  
出版;2008年 英語版2011年

『すさましい勢いで19世紀半ばに工業化がやってきたときも、私たちの織物に関する知識の伝統は変わることがなく、私たちは織るのをやめなかった・・・・』という書き出しで始まります。

手織りの伝統といえば、師匠から受け継ぐ「技」をイメージする私たちとは趣が異なるようです。

また、スウエーデンの織りというと、絵織りやパイルなど指やステックを使って1本ずつ糸をひろい織り出していくイメージをもつ方も多いと思います。しかし、この本は、織機で柄を織り出す・・・つまり、綜絖通しとタイアップと踏み木順で、組織を変化させたり、柄を織り出す組織ばかり。それぞれのジャンルごとに簡潔でわかりやすい組織の構造の説明、完全組織図と布のカラーの実物写真とで編集されています。

スウエーデンの手織りですから、組織図は□と■で描かれていて、経糸がシロ/□です。カラーエフェクトやオーバーショットなども若干ありますが、綾織で朱子に近い印象の組織なども興味深く、朱子組織をベースとする変化組織やダマスクなども多いのが特徴と思われます。

初心者向けに平織と変化組織、綾織と変化組織、朱子とブロックダマスクから始まります。コード、クレープ、ピケ、カラーエフェクト、ダブルウィーブ、そして、ランパスなど上級者向けの複雑な組織まで順を追って編集され、最後にドロールームを使うダマスクの説明もあります。

この改訂版では、技法を従来の2倍に増やし、200点近い完全組織図やプロファイルドラフト、現物のサンプル写真を掲載したとあります。

4枚綜絖までの組織は、70.点程。平織やハーフドレル、オーバーショット、レースウイーブなど、よく見かける組織です。5~10枚綜絖は100点近くあります。北欧の8綜絖のカウンターマーチ(天秤式)織機を使って織るためのさまざまな組織・・・・・が学べることがこの点数からもわかります。11枚綜絖以上は、10点ほどです。掲載されている組織の綜絖枚数からも米国との違いを実感します。

このところ話題にしている朱子組織については、飛び数1から順番に書いて、朱子組織になるもの、ならないものを実証するという説明のしかたがされています。算数が数学になる前から、織物はあったはずですから、「2つにわけ、公約数とならない・・・云々」という従来の説明より手織りをする人には実際的。改訂版を出版するにあたって、図を入れ説明をわかりやすく見直した点なのでしょうか?

スウエーデンの手織りの本は、作品集は見かけるのですが、体系立った組織の本は、少ないような気がします。
単純な綾織の8枚綜絖だけでは満足できず、北欧の多綜絖の織機の性能を生かした織と組織を理解して、楽しめる本です。組織図と布のカラーの実物写真が1つずつ丁寧に組み合わせてありますので、英文を読まない人でも推察できます。

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