2015年1月13日火曜日

洋書;THE STRUCTURE OF WEAVING

布は、基本の組織と素材や色彩の組み合わせで、予想できないさまざまな表情を見せる・・・あらためてそんな思いを強くします。写真集としても美しい本です。

基本的な組織と素材の組合せを大切にする手法は、日本の手織りに似ていて、信頼のおける内容と存在感ある布の写真で構成された美しい紙面から、日本でも愛読する方が多いようです。
主題をささえる組織図の説明は、最初に開口のしかたと組み合わせてしまうジャックルームユーザーがメインのアメリカ式ではありません。織機の種類にとらわれずに組織の基本を学べる点でも評価されているようで、日本の布に関する本の参考文献欄でも見かけます。


著者は、「COLOR~AND~WEAVE DESIGN A PRACTICAL REFERENCE BOOK」と同じAnn Sutton。
作品はアルバート美術館におさめれ、BBCテレビの番組にもかかわったと紹介にあります。著名なテキスタイルデザイナーとして、英国の織に詳しい方はもちろん存知だろうと思います。


織機の使い方や糸の扱い方などの基礎をマスターした人を対象として「織物の構造」、つまり、「組織」について書かれた本です。掲載されている写真の布の織りかたや使用した糸の説明などはありません。

わかりやすい組織図の説明と80枚のカラーと100余枚の白黒写真・・・実物大で糸や組織、ミミまではっきりと見ることができます。登場するのは、歴史的な布、商品として販売された布、大学などの学生によって織られた布、プロの染織家やデザイナーが織った布の写真。綜絖枚数は、ほとんどが4枚以下、最多でも8枚です。


前書きには、「どうやって織るのか」は、多くの本がとてもよく説明しているので、この本では、最も魅力的な「織物の基本的な構造とこの基本の構造で限りなくさまざまに変容する布」について説明したとあります。織地で、最も大切なのはSTRUCTURE/構造(組織)、そして、色とテクスチャー。また、良い布は、素材、色、テクスチャーと密度のバランスが慎重に吟味されできあがっているとも述べています。

内容は、ドラフト(組織図)と書き方、平織、綾織と変化組織、サテン、フロート、モクレノ、ハニコム、コード、ダブルウィーブ。よく知られている組織ばかりです。しかし、組織をより複雑に発展させるのではなく、基本のままでも、多種多様な布が生まれることを掲載された数多くの写真から見取ることができます。

布における 構造という組織と芸術的な美・・・・・時として相反するこの二つの融合を論理的な説明と織機で織られた美しい布の写真とで提示しています。

裏表紙には、今織機に向かっている人と明日のデザイナーに贈る書籍とあります。
申し分のない内容と構成の名著です。

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