2015年8月16日日曜日

朱子織と数え方とか公約数とかむつかしい話

暑い夏にすっかりやられて秋までお休み宣言をしていたところに、3か月前に書いた「朱子織とSatin/サテン」にコメントをいただきました。

ブログに、「これがわからない」と書いたことに対する具体的な説明ではありませんでした。基礎的な説明なので、「わからない」とかいたことの答えは、これをヒントに自分でまた考えることになる・・・・。日本と欧米の手織での朱子/サテンの発想や作り方は違うという私の結論もどうやら見直しの必要があるということらしい。
休みだからと受け取ったままにしておいてもよいのですが、時間がたつと、もっと深い迷宮へと迷い込むことになりそうです。


日本では、5の2飛びたて飛びと5の2飛びよこ飛びのように両方で言います。
本がはしょった説明の場合たてだけが多いです。

基本的に、正則朱子は、公約数を持たないものになりますので、
8枚だと3飛びと5飛びになります。たてとびよことびで全部で4種
変則朱子場合は、組織が循環したときに滑らかに組織点が分散されるように
適当に組織点を移動させるので、綺麗に規則で片づけることができません。

(中略)
普通の正則の場合は、飛び数が一つの組織の中で1種類の飛び方になっていますが、
変則の場合は、2つ以上の飛び数を使います。

すべてをここでお話しすると、ながーーーーくなってしまいそうなので、
別の機会にお話ししますね。



この文面からすると

一つの朱子組織について、たてとよこの両方の飛び数をいうのが正式か? 
たての飛び数を言う場合と・よこのとび数を言う場合の2種類の言い方があるということか? 
それとも、たて飛びは表朱子で、よこ朱子(裏朱子)は、よこ飛びで書くということか?

『朱子組織は、裏面を書く』という日本独自の約束事もあるようで、まるで障害物競争を走り抜けているような気分。


⇒本を確認しました。(追記;2015/09/15)
『8枚』の説明はなく、「5枚朱子」でした。
説明と図から・・・・5枚朱子には、「3飛び」と「2飛び」の2種類の組織があり、それぞれ「たてとび」で呼ぶ場合と「よことび」呼ぶ場合の2つ呼び名(または、数え方)があるということになります。
同様に、このコメントの8枚(朱子)には、「3飛び」と「5飛び」の場合があるので、(組織は2種類。呼び名が、それぞれ2つずつあるので合計すると)『4種』あるということだと思います。


本ではしょるのは、よこ朱子は一般的でないためか、呼び名の部分だけなのか、説明自体なのか、よくわかりませんが、結局、「たて飛び」を使うのが主流という結論になるようです。朱子の組織はどちらの面を表として書くのかも諸説あるようですから、前提から整理すると、当然長い説明になりますね。


5月のブログ「朱子とSatin」で、わたしが疑問に思った「『右に3飛びで左に2飛び』と数える朱子組織は、『何の何飛びたて飛び』」になるのか?・・・・つまり、この左へ右へと飛び数をいう言い方は、一般的でない?ということのようです。 図を見ないと「たて飛び」の数え方に置き換えもできないということなのでしょうか?いろいろな呼び方があって、互換性がないとすれば扱いにくいですね。


さて、朱子織の基本説明のコメントをいただいて申し訳ないのですが、『飛び数』はしかたないとしても、『公約数』、『正則』『変則』『循環』『2つ以上』・・・・・普段はあまりつかわないし、昔風の聞き慣れないむつかしい言葉ばかり。同じような説明は他の本でも見かけますが、正直なところ、「はぁ、すごいですね。」と何もわからないのに感心したふりをして、後ずさりしたくなります。

『正則』は「基本となる、基本的な」。『変則』は、「変化した、変形した」。『循環』は、「レピート」。『2つ以上』は「いくつかの、1つとは限らない」と、アバウトな感じですがとりあえず言いかえるとしても、『公約数』は、確か中学校時代に学んだ「素数」とか「因数」とか?を覚えてないと理解したと言えそうにありません。

専門家が使うような聞き慣れない言葉やむつかしい言葉の多い説明には、「この程度の話や数学を理解できない人は、織物の組織を考える意匠師はやっていけないよ。」という欧米から導入された力織機をあやつった技術者の古き良き時代のメッセージがそのままに隠されているような気さえします。


日本の朱子組織を理解しようとすると前提や解釈はさまざまなようですから、何冊も本を購入したり、講習会に出たりと、時間とお金が必要で、あげく、日本のろくろ式織機では織れないとなると・・・・手織をしたいだけだったのに、なぜにこんなに努力をしなければならないのかと、織まで嫌いになりそうです。

多綜絖の海外の織機を使って朱子/サテンを織るなら、考え方も欧米の手織の説明にすると明快。組織図は、表だ裏だと迷うこともなく、たて飛びとよこ飛びの2つを学ぶ必要もありませんし、応用発展まで楽しめそうです。

秋までゆっくり休んで、ローズパスから再開して、そのうちじっくりと。

2 件のコメント:

  1. 3か月前に、朱子組織/サテンは、日本はタテに数えるのに、欧米の手織りの本では、ヨコに数えて書いていくことも書きました。この件に関して、いただいたコメントは、

    >朱子の飛び数の数え方は、イタリアも上に飛びます。次に出てくる組織点の算出のしかたもイタリアも日本も同じです。

    欧州のイタリアはタテに数える・・・・。
    コメントをくださった方の経歴を拝見したら、女子美を卒業後、イタリアへ留学してPCドビーを学んだとありました。

    アメリカでは、多綜絖の電動機をドビーという場合もあるようですが、PCドビーは手織機というより、一般的には、工場の生産用の機械だと思いますが・・・違いますか?

    日本の手織りの組織の基本や使い方も工場のノウハウから学んだのではないかと思っています。すると、タテに数えるのは、どちらも工業用のやり方だから・・・と考えることができそうで、個人的には、納得するのですが・・・・。

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  2. 朱子織の説明が書いてあるというコメントをくださった先生の本を借りてきました。

    P.64『朱子織り』に『朱子織の組織点の求め方』とあります。
    ページ右下の正則朱子の種類の図と見比べると、正則5枚朱子を例にした説明だとわかります。

    まず、「5の2飛び(緯飛び)」を作図して、この答えを使って「5の2飛び(経飛び)」を作図するというやり方です。5枚朱子でできるもう一つの「5の3飛び」も同様に2ステップで作図するという説明です。

    >(他の)本では、(緯飛びの作図過程を)はしょった場合、たてだけが多いです。
    というコメントの意味が、この本の説明を読んで、やっとわかりました。

    でも、なぜ、「緯飛び」を作図してから「経飛び」に書き直すさなければならないのでしょうか?
    「引き返し」というマイナス計算をするからなのかもしれませんが、上下左右にレピートする最小単位が完全組織ですから、マイナス計算をすることも不思議です。

    いきなり「経飛び」で作図しても組織点は求められますから、他の本が「はしょっている」かどうかはちょっと疑問に思いました。

    手元にある一般的な欧米の『手織りの本』では、「緯飛び」の説明までしかありません。日本では、書き直してまで、「経飛び」にする理由は、何でしょうか?

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