2012年5月29日火曜日

M'&O'織上がり

テーブルランナーの予定でした。サイズは、50cm×260cm。 緯糸は、晒にするか、未晒にするか迷いましたが、2重掛を考えるとやはり晒でした。が、この生地は、薄すぎて凹凸が少なく、経糸も緯糸も白にしたので柄がはっきりしません。

でも、透かすと柄が浮き上がって見える素敵な織り方です。フラットのカーテンか のれん。夏の暑い日差しを遮るのにちょうど良さそうです。



組織や柄を考えるより、イメージしたように生地の厚さや風合いを作るほうが何倍も難しいと思いませんか?

糸の太さは?経密度は?打込みは?組織との兼ね合いは?意匠糸という変わり糸もある。
色や手触りが気に入っても、粗すぎると引っかかったり、スリップ(目よれ)したり。。。

挫折したというか、私の手織りが長い休憩になった原因の1つです。

やっと再開した手織り、今回は気長に じっくりと。

















2012年5月25日金曜日

テーブルリネン、ハウスリネン、家で使う布

初めてリネンという言葉を実際に聞いたのは、アメリカで住宅を見たときだったと思います。階段の脇に洋服ダンス程の小さな部屋があり、リネンルームと言って、シーツやタオルなどの布製品を入れておく所という説明でした。

リネン=麻と思い込みがちですが、素材に関係なく、綿でもTC混でも、洗濯して毎日の生活に使う布製品をまとめてリネンと呼ぶのです。そういえば、海外のホテルでバスタオルがないというと、「リネン係を・・・・」と言っているようです。



その後1980年代に、クニエダヤスエさんが、テーブルリネン、テーブルコーディネートという言葉を日本で広めました。
1932年生まれのクニエダさんは、小さいころの暗い台所で小さな木綿の布巾がびしょびしょにぬれて干してあったと書いています。ヨーロッパでリネンとであった驚きは今からは想像ができない程の事だったと思います。

著書では、ヨーロッパの母親は娘を嫁に出すときに、10年分も使えるような量の上等なでしっかりとしたリネン(亜麻)の皿ふき、グラスふきを持たせる習慣があると書いています。
また、30年前にスウェーデン人に嫁いだ友達が、その後主人のママから手織りで作ったしっかりとした麻の皿ふき、グラスふきを何mも贈られたという話も紹介しています。

続くコーディネーターたちは、海外で本格的に時代様式なども勉強してホテルやレストランで活躍し始めました。これからは、日本の様式もあわせ、センスを発揮する時代となるのでしょう。



さて、スウェーデンでは布巾が家庭の手織りのルーツ(?) この頃は食洗機が乾かしてくれるので、皿ふきの出番も減りました。

生活に使える布になるのかなぁ と思いながら、仕事をすすめることにします。



麻糸を整経。こんな硬い糸、簡単に織れるとは思えない。



参考書籍 ; 「リネンと暮らす」 クニエダヤスエ著 2001年 じゃこめてい出版

2012年5月23日水曜日

洋書;Favorite Scandinavian PROJECTS TO WEAVE

昨今のリネンブームはすごいらしい。そこで、リネンのハンドタオルを織る計画をします。
これから織ろうとしているのは、花柄やカラフルなチェックのかわいいリネンではなく、あくまでもクラシック。これが西欧のリネンですという表情して、ごわごわとして、昔も今も変わっていませんという布。

さて、最近本棚に加わった「Favorite Scandinavian PROJECTS TO WEAVE
スカンジナビアの織のデザインを現代のインテリア用にしたセンスのよい作品集というテーマで、北欧の織物雑誌[Vavmagasinet]からのセレクト集。この雑誌の編集者である Tina Ignell編。



この本の Linen Summer Towels  を目標に仕事を進めることにします。
未晒(さらし)と半晒の糸を使ったタテストライプの作品です。

この本の素晴らしいところは、材料が明記されていて、織り方から作り方(縫製)仕上げまで丁寧に説明されている事。ただし、指定の糸が簡単に入手できない日本では、この本の実力は発揮されず、単なる写真集になりそう。見ているだけで作った気分になって「シアワセ」のページも、もちろんあります。


雑誌[Vav]を定期購読されている方には当たり前の事かもしれませんが、書かれている事項は;

技法TECHNIQUE、材MATERIALS、縦糸のメーカー名や商品名、kgあたりのM数、色番号、番手、素材、使用筬REED、綜絖と筬の通し本数、縦密度SETT、耳SELVEDGE、筬通し巾WIDTH IN REED、織上がり寸法FINISHD MEASURMENTS、縞割の本数WARP SEQUENCE など必要事項。
他に、織り方の注意点、縫製の仕方、ループ紐の織り方、刺繍の図案とすべて書いてあります。


非常に合理的なのは、この幅で製作する場合の経糸の必要g数と、緯糸の必要g数が記載されている事。

つまり、「個人個人織りたい長さはもろんちがう+経糸は織機それぞれで機がけと結び分はことなる」という問題を簡単に計算できるわけです。

今回を例にすると;

ハンドタオルをつくるために、巾50cm×長さ72cmを4枚織る。→72×4=288cm→約330cm(初めてなので余分は少し多め)+機がけ結び分80cm(私の織機の場合)=410cm=4.1m

経糸の1mあたりの必要量=未晒 17g  半晒 43g と説明に書いてあるので、
経糸4.1mの必要量=未晒 4.1m×17g=69.7g→約70g 半晒 4.1g×43g=176.3g→約180g

緯糸の1mあたりの必要量=未晒 60g と説明に書いてるので
緯糸3.3mの必要量=未晒 3.3m×60g=198g→約200g

合計 未晒270g 半晒180g となります。

今までのやり方で計算すると織り縮み分が含まれていないようです。でも、どのくらいの精度か指定通りの糸で織りあげてみたいです。が、残念なことに手元にあるのはBockens Lingarn 16/1。麻で同番手でも風合いの違ったものになるかもしれません。実はここが織物の最大のポイントだと思っています。風合いが異なれば、「似て非なるモノ」。

もっと簡単に「糸」が入手できるといいですよね。

Amazonで糸も注文できるといいのに!












2012年5月18日金曜日

M' and O' を手織中

サマー&ウインターを調べていたとき、「A Handweaver's Pattern Book」に、M' &O' と綜絖通しの特徴が似ており関係があると書かれていたので、織ってみることにしました。


織り幅 約50㎝ 筬80目/10cm2本通しで、総本数 806本 

通せども通せども、似た特徴はあるような、ないような。。。。。サマー&ウインターの柄部分では、緯糸が経糸3本を飛びます。(緯浮き) このための1番→柄→2番→柄→1番→ という特徴的の綜絖通し順へとは。。。。。残念ながら私の頭では発展できず。理解不能。
先日見ていた「Manual of Swedish Handweaving」に、[Kuvikas]という織り方を見つけました。これには、サマー&ウインターの特徴的な通し順が見られます。ただし、緯糸は同じ太さのようです。どのような表情になるのか、秋になったら織ってみたいですね。


さて、もう一つの目的は、経糸の得意番手の設定。つまり、自分は、どのくらいの「細さ」まで織れるか、織ってもいいかを決めたい。
この綿糸20/2番シルケット加工は、どう触ってみても、ノリツケしないと絡みやすい、綜絖通しにくいのは明らか。ひと手間かけたので、切れたり、たるんだりせずに織り進んではいますが、私には、細すぎる。

前回のサマー&ウインターのクォリティーで使用した20/3番あたりが許容限界のようです。これら綿糸は両方こも 株式会社シラカワ で購入。


緯糸は、Bockens Lingarn  麻100% 16/1番 晒 を使用。
麻だからとは言え、かなり硬い糸。ほとんどテイクアップ(ゆるみ)なしなので、幅は安定するという点では、織りやすい。輸入リネンを使用すると、いきなりインテリアファブリックらしくなるのは不思議です。

次は、この麻糸を使って「アンティークを目指すテーブルリネン」を織ります。

2012年5月15日火曜日

カウンターバランス織機のドレルとホース


pully drall type(drall の a 上に・・が付きます。 読み方はドラルで良いのでしょうか。ドレルが正しいようです。) 車が9ケ入っている三角の滑車です。写真は、このドレルにホース(ニックピン)を下げて綜絖バーを4本吊っている状態。

織機のカウンターバランス部分です。通常は、車が1ケのシンプルな滑車を使用します。


基本は、ろくろ式と同じで、4枚の綜絖が関連して上がり下がりするという構造です。ホースが天秤のように傾いたり、滑車で上下したりで動きます。ろくろ式に比べて左右のバランスがとりにくいのが難点。動きは軽く、1/3、3/1というアンバランスな綾は織りやすいということです。が、ろくろ式はあまり織ったことがないのでよくわかりません。

昔からある北欧の織機メーカー(Glimakra)の最近の製品は、カウンターバランスで、4枚綜絖を織りこなした後、カウンターマーチ部分を追加購入できます。簡単に取り付けられる構造になっており、多綜絖を楽しめます。


ドレル式は、それぞれの滑車にコードをかけ、2枚セットで綜絖バーを前後に吊るします。したがって、1番綜絖を下げると相手の10番が上げるということになります。
なるほど奇数組織の朱子織は、これで織れる。7枚朱子なら、残りの3枚で簡単な柄が出せるはずです。織やすいとは言えません。でも、テーブルリネン類を家庭で手織りしていた時代には、きっと画期的だったにちがいありません。のちにダマスク織へと発展していくようです。


さて、前回のNHK「美の壺」は「麻(あさ)」でした。登場した雑貨アーティストの 上島佳代子さん。
ドイツで見つけた100年もののアンティーククロスにほれ込み、リサイクルして新しい命をふきこみ、暮らしの中で役立て続ける。そして、布としての命を全うさせてあげたいというお話でした。

新しい命をつくりだしませんか? 100年先まで暮らしに使える布を織りませんか?


2012年5月2日水曜日

織機を見直す

今まで、4枚綜絖以上を織ることは、ほとんどありませんでした。カウンターバランスの場合、簡単に綜絖バーの取り外しができるので、バーをのせて、改めて糸綜絖を数えて、抜け止めの糸張って。。。要するに、めんどくさがり屋。こだわりが足りないのかもしれません。

でも、結構、複雑なモノが織れます。写真は、「The Best of Weaver's  Twill Thrills 」に掲載の作品を少し簡単に省略。つまり、ペダルの踏み順を短くしました。
経糸;綿 緯糸;麻 のテーブルランナーです。



もう一度織を始めるのだから、今回は、多綜絖をスムーズに動かしたいと思い、「Manual of Swedish Handweaving 」を出してきて読みました。織機と共に古くからあるのに、図や写真をパラパラ見ていただけ。マニュアル本は読まないと "価値" ありませんね。 

そして、驚きの新事実!?

今使っているホース(ヒックピン;板状の天秤)は、3枚(奇数)綜絖のタイアップができる。両側に滑車がついているタイプを購入すれば5~8枚まで、タイアップができます。でも、アンバランスになると難しそう。

三角形で大きいと思っていた9ケも車のついた滑車は、Drall(ドレル)用。綜絖は10枚吊れますが、2枚ずつの組でしか動かないのです。これは、、タオルやテ-ブルクロスなど実用品をツイル、サテンなど基本の組織で織るときに使用する「仕掛け」です。今でも、販売しており愛好家はいるようです。


さて、ショップに問い合わせると、グリモークラUSA を紹介されました。経験や織りたいアイテムなど相談に応じてくれ、結局、カウンターバランスを取り付けるのがベストということになりました。

でも、この織機、カウンターバランスが一般的になる前のものなので、下ラム用の穴がなくて。。。
技術スタッフが、穴あけの詳細の説明をくれているので、あとは穴をあけてくれる日本在住の織機の専門家。探しています。



余談ですが、海外(言葉の問題から英語)のHPをいろいろ検索しました。

織物関係の出版社のHPも充実です。
無料で織作品の作り方をダウンロードできたり、フォーラムで専属の先生が質問に答えていたり、用語集、出版書籍で使ったすべての糸の重さと長さと筬の一覧表もあり。
ジャーナリストのすばらしさ 実感しました。





2012年5月1日火曜日

サマー&ウインター、綿×ウールのクオリティー

地組織は綿、柄糸はウールという本来のS&Wのクオリティーが欲しくて試織しました。


書籍「ウィーヴィング・ノート」に、2タイプのクォリティーが載っています。

経糸;綿20/3 筬;60/10㎝  引込み 2本
緯糸;綿20/2、模様;ウール梳毛 2/5 打込み本数 14本/1㎝


これをベースに、書籍「Learning to Weave」に説明されている「地組織の経緯の密度が同じ」になるように修正をしました。 薄めでしっかりとして、私好みのクオリティーです。

結果、
経糸;綿20/3 90本/10㎝
緯糸;綿20/3 90本/10㎝ + ウール紡毛(染) 2/10 90本/10㎝


ベットカバーには番手をアップして、もう少し地厚に。ひざ掛けには、さらに密度を粗くして、やわらかくしたほうがよいと思われます。





ペダルを踏む順番で同じ市松の柄も違ってきます。

サンプルは上から、

"pair of  x"  中のドットがタテにつながり、大きい。

"o" 柄の角がなく、まるい。

"x" 柄の角がでて、つながって見える。



特に、細かい柄の場合、どれを選ぶかにより、印象がまったく違う仕上りになりそうです。

要・注意 です。