2012年6月29日金曜日

経糸1本引込んでドレル織上がり

ドレルは、縞整経でした。ビームに巻き終え、綜絖通しの時に気が付きました。ライトブルーのはずがグリーンになっています。1本、間違えました。縞と組織が同調しているので、このまま織ると隣のライトブルーの組織にグリーンが1本入ります。巻き戻して仮筬からやり直す?

グリーンを抜いて、ライトブルーのチューブ巻から新しく糸を引込むことにしました。他の経糸と張りの強さを同じにするためにラグシャトルに巻いて床に軽く着く程度に吊しました。糸が巻きやすいのと、適度な重さで気に入ったのですが、ハードカバーの本に巻きつけて重しをのせれば、もっと簡単だったかもしれません。

織り進んで巻き取るたびに、糸のテンションを調整することになりました。やはり、手間がかかりました。


「裏ワザ」と呼ぶ程ではないし、ブログで公開するのもちょっと・・・と思っています。

こんな時はどうするのでしょう? やり直す? ステップごとの確認はきちんとしていると思うのですが。


2012年6月26日火曜日

織機選びは、車選びに似ている

「始めて使ったタイプの織機が準備もしやすくて安心」という結論になる方が多いと思います。あと、予算とスペース?

糸の話を書いていたら、織機について書きたくなりました。長い文章になりました。織機も好きなのでしょう。

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「近所の買い物と駅への送り迎えが主だから、小型車でいい」と言っても、「少し排気量に余裕があったほうが運転しやすいし快適だ」と、男性方は主張して、予定以上に大きくて、維持費のかかる車を買ったりします。

ウールや綿などで、マフラーやひざ掛け、ランチョンマットなどを織るのなら、予算とスペースと相談しながら、ほどほどの大きさを選ぶとよいかと思います。いわば小型車タイプ。機がけのロスも少なく、気軽に楽しめます。ただし、本体が軽すぎると緯糸の打込み本数が増えた時に安定しない場合もあるようです。国産でも海外品でも構いませんが、筬や綜絖は微妙に仕様が違ったりしますので、簡単に買い足せるメーカーがお勧めです。


さて、もう少し本格的にとなると、何を織りたいかを考えることになります。「それなりの織機で、それなりの素材を選んで織たくなったという気持」の状態でしょうか。

選び方のポイントは、極端に例えると、スポーツカーを選んで高速道路を走るか、4WDで山野を走るかです。もちろんどちらも買い物に・使・え・ま・す。高速道路をツッ走りたかったのに4WDを買っては、楽しみは半減。スポーカーで、山道を?

「この産地に、この織機あり」です。絹なら日本。ウールなら英国、ニュージーランド。リネンなら欧州。ちょっと大雑把かもしれませんが、これでどの国の織機を考えればいいか方向は決まってきますね。ウールは伸縮性のある素材なので、どのタイプを選んでもまず大丈夫かなと思います。

織機を買うつもりのない方でも、お教室選びの時に、たぶん役立ちます。本格高級車を揃えていると雰囲気も素敵でしょうが教習料金もお高め、いろいろ乗り比べができるお教室も楽しいですね。


さて、大別すると、3タイプ。 日本の機、ジャックルーム(ジャッキ式織機)、北欧機。

日本の機は、つづれしか織れない特殊機などもあります。着尺や帯は織らないからと考えがちですが、金綜絖の一般的なタイプを選べば汎用性はあると思います。

私にとって一番の魅力は、男巻(ちきり)が取り外せること。仮筬をして、整経した縦糸を柱に結びつけ、経糸を確認しながら一人で巻くことができる。経絣をしたい人は、このタイプの織機以外は考えられないと思います。絣のずらし機は、この巻き取り段階で行うと問題なくきれいにできます。織機に乗せてずらす方法もありますが、やはり床に広げて巻き取るほうが安定し、納得の仕上りです。

織組織で大柄を追及するよりも、いわば染めと糸の種類で楽しむ織機。もちろん、綜絖4枚でもかなりの組織はできますし、ろくろ吊を2本にして8枚綜絖とする方法もあるようです。日本の先生方が、出版された詳しい書籍があるのも心強いです。

そして、当たり前ですが、絹が織れる(つまり、経糸で使える)。絹の織糸が入手しやすい日本で、絹の織りやすい織機は、それだけで価値があると思います。着物を織らなくても、シルクのクッションカバーとか、バック地、ショールなど老若男女、誰もが納得する手作りの高級品ができます。


ジャックルーム(ジャッキ式織機)
残念ながら織ったことも、触ったこともありません。音が大きいとか、ペダルが重いとか聞きますが、綜絖を吊下げないので織機の高さが低く、室内に置いた時に圧迫感が少ないのは魅力的です。糸の産地に関係なく趣味の分野から生まれた新しい織機のようです。

カナダやアメリカでよく使われていて、タイアップが簡単らしい?ので、多綜絖の場合の準備は簡単なのかなぁと想像しています。The Best of Weaver's シリ―ズで多綜絖の柄が多いのは、アメリカには多綜絖ファンも多く、ジャックルームと呼ばれるこの織機の所有者も多いという事なのでしょうか?16枚綜絖とか、試してみたいですね。
参考にしたい外国語の本や雑誌は豊富なので、海外の織機を使ってみたいと思う方は多いかもしれませんが、和訳出版されているケースはほとんどなく、あってもそれなりのお値段のようです。


最後に、北欧の織機。
スカンジナビアの日常の作品を紹介した海外の本は良く見かけます。自分で織って使いたいとなるとやはりこの織機です。ほとんどが木で作られているので温かみがあり、インテリアに調和しやすいという話です。

麻や綿糸を経糸にして、日常で使う布や品を織るのを得意とする織機です。クロスビームが胸木とは別に下にあるため、シャギーなど厚手の大きなラグを織るのにも適しています。特徴である糸綜絖は、うどんのような太さの糸も通せます。手で通せて光らないので老眼(?)にもやさしい。

綿糸は練習用の安い糸という固定観念が日本ではまだ残っているためか、綿の上質の織糸はあまり市販されていません。織機の特徴や長所よりも、北欧のイメージで選ばれているように感じます。

西洋の織機では共通する問題のようですが、一人で経糸をきっちりと巻くのはかなり難しい。できる方法もありますが、織幅が60cmを超えると、手伝ってくれる家族や織友が必要と思います。

基本仕様では、カウンターバランス(ろくろと同じ方式で滑車)、ドレル(多滑車)、カウンターマーチ(天秤を使用し、綜絖とペダルのバランスをとることで綜絖バーを上下)と織るものによって、仕掛けを変えることができます。標準型は多綜絖も24枚まで可能(!)ということですが、市販されているのは8~10枚。タイアップの手間を考えてもこの程度の枚数が常識的かと思います。さらに、ダブルビームにしたり、1.5倍の大きさとなる専用の仕掛けを増設するとダマスク織もできます。趣味でそこまでやれる方は少ないと思いますが。。。。


いろいろ説明を読んだり、書いたりしているとあれもしたい、これも欲しいとなります。が、結局のところ、趣味とか道楽で一番大切なことは心地よさだと思います。

織り心地とか織機の居心地。

「今度の車は運転しやすいとか、乗り心地がいいとか。。。。」よくわからないけど、男の方が嬉しそうに言ってますよね。たぶんそれと同じ気持ちなのだと思います。














2012年6月22日金曜日

10枚綜絖のドレルを試織してみる

ドレルの仕掛けがあって、組織図とタイアップがわかったら。。。。。。もちろん、織ります。

使う糸は。。。ドレルの基本用途はテーブルリネンだから、白で良いのだけれど。。。。白や生成りばかりで。。。飽きてしまいました。


日本の織では、糸染めからするのが基本。ですから、色糸をどうするのか。買うのか?染めるか?最後に考えようと決めていました。それまでは 「多色は、封印」 のつもりでした。

 でも、残り糸を合わせてとうとう織始めてしまいました。ちょっと気分転換。組織を考えるのも楽しいけれど、色糸が組み合わさって変化するのも楽しい。

ドレルの組織に縞整経を同調させ、緯糸も切り替えることにしました。スウェーデンの手織り作家Malin Selander は、縞と組織を巧みに組み合わせるこの方法で美しい作品を数多く作っています。
平織では単なるチェックが、朱子組織と組み合わせることで、経糸色と緯糸色がはっきりでる所ができ、見える色数が増えることになります。




もう少し明るくしたいのに、欲しい色が無いのはストレス。糸が足りないのもストレス。中途半端な色で、中途半端な大きさしかできない。え~っと。。。。サンプルですね。試し織り。割り切って進みましょう。


いろいろ気が付きました。綜絖バーは10本も並ぶと奥行30cm、綜絖通しというよりは、綜絖トンネル通しでした。反対側に受け取る人がいて欲しい。タイアップもナント50本。

織機の改良が終わったら、8枚綜絖のカウンターマーチでペダル10本の柄を織りたいと思っていました。が、タイアップは80本! 取りかかる前によく検討しないと。。。10枚綜絖なら100本!!




2012年6月19日火曜日

コットリンの値段

やっぱり、北欧の織機はコットリン(綿60%と麻40%の混紡糸)がなじみます。なんとも心地よく織れるあの感覚は忘れられません。
あまり市販されていないようなのに、ご存知の方も多いようです。

色数が豊富(95色!)で、きれいな色が多い。魅力はこれだけではありません。
綿と比較すると、適当なハリがあり、糸と糸がくっつきにくく、絡みにくい。綜絖通しもしやすい。硬すぎず伸びすぎず経糸として適度のテンションが保てる。もちろんノリツケの必要もない。22/2は、太さも手ごろで始めて織るにも良い糸。

と、絶賛してみましたが、最大の問題は、国内では手に入りくいこと。

チューブ巻を並べて、色をじっくりと見て、買いたい。どなたか、市販しているところをご存じありませんか?


古い古い麻とコットリンの色見本

1年半ほど前、もう一度手織りを始めるなら、まずは織りやすいコットリンでと思い、探しました。
都内の手織り糸のお店を2-3軒聞きましたが取扱いはなし。糸も販売している教室では、約200gで4000余円でした。とても気軽に織れる値段ではありません。入会して生徒さんになればお安くできますとのお話でした。



もしかして、200g4000円は、絹の価格とさほど変わらないのでは? 同じ重さならば、素材自体が軽いシルクの方が長さはあるはず。薄手のシルクのスカーフとか、クッションカバー、絣。。。。あの肌さわりの良さ!温かさ!絹鳴り!

残念ながら、「北欧の織機で絹は織れない」という話です。織れたとしても、日本の機での織り易さとは比べ物にならないでしょう。

冷静に考えると「この繊維の産地に、この織機あり」なのです。


せっかく30年も待っていてくれた北欧の織機ですから、浮気せずにやっていきます。







2012年6月15日金曜日

仕上がりました100年後のアンティークをめざすハンドタオル

縫製して、仕上がりました。



イニシャルと 「手織り再開」 の年号。

次回は、真っ白で、端に織り柄を入れて。。。。
グレーが基調色のキッチンが明るくなるデザインがほしい。

また、織りましょう。



最後に、もしかして私も織ってみようと思う方へ

1.麻は、日本と海外では種類が異なるので、ヨーロッパの手織り用の麻糸(亜麻;Linen 100%)の使用をお勧めします。
2.単糸より双糸が扱いやすいと思います。が、タオルとして使用する場合は、単糸だと適度に撚りが戻って吸水性が良いような気がします。
3.今回のこの縞割、色やクオリティーは、TINA IGNELL 編「Favorite Scandinavian PROJECTS TO WEAVE」に掲載さており、ANN-SOFIE SVANSBO さんのデザインです。イニシャルのデザインは刺繍糸DMCの冊子からのセレクトです。

健闘をお祈りいたします

2012年6月14日木曜日

Just Arrived

とうとう届きました。グリモクラUSA からカウンターマーチが



東京手織機が、グリモクラ社の織機の輸入販売をやめたという事ですので、この老舗メーカーの織機と部品は、個人輸入しないと手に入らない状況になったようです。(追加情報については、2012/10/3付のコメントをご覧ください。)


もちろんスウェーデンの会社です。始めは、プーリー(滑車)を2ケ欲しかっただけなので、気軽にUSAにメールして、やりとりしているうちに、こんなに大きな買い物になってしまいました。(今、超円高ですが。。。。重量 約9.5kg 運賃 約$100)


USA 経由は、効率的とは言えませんが、メールの質問に答えていくうちに、使いこなせていなかった大きな織機の謎が解けました。織機の型式、織機の穴の使い方、サマー&ウインターのタイアップ、ドレルなどなど、いろいろ相談できました。そして、組立てや調整は、自分ですることになります。

マニュアルも2冊買いました。このマニュアルは、織機と道具の使い方が主で、必要事項は確実に記載されています。


現在の織機の組合わせ状況を報告します。

本      体    VARPAPUU (現在輸出はしていません) フィンランド製 
ビーター    Berga (すでに廃業または輸出はしていないと思われます) スウェーデン製
破損により追加したペダル 大忠木工所に30年以上前に特注(和機の製作所)
破損により追加した綜絖バー 熊倉織機製作所に特注(和機の製作所)
 

2012年6月12日火曜日

100年後のアンティークをめざすハンドタオル織上がり

織りあがりました。長さ3m。ハンドタオルの仕上りサイズは長さ70cmなので、4枚つくれます。

織り始めと終わりを見比べると、それなりに上達はしています。


とても気になるのは、ミミ。手織りの証拠。
工場生産品は、効率上広幅で織って裁断して作りますから、左右も三つ折りのミシン仕上げです。2本2本引き揃えのミミにしましたが、3本3本でもう少しコロっとさせても良いかもしれない。



そして、「バンドはベルト織機かリジット機で織りなさい。」 書いてあるとおりに無地で織りました。

海外のハンドタオルの写真では必ずと言って良いほどついているフックに掛けるためのバンド。

意外と目立ちます。「手織りである」とさりげなく主張したいので、ストライプを入れて織り直しました。


いろいろ気配りしても、今回のは、誰が見ても「手織り」
こんなに「味のある布」、上達したら、もう織れないかもしれない。でも、明らかに「下手」。



最後に、刺繍。

本では、チューリップのような素朴で北欧らしさあふれる刺繍ですが、記念してイニシャルにしようと思います。

イニシャルは、テーブルで使うナフキンやバスタオル類に入れると聞いているので、ハンドタオルには、ちょっと変な気もしますが。。。。。ね。

2012年6月8日金曜日

ドレルという織り方の名前は聞いたことがあります

ドレル
ダマスクプーリーとも呼ぶ
drall=ドラル?織機の部品と思い込んでいました。が、ドレルと読んで納得。


あのハーフドレル、ドロップドレル、ヤムトランドレル、ダラードレル。。。。。。
スウェーデン織物に、次々と出てくる あのドレルですね。

ハーフとかヤムトランとかは、地名や柄の種類のようですね。地域や歴史までとなるとスウェーデン語の原本?か スウェーデン織の先生方にお任せします。


手元にある本「Manual of Swedish Handweaving 」のドレルの説明を日本語に直訳すると「経出しと緯出しで構成される織り方」(?)になります。簡潔に言えば「朱子組織の昼夜柄の織物」



混乱しないように注釈しますと、

私の使っている昼夜柄という言葉は、生地の裏と表がネガポジの関係になっていることで、織り方まで限定しているものではありません。

表裏が異なる綾織(3/1とか)、朱子織、サマー&ウインターなど裏面の組織と表面の組織を入れ替えて柄を作る場合と、2重織りで裏表をネガポジにする場合などのすべてを指しています。

リバーシブル使いとか言ったりもするようですが、リバーシブルは「表にのみ柄、裏は無地」という場合もあり得ますからあまり適切とは思えません。



さて、話をドレルに戻しますと、

綜絖が1枚づつ独立して動くカウンターマーチ式やジャッキアップ式の織機がある現代では、「組織を裏表して四角またはストライプの柄を織り出しました」でしかありません。が、滑車5個に綜絖をそれぞれ2枚づつ吊下げる簡単なやり方で柄を織り出す。よく思いついたものです。

1番の綜絖が上がれば10番が必ず下がる。2番が上がれば9番が下がる。3番が上がれば8番が下がる。4番が下がれば7番が上がる。5番があがれば6番が下がる。上がり下がりの組み合わせは変えられない。必ず上がるか下がることが条件。

1から5番までを上がるグループ(朱子表)、6から10番までを下がるグループ(朱子裏)と考えると、表と裏の組織を組み合わせる方法で柄が織り出せる。テーブルクロスに織りの柄がつく。


でも、本に載っているテーブルリネンの写真は何という事もない「サテン(朱子)地を裏表した四角の柄」


こどものおどりの帯


日本の職人さんも思いつきました。


4枚綜絖のろくろを一組追加して8枚にしたのでしょう。


繻子地の大きな市松柄の帯--赤の正絹の繻子地(経糸)と金銀糸の緯出し(繻子裏)の組合わせ--です。

この華やかさも4枚綜絖では織り得なかった技術への挑戦から生まれたのでしょう。


先人たちが積み上げてきた知恵はすばらしい。





2012年6月5日火曜日

100年後のアンティークをめざすハンドタオルを織始める

事の始まりは、テレビでドイツのアンティークリネン(台所で使う麻布)をリメイクして、この先何年も使えるようにして、布としての命を全うさせてあげたいという雑貨アーティストの方のお話。


「全うさせてあげる人」がいるなら、「作り出す人」もいるだろうと、深く考えずにスタート。

長年眠っていた織機の綜絖の仕掛けは、リネンを織るためのものらしいし、一緒に16/1の麻糸もありました。



さて、初回なので、最近購入した本「Favorite Scandinavian PROJECTS TO WEAVE」にのっているハンドタオルをお手本に進めます。
サイズ50×70cmは、ちょっと大きい。でもこれが規格サイズという。お皿も手拭きもすべてこのサイズで揃えるという。まずは、作って使ってみないとわからない。




経緯の密度は共に、110本/10cm。 経糸をかなり強く張らないと110本/10cmは、打込めない。

硬くて伸びながないから、しっかりペダルを踏まないと綜絖も開口しない。
経糸をにらみながら、織機は間丁(手前の橫木から後ろまでの長さ)が長いほうが良いという言葉を思い出しました。この北欧の標準型織機が大きい理由はこれですね。麻や正絹など伸びがほとんどない糸をしっかりと織る織機は北欧も日本も間丁が長いわけです。


機支度までは、無事やってきましたが、

トントンと何回もやっていると、単糸の経糸は、毛羽だってくる。。。。。踏みかえと打込みのタイミングがずれると打込んだはずが。。。。。伸縮性があるウールと異なり、多すぎるゆるみは、ボツボツと。。。。。


仕立物は、ボタン付けに始まり、ボタン付けに終わる。
大工仕事は、釘打ちに始まり、釘打ちに終わる。
手織りは、平織に始まり、平織に終わる。





2012年6月1日金曜日

麻の経糸がけは、後ろから前へと

麻のハンドタオルの整経が終わり、機にかける段階です。
硬くて毛羽があり、単糸 約500本・・・・・・まるで手織技能テスト(?)をされているような素材です。

こすれたら毛羽立つ!そして、絡んだら切れる。 


さて、経糸がけは、粗筬を使う方法も加えると3タイプと言われていますが、

[前から後ろ] は、整経した糸を 筬通し→綜絖通し→ビーム(ちきり)に巻く  糸の端は前から後ろへと通していく。

[後ろから前] は、整経した糸を 仮筬・粗筬→ビームに巻く→綜絖通し→筬通し 糸の端は後ろのビームから前へと通していく。


この、[前から後ろ]、[後ろから前] という言い方は、Leaning to weave の本でも使われている言葉です。この本は、ジャッキアップ式の機で説明してあります。太さや本数、長さなどにより使いわけると、どちらも便利かと思います。仮筬は手間がかかると前から後ろを選ぶ方が多いようですね。



でも、仮筬して後ろから前へ。本数と素材からこの方法しかありえない。


理由は
1.綜絖枠がなく、バーで糸綜絖を吊下げているタイプなので、巻き取り中にバランスがとれないと、糸が綜絖にこすれる。カウンターマーチならできるかもしれない。


2.仮筬は筬立を使い、食卓の上など光の状態の良い所でする。本数や縞を確認しやすい。


3.整経時の綾のある端は切らず、輪のまま。この輪をひっかけて仮筬通しすると2本ずつ通せて手間は半分(筬目は1目おきになる)。そして、ビームからのロッド(棒)に輪を通すので、結びロスなし。均等の長さになるように注意して結ばなくていい。結びもれもでない。

整経時に揃えた糸の長さどおりで狂いはでないことを忘れずあわてず進めればいい。


4.ビーミング(巻き取り)をして、間隔とテンションがそろい綾棒に整列した経糸をひろって綜絖へと運んでいくのは簡単。絡みにくい、抜けにくい。間違いにくい。 



ということで、幅や糸に関係なく、[仮筬→後ろから前]のやり方が仕事も確実で、結局 早いという結論。あと、北欧織機メーカーの方が書いた最新版のマニュアル本を読んで、そろそろ織機の使い方の基本は卒業です。
バックビームから綜絖を見たところ
ベンチの上に筬立て


気が付けば、北欧のスタンダード型は、バックビームと綜絖バーの間に、人間とベンチが入り、座って綜絖通しができる。つまり、織機の設計がそのようになっているようです。

この柱に囲まれた空間はなぜか心が落ち着きます。

「広々とした空間に白木の織機が1台。」なんて想像しがちですが、占有面積 約150×160×165m。

周囲は通るのがやっと。

素人所有の大型機の現実はきびしい。