2013年12月30日月曜日

良い年をお迎えください

年内に、サマー&ウインターまで終える予定でしたが、オーバーショットの魅力に取りつかれたようです。
「道具があったので、暇つぶし」に始めた手織りですが、「気が向くまま・・・」ではなく、「気がすむまで・・・」と、なりつつあります。


今年、心に残った言葉

 
帰国して驚いた。巨大な高層ビル、縦横無尽に走る高速道路、派手なネオン。刺激的だが、欧州の街並みのような文化的な美しさは感じなかった。『日本の美意識が崩壊しつつある』(中略)日本の美意識や伝統などをグローバルに展開できれば、きっと世界から尊敬される。
 和田 智 元アウディ シニアデザイナー兼クリエーティブマネジャー
Breakthroughより抜粋
Jul.21 Sun 2013 The Asahi Shinbun GLOBE
 
 
西洋楽器に比べ、尺八などの和楽器には雑音が多くなる傾向が強いようです。まるで自然の音を模して楽器を作ったよう。文化の個性と相まってとても興味深いですね。
今さら聞けない+「楽器の音色」より抜粋
2013年9月28日 朝日新聞
 
 
どうぞ良い年をお迎えください。
 
 


2013年12月25日水曜日

オーバーショット#3 この季節なのでJohann Speck's Design No.33

オーバーショットの名作だと思います。一度は織ってみたいパターン。

A HAND WEAVER'S PATTERN BOOK から 「Johann Speck's Design No.33」

ローズの花束のモチーフが並び、品格さえ感じられるようなパターン。いろいろな本で出会いました。



いくつか試したフレームは、どれも魅力的だったのですが、繊細すぎました。メインのしっかりとしたパターンと組合わせるとバランスがとれません。

結局、ボーダーやフレームはやめて、シンプルに、力強さを大切にすることにしました。



色彩は、この時期にいちばん美しく見える色・・・レッド。色彩感覚や染色の実力がわかる色といわれます。
慎重に・・・・染め直すこと数回。少しレンガ味にして、少し重たく、クラシックな印象に。

Merry Christmas !
 

2013年12月17日火曜日

織の設計とどの組織図を使うかはむつかしい

「この組織のマフラーが織りたい」と、頼まれることが何回かありました。
自分ひとりなら何となく折り合いをつけて仕事をすすめているのですが、頼んだ立場でわかりやすくとなると難問続出。
組織図だけでも・・・・いろいろな国や時代のいろいろな書き方がありどれにするか?どの織機でも使えるように書くと煩雑になってわかりにくい・・・と改めて感じたり。
組織のパターン本を持っているけどうまくできないというお話もあり・・・いわゆる設計書もいるのだと思いあたりました。

1.織り柄ならば「柄の入れ方」と総本数は?
レピート計算の仕方は、どの本に載っていると思うのですが、バランスの良いレピートの入り方は?左右対称?・・・毎回、多いに迷う点です。

2.組織図の踏み順とタイアップ図・・・・これが最大の問題。
「1本のペダルに複数本の綜絖をタイアップする場合」と「1本に1枚の場合」の踏み順の両方がほしいと頼まれたのですが、フロアルームは、機種によりさまざま。途中で突然踏み木を2本踏む(!)表が使えるフロアルームもあります。複数枚の綜絖がある卓上機なら後者が使えます。

単純に織機の構造で種類分けをしてしまうと
「1本のペダルに複数の綜絖をタイアップ」は、カウンターマーチ、カウンターバランス、ジャックルーム、ろくろ・・・・・。
「1本に1枚」は、複数綜絖のある卓上機、ジャックルーム、ろくろ・・・・。

このように、織機の種類を書いてしまうと、ろくろやカウンターバランスなど機種により織りにくい組織もありますから、織れる/織れないの判断までしたみたいな誤解をまねきます。また、知らない機種や新しい織機があるかもしれません。北欧の織機でアメリカの織をしているのでややこしい訳ですが、最近は米書が簡単に入手できますから、私のような方も少なくないのでは?
結局、アメリカ名を使うことにしました。ろくろ機については、詳しくないので単式/複式という言葉は使えません。

3.タイアップ図は×?×〇?番号?□■?伝統式かアメリカスタイルか?すっきりと見やすいのは・・・

4.綜絖番号は前から1234?後ろから?両方あるので記入は使う方におまかせにしました。

5.テイクアップと縮みは、素材と織り方に関係する必須事項で・・・筬と密度も関係する訳で・・・メーカーと糸名を指定して、本来ならもう一度織るべきですね。

6.ミミの本数や太さ、組織は、本体の織り方や何を作るかで違ってくる・・・。

7.フサに分けるときに、余らない総本数があればベスト。

8.使用糸は番手表示なのですが、実物も必要と思いました。

9.最後に織る時、仕上げ時の注意点。


まだまだ修行中ですが、真剣に考えて書き上げた「マフラーの織り方」のつもりなので・・・・わかりやすかったか、追加希望事項など、お知らせいただきたいと思うのですが・・・・。
無償だと「損した感」がないので、わざわざ質問したり、ご意見をお知らせいただけないのもわかります。

2013年12月10日火曜日

洋書;OVERSHOT IS HOT ! / The best of Weaver's

Madelyn van der Hoogt 編 The best of Weaver’s のシリーズ6冊目の本です。

編者は、手織りをする人とオーバーショットとの出会いは、A HAND WEAVERS PATTERN BOOK;Marguerite P. Davison 著 だろうと書いています。
早くから輸入された本ですので、日本で手織りする人も同じ出会いをしていると思います。海外の織り方は、自己流や日本式の解釈になっている事が間々あるようですから、私も意味を取り違えないように注意しなければなりません。

さて、伝統的なオーバーショットは、20世紀前半まで生成か白の地に濃い柄糸で織られた織物がほとんどだったと前書きにあります。主にベットなどのカバー類に使われていたという前提を理解すると、ここに掲載された作品の新しい試みがよりわかりやすくなるように思われます。


この本では、オーバーショットの織り方や柄の説明やたくさんの組織図は書かれていません。掲載されている作品は、多色にしたり、細い絹糸などさまざまな素材を使ったり、他の組織と組み合わせて多綜絖にしたり・・・・・伝統なパターンや構成を大切にしながら、新しい表情を追及しています。仕上がったアイテムも幅広く、スカーフ、タオル、服地など40点余です。

最初の章で、オーバーショットの柄がどのように織り出されるのか・・・綜絖通し順、経糸と緯糸の基本の動き。そして、この織り方の特徴である柄、影、地の関係が詳しく説明されています。

しかし、オールドのパターンを楽しむには、「オーバーショットの唯一の問題は、すべての組織図が簡単に理解し使えるとは限らない。」を理解する必要があるようです。
例として6種類あり、組織の書き方の特徴が作者別に説明されています。中には、簡単な覚え書きのようなものもあります。オーバーショットの綜絖の通し方が身についていれば、柄部分ごとの本数とレピートさえわかれば織り上げることができたのでしょう。
たぶん、書籍や綜絖とタイアップと踏み順の揃った組織図が一般的になる前から親しまれた織り方。織り手から織手へ伝えられてきた「歴史ある織り方」ととらえることもできそうです。

大切に受け継がれたことで髙い完成度となったパターンは数多く残っているようで、新しいパターンを作るのは容易ではないと想像できます。巻末に著者とオーバーショットに関する書籍名が約30冊リストアップされています。

著名な方々の組織図の一端でも見たいと思うのですが、個人での入手は無理。日本でもジャックルームを使って授業をしている織の専門学校や大学があるようですから、蔵書があるかもしれません。が、閲覧は許可されないでしょう。

正しく理解できたか・・・もう一度、織りながら検証してみることにします。

2013年12月3日火曜日

オーバーショット#2 ハニコムにてネコの足跡とカタツムリの通った跡

「Wandering Vine/つるをのばすバラ」は、「CAT TRACK AND SNAIL TRAIL/猫の足跡とカタツムリの通った跡 の名でも知られる」と書き添えてありました。


綜絖通しはそのままで Honey comb/ハニコムが織れるので、試してみました。
ハニコムは、めがね織と訳されていますが、組織の基本は同じでも、全く違う印象です。

白いベースに凹んだ足跡・・・・・なんともかわいい。
雪の上の足跡?

緯糸は、あの藤色にしてみました。今回は、半晒と合わせたのでラベンダー色に見えます。


雪の降ったラベンダー畑に凹んだ足跡。
ネコ8匹の足跡とカタツムリ15匹の通った跡。みんな揃って行進。
ラベンダーは初夏に咲く花なので、雪がつもる景色はありえないのですが・・・。


今回は、緯糸で調整をしましたが、バランスのとれたハニコムの織り地にするには、経糸の設計を手直しするほうが良さそうです。
使用組織;A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK P.166
4枚綜絖 6本ペダル
筬;100本/10cm
使用糸;経糸 綿16/2 緯糸 地糸 綿10/2 柄糸 綿10/3
 サイズ;80×110cm

2013年11月29日金曜日

ラベンダーと藤色

日本の楽器には、自然の音色が入っているという。

「今さら聞けない」と題した連載で、楽器の音色の話が新聞に載っていました。(朝日新聞;2013年9月28日から要約)

楽器により、同じ「ド」の音でも印象が違う。1つの音と思って聴いている音は、実は複数の音が重なって1つの音色に聞こえている。つまり、倍音や雑音の配合で 音の風合い が変わる。例えば、ピアノの鍵盤の中央にあるの「ド」の音は1オクターブ上(倍音)のドやソなどが含まれる。楽器によって、この倍音の組合わせが違っていることが、暗い/明るいなど音色の違いに効いてくる。

人間の声にも倍音が含まれるが、自然界の音は、「雑音」と呼べるような音も多く、風の音は雑音だらけ。西洋楽器にくらべ、琵琶や三味線、尺八などの和楽器は雑音が多くなる傾向が強いようだという。まるで、自然の音を模して楽器を作ったようだと。

 
雑音と自然・・・・この夏に織ったブロンソンレースの色を思い出しました。

国産の染糸。ラベンダーのつもりで織始めたら・・・藤色?なんとも日本的な印象でした。
「織ると色は濃くなる」と教わりましたが、色味が薄くなり、ベージュ味が出てくる感じでした。明度の変化はほとんどなく、彩度が下がり黄色にふれた印象です。

同じような色で、ほぼ同じ太さの海外糸と比べてみました。左はスウェーデンのコットリン。右は国産の綿糸。(写真上)
国産の糸色は、少し薄いだけと思ったのですが、よくよく見ると素地色が見えてきます。織って出てきたのは、たぶんこの色。素地色---素材の色---自然の色。

「 color guide 日本の伝統色 第2版大日本インキ化学;編 では、藤色とラベンダー(海外の花のはずですが)の両方がありました。よく似た色味ですが、ラベンダーが若干薄め。
手元のカラーガイドは年月がたち紙色が少し黄変しているようで、微妙なことはわからない状態です。最新版と海外の色票を確かめたい気もするのです。

2013年11月22日金曜日

オーバーショット#1 Wandering Vine

太く細く、曲線が波打つ万華鏡のような・・・よく見かけるゴージャスな柄も素晴らしいのですが、クラシックのパターンはローズのモチーフから。「Wandering Vine」 伸びていく蔓・・・・・つるバラのパターンです。

 
あの有名な「眠れる森の美女」のお話の原作そのままのような海外の絵本では、
姫が眠る城。花は咲き、季節は繰り返し、いつしかその姿が見えない程イバラにおおわれる。王子はそのつるを伐り、傷だらけになりながら、かきわけて進み、城をみつけて眠っている姫と出あう。
ちいさなバラの花が咲き乱れている挿絵をみて、イバラは大きなトゲのある「つるバラ」の原種ことだと気が付きました。
 
このパターン名には、バラとはありませんが、十字が中央にあり8個の四角が囲むモチーフは、「Rose/バラの花」です。よく使われていますが、今回のは緯糸が9本ほど浮くのである程度の縦密度が必要でした。
額縁(フレーム)は、つるで囲まずバラにしました。柄糸が薄めのインディゴなので、レピートしたつるのパターンは川の流れと浮かぶ花にも思えます。
   


庭につるバラがあります。
トゲは硬くて大きく、太いつるを勢いよく伸ばすので、最近は扱いにくいと敬遠されがちの品種です。やわらかいピンク色の花でひかえめな香り。散りぎわも潔し。父が好きだったバラです。
 
 「New Dorn/ニュードーン 新しい夜明け」 1930年アメリカ生まれ
 
 
 
 
使用組織;A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK P.166
4枚綜絖 6本ペダル
筬;100本/10cm
使用糸;地糸 綿16/2 柄糸 ウール2/10
 サイズ;100×140cm

2013年11月12日火曜日

オーバーショットの仕掛り

あれから1年余。やっとオーバーショットまでたどり着きました。
机に向かって、書籍をよく読んでから取り掛かる場合もあるのですが、綜絖を通しながら考えることにします。サンプル程度の大きさは何回か織った事があるので、大きめを計画です。

柄も大柄。1レピートが124本。織り幅は100cm。総本数1010本。総長は8m。
巻取りは、糸切れもなく終了しました。織ってみて問題がなければ、機がけの基礎編は終了にします。

柄の入れ方を間違えると綜絖通しは、最初からのやり直しになるので、組織図を書き起こして綿密に確認。フレームのレピートと本体のレピート数・・・・計算間違いをしないように、と。

さて、綜絖を通しながら、
オーバーショットは綾織というお考えの先生もいらっしゃるようです。
この柄の綜絖の通し順にはM&Wツイル、タイアップには綾の遺伝子が残っているようです。本の説明からも、綾織の1種というより、ご先祖様は綾織 という感じです。

分類に興味のある方も多いようですが、織は三原組織の基本、変化、発展に大別しておけば良さそうです。専門的にデザインやモノ創りをするのなら分類(正確には分類よりも分解)からアレンジやモディファイを学ぶ場合もあると思いますが、方向を間違えると何も生まれない。手織を楽しむなら、タビーという経緯が均等な平織の地組織に柄という見かたから始めたほうがわかりやすそうです。
 
 
経糸は綿糸の生成。柄糸はウール。柄糸はウールのインディゴのライトカラー。
当初、米国で織られていたのは白と紺の織物がほとんどだったと言われています。地糸は綿か麻の生成か白。柄糸は紺。たぶんジーンズと同じインディゴ色。
復刻版を目標にするのなら、ごつごつとしたウールで、ずしりと作るのでしょうが、クラフトマンの仕事は苦手です。気配は感じさせながら、しなやかで繊細な印象を狙います。


織出し見本はローズ系のレンガ色・・・少しクラシックな匂いの色彩で捨てがたいのですが、糸量が足りません。





実際にオーバーショットを織るには・・・ですか?ここまで読めば既におわかりかと思いますので、要点のみ。
1.経糸は、平織となる地の経糸です。緯糸と同じ細糸を使用します。
2.緯糸は、太い柄糸と経糸と同じ細い地糸の2種類。それぞれシャトルを用意します。
3.左足は、左側の2本の平開口のペダル。右足は、右側の4本の綾開口のペダルを担当します。常に、左足で踏んだ時は細糸。右足で踏んだ時は柄の太糸。
4.組織図の踏み順には、柄糸しか書いていない場合がありますが、柄糸を1本織るごとに左足で平開口のペダルを踏み、細糸で平織を1本織りいれます。平開口の2本のペダルは、柄糸を織り入れながら、交互に踏めば平織になります。つまり、地組織が織れます。
5.「平開口のペダルを交互に」を間違えないように、例えば、左を踏んだ時はシャトルは→、右は←とペダルとシャトルを投げる方向を関連付けるやり方もあります。でも、必ず目で確かめて。
※平開口のペダルを2本とも右端にしたり、両端に1本づつのタイアップにしても良い。各人のお好みで。

2013年11月5日火曜日

オーバーショットとフレーム

オーバーショットは、楽しい。4枚綜絖でこんなにいろいろな柄ができるのは、たぶん、オーバーショットだけ。その理由は、時間をかけて読むとして。
アメリカの織物の入門書や手織りのやり方を書いた本では、必ず最後に登場する織り方。北欧ならドレル。日本は絣ですか?・・・・その国その国でよく知られていて、愛されていて、初心者の最終にふさわしい織り方に間違いないようです。大柄で複雑な柄を織りたいからと苦労して多綜絖にするなんて・・・・と感じさせてくれる織り方です。

たくさんの柄にさまざまな名前がついていますが、柄よりも魅力を感じるのは、フレーム・・・・私は、額縁と呼んでいます。あの油絵などを壁に飾るときに使う額縁。絵の周囲を飾る額縁。オーバーショット以外の織でも付けられますが、マフラーやショールなら、柄の変化は両端に付ければ充分に効果的。四辺の柄を変えるなら、平らに拡げて使うものに付けたい。

A HAND WEAVER'S PATTERN BOOKの巻末に近い章では、大きな柄が増え、額縁を付けたパターンが載っています。ベットスプレット(カバー)に使われた柄ではないかと思います。そういえば、パッチワークやキルトのベットスプレッドも額縁があります。
ボストン、フィラデルフィア、ニューファンドランド・・・移住したのは寒い場所が多い。日本では、ベットカバーとも呼んでいますが、寒ければ外さずに布団のようにかけたままでベットにもぐりこむこともあるようです。日本の東北の刺し子でウールを大切に縫いこんでいるのを見てふと思いました・・・・たぶんウールを織り入れたベットスプレットは、どの家庭でも必需品だったろうと。

とすれば、オーバーショットで大きな柄を織るときには、額縁を付けたくなります。ベットカバー、ひざ掛け、テーブルセンターなど、周囲を違う織り方で囲むと本格的な印象に仕上がりそうです。

中央の柄を先に決めてから、額縁の組織を考える・・・タイアップは決まっていて、綜絖通しかペダルの踏み順には制約があるわけですから、綜絖通し+タイアップ+踏み順+組織図 とにらめっこをして、バランスの良さそうな場所を選びます。選び方で柄の印象は大きく違ってきそうです。

組織図は、本に書いてある組織を織る場合はもちろんですが、大柄が増えてきたので、レピートの入り方と経糸の本数計算、そしてアレンジをする場合の必需品。オリジナル柄の作成や生地から組織を書きおこすなどのレベルに達するのは、まだまだ先・・・行きつかないかもしれませんね。

織り地の技法はサマー&ウインター。
使用組織は、A HANDWEAVER’S PATTERN BOOKから

2013年10月29日火曜日

タビーの綿糸の準備

海外の手織の基本的な組織を織ってみたいと「Learning to Weave」Deborah Chandler著 を道しるべに進めてきました。多綜絖やハックレースなど寄り道も多く、課題もあまりせず・・でしたが、残りは二重織りとサマー&ウインター、オーバーショットの3種類です。二重織りは、同時に複数本のペダルが踏めるジャックルームですといろいろな織り試しができるのですが、私の織機はカウンターマーチなので最後にします。

組織は「A HANDWEAVER'S PATTERN BOOK」
Marguerite Porter Davison著 より
 
オーバーショットとサマー&ウインターは以前に織ったことがあります。両方とも平織の地があります。つまり、タビー;tabby。
「経と緯が同じ糸で、同じ密度の平織」がタビー。オーバーショットやサマー&ウインターなど太い緯糸で柄を出す織り方の地の平織はタビーです。
「ウィーヴィング・ノート」岸田幸吉著 P.26にも、同じことが書かれていました。今頃になりよく読んだわけで・・・申し訳ないことです。

最近の手織りでは、細い緯糸で平織を織り入れることは経糸の種類や密度に関係なく、タビーとかタビー糸と呼ぶようです。ウネ織や裂き織など太い緯糸を安定させるために次の段に平織で入れる細い糸は、タビーではなく〆糸(しめいと)と呼んでいました。

どちらも「太と細の緯糸を交互に入れること」や「平織の開口」、「織り地を安定させるため」と似ている点があるので、オーバーショットとサマー&ウインターのタビーと、ウネ織等の〆糸は同じと解釈したのかもしれません。

趣味の世界では、基本や理屈より手順の説明がわかりやすいことが大切で、英名を多用したりあてはめたりすることが新しさや魅力につながるようです。

オーバーショットとサマー&ウインターは、平織の地に柄を織り出した織物です。柄を織り出している太糸をはさみで切って抜けば、縦緯の糸も密度も同じ平織の布=タビーになる。太糸と細糸を交互に織り入れたウネ織などは、バラバラになってしまう・・・・・。
他にも平織の地(=タビー)を使う織り方は多く、綾の変化織で使う場合もあります。結局、基本は正しく理解しないと織りが上達しても応用がきかない、糸の準備や筬密度の設定がわからないということになりそうです。

前置きが長くなりましたが、これから使うタビーの糸。
柄糸と同じウールで細番手を選びたくなりますが、本来は、麻か綿だそうです。細いウール糸は高級品だった?などと以前から不思議に思っていたのですが、当時、織機では主に家庭で使う平織のハンドタオルや布巾を手織りしていたようですから、綿や麻の糸が手近であり、織り馴れていたということもあったのでしょう。実際、北欧の大型機などは、テンションがしっかりかかるので、注意しないと細いウールは引きすぎになります。

今回、用意したのは、綿糸16/2素地糸。若干太めの10/2でも良いのですが、16/2は、2本引き揃えると、コッリン22/2とほぼ同じ太さになるので使いまわしができそうで選びました。が、残念なことに今後は入手しにくくなるようです。 

綿糸は、素地糸そのままだと多少のベタつきと伸縮があるように感じられます。家庭で、精練の薬品(苛性ソーダ;劇物)を使用するのも保管するのも怖いので、ソーピング(石鹸)でしたが、すっきりしませんでした。
今回は、サンノールTSNN(精練剤)とヂャストミン(酵素糊抜剤)を使用してみました。パサつかず、しっとりとした仕上がりです。

精練剤;サンノールTSNN 酵素糊抜剤;ヂャストミン
藍熊染料株式会社

2013年10月22日火曜日

レースの織 終了

華やかなドレス地や愛らしいブラウスのレースと異なり、織のレースは、きりっとしていました。
テーブルクロスやナフキンの刺繍・・・糸を抜いてとめていくドロンワークによく似た印象。

テーブルリネンのためにあるような組織・・・・そんな気さえしました。
キッチンの棚に、レース織の真っ白な布巾が整然とたたまれて積んである・・・想像するだけでも幸せだと書いている手織り好きの気持ちがよくわかります。


レースや模紗というと、特別な織り方のような先入感がありましたが、平織の経糸が浮いたり、緯糸が浮いたり・・・・平織に最も近い単純な組織でした。

それだけに、糸の表情は見せやすく、空羽も効果的・・・・自己主張が少ないこともでき、多綜絖になれば華麗な姿も見せる。千変万化。魅力は潜在的。

ブロンソンレースやハックレースの綜絖通し順の説明から・・・米国のウィーバーが多綜絖を考え、発展させていったきっかけをみつけたような気もしました。論理的。そして、詳しく書き残している方々に感謝です。

服地や着物地は、織り上がった後に裁断や縫製される。テーブルクロスやべットカバー布地そのままで使われる。
用途が違えば、織手が求め憧れる柄行きも違ってくる。組織も織機も発展のしかたが違ってくるのも当然といえば当然。



10年ほど前に、ハック組織でマフラーを織ったことがあります。「ウールで薄手」も素敵なのは、重々存じております。
もう少し織りたい気持ちもあるのですが。

2013年10月18日金曜日

レースの織#8 ハックレース 8枚綜絖のトップクロス

機がけの手順を記しておきましょうと写真を撮りながら進めたので、経糸を結び終えたら、すっかり完成した気分になりました。
経糸本数 988本。 綜絖枚数 8枚。
綜絖通しは、集中力が続かず2日に分けました。

いつものことですが、織始めて予想したイメージどおりだと止まってしまう。興味がなくなるというか・・・ワクワクしなくなる。織ることよりも計画/デザインすることが余程好きらしい。

そして、格子の柄。整経は均一か、打込みは均等か・・・すぐわかるので、上達の具合はどの程度かと。  
            

ヨコ平織部は160本/10cm。テンションをしっかりかけて、打込みました。


自家製の糸綜絖は伸び縮みがあり、ご老体の織機はネジ部に多少ぐらつきがあるので、縦密度も打込みもこのあたりが限界のようです。


機からおろしたままですが・・・・取り急ぎ 撮影。
大きな格子の柄。ブルーに囲まれたホワイトの部分にハックレースを入れて。
 

 使用組織;平織+ハックレース(オリジナル柄)
綜絖8枚 ペダル8本
筬;140本/10㎝ 
使用糸;カラーコットン20/2 経糸;ブルー 緯糸;ホワイト 三葉トレーディング
サイズ;73×180cm 

2013年10月4日金曜日

今現在の経糸のかけ方を記録してみることに

30年ほど前に手織りから離れてしまった理由は、たぶん3項目ほどあり、その一つは、「織機が使いこなせなかった」つまり、「経糸の掛け方に納得できなかった」があります。
120cm幅の北欧の織機。なのに、織幅いっぱいに経糸がうまく巻けない・・・端の糸がこすれる。緩む。巻きくずれる。そして、引っ張ってくれる助っ人が必要で、一人では無理。などなど・・・。

時代により機に経糸を掛けるやり方も変わるとのことです。
確かにシステムコードが登場して変わりました。米国ではジャックルームが定着したようです。フロントtoバックの機がけ(仮筬や粗筬をせずに、筬→綜絖を通して巻き取る)が日本では新しいやり方とされ、一般的になったようです。

昨年来、もう一度手織りをやり直すにあたり、経糸の掛け方も見直していました。
北欧機、ジャックルーム、オランダ機、そして、和機それぞれ・・・やりやすい方法がそれぞれ若干違うようです。

道具/織機を作る時、考える人/設計する人がいて、使い方や使いやすさを考えて作られている・・・若い時は、布を織ることばかりに夢中で、そこまで考えが至らなかったようです。布の織り方には大差なく、布を織るために必要な道具としての機能は同じなのですが。

自分なりの基本のスタイルが決まり、少し余裕ができてきたので、私が使っているスウェーデン仕様のフィンランド製の織機(10枚綜絖10本トレードルのカウンターマーチ/北欧の天秤式 等)で、経糸の掛け方を記録していくことにしました。

今回は、20/2綿糸。密度140本/10cm。総本数988本。整経長3m。カウンターマーチ。8枚綜絖、8本トレードル。
巻取り中に経糸切れ1本発生-原因不明。撮影した写真41枚。


何回か繰り返したことで思いついたミニテクニックみたいなものもあります。
これから自分のやり方がどのように変化するのか興味もあり、気づいた時に書き足していくことにしてみます。


追;離れてしまった理由の たぶん3項目とは、
1.満足できる織機の使い方がわからなかった。
2.場所をとる織機を組立てて、何を織ったらよいのか/何を織り続けられるのか見当がつかなかった。
3.自己満足ではなくて、ある程度センスがよくて、本当に使えるものができるのか疑問だった。
あと、染糸の種類も色も少ないので、染めなければならず・・・もありました。

2013年9月28日土曜日

レースの織#7 ハックレース8枚綜絖のサンプル織 

細番手で、薄地のレースを織りたいと思っていました。多綜絖ですので、まずはサンプル織から。


この20/2糸での密度とのバランスと生地の厚さなども確認です。
レースの織が難しくて、おもしろいのは・・・・織っている時と仕上げ後の表情が違うこと。仕上がりをイメージしながら織れるようになるには、もう少し経験が必要なようです。
縦糸が浮くのを表としましたが、柄は緯糸が浮く裏面が見やすいようです。

まずは、オリジナルの柄(写真下;左)。織始めてレピートが繰り返されて・・・連続模様のつもりだったのですが。

せっかくですので、タイアップを変更して6柄織りました。
カウンターマーチの8枚綜絖の8本ペダルで5柄+10本ペダルで1柄=400本を結んだことになります。が、結び直しのない場合もあるので、300本程度でしょうか。


習うより慣れろで、このやり方もありか・・・・と思うこともしばしば。少し余裕がでてきたようです。
アンカーピンも使えるようになりましたが、イタリアンコードの時代の織機と人間なので、ウィーバーズ・ノットでのタイアップが手早い。

柄を作ると、16枚綜絖とか・・・・欲しくなる気持ちもわかります。
北欧の織機では、構造や手間を考えると10枚綜絖程度が常識的な限度かなと思うのですが、多綜絖を織っていらっしゃる方々の感想はいかがなのでしょうか?

組織参考;Hack Lace / The best of Weaver's  P.10-15
綜絖8枚 ペダル8~10本
筬;140本/10㎝ 
使用糸;カラーコットン20/2 経糸;ブルー 緯糸;ホワイト 三葉トレーディング
サイズ;22×72cm 

2013年9月19日木曜日

レースの織#6 和紙糸にハックの組織を入れて

気になる素材 紙糸/ペーパーヤーン。

スウェーデンの手織りの本 THE BIG BOOK OF WEAVING にも作品が掲載されています。著名な米国のインテリアデザイナーが紙糸を求めて来日したという話も聞きます。海外から注目されている素材。
日本での手織りブームは去った(?)ようですが、織ってみたいと思っていました。

障子、襖、照明・・壁紙、洗顔クロスhttp://thistleweave.blogspot.jp/2012/10/blog-post_4.html)。和紙糸を織って製品化されているケースは、とても少ないようです。

  「和紙リング」という糸が入手できたので、ランチョンマットを織ることにしました。

ポリエステル(?)の芯糸に和紙が撚糸されているので、適度の伸縮があり、トラブルなく縦糸に使えました。ただし、芯糸は杼を引っかけると簡単に切れ、リングがほどけて伸びて表情が変わってしまします。

平織では、のっぺりとしてしまいそうなので、両端にハックを入れました。柄としては、はっきりしませんが、表面に変化は付きました。



織付けを水通しして確認すると、軽い。柔らかい。
和紙というと硬い印象があるのですが、リングだから当たり前ですか。
ハリとか、重さとかがないと高級感は出にくいようで・・・・・洗えると思いますが、使い捨ててしまいそうな軽さです。
ランチョンマットではなく、ふきんかもしれない・・・・悩みながら織り上げました。

紙糸を使っても、誰もが日本と感じるモノになるとは限らないようです。
素材は日本で仕上りは外国風?・・・なにやら親近感あり。



織機から降ろそうとしたら、透け感が何とも美しい。この美しさを最大限に生かせるのは、パーテーションでしょうか。
水を通すと柔らかく変身してしまう・・・このままで、しばらく眺めていることにします。


組織参考;Hack Lace / The best of Weaver's  P.8
綜絖4枚 ペダル6本
 経糸、緯糸;和紙リング
筬;50本/10cm
 サイズ;38×62cm 6枚 

2013年9月11日水曜日

やはり「つるのおんがえし」ですか

夏の終わりは、同窓会のシーズン。久しぶりに友人に会えば、「今、何している?」という話題。
「手織り」と言うと、必ず「あの・・・つるのおんかえし?」せめて、天空の美女、織姫と彦星の話でお願いしたいと思うのですが、年齢の壁があるようで。
「手織は大変だから、身を削るような思いをして、引きこもらないとできないのでしょ?」 あげく、「ホントは、つるの羽をむしって織った・・・?」 これでは、動物虐待物語。

たまたま会ったデザイン関係の学生さんは、織と言えば「つるのおんがえし」しか頭から出てこないという。そして、「あの話は・・・・好きでなかった。」という。羽を抜くのは痛そうで、羽のない醜い姿を見られたくなかっただろう・・・・」と、暗い気分だという。

「トン、トン、パタリ」にあこがれる人もいるわけですが、「ひきこもり」や「暗い」イメージは、ちょっと困ります。おとぎ話とはいえ、もう少し史実的なお話にはならないのでしょうか?

ツル ・・・ 鶴 ・・・ ツル ・・・ 鶴 ・・・ ツル ・・・ 鶴 ・・・ ツル 
 
羽は・・・羽のように白く、軽くて暖かい糸・・・絹。
反物や糸は古くから租庸調として納められ、価値が認められていた品。明治の初頃まで、綿や麻を着ていたという農民の暮らしに、絹は見る機会すらなかったかもしれません。
 
では、「つる」は?
5月と8月(再)のNHKで、新歌舞伎座の「こけら落とし四月大歌舞伎」で、「壽祝歌舞伎華彩 鶴寿千歳」の放映がありました。宮中の皆で祝賀の舞をしていると一羽の鶴が舞い降りてきて平安の世を寿いで舞を始めるという内容です。
 
鶴を舞う衣装は、歌舞伎では受け継がれてきたはず。鶴の冠。着物は白地に金の縫い取り、帯は鶴の羽の模様が入った朱色地。朱の紐飾りがついた薄衣。薄衣はそのままに、時代をさかのぼるように、朱の帯を朱の袴に、冠を烏帽子にしたら、「白拍子」の装束となります。

諸国を旅して舞を舞う・・・白拍子は渡り鳥の鶴にイメージが重なります。それで、各地につるの登場する昔話が多いのかもしれません。白拍子が歌舞の礼として裕福な人から絹糸を与えられ、持って旅をしていたと考えられなくもありません。

つまり、話はこのようになります。
諸国を旅する白拍子は、道中にけが(病気)をする。年寄りの夫婦は手当をする。傷が直り白拍子は持っていた絹糸を使い反物を織る。その時代、身分の髙い人しか手に入れることができなかった絹で織り上げた美しい反物は非常に高い値段で売れた。高価な絹糸は持っているだけで、疑われたり罰せられる恐れがあったであろう。また、織り方を知られぬように、戸を閉め切り隠れて織ったのかもしれない。

この話には、やさしい心を失わずに接すれば恩を返してもらえ、約束を守れば富を次々にもたらしてくれるという教訓が書かれていると言われます。そして、機織りが上手であれば富が得られるということも書かれています。
美しい女が機織りをして家を豊かにするという発想は、天上の美女が綾錦の技を伝え国を豊かに国を富かにしたという神話の時代につながるのだそうです。

機織りが上手でないために嫁のもらい手を母が心配したという思い出話は、まだ所々で聞かれます。上手であれば、白拍子にならずに家族に大切にされたはず・・・・やはり、つるは美しい女のたとえであり、願望と考えたほうが自然のようです。

昔ばなしを見つめると、教訓、風習、貧富、暮らし、時代の陰、次々とあふれだしてくるようです。

 
今も時折、羽を抜いている気配を感じる時があります。鶴か白鳥か・・・定かではありませんが。 

2013年9月3日火曜日

レースの織#5 ハックレースの服地



前回のスラブヤーンをオーソドックスに使いこなすのもいいかと思い、ハックレースの組織でスカーフ程度の感じ・・・で織始めたのですが、すぐに服地だと思いました。







粗い織の服地・・・コレクションで手作り感とか注目されたのは、2~4年前?ボタンどころか、指がすっぽりひっかかり、リングが抜けてしまいそうな、粗い粗いニットや織地を使った服が新鮮でした。確かイタリアのブランドのショップで拝見しました。

3色杢のスラブヤーンにグリーンの光沢をきかして、イエローは、10/2が欲しかったのですが、残り糸で。

糸が動かないように、グリーン部分は密度を上げ、イエロー部分は本数をふやして調整したらボリュームがでました。



 軽やかさより、馴染みや落ちがでてきたので・・・・服地の顔です。ポストシャネル?



裁断、縫製はしやすそうですが、昨今のイメージからすると、もう少しメッシュが大きくても楽しかったようです。

あまりカッチリとせず、少しルーズで・・・・・「手織り手作りしました」にならないように気を付けて。

 でも、もう一度経糸を掛けないと、要尺が足りませんね。










組織参考;Hack Lace / The best of Weaver's  P.7
綜絖4枚 ペダル4本
 経糸、緯糸;綿20/3 イエロー
 綿シルケット加工10/2グリーン、綿麻スラブカラー (株)シラカワ
サイズ;34×190cm 

2013年8月27日火曜日

洋書;Hack Lace/The best of Weaver's

ハックレース。よく聞くレースの名前ですが、網目だったり、点々だったり・・・?
 

編者;Madelyn van der Hoogt は、「船が難破して無人島に漂着。上陸時に持って行ける織り方は一つだけと言われたら、迷わずハックレースを選ぶ」と前書きに書いています。日本流に訳せば、「あの世に行く前に、最後に織りたいのは・・・」となるのでしょうか。

Weaver's magazine からの抜粋編集されたシリーズ;The best of Weaver'sの最初の本で、デザイナーによる40点以上の作品と作り方、織サンプル、デザインのやりかたなどが紹介されています。
作品といっても、ハンドタオル、テーブルリネン、ショール、スカーフ、服地など生活に使うアイテムです。


このシリーズでは、作品は綜絖8枚以上がメインと考えたほうがよさそうです。作品によっては、4枚の場合と両方が書いてありますが、4枚綜絖は、やはりそれなりのようです。

作品だけを集めた本ではありません。巻頭のHack Basicでハックの柄の基本と組織から、ハックレースという柄の定義をしています。定義を必要とする方は本を見ていただくとして。

ハックは、ペダルの踏みかえを除くと、4枚綜絖では、タテ浮き、ヨコ浮き、平の3要素から2つしか選ぶことができませんが、8枚以上になると、この3つを同時に使用して柄構成ができる訳です。これにより、柄の印象は驚くほど変わり 「ハックレースのあの世界」 が始まります。

最初に、4枚綜絖の10点の織柄写真の例を用いて、ハックが織られる基本のしくみが説明されます。次に8枚へと展開されて柄の作り方、書きかた、綜絖通しとタイアップの求め方へと説明が続きます。

米国の本なので、説明や図ではペダルを踏むと綜絖は上がる、また同時に踏むケースもあるので、構造の違う織機を使用していると、まずここで、少し戸惑うかもしれません。

さて、延々と続く説明文は、経糸、緯糸、浮く 上がる、下がる、綜絖、開口、加える、除く・・・・・紛らわしい言葉ばかり。あげく、図を確認しながら読みすすむので、日本語であったとしても、かなりの忍耐が必要かと思われます。とりあえず直訳と思っても・・・発想の仕方が違うというか、思考回路が違うというか、数学の公式や証明問題を読み解くようで・・・・・まさにチンプンカンプンとはこのこと。慣れるまで、かなり手こずりました。やっと、8枚綜絖の柄作り、組織図とタイアップの起しかたまで理解したところで、ひとまず休戦です。

余談ですが、最近、「経糸が浮く、緯糸が浮く」は、日本では、「ヨコが飛ぶ、ヨコが浮く」と表現する(方もいる?)らしいことを知りました。織機に掛けられた経糸に対して、緯糸をどのようにくぐらせるか?という発想のように思えます。これですと、「タビー糸」や「ヨコにタビーを入れる」という表現も理解できます。どうやら、私の場合は、こちらの側にも新しい思考回路が必要なようです。

後半のトピックでは、ハックレースとブロンソンレース、スウェディシュレースそれぞれの組織の特徴との比較の説明もあります。スウェディシュレースの多綜絖展開が試みられ、紹介されています。組織に興味のある方には、貴重な説明のように思われます。

多綜絖のハックレースの美しさと柄つくりの楽しさ。ハックの魅力に圧倒され続けるような内容です。



2013年8月23日金曜日

レースの織#4  モク・レノのシーブルーのスカーフ

細い綿糸でレースを織る感覚がつかめましたので、もう一枚織ってみることにしました。

myggtjal, gauze, mock lemo,barleycorn, canvas、lace weave,openwork・・・基本的な組織は同じですか・・・。
織り方なのか、呼び方なのかよくわかりません。
織のレースは、組織が簡単なだけに、ブロンソンやハックなど特徴的なもの以外は区別しにくいくとうことでしょうが、織のレースは接する機会が少なかったので・・・なんとも。

私の個人的なイメージとしては、モク・レノは、「筬羽に数本まとめていれる羽と空羽がある」と解釈するとしっくりするのですが・・・・宿題が増えた感じです。


さて、写真中央はニュージーランドから来た鮮やかなブルーの綿糸。
お隣のオーストラリアで恐縮なのですが、グレート・バリア・リーフのように透き通った海の色かと・・・そして、白い砂?

 



平織の部分は、ブルーとホワイトで、ピンヘッド。
白のストライプをかましてから、スラブ糸でモク・レノの組織を入れました。
本来、この組織は、中央は2本のようですが、スラブなので1本に。
イエロー、グリーン、ブルーの3色杢糸は、夏らしく少しエスニックな印象。
少しニュアンスを加えたいので、スラブ糸の左右には細糸でパープルを添えました。

スラブ糸は、透間をあけてざっくりと使うなら糸の形状が生きて効果的。

でも、ベタで使うと、綜絖の目でこすれたり、特に緯糸では太い部分が重なってクセがでるのであまり好きではありません。
回避する方法はいろいろあるようですが。

スラブ部分がロング、ショート。道中とのバランスや太さ・・・親しみやすそうで、織ってみると性格はいろいろで、「クセモノ」と認知しています。

ですから、使うのは久しぶり。



 白のレースも清潔感があっていいですが、カラーは透明感があって鮮やか。夏にしか思いつかない組合わせの色彩。

 
組織参考;LACE AND LACY WEAVE  P.65 mock leno
綜絖4枚 ペダル4本
 経糸、緯糸;マーセライズドコットン20/2 ブルー/MC302、ホワイト/MC337 Ashford
 綿麻スラブカラー (株)シラカワ
DMC25番刺繍糸 パープル
サイズ;32×190cm フサ15cm×2込み

2013年8月20日火曜日

気分はスウェーデン旅行

美しい風景や美術館もいいけれど、旅行の楽しみは・・・・食事。めずらしい食材や料理をゆっくりと楽しめるのは、旅先ならでは。

でも、場所は、東京・赤坂のスウェーデン料理のレストラン「ストックホルム」
この北欧インテリアブーム。若い方々は、木立の中で白木のテーブルで家庭の見込み料理など想像なさるかと思いますが、ここは、国王がいらして、あのノーベル賞の晩餐会があり、あの名車のある・・・・・あのスウェーデンです。


広めのエントランス。レストラン内は、大きめのテーブル、シンプルな形の照明、メインの壁にはタペストリー。ゆったりとした空間は、少し日本から遠ざかった感じ。スウェーデンに関係する方の来店も多いようです。
ビッフェスタイルのスウェーデンの伝統料理「スモーガスボード」の専門店。中央にはきれいに飾り付けられ、お料理の並んだ大きなテーブルがあります。
おしゃべりとお料理の両方をゆっくりと楽しむ方ばかり。お料理をお皿に少しずつ盛り付け、味わい、テーブルとスモ―ガスボードとを何度も往復するのがマナーだそうです。日本語のバイキングスタイルの語源となった料理とも言われていますが、ホテルなどで催される「食べ放題ランチバイキング」とは様子が異なります。

さて、スモーガスボードのお料理。
夏の季節はザリガニから。有名なニシンの酢漬けも何種かあり、サーモンなど海の幸も豊富。ライムギパンと楽しみたい。続いて、肉料理とドライフルーツ。季節のサラダの次はソーセージ、ミートボール、ヌードルなどなど。そして、 「ヤンソンの誘惑」という名で有名なジャガイモとアンチョビの料理も、もちろんあります。ハーブが使われ、多種多様なソースもおいしい。一周食べ終えたところで、もう一周もOKという話を聞いたことがありますが、お料理の種類はかなりの数。
めずらしいお料理や食べ方などの質問に、スタッフやコックさんたちが丁寧に答えてくれるのもうれしい事です。外国語だと・・・・質問したり、聞き返したりで、苦労した経験をお持ちの方も多いのでは?

デザートは、数種が用意されていますが、やはり、リンゴとアーモンドの入った焼き菓子にバニラの粒々のあるバニラアイスクリームを添えて。コーヒーには、チョコレートがけしたほろ苦いローストのコーヒー豆をつまみながら。


そして最後に、紺色のトップクロスの下。白と黄色のドレルのテーブルクロス!もちろん手織りではありませんが、市松模様で周囲は柄を小さくしたボーダーの縁がまわっています。

Birgitta Bengtsson BjorkとTina Ignellが共著した書籍;SIMPLE WEAVESで、最後に載せる作品は「正式のドレル」とすぐに意見が一致したと書いています。
ドレルのテーブルクロスは、豊かな食事の風景へとつながっているようです。


 restaurant Stockholm 千代田区永田町2-14-3赤坂東急プラザ1F

 





2013年8月13日火曜日

手織り・夏のクイズ特集

あまりに暑いので、夏ボケ防止に手織のクイズを真面目に考えてみました。こんなことを思いつくこと自体・・・・夏ボケかもしれませんね。

問 題  入門と海外基礎編

1.糸を使って作られた布は、タテ糸やヨコ糸がなくても、小さなハンカチ程度の大きさが作れれば織物です。 
はい □いいえ

2.織の三原組織は、綾織、朱子織、組織織 です。  はい □いいえ

3.天然繊維とは、無農薬で作られた肌触りの良い綿や麻のことを言います。  はい □いいえ

4.綿番手20/1は20gで1m、毛番手2/10は2gで10mとなる糸の太さのことです。  はい □いいえ

5.共通番手は、綿番手や麻番手と同様に糸の太さと撚り本数をあわらし、売買や織物の規格書など世界共通で使われています。  はい □いいえ

6.組織とは、タテ糸とヨコ糸が上下して交差する織の構造のことではなく、複雑で高度な織のことです。  はい □いいえ

7.オーバーショット織は綾織、モンクスベルト織は浮き織、クラックル織は平織です。  はい □いいえ

8.北欧の織、ハーフドレルは、英語に訳すとオーバーショットです。  はい □いいえ

.日本では、昼夜織りのことをサマー&ウインターと呼ぶことがあります。これは、米国のサマー&ウインターと同じ織り方だからです。  はい □いいえ

10 .タビーとは平織のことです。タテ糸の太さや密度とは関係なく、平織でヨコ糸を入れればタビーです。  はい □いいえ

11.あじろ織りは、本来は網代紗紋織のことです。  はい □いいえ

12.欧州と北米地域で輸出をしている織機メーカーがあるのは、スウェーデンとノルウェーのみです。また、ニュージーランドは、ウールの生産国ですが、織機のメーカー(卓上も含めて)はありません。  □はい □いいえ

13.踏み木をペダル/Pedal と訳すのは間違いで、正しくはトレードル/Treadle です。  はい □いいえ

14.綜絖枚数が4枚以上は、多綜絖です。  はい □いいえ

15.海外の織機のタイアップ(綜絖と踏み木の結び方)は、ダイレクトタイアップ、マルチプルタイアップ、例外とも言えるカウンターマーチ織機のみに共通するタイアップの3種類です。シングルタイアップやダブルタイアップという呼び方はしません。  はい □いいえ
  


いかがでしたでしょうか?お楽しみいただけましたでしょうか?

出題者も正解が知りたいと思う問題もあります。ですから、答えを公開する予定はありません。また、ネットでは、正解をご存知の方ほど---沈黙を守る---傾向があるようですので、解答や意見の募集等はしません。

答えを求めることが、勉強・・・・・夏休みの自由研究の宿題を思い出しますね。


今年は記録的な暑さが続いています。
よい夏をお過ごしください。
 
Happy Weaving, soon

2013年8月9日金曜日

レースの織#3 スウェディシュレースの織り試し

レースの組織を使った織は、ウールや節のある綿麻の糸で織られている作品をよく見かけます。
今回は、綿でレースを織始めましたし、海外の本では、細いストレートの綿糸を使った作品や作り方も多いので試してみました。


糸の太さと密度の感覚がつかめないので、本に書いてあるとおりのスペックで織ってみることにしました。

風合い見本として、糸は2種類を使用。
あと、あまりに細く粗いので織り試しを兼ねました。

スカーフのような・・・手ぬぐい感覚で、汗拭き程度には使えるかも。

織始めると、
水通しをして、仕上げをしたら、本の写真のようになるかどうか・・・あまりに粗いので、間違えずに織れているかどうかもわからない。

打込みとミミを揃えるコツをどうにかつかんだと思ったら、経糸は終了。



海外から取り寄せたマーセライズコットンの部分は、ハリもツヤもあり、白も美しい色。

スウェディシュレースでよく見かける柄です。”Mosquito Lace"という名前。スウェーデンにも 蚊 はいるのでしょうか? さて、本の写真と比べてみると・・・・・あれれ、1レピート足りない。



スウェーデンの織は、改めて挑戦するつもりですので・・・・・・また、その時に。

参考書籍;THE BIG BOOK OF WEAVING  LAILA LUNDEEL著
P.114 Cotton Summer Curtains
綜絖4枚 ペダル3本
使用糸;カラーコットン ホワイト 三葉トレーディング
    マーセライズドコットン MC337 Ashford
サイズ;190×30cm フサ10cm×2込み

2013年8月1日木曜日

レースの織#2 6枚綜絖 藤色のブロンソンレースのランナー

苦戦しました。

まずは、糸。
Cottlin 22/2と同じ太さで、3本撚りの国産の市販の綿の染糸を試しました。
織っている時の伸びやしっくり感、風合いはかなり満足。レース織の透け感を出すには、太くて、ふっくらしすぎだったようです。

特徴ある綜絖通し。
本のとおりタイアップしたら裏織りになりました。打込みの段数や密度がわかりやすく織りやすかったです。
他のレースの織と同じように見えても、ブロンソンレースは、綜絖通しの特徴から綜絖枚数を増やして柄を構成しやすいようです。ダイヤ柄は飽きたので、踏み順は複雑にしてみました。
綜絖枚数が増えるほど通し本数も偏ってきます。詳しい方はご承知のことと思ますが、織機を選ぶ織り方のようです。


そして、配色。
織りあがってみれば、織始めのサンプルの無地もシンプルで捨てがたい。でも織っていて飽きてしまう・・・。
色は、ラベンダーと思ったのですが、織始めると藤色。生成っぽく(?)なる感じです。
ラベンダーと思って、きかしはイエローにしました。が、藤色なら合せるのは麻の生成色かな?・・と思いつつ織り上げて・・・微妙な差異ですが、直感は正しかったようです。
おとなしい藤色にイエローが主張して・・・和洋折衷風。悪くはないのですが。

民族の色彩の特色は、その土地の自然の色と関係するといわれていますが、日本人の目の色=黒(濃茶色)が関係していると言う人もいます。どう思われますか?この話は、また改めて
i.asaokaは、欧州がよくて、日本はダメと考えているとか・・・そんなことはありません。思い込みや勘違いをしないでくださいね。)


光に透かして見ると


参考組織;LACE AND LACEY WEAVES  #13 Six Harness Basic Study
綜絖枚数;6枚 ペダル;7本
経糸、緯糸;綿100% 10/3 藤色 イエロー
使用筬;80本/10cm 
仕上りサイズ;130×33cm

2013年7月24日水曜日

織機はフィンランドのですが

私が使っているのは、フィンランド製の織機。先生に勧められた訳でもなく、調べて、悩んで、決断して、購入した織機ではありません。預かった?取りに来ない?貰った?という状況です。

それなりに織れるのかもしれませんが、着物や帯が織ってみたいと思える機ではありませんでした。マフラーをちょっと織ってみるには、スタンダード仕様の織幅120cmは大きすぎ。

海外の家庭では、この織機で何を、どのように、織っているのだろう・・・・?
 
これがもう一度手織りをしてみようかと思ったきっかけだと思います。漠然とした「海外」から、北米と北欧の違いが少しわかり始め、そして、スウェーデンとフィンランドは?

 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆
 
折よく、フィンランドの織機を使って教えている先生に少しだけでしたが、「フィンランドの織機と機がけの仕方」の話をうかがえました。

北欧州の地域にはスタンダード(標準型)と呼ばれる、どのメーカーもほとんど同じ仕様の織機があると聞いていました。大型の織機で、四隅に柱があって小屋の骨組のような・・・・・。バックビームの手前の側面に横木がなく、本体内部に入れて綜絖通しやタイアップができるのがスタンダードと思っていました。が、フィンランド製は横木の有無に関係なく、大型=スタンダード(標準型)だそうです。

フィンランドの一般的な織機は、筬框の「腕は下から」が基本形。このスタイルの特徴としては、「強く打込むことができること」だそうです。筬框が「上からさがる」スタイルは「薄地用」でフィンランドの織機ではほとんどないということです。つまり、フィンランドでは、「厚地やマット類」を織ること/人が多いということ?(←もう少し詳しく聞くべきでした。)
私が使っている織機はフィンランドのですが・・・・ちょっと違うのでは?ということでした。


さて、「機がけ」について。
フィンランドの一般的なやり方なのか、アレンジされたのかは(確認しなかったので)わかりません。スウェーデン織の書籍等で紹介されているやり方とは違うので書いておくことにします。

1.機がけには蓋付きのラドルを用いる。綜絖の上に吊り下げる。
2.織機の中央に天秤から下ラムにつながるコードがあるので、整経はコードの右と左用に2つにわけて行なう。コードの右側からと左側からラドルにセットして巻き取る。
3.綜絖通しは、コードのある中央から右へ。中央から左へと通す。(以前やってみましたが、右手と左手の動きの入れ替えができず、ねじるような体勢となり・・・・私は4枚綜絖順通しでも断念。)

ドレルプーリーとホース、糸綜絖
輸入関係の方によると、このメーカーは、輸出もかなりしていた時期があったとのことです。35年以上も前の話ですので、輸出専用モデルがあったのではないかとも考えられます。

スウェーデンは大柄な人が多いのに、フィンランドの国民はアジア系もおり、小柄で身長も日本人とあまり変わらないと聞きます。フィンランドはスウェーデンとロシアに支配された続けた歴史があり、1917年に独立した国。スウェーデンに支配された歴史もあるため手織の文化や生活スタイルなど共通点があるということです。

フィンランド・・・・・マリメッコのプリント、雑貨、ベルト織、ホッパナ織。
気がつけば、身近にたくさんありますね。

2013年7月17日水曜日

レースの織#1 ブロンソンレースのランチョンマット 

「レース織り」か「織レース」か?
 作品の技法の説明には、スウェディッシュ・レースとかハックレースとか具体的な名が使われる訳ですから、やはり普通の言葉がわかりやすい。ということで、タイトルは、「レースの織」にしました。


さて、ブロンソンレース。アトワート・ブロンソン・レースとも呼ばれています。

洋書 「LACE AND LACEY WEAVES」 によると、
ブロンソンレースとブロンソンスポットウィーブは、J.&R. Bronson氏の書籍(?)の組織図からMary M. Atwater女史が発展させた織り方と書いてあります。
この説明からアメリカ生れの織り方のように思われます。

米国の本ではレースの織の最初にでてきます。基本的で理解しやすく応用しやすい組織のようです。

 構成は、基本的な「額縁」にしてブロンソンレースの組織を入れます。




同じ大きさになるように、打込みの強さに注意します。

 経糸は、コットリンの未晒なので、この季節は麻のにおいが気になる方もいるようです。

織り上げて、水通しすると、少し白くなり、凹凸もでました。

使い込んだ白木のテーブルが似合いそうな仕上がりです。



ランチョンマットは、洋書にはPlacemats/プレイスマットと書かれています。
子供のころ、正式なディナーは、テーブルクロスを使用するのでマットは使わない。昼食など略式の食事で使うから、「ランチョンマット」と教わりましたが、日本語だったのでしょうか?

時代も移り、正式とか略式とかにこだわらず、食事を楽しむための「マット」・・・・気軽に使いましょう。
 
使用組織;Learning to Weave [Loom-Controlled Lace Weaves]
綜絖枚数;4枚 ペダル;4本

経糸;COTTLIN 22/2 UNBL
緯糸;COTTLIN 22/2 ECRU
使用筬;45本/10cm 2本入れ 
仕上りサイズ;42×30cm 計8枚 

2013年7月12日金曜日

洋書;LACE AND LACEY WEAVES

ハックレース、スウェディッシュレース。海外の織のレースの名前はよく耳にします。いろいろな織り方について本棚にしまっていた本を開くことにしました。探せばもっとわかりやすく、詳しい本が販売されているような気がします。

「LACE AND LACY WEAVS」 MARY E. SNYDER編

初版は1960年。年代からも想像できるように、図版や写真は豊富ではありません。手元にあるのは1986年の再版本。

Bronson Lace・・・Monogram, Swedish Lace,  Barlaycorn, Diaper・・・ Camvas Weave・・・, Hack, Hackaback・・・ Mock Leno, Bronson Spot,Lacy Weave・・・・・・・, PICK UP LACE

技法の名前なのか、柄のことか・・・目次を見ただけではわかりません。聞いたことのあるレースの名前は全てあるようです。
織物の名前は、地域の慣習 として使われたり、呼ばれている場合が多いので、すっきりと分類できるはずもないのですが。


掲載されているレースの種類は豊富ですが、この本は解説書ではありません。学校でおこなわれたワークショップ形式の成果をまとめたものです。それぞれの組織の特徴や柄の作り方についての丁寧な説明はないので、作品/サンプルから解釈していくことになるかと思います。

前書きによると、10台の織機を用意し、毎月初めの月曜にディスカッションと質疑をおこない、学生がそれぞれにテーマに基づいて柄や糸使い、色を考え制作した サンプル/作品 の基礎データとが収録されています。
スカーフやケースメント用、8枚綜絖などのタイトルがついています。使用筬、密度、素材、色、番手や打込みの強さなどの注意点も書いてあります。柄数は、86点。白黒の写真は31点。織物学校のテキストとして使われている?ようにも思われます。

また、最近の一般的な手織りの織り方の本と異なり、綜絖通し、タイアップ、ペダル順が完成した組織図として掲載されてはいません。
綜絖通しは、基本単位となる「ユニット」で表示されており、お勧めの並べ方が紹介されています。ペダルは、図ではなく、文字で順番がかかれています。そのままでもよさそうでもあり、綜絖通しと同じように、組合わせて柄を考えるのもよさそうです。どの部分をどの程度繰り返すのか?レピートは?と考えることになると、それなりのデザイン力が求められそうです。

組織図(白黒の格子図)は・・・もちろんありません。自分で、書かれてある例を参考にユニットの並べ順を決め綜絖通しを書き、ペダル順を書き、タイアップを加えて、書き起こすことになります。


織レースの種類と豊富なサンプル/作品のデータは魅力的です。ワークショップで意見や経験を交換しながら学んだ提出レポートという印象もあり・・・楽しそうな様子がうかがえます。きっと、織りを学ぶ学校や大学では、よく見かける光景なのでしょう。