2015年3月3日火曜日

北欧の手織りへ

海外の手織りを本を見ながら勉強してみようと4冊の本を選んだのは、2012年8月。

「平織、綾織(紗紋織)、朱子織、変化と組合せ・・・・・欧米の手織は、名前が違うだけ。手織機を使う手順は同じ。」と思って、手織りの基礎から書いてあるアメリカとスウェーデンの本を同時に選んだのは、あまりにも 考えなし でした。同じだったのは、最初の織物の定義と基本組織の章だけ。

日本から手織の勉強で留学する先といえば、真っ先にイメージするのはスウェーデン。最近はスウェーデンで勉強した後に渡米してさらに手織を勉強する方も少なくないと聞きましたが、日本から、アメリカへ留学する人は多いのでしょうか?著作などご存知の方は教えていただきたいです。


安易な私は、北欧とアメリカ(正確には、北米)の手織の具体的な違いは、組織図の記号・・○×数字■□・・が書きやすい/書きにくいなどの理由で違うのかと思っていました。私が手織をしていなかった30年の間に、アメリカの組織図は多くの人に使われている織機の特性や多綜絖にあうように検討されて、みごとに進化していました。
スウェーデンへ留学したり、来日されたりした先生方は、アメリカの手織機や組織を北欧式に置き換えて説明していることがあります。北欧との見わけもしやすいように改良されたアメリカ式の組織図に慣れてしまうと、北欧式に置き換えるのは、スウェーデンの滑車式で織り始めた私ですが・・・・容易ではありません。
アメリカの本の時は北米式、スウェーデンの時は北欧式(スウェーデンとフィンランドは踏木番号の順番が違うようですが)と頭のスイッチを切り替えるのが一番簡単と気付きました。

国立ヘルシンキ手工芸大学を卒業した方が日本で出版された本には、「組織図において黒は下のラムに結び、白は上のラムに結ぶ。」と書いてあります。著者が四角を塗りつぶす北欧式のタイアップの書き方はそのままで、結び方はアメリカ式に置き換えたのでしょうか?それともスウェーデンとフィンランドのタイアップが結び方が反対なのでしょうか?スウェーデンのあとにフィンランドも・・・興味があります。

さて、独学の最大の難関は、自分で織りあげるまで、「実際の布を見ることもさわることもできない。」
頼りになるのは写真や組織図だけ。これだけで、「アメリカのこれとスウェーデンのこの部分は似ているから同じ」と一括りにすることは、似た点を見つけ出して、つなぎ合わせて・・・・一度に両方の勉強を終える?どう考えても無理があります。いきなり、オリジナルの作品を完成させることはできそうですが。
スウェーデンや日本のように織物の伝統があると、組織だけでなく素材や柄の傾向も慣習のようなものがあると感じていますから、そのニュアンスは大切。組織が同じだから・・・という区分はちょっと乱暴に思えます。


北欧の手織りの本も何冊かありますが、スウェーデン語はわからないので、写真右の英語の本がたよりです。多少、アメリカ向けを配慮した内容になっているような気もします。

そして、また、いつの間にか 書籍 は増えていく・・・・のでしょう。


5 件のコメント:

  1. こんばんは。

    たびたびお邪魔させていただきながら、この記事、きちんと読んでいなかったみたいで…
    今日になって気づきました。

    「組織図において黒は下のラムに結び、白は上のラムに結ぶ。」

    …これはアメリカ式への置き換えでもなんでもなく、道理にそったものです。

    組織図ではタイアップも含めて一般に(というか少なくともフィンランドでは)、黒で塗りつぶした部分は、経糸が緯糸の上にある状態を表します。綜絖の動きとして考えれば、黒く塗られた部分の綜絖は上がるということです。

    ですから、黒く塗られた部分では「綜絖が上がる」ように―すなわちペダルと「下」のラム―をつなぎます。(下のラムは天秤につながれているので、ペダルを踏んでこのラムが下がると、綜絖が上がる)

    逆に、白は「綜絖が下がる」ように―すなわちペダルと「上」のラム―をつなぎます。(上のラムは綜絖に直接つながっているので、ペダルを踏んでこのラムが下がると、綜絖も下がる)

    結局、タイアップ部の黒・白は、綜絖が下がるか上がるかを表しているのであって、上のラムか下のラムかということを表しているわけではないんです。ですから多分、スウェーデンとフィンランドの結び方が反対…というわけでもないと思うのですが、いかがでしょう?

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  2. まさかとは、思ったのですが・・・・。

    実はこの後、タイアップ図とラムの関係について、書棚の本や説明書など端から順番に調べていることろです。
    一瞬、自分の英語力を疑いましたが、スウェーデンとフィンランドの結び方は反対のようです。つまり、スウェーデンは、■や×は、綜絖の下に吊るされる「上ラム」と結びます。つまり、踏み木を踏むと綜絖は下がる。□は天秤に直接つながっている「下ラム」と。

    では、組織図で黒の部分が経糸か・・・?という点までは、考えていませんでした。が、これから、織る時に常に注意して、検証していく価値は充分にありそうです。

    昔、ろくろ式の先生に組織図の黒は経糸と教えられ、朱子組織など織り方によっては慣例として裏がえして書くこともあるとかで、わけがわからなくなり、その都度確認するようにしていました。最近は写真と白黒の組織図の両方が載っている本は、少ないので気にしていませんでした。

    組織図の白黒を重視する日本ではフィンランドと同じ考え方で同じつなぎ方ということになるのかもしれませんね。もしかすると、日本に最初に着たカウンターマーチはフィンランドから?

    アメリカは、1970年前後の手織りブームの時に先生などが足りなくて、スウェーデンから招いたという記述が残っていますので、スウェーデン式とメーカーが主流なのだろうと思います。

    スウェーデンとフィンランドは、ラムの支点や踏み木番号が逆ですから・・・・あり得るのかもしれません。一括して北欧式と呼ぶのは、無理がありそうですね。

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    1. こんにちは。

      私もその後、本をあさって見てみました。まさにおっしゃる通りで…よく知らないくせに変なこと書いて混乱させてしまってすみませんでした。

      スウェーデンの組織図では緯糸を黒で表しているということも、スウェーデンの雑誌の組織図を見て確認しました。

      スウェーデンとフィンランドではタイアップが逆というより、そもそも組織図自体の黒白が反対だったのですね。今まで全く気づきませんでした。

      緯糸で模様を出す組織は多いですから、スウェーデン式の方が、組織図から織り上がりを想像しやすいかもしれませんね。それに、特にカウンターバランス式の機の場合、下がる綜絖が黒のほうが、感覚的にタイアップしやすそうな気がします。スウェーデンがこの方式を取っているのには、その辺も関係しているのかと…あくまで勝手な想像ですが。

      スウェーデンとフィンランドはお隣同士ですが、教育制度はまったく別です。織りについても、どんなふうに何を教えるかなど、それぞれ独自の道を歩んできたのですね。

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  3. いつも、ややこしい話におつきあいいただきありがとうございます。

    組織図の経糸は黒の塗りつぶしか?白の空欄か?という話で、

    米国の書籍『THE COMPLETE BOOK OF DRAFTING』の「経糸と緯糸のどちらを描くか?」という節があります。
    著者;Madelyn van der Hoogtは、「綜絖通しとタイアップ、踏み木順から組織図を描きおこす場合、綜絖に通っている経糸を書いていくのが描きやすいから、黒になる。」と言っています。つまり、普通、白い紙に黒いペンで書くからという単純な理由をあげています。

    「組織図のどちらを塗るかはそんなに大切なことではない。どちらが縦糸か緯糸か自分でイメージできて、その通りに織機を使えればいい。」という結論です。アメリカらしい考えかたですね。

    イメージできて・・・その通りに・・・・実はこれが一番むつかしいような気もするのですが。

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  4. 今まで考えたこともなかったことに、あらためて考える視点をいただけることをとてもうれしく思っています。
    興味のある話なので、つい、コメントもたびたび入れてしまって…

    ところで、その米国の著者の方の説明だと、「タイアップの黒は綜絖を上げることを表す」というのが前提のようですね。スウェーデンのタイアップから著者の言うとおりに描きやすく描けば、緯糸が黒になるはずですから。…そんなことを考えてしまいましたが…

    でも、「組織図のどちらを塗るかはそんなに大切なことではない…」というのには同感です。もちろん、基本のシステムを理解するまでは、一定の方法じゃないと混乱しそうですけれど。

    今はパソコンソフトを使えばイメージも少しはしやすいと思うんです。実際に織りあがった布がイメージ通りかといえば…その辺はまあいろいろでしょうが。

    前世代の人たちはすごいなあと思います。白黒印刷で組織図もなく、タイアップと、せいぜい踏み順・綜絖通し順だけのドラフト図ぐらいしか見ることはなかったんじゃないかと思うんです。でも、それだけでイメージして織っていたんですよね、きっと。

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