2015年3月10日火曜日

番手の使い方

先週、糸のことを書きました。日本の手織は西洋化しているようで、欧米の一般的な手織の基本と違うと感じることがことが少なくなく、番手についても、たぶん日本の手織を詳しく勉強した方には異論があるテーマだと思います。

手織のおけいこやお教室などに通ったことがないので、日本の手織の一般と、例えば、タイアップ、下開口やカウンターマーチなどの解釈が違うことがありました。習ったことと違うと、間違いを公開していると不快に思う方もいるようなので、糸の番手についても遠慮してきました。が、原稿が残っていたので。

・・・糸・・・イト・・・意図・・・イト・・・糸・・・イト・・・意図・・・イト・・・糸・・・イト・・・意図・・・イト・・・糸・・・イト・・・意図・・・イト・・・糸・・・

洋裁を習った時に、ミシン糸と針は番号で太さを表すが、番号と太さは逆。つまり、糸は番号の数が多きくなれば細くなり、針は太くなると覚えました。そして、縫う布地と針の太さ、糸の太さの関係の一覧表がありました。つまり、番号は太さ。番号があると縫う布と使う針や糸の太さの関係がわかりやすくなります。

シーツ地も糸の太さと密度を聞けば、丈夫で厚いか、薄くてもしっかりとしているか、肌触りなどはほぼイメージできますし、ストッキングの化粧台紙に書かれているデニール」をみれば、薄いか厚いか・・・慣れてくれば・・・わかります。ナイロンは長繊維なので糸の太さは番手ではなくデニールです。

こんなことから、糸の「太さを表す」ことは、「充分に役に立つ」と思うのです。番手の定義などは知らなくても、あれば便利。で、必要な数字。でも、手織りの本を見ると「重さと長さを換算するときに使用する数字」のような説明がされているように感じるのは・・・・私だけ?

手織によく使う糸の太さは、たぶん、ほとんど綿番手と毛番手。ときどき、麻番手。この3種類で表示されています。
番手の基本的な定義のしかたは同じで・・・決まった重さ(1kg、1ポンド)のワタなどから決められた長さ(1000m、840ヤードなど)の糸を作る。これでできあがる糸の太さが基準となる1番手。

この定義を使って逆算すれば、重さや長さを換算できると「ひらめいた!」方がいたようです。でも、ちょっと手紡ぎをしたことのある方なら、お気づきの通り、撚りがかかると糸は短くなる。撚りが多くなれば、さらに短くなる・・・。そんなに正確なものではない。ですから、それぞれの糸に、重さと標準的な長さが書かれていれば、わかりやすいし、より誤差が少ないし、親切ですよね。

それでも、換算しようとすると、素材によって使う番手表示が違い、基本のポンドとかヤードとか度量衡が違い計量器もない。となると、gとmの日本では、毛番手が身近で使いやすいことになります。これを応用?して、換算のための「共通番手」という番手表示?換算方法?を提案した方もいらっしゃる・・・・この影響なのでしょうか、最近は、「毛番手」とは言わず、かわりに「共通番手」と言うようです。
日本の手織ではますます、「番手は長さや重さを換算のための数字」になりつつあるようです。


さて、ここで、私の素朴な疑問。長さと重さが知りたいなら、サンプルをとってはかればよい。綿は植物繊維、毛は動物繊維。性格も風合いも、さわった時の柔らかさや握って離したときふっくら感も違う。同じ大きさの布なら感じる厚みも重さも違う。太さをあらわす表示を共通にすると違和感があるように思うのは、古い感覚なのでしょうか?

混紡糸など中間の性質を持ち、番手表示がさまざまな場合は、綿をよく使う人は綿番手に換算し、毛をよく使う人は、毛番手に換算するのが、わかりやすいように思います。
綿番手から毛番手へ、毛番手から綿番手へ、換算して置き換えるのはかなり面倒と思いがちですが、「番手換算表」があります。プロの方も使っていたりします。ポンドやヤードになじみがなくても、使い慣れている番手に置き換えられれば、太さはイメージしやすいはずです。

大切なことは、糸の太さと何羽の筬を使うかという関係。 そして、たとえば、縦緯同じ密度で織った場合にどの程度の厚さの生地になるか?・・・ということだと思うのです。

正絹を使って本格的に着尺を織る場合はさておき、よく使われる綿と毛は、「番手という太さ」と「撚りあわせた本数」で表示されます。欧米の本でも同じ表示が使われています。

手織に限らず、使われる/作られる糸の太さはほぼ決まっています。よく使う番手と太さがイメージでき、数が多いほど細い、数字が倍になれば、太さは半分になるという基本さえわかれば、知識として、充分だと思うのですが・・・・。毛の紡績は比較的自由がきくので、端番手もよく見かけます。

綿は、60,40,30,20,16、10,8   毛は、20,10,8,7,6,5,3,1

撚りは、2本、3本撚りが一般的。表示は、2、3という数字から撚り本数と想像できます。
それ以上の撚り本数は、機械の都合から撚糸を繰り返すようで、2×3×2・・・と×で追加表示されています。綿糸と毛糸では、番手と撚り本数の表示の分子と分母が逆になります。


最後に共通番手。いわゆるテックス番手のことです。何番手ではなく、TEXで表示したと思います。繊維の種類に関係なく使われる番手ですが、さまざまな国や産地の糸を使う工場などで太さを換算する必要があるときなどで使われていたように記憶しています。手芸糸のショップの「共通番手」という言葉と混乱しやすいですね。


※文中誤解や間違いでお気づきの箇所があり、ご指摘やご教授等をくださる場合には、手織りを学んだのは、米国式、北欧式、日本式のいづれなのかと経歴などのプロフィールをお書き添えください。掲載文への訂正、添削はご遠慮ください。投稿は簡潔にお願いいたします。

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