時間をかけ、この本を読んで気付いたことは・・・海外の書籍を読み、色と素材(風合い)と組織(柄)のバランスが大切だと思う私とは・・・・織物の組織への価値感の違いだけではなく、基本的な思考回路が全く違うのだろうということでした。
『手織り 手紡ぎ工房』 監修;馬場きみ、著者;彦根愛 2012年
最初に、日本各地の織物や世界の織りについて。そして、ニュージーランドの手紡ぎ機の写真が登場し、ページをパラパラとめくると、ろくろ式織機だけでなく、海外のレバー式織機や天秤式織機、組織図のイラストなどもあり、スパニッシュやブロンソンレース、ハックなどカタカナ名まえの織り方もでていますので、欧米の手織も学べるような印象を受けていました。
しかし、よく読むと欧米の手織りの本の説明とは、明らかに違う・・・「ガラパゴス系」とも思えるような解説書です。日本の手織りとしては一般的なのかもしれません。
別件で、著者から「女子美の先生とアメリカ人の先生から習いましたが、女子美の先生の方がわかりやすかったので、本はそちらにしています。」とコメントをいただいて、欧州の天秤式織機を使っていても、やはり、女子美式(?)独自(?)の手織りのしかたと説明をしている・・・と納得しました。
最後のページまで丁寧に見ていくと、裏表紙を開いた右下の隅に小さく、
『ハンドクラフトシリーズ『手織りと手紡ぎ』2000出版、『手織り工房』2008年出版 を合せて再編集し、応用作品をすべて新しいものに作り直して、大改訂した--』とあるのを見つけました。似たような内容の本だと思ったら、改訂版でしたか。なぜ、改訂版を出版したのか・・・特に書いてありません。ちょっと聞いてみたい気がします。
『ハンドクラフトシリーズ『手織りと手紡ぎ』2000出版、『手織り工房』2008年出版 を合せて再編集し、応用作品をすべて新しいものに作り直して、大改訂した--』とあるのを見つけました。似たような内容の本だと思ったら、改訂版でしたか。なぜ、改訂版を出版したのか・・・特に書いてありません。ちょっと聞いてみたい気がします。
内容構成は、手紡ぎ、手織りの入門、基礎、応用の4章です。
「完全意匠図」では『使用する織機にあわせて、綜絖の通し方を考え、踏み木を考え、タイアップを考える。』という独自(?)日本式(?)のやり方が詳しく説明されています。この章の最初の織機別になっている書き方順の説明を読むと、手順はわかっても、足踏み式織機は、複雑で難しいように思えてきます。
この「完全意匠図」の書き方を学ぶことで、この本で使っている3種類の織機によってそれぞれ異なる「1本の踏み木に1枚の綜絖を結ぶ か 1本の踏み木に数枚の綜絖を結ぶ」 ことと 「踏み木を踏むと結んだ綜絖が上がる/下がる」という特性を、一度に解決するというやり方です。
さて、この本では、織りの技法や織り組織の制作技法を学び、作品を制作するというページ順になっていて・・絣や着物、帯まであります。
つづれ織り、ノッティング、からみ織りなどの手織りの技法と拡大法、変化組織や混合法などの織り組織の作り方・・・手織りをするにはこの2つを確実に覚える必要があるということのようです。そして・・・絣と糸染め。
本来、柄や組織を織るのに適した天秤式やジャック式織機を使い、蓄えられた数多くの組織を使ったり応用して楽しむことが多い欧米の手織りとは、基盤もセオリーも異なるようです。
この本には、織機も4種類、数多くある周辺の道具の名称を覚え、加えて、作業や机上で手順として覚えなければならないこと、約束ごとなど、数多く書かれていることに気がつきます。覚えただけでも、かなりの達成感が得られそうです。
「入門編」から始まっていますが、全体をみると手引き書というより、手織り技法の集大成の本のように思えます。著者による前書きも後書きもないので、わかりません。
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