インフルエンザで寝込んでいたら、お見舞いに1冊の本がやってきた。
SIMPLE WEAVES
Birgitta Bengtsson Bjork、Tina Ignell 共著
Ignellさんが白と赤の経糸を織っていて、この件でデザイナーのBjorkさんに電話をする。幾度か会話をかわしながら織り進むにつれイメージが膨らみ、ふたりは意気投合して本を出すことにした・・・・・まるで映画かドラマのファーストシーンのような前書きでこの本は始まります。
それぞれ異なるスウェーデンの学校で織を学んだふたりが、始めのカリキュラムはほぼ同じだったことを発見し、基本的な織り方と素材の組合わせによる手織りの本の出版をめざして一緒にデザインワークを始めます。
平織と綾織ではじまり、そして最後はドレル(ダマスク)とすぐに決まったという。オーバーショットではなくドレルのテーブルランナー・・・・。もちろんインテリアのアイテムばかり。ハンドタオル、クッション、ブランケットやラグが次々と登場してきます。
目次に並んでいる織り方を見ると、ツイル、ローズパス、モンクスベルト、M's&O's・・・初級講座のカリキュラムのようですが、素材との意外もいえる組合せによって織りあがる生地の表情もアイテムも拡がり、ふたりの個性が発揮されています。
キャンバスウィーブやワッフルウィーブなど新しい織りも取り入れ、今の生活で飽きずに使えるベーシックなデザイン。スウェーデン伝統の織に固執することなく、程よい「今」の生活とスウェーデンらしさが魅力的です。
この作品をデザインするにあたって、ふたりが「よりどころ」としたのは、
"Whatevere you weave shuld be of high quality"
織るならば、しっかりとしたよいものを。きちんとしたよいものを。
誰でも、モノをつくっていく途中には、迷いや選択をする場面がありますが、ふたりは真剣な議論と試織をし、常にこの言葉に戻って多くの結論をだして先にすすめたと書かれています。
高級な素材の魅力に頼ることなく・・・・。複雑な組織や奇をてらったテクニックにはしることなく・・・・。
掲載されている作品には、一般的な手織りの糸が使われ、基本的な織り方の範囲をこえることはありません。
さらに、作品に使われている色数が少ないのは、織る人が色を変更しやすいようにとの配慮から。使う人のインテリアカラーに合わせられるのは、織りあがって身の回りで使う時の大切なポイントです。
糸から布へと変化していく楽しみを味わいませんか?という思いと迷いのなさが、この本を透き通った空気感で満たしているようです。
スペック、仕上げ、今すぐにでも準備して織り始められそうなこのタイプの本には、最後にいつも決まって 壁 が立ちはだかります。「この糸は、何処でどうやって・・・買えるのか?」
美しい作品集ということで満足もできます。
でも手織り機を所有しているのなら・・・・・ふたりが生み出した布地を、やはり手にしてみたい。
インフルエンザだったんですか、大変でしたね。
返信削除今回も素敵な本のご紹介をありがとうございます。
Amazonへ行って中身検索できたのでのぞき見してきました。
先日も書いてくださってましたが、サマー&ウインターやオーバーショットなどを、織りたいと思うようになってから見ると楽しい本なのでしょうね。
今はまだ、杉綾を織って上着にしたい、これに至るまでの期間中ですので、織り機を持って織ってる事の、先の楽しみとしておきます(^^)
病後もお大事になさって下さいね。
本も糸も…チリも積もれば30余年。
返信削除気持ちばかりで、まともに手織りをしなかったので本棚も糸箱も満杯。
当分あるものを丁寧に見直して、織物をしましょと思っていたのですが…
新しい雰囲気を感じるのも大切でした。少しリフレッシュした気分です。