素人なりに織機のことを書いてみようかと下調べしていたら・・・・・・・・聞いたことのない織機に出会いました。パラレルカウンターマーチ。
カウンターマーチは、北欧をメインに欧州で古くから使われていた織機のスタイルで、ホリゾンタル(水平式)とバーチカル(垂直式)の2種類のはず。でも、パラレルカウンターマーチ??・・・ホントは3種類だったけ・・・・?
この織機のホームページを見ると、伝統的なカウンターマーチの特徴である天秤はありません。カウンターマーチと同じなのは、綜絖1枚に付き2本の招木(ラム)がペダルと綜絖の間にあること。
「上招木と下招木に綜絖をつなげ、上下に開口させる」というシステムから天秤式(?)と表示しているケースもあります。2本の招木が平行(パラレル)に動くため、パラレルカウンターマーチ。
つまり、このオランダの会社
独自のシステムの名前でした。
ちなみに、招木(ラム)とは、綜絖(枠)の下に吊下げる棒で、どの位置のペダルを踏んでも綜絖を平行に安定して下げる役目をします。ペダルの本数が増えると必須で日本の機でもついている場合があります。
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北欧織機の上部にあるカウンターマーチ(水平天秤) |
大切なのは、「織りたいものが、具合い良く織れる。」ということだと思います。
ですから、ここから先は凝り性の余談。一般的な織機の仕様と見比べると・・・・。
特定メーカーの商品についてはできるだけ控えようと思うのですが、カウンターマーチ(天秤式)という一般的な名前なのに何か違う・・・と戸惑ったのでメモ。
北欧とこの独自システムの相違点は、
両方とも招木が2本あり、
綜絖は上下に開口する。
伝統的な北欧のカウンターマーチは、
実際に天秤がある。綜絖とペダルを天秤(中心に支点のある板)にコードで
吊り下げてバランスをとりながら開閉する。
独自システムのパラレルカウンターマーチは、
2本の招木(ラム)で開口する。
天秤はなく、綜絖は織機内部に張られた
コードに取り付ける。(つまり、吊り下げない)。
天秤、プーリー、ろくろ、ジャッキ、スプリング・・・・カウンターマーチを天秤式と訳したように、従来どおりに
「綜絖を上げ下げする装置(しかけ)」で織機を区別して呼ぶ場合はどのような表現になるのでしょう?
招木が綜絖を上下させるのは不思議。ペダルを踏むと織機内部の6か所のローラーを巡っているコードが引っぱられ、綜絖と招木が動く。ですから「ローラー式」?
名前は北欧風ですが、本体(躯体)の仕様や使い勝手は北欧のカウンターマーチより北米生まれのジャックルームに近いようです。
ペダルを踏むと下招木が下がり、上招木と綜絖が上がるという説明ですので、タイアップはジャックルームと同じ。(もちろん逆もできるとは思います。が、北欧やろくろ機は踏むと下がる綜絖/上招木を基本にタイアップを読み結ぶ。)
バックtoフロントでの機がけを考えてみると、ポリエステル綜絖で上下バーの北欧仕様ですが、簡単にはずしたり上げたりはできそうにないので仮筬を使う北欧のやり方はたぶん無理。
織機上部に粗筬が取り付けられているので、ジャックユーザーが得意のオバーキャッスルがメーカーお勧めのやり方のようです。仮筬、粗筬を使わないフロントtoバックの愛好者は、綜絖周辺は完全オリジナルの仕様ですから負担の度合いなど事前によく相談を。
なぜか筬柄にシャトルランがあるのもジャックと同じ。
ジャックルームユーザーまたはユーザーになる人を対象とした8枚もしくは12枚綜絖が標準装備のハイエンド機種という印象です。(より複雑な織をしたいというニーズに対応した買い上がり機種という言葉のほうが適切でしょうか?)アメリカンスタイルの8~12枚綜絖をメインに織りたい人は検討すべき機種か。筬柄中央にハンドルがついていています。
北欧のカウンターマーチを使い慣れている方は、名前とコンパクトという理由で購入を決定する前に、使い勝手、綿麻の細番手やラグを織る時のテンションなど確認したほうがよさそうです。
日本では北欧手織りのファンが多く、カウンターマーチの織機が使われているなんて、海外からは想像できるはずもなく・・・・・つまり、ジャックユーザーにはわかりやすい商品だと思います。
よく話題になるペダルの重さは・・・・・・一般的には、綜絖を上げ下げする装置(しかけ)と関係すると言われています。感じ方には個人差がありますのでコメントはできません。
新システムの道具ですから、購入後の調整や織始めてからの相談などのアフターフォローはポイントですね。最近、輸入織機全般に感じていることですが・・・・・。
で、多綜絖のサンプルが織りやすい織機を探している北欧の大型織機のユーザーは、どうするつもりか・・・・ですか?
どう考えても・・・・・・あまりに贅沢。