日本でも、海外の織機メーカーと代理店契約を結び、織機を輸入販売している会社は数社あると思います.。HPに織機や部品の写真と価格があっても、手織りについての基本的な説明や相談窓口はみあたりません。ショップなどで展示して販売している所は、あるのでしょうか?
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日本で織機を輸入販売している会社は、先生方の注文に応じて、海外から輸入し、学校やお教室に納入するまでが主な仕事のようです。ですから、輸入販売というより輸入業。
注文主あてに納入されてしまいますから、欧米の手作り感覚のしゃれた品があたり前のように街にあふれているのに、「こんな織機で、こんな布が織りたい」と、実際に目で見て憧れる場所もチャンスもないようです。床置きの織機は場所をとるから・・・・売れないから・・・・手織は簡単にはできないから・・・ということらしいのです。
ですから、織機を使って手織りをしたかったら、まず学校や教室を探して入会し、生徒になり手織りを勉強し、その後、先生に相談して織機を選定してもらうのが慣習のようです。販売という点から見ればお教室や学校がショップやショールームの役目をしていると思うこともできそうなのですが・・・。
お教室では、平織、綾織、M''s&O'sは吉野織、オーバーショットはよこ刺し子・・・・初歩的でどこでもある組織を教えているところがほとんどのようです。伸縮性があるウールでこの組織を織るのなら、ろくろ式、天秤式(カウンターマーチ)、ジャックルーム・・・どの織機でもそれなりに織れますから機種にこだわる必要もありません。
織り方を学べても、それぞれの特徴や使い方を的確に説明するショップやショールームの役目を期待できるとは思えません。そして、お教室は簡単には見学させてもらえない所。
普通の人が、動いている織機が見れて試せるのは、観光地の「体験お土産づくりコーナー」ばかり。日本の昔ながらのトンパタリです。手織りのイメージは、変わるはずもありません。
織機と使い方⇔組織図の論理⇔さまざまな組織・・・この3つは当然、密接に関連しています。
国内では、使われる組織は大体決まっていて、組織図から綜絖通しやタイアップを書きおこすことが「織機の使い方の説明」のようになり、使う織機はろくろ式かな?天秤式と書いておけば、どんな組織も織れるだろう・・・・と割り当てたような印象さえあります。
ですから、天秤式(カウンターマーチ)は、最も優れた織機だと思って購入しても、基本的な組織を織る人には、準備に手間ばかりがかかり、イラついたり、がっかりしたり・・・。
でも、輸入業者は、織機だけを輸入。スウエーデンへ織物留学をした方も多いようですから、海外の手織に関するソフト面/知識はこの方々からと期待したのでしょう。でも、基本は家庭での手織ですから、構造が簡易な4枚綜絖のカウンターバランスをメインに学ぶようです。
しかし、日本ではなぜか海外の織機といえば、まずは北欧のカウンターマーチ(天秤式)。この織機の特徴である多綜絖の織を北欧で学んだ方はどの程度いらっしゃるのでしょうか?また、多綜絖に関しては、書籍を見るとジャックルームが主流の米国のほうが研究がすすんでいるようで、直接に習ったかたもいるようなのですが・・・。
たぶん、織り柄の布を織る機械の原型と思われるカウンターマーチ式織機。この織機で組織図と組織を学び、使い方も学べば、欧米の標準が理解でき、国内の手織りは、選択肢が増え、愛好家も増えて、これほど停滞することはなかったでしょう。
織物や柄、織るため道具の歴史は、世界中にあり、紀元前から。歴史も発想もさまざまに積み重ねられてきたはずです。個人が思いつくのは、残念ながら、裏ワザとか、知恵袋程度。人ひとりが一生かけて懸命に考えても、たどり着けるようなものではありません。欧米の織機の改良や使い方を思案するより、基本を学び、魅力的な織物を考え、織ることに時間と頭を使いたいのです。
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